ゲームを征する者〜Second stage〜  20        




        別荘の大広間に次々と食事が運ばれてくる。


        大きな長めのテーブルのホスト席にはハボックが、身なりを整え座っていた。
        その隣にはブラッドレイ。そしてアームストロング少佐。向かい側にはヒューズとエドが席についている。

        ハボックの向かい合わせに座るように、ロイが静かに座っていた。


        「今日はようこそお出で下さいました。何も御もてなしは出来ませんがゆっくりしていって下さい。」
        「おいおい、ここは私の別荘だよ?」
        「あぁ、そうでしたね。ま、下町育ちの俺がホストじゃろくな接待は出来ませんって意味ですよ。」

        クスクス笑いながらワインを掲げ、ハボックはホストらしく乾杯の音頭を取る。


        「最後のゲームに乾杯。」


        ロイを除く全員がグラスを掲げ、その言葉を同時に話す。

        ゲームに…真の勝利者に…



        ぐっとワインを飲むと、エドがまず最初に口火を切った。


        「ねぇ。大佐とどんな風に過ごしたのさ。」
        ラブラブの恋人同士のように?それとも主人と召使のような主従関係で?

        目の前に運ばれた前菜を口に運びながら、まるで他人事の様に話し始める。


        ロイはその恥辱に耐えなければならない。

        首輪はまだ嵌められたままだった。逆らえばスイッチを押され、あられもない姿を晒す事になるだろう。

        いや…もうすでに晒されているのかもしれない…
        深いため息を着き、目の前の食事に手をつけた。


        「大佐と過ごした1週間っすか?そりゃぁ濃厚な日々でしたよ。」
        ニヤニヤ笑いながらワインを飲み干すと、ロイに向かってぱちんとウィンクをする。

        「最初の日は普通に。玄関に着いた時からもう犯してましたけどね。」

        待ちきれなくて。これからの日々を思うといてもたってもいられなくて。
        荷物持ちの使用人が眼のやり場に困ってましたから、そのまま抱き上げてリビングに連れて行ったんですよ。


        「そこで使用人全員を集めて、公開SEX。これでここの人たちは少しは慣れたんじゃないかな。」

        スープを運んできた使用人は、何も驚く事はなく悠々と食事を運んでくる。
        動揺する事もなく、給仕を追え何事も無かったかのように去っていった。

        「愚かな事を。ここの使用人たちは私で慣れている。そんな事をしなくも無関心でいたであろうに。」
        くくっと笑ってスープを飲むと、その美味さに舌鼓をたたいた。

        「あぁ、そうだったんですか。無駄な行為でしたね、大佐。」
        微笑みかえられ、ロイは耳まで真っ赤になりながら下を向く。



        「それで?マスタングは君の物になったのかね?」

        運ばれた鴨の肉にナイフを入れ、優雅に口に運ぶブラッドレイに、ハボックは少しため息混じりで首を振った。

        「いいえ。残念ながら…」
        この黒豹は俺に懐くどころか、益々持って野生の美しさを発揮しましたよ。


        組み敷いた時の屈辱に輝く瞳。
        鎖で繋いだ時の恥辱に塗れる身体。

        屈服しないその表情は、快楽に浸ってよがり狂う時より美しい。


        「俺は悟りましたね。この黒猫は誰の物ではないと。」

        それが例え恋人だと言い放っている鋼の大将であっても、この国を牛耳る独裁者であっても。


        「親友だといっている人の物でも、永遠の忠誠を誓う部下であっても。」
        すべての者がカシャンとフォークを皿に置き、口元を拭いながらハボックの方をじっと見つめる。


        「誰の物でもない。すなわち、誰の物でもある。」

        ブラッドレイがふっと笑いながらグラスに残ったワインを一気に飲み干す。

        そして隻眼をロイに向けて黒い笑顔を浮かべた。





        「地下室は使ったのか?」

        ブラッドレイのその言葉にロイがビクッと反応する。

        「えぇ。3日目に。閣下もいい趣味をお持ちですね。」
        「自慢の部屋の一つだ。お褒めに預かり恐縮だよ。」
        「まだ鎖や手錠、拘束具の跡が残っているんじゃないかな。見せてあげて下さいよ、大佐。」
        「ほぉ。それは私も見てみたい。」
        「俺も見たいな。」

        ぐいっとワインを飲み干し、厳しい顔をする親友をロイは訴えるような眼で見つめていた。

        ヒューズ…どうして…

        「ロイ、これはゲームだ。それを忘れるな。」
        雰囲気に飲まれるな。自分を見失うな。

        俺はどんなお前でも受け入れる覚悟は出来ている。


        ロイは改めてこの場にいる者の顔を見渡す。



        そうだ…これはゲームだ…
        自分を巡ってのゲームに過ぎない…

        己を見失うな。私は私であって、誰の物でもない。


        ロイは屈辱に眼を閉じながらも、すっと立ち上がりタキシードの上着を脱いだ。

        シャツのボタンも外し、それも脱ぎ捨てる。

        白い肌に無数の痣と、手錠の跡がくっきりと残っていた。
        それが嗜虐的な心を刺激していくのをロイは感じていた。

        「そこだけじゃないでしょ?大佐。全部見せなきゃお客様に失礼だ。」
        フォークをロイに向けながらにやりと笑う。

        ロイは眼を閉じ、ゆっくりと靴を脱いでいった。


        「そこじゃ見えんぞ?この上に乗りなさい。」

        とんとんとテーブルを指差しながら叩くブラッドレイを、ロイはきっと睨みつけた。


        私に…ストリップまがいの事をさせる気か!


        グッと拳を握り締め、椅子に登りテーブルの上へと移動した。
        並べられている豪華な食器類を避けながら、ゆっくりと中央に向かって歩き出す。

        ブラッドレイの目の前まで来た時、ロイはズボンのベルトに手をかけ静かにそれを外し、
                ハボックにするりと落とした。


        「これがゲームとして…何をもって勝利者とするんだ…?」


        真っ直ぐな瞳で見つめられ少し心が痛んだが、ハボックは小さく微笑むと飲んでいたグラスをテーブルに置いた。

        「そうですね。これから俺達はあんたを犯します。」
        「それに耐えられたら大佐の勝ち。耐えられず俺達の誰でもいい名前を読んだら負け。」

        僅かに揺れるその漆黒の瞳に皆が一斉に眼を向けた。


        「最後まで名前を呼ばずエドだけを見続けていたら、あんたをエドに帰します。」


        負けたら一生ここで俺達のペットです。可愛がってあげますよ。

        ロイは声にならない驚きの表情を浮かべ、エドの方に眼を向けた。
        エドは余裕の笑みを浮かべている。

        勝利を確信しているのか…?



        「優勝者の権利は明日で終わるはずだ。」
        「言ったでしょう。これは新しいゲームだ。それなりのリスクがなければ面白くない。」

        そう言ってハボックはブラッドレイの方を向く。

        「主催者の意見としてはどうですか?」
        「構わんよ。この一週間内なら何をしても構わん。」

        私が許そう。この新たなゲームの開催を。

        くすくす笑いながら、自分のタイを緩めていく。
        ロイは眼を閉じ、ズボンと下着を脱ぐとばさっとテーブルの上に投げ捨てた。


        アームストロングが眼のやり場に困り、顔を背けると、ハボックがやはりネクタイを緩めながら話しかけた。

        「少佐、大佐に付いていくつもりなら、その欲望はすっきりさせた方がいいですよ。」
        あの夜のゲームで相当欲求が高まってたんじゃないんですか?

        「だからこそ、俺が誘った時も断わらずここに来たんだろう?」

        ヒューズもネクタイを外し、椅子から立ち上がって上着も脱ぎ捨てていた。
        すっと手を出し、かすかに震えているロイの足を優しく撫でる。

        「我輩は…」
        大佐のお役に立ちたい…ただその一心で…

        眼の前に曝け出されている全裸のロイを見て、アームストロングの喉がゴクンと鳴った。


        傍にいられるだけでよかった筈だ…なのに…
        この胸の高鳴りは…どうしたら…


        「触れてしまえ。」


        ブラッドレイがそう言い捨てると、上着を脱ぎ捨てロイの足に触れてきた。

        アームストロングも意を決して上着を脱ぐ。
        愚かな行為だ…わかっている。なのにこの欲望を抑えられない。
        イシュバールでの兵士達もこんな気持ちだったのかもしれない。

        大佐を慕い、だがその欲望を抑える事が出来ず…
        キンブリーに唆されるままに犯してしまった。


        「これはゲーム…なのです。大佐…」
        大きな手がロイの身体を撫で回す。


        ロイはじっと耐えたまま動こうとはしない。

        「大佐、それではお客様があんたに触れられないでしょ?」
        しゃがんで、ちゃんと見せなくちゃ。


        シュッとタバコに火をつけ、その煙をロイの顔目掛けて吹き付けた。
        屈辱に身体が震えながらも、その命令に従い両足を開く形で腰を下ろした。

        脇からヒューズが身を乗り出し、胸の突起を掌で転がして弄ぶ。

        「んっ…」
        軽い刺激に眼を閉じて感じ取る。
        その表情にアームストロングも身体が段々熱くなっていった。

        無言でロイの顔を自分の方へ引き寄せると、その唇を奪う。

        「はっああ…」
        咥内で繰り広げられる攻防に我を忘れて貪り食う様に吸い付いていった。


        「…ったく。なんつー淫乱な身体だ。」

        ジュッとタバコを消すと、ハボックはテーブルに身を乗り出し、まるで誘っているかの様な
        ロイの両足の間に割り込んでいく。
        既に天を向いているロイ自身にそっとキスを落とした。



        「どうしたエド。参加しないのか?」
        ヒューズがシャツの前を肌蹴させ、ぼうっと突っ立ってロイのあられもない姿に見入っていたエドに声をかけた。


        テーブルの上では既に痴態が繰り広げられている。
        ハボックが両足を抱え羞恥心と快楽でヒクついている秘所に己を突き刺していた。

        「うっあはああ!」

        ガシャンと周りにある食器を落としながらビクビクと身体を痙攣させ、両脇からは数本の腕が体中を撫で回す。
        反り返る身体をハボックが引き寄せ、うつ伏せに体位を変える。


        グンと腰を掴んで更に奥まで突き上げると、ロイは甘美な喘ぎ声をあげて反応した。

        テーブルクロスを掴みながら、目の前に立ち尽くすエドに眼を向ける。

        「エ…ド…」
        右手を伸ばして愛しい恋人を呼ぶ。
        
        その手さえもヒューズによって組み敷かれ、エドの名前を呼び続けるその唇はアームストロングの
        太い指で埋め尽くされる。


        エドは静かに深呼吸をすると、上着を脱ぎ捨てテーブルの上に飛び乗った。


        ゆっくりとロイに近づき、上からその痴態にまみれている恋人を見下ろす。
        淫らに喘ぐその顔をグッと掴むと、己を取り出しその口にあてがった。


        「咥えろよ…」
        俺の事好きならこれ、咥えろよ。

        ゲームに勝ちたいなら、俺を感じろよ。


        「んっああ…」
        舌を出してエド自身を咥内に招き入れると、丁寧に奉仕していく。

        ハボックの動きに合わせるかのように出し入れをするエドに、ロイの表情も恍惚になっていった。



        エド、エド!!

        大佐…愛してるよ…

        あんたは永遠に俺のものだ…誰にも渡さない…俺だけの物だ…



        ハボックの動きが一瞬止まると、ロイの膣内に大量の精を放出した。
        ゴブッと己を抜き去ると、それを待っていたかのようにヒューズが代わって自身を挿入する。

        間髪入れずの行為にロイの腰が揺れて、それがまるで誘っているかのように思えて淫らだ。


        それでも意識は眼の前にエドに集中し、前と後ろでは別人の様に感じていた。


        漆黒の髪に直したばかりの機械鎧の指を絡める。
        その冷たい感触に快感を覚え、満足げに眼を閉じ奉仕を続ける。



        チェッ、やっぱりもう俺じゃ駄目か。

        いや、ここにいる者全員でかかっても、エドには敵わないだろう。



        負けると判っているゲームをするのは、自分自身の為。


        ロイを諦めきれない愚かな者たちの最後の足掻き。



        エドへの思いを見せつけられる事で、己に思い知らせる。




        ヒューズがブルッと身震いしてロイの中に思いを出し尽くした。
        それでも俺はお前を愛しているよ。

        アームストロングが三番手に入り、生まれて初めての好意を躊躇なくこなしていく。
        この先何があろうとも、大佐の後ろを何処までもついてく所存。

        今はその思いを遂げさせて頂きたい。



        ブラッドレイが喘ぐロイ自身を掴むと、優しく擦りあげていった。
        私達の間に愛などいらぬ。

        支配し、支配される、それだけでいい。


        それでも私を愛してくれるのではないかと僅かな希望を抱いた私が愚かなのか…


        揺れるロイの白い背中にそっとキスを落とすと、そのまま擦りあげるスピードを速めていった。


        「はっはっあああ」
        「イッちゃ駄目だよ。イク時は俺と一緒。」
        ずるっと己を取り出すと、唾液と精液で汚れた唇をそっと指で拭う。

        それだけでロイの表情は穏やかになり、ブラッドレイがいくら擦りあげても蜜を流すだけで
        達する気配はなくなっていた。



        射精感に浸っていたハボックが、ワインをグラスに注いでロイ達の痴態に見入っていた。


        一週間…あらゆる手を使って大佐を抱いた。
        それでもあの人は俺になつく事はなかった。エドへの思いが消える事はなかった。

        今更誰かの物になるはずもない。それでもゲームを仕掛けずにはいられなかった。



        「皆大佐が大好きなんですよ…」

        誰かの物になんてなって欲しくない。あんたは皆の物だ。


        「勝利者に乾杯。」

        それは自分を指しているのか、エドを指しているのか。
        それとも快楽の中で美しく輝き続ける焔を指しているのか。


        グラスを掲げ、ぐいっと飲み干すと、ハボックも快楽の中心へと再び挑んでいった。




        この狂宴は朝まで続く。

        別荘のあらゆる所でゲームは開催された。

        大広間から地下室で、風呂場で、キングサイズのベッドの上で。




        そして最後に叫んだ名前を聞いて、全ての人がその者の勝利を確信する。





        エドワード。





        そう叫んでロイは意識を飛ばし、愛しい者の腕の中で眠る事をようやく許されたのだった。
     
 
       
        To be continues.




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