理想家族  3




ふかふかのベッドの上で、海堂は天井を見上げていた。

今日一日で、自分の身の回りの状況が劇的に変化してしまい、未だよく理解できていなかったのだ。



これからの生活の事、学校は?葉末は?
乾さんと柳さんの関係…自分の立場…


あれこれ考えている内にすっかり目が冴えてしまい、海堂は布団の中で溜め息を漏らしていた。


『ん…ふっ…んん…』

??何だ?この声…

『あっ、駄目…だよ…』


これ…は…

『隣に聞こえるぞ…』
『いいよ…もう寝てる…』


まさか…乾さんと柳さん…!?



海堂は隣で起きているだろう情景を思い浮かべ、顔が真っ赤になってしまった。
そうだよな…あの二人は夫婦なんだから…こういう事は夫婦間ではある事だし…


『んっあああ!!いい!そこ…』
『ここが弱いんだよな…貞治は…』


に、してもなんでこんな聞こえる様に??


普通、こういう行為をする場合、聞こえない様に声を殺すのが常識じゃないのか?
大体隣に俺がいるのに…しかも壁のすぐ向こう側から聞こえてくる…



身体の芯から痺れてしまう様な甘い乾さんの喘ぎ声と…
透き通るように澄んだ美声で攻め立てる柳さんの声…


海堂は二人が出す声に身体が反応しているのに気がつき、そっとパジャマのズボンに右手を滑り込ませた。



んっ…ハァァ…
自身を擦りあげ、隣からの声と同じ様に小さく喘ぐ…



『やぁっ…!蓮二!あまり焦らすな!』
『まだまだ…ほら…2本目だ…』

声と共にクチュクチュと言う卑猥な音まで聞こえてくる。この部屋の壁はどうなっているんだ…?



その音に海堂自身が益々反応してくる…
左手をも滑り込ませ、指で自らの秘所を刺激する。


まるで自分も柳に抱かれている様に…


あぁっ…あっ…


隣の声がここまで聞こえると言うことは、こちらの声も向こうに聞こえると言う事…
海堂は出来る限り声を殺して自分を慰めていた。


隣の部屋では乾と柳が海堂の様子を伺っていた。


「反応しているようだな…」
「中学生だからね。こういう事には敏感なんだ…それより蓮二…」
「何だ…」


乾は柳の首に腕を回し、そっと耳元で囁いた。
俺…もう限界なんだけど…


にやりと柳は笑って、乾の太腿に手を添えた。
ぐっと押しやり、そして前進する。


「んっあぁあああ!!」

一際高い声を遠慮なくあげ、柳の背中に回した手に力が入る。
柳が抽挿を繰り返すと、その動きにあわせて乾の美声が部屋中にこだました。


柳はその声を聞いただけで興奮が高まっていく。


「全く…お前の声はまさに欲望を引き出す媚薬だな。」
「ふっああっ!!あああ…」


突き上げられる痛みと快楽が乾の頭の中を支配していく。



久しぶりに充実したSEXが出来そうだ…




柳も乾も隣にいる海堂を意識して、否応無しに興奮していった…





『やっああああ』
『いいよ…今日の貞治とても綺麗だ…』

あぁ…柳さんが乾さんの中に…
乾さん…声が喜んでる…


抱かれているんだ…愛する人に…


自身を握る手の動きが早まっていく。同時に左手の指もズブズブと自分で挿入していった。

 
「んっ…はぁぁ…あぁ…柳さん…乾さん…」


二人の痴態を頭の中で想像しながら、海堂は自分自身を絶頂へと導いていく…


『蓮二!もう…イク…』
『ん…俺も…』

俺ももう…限界です、柳さん、乾さん…


『んあああああ!』
『ふっんん!!』
「はっああああ…」


三人がほぼ同時に頂点に達し、それぞれの想いを放出した。



海堂はベッドから起き上がると机の上のティッシュを取り出し白く汚れた右手をふき取る。
そしてベッドの壁に向って深い溜め息をついた。




冗談じゃねーぞ…こんなのが毎晩だったら孤児院にいた方がましかも知れない…


一気に睡魔が襲ってきた海堂はそそくさとベッドに入り眼を閉じた。
隣が第二ラウンド開始する前に眠らなければ…



柳と乾が再び声をあげる少し前に、海堂は深い眠りに着いた。





「…眠ったらしいな…」
「何だつまらん。一回出して終わりか。」
「仕方がないさ。初めての夜だ。まだまだこれからじゃないか。」


そういいながら乾は柳の首に腕を回し、未だ不満げなその唇に吸い付いた。


「んっ…ふぅ…んん…」
ぴちゃぴちゃと音を立てながら互いの舌を絡めあう。


「第二ラウンド開始…」
「随分と積極的なものだ。久々にお前から誘うとは。早くも薫効果か?」
        

にやっと笑いながら柳は乾を引っ張りあげ、自分の股間に頭を導く。
少し強めに「舐めろ」と命令する。



乾は眼を閉じ未だ勢いが衰えない柳自身を口に含んだ。
会社での立場は柳は会長兼社長。乾はその秘書だ。私生活では同等のパートナー。


そして夜のベッドの上では柳は乾にとって絶対の立場にある。


一度行為に至ると、もう柳のする事に逆らえない。
僅かな抵抗も空しいもの。すぐに喘がされ、満足するまで乾は柳の下に組み敷かれる。

        
「ふんっんん…」
「上手いぞ…教えた甲斐がある…貞治はおしゃぶりが得意だな。」


これなら薫はすぐに果てるだろうね。


そうクスクス笑いながら柳はぐっと腰を前に突き出し、乾の喉奥深くにまで咥えさせる。
乾はむせ返りながらも奉仕を続け、舌を巧みに使って快楽を引き出していく。


乾の舌技で更に太さを増していく肉棒を柳はずるっと乾の口内から引き出した。


「どの体位がいいか?貞治…」
黒い笑みを浮かべながら自慢の肉棒を手で擦りあげ、更に太く硬く育てていく。
乾は虚ろな目で見つめながらゆっくりと柳に背を向けた。



柳は乾の背中にそっと擦り寄り、背後から太腿の内側に手を伸ばしていく。
そのままひょいと乾を抱きかかえると、自分の陰茎の上に下ろした。

「んっあああ…」

支えのない身体はズブズブと柳自身を咥え込んでいく。
ビクビクと太腿が痙攣し、乾は一際高い声でその快楽に応えていった。


柳は乾の太腿を抱えると、上下に落とし奥へ奥へと咥え込ませる。
そして乾自身を掴み、絶妙なタイミングで擦りあげていく。
その度に乾が甘い喘ぎ声を上げ、その声に柳は更に興奮していった。



「あぁあああ!!蓮二!」
「んっくふぅう…貞治…愛しているよ…」


愛しているよ…いつまでも愛しているよ…



甘く激しい時は過ぎ、柳と乾はお互いが心から満足するまで激しく求め合う。





そして、海堂が柳と乾の家族になって初めての夜が過ぎていった。




To be continues.











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