「迫り来る氷帝」外伝で 不二と乾の話
満月の光が降り注ぐ塔の一室。 ベッドの上で蠢く二つの影。 僕の腕の中で顔を歪めて愛撫に耐えているのは、この国のブレーン。 「乾…感じてる?」 「うっあ…ああ…」 僕の腕を掴みながら、ビクビクと身体を震わせる。 か細い喘ぎ声はとても大柄な身体からは想像つかない。 大きな胸板に舌を這わせ、胸の突起を咥内で転がしていく。 右手で乾自身を刺激すると、先端からトロトロと先走りが滴り落ちる。 その雫を円滑剤に、乾の秘部に指を挿入した。 「やっあ……」 「大丈夫、すぐに気持ちよくさせてあげるから。」 僕は丁寧にそこを解し、指を2本、3本と増やしていく。 乾の息は荒くなり、しがみ付く腕の力も強くなっていった。 「もういい…?乾…」 「………」 掴む指に力を込め、言葉無き承諾を得る。 僕は乾の膝に手をかけ、そのままぐっと両脇に押し広げた。 ヒクヒクと震えている蕾に、僕自身の先端を宛がう。 「あっああ…」 「行くよ…」 乾に口付けをかわしながら、僕は乾の中へと前進していった。 「んんっあああ!!!」 大きく背中を反らし、その身体全身で僕を感じようとする乾。 でも僕の方を見ようとはしない。 北の窓を…満月を…乾はその瞳に映していた。 「…蓮二…」 そう呟き、ゆさゆさと揺れる中で左手を北の窓に向けて差し伸べた。 僕は何も語らず、ただ乾を抱き続けた。 いいよ…柳の代わりと思っても。 僕に抱かれる事で、柳を感じるのならそれでもいい。 それで君が生きる希望を取り戻してくれるのなら… 僕はぐっと乾の奥に僕自身を突き上げた。 その度に乾の腕は僕にしがみ付き、甘い声は『蓮二』の名前を呼び続けた。 そして最後の瞬間… 僕は乾の中に全てを注ぎこみ、乾は蓮二の名前を叫びながら意識を飛ばす。 最後まで僕の眼を見なかった。 最後まで僕の名前を呼ばなかった。 それでもぐったりと眠る乾の表情は僅かに和らいでいるようだった。 「乾…どうしたら君の中から蓮二を取り除ける?」 どうしたら柳への柵を超えられる? 君が望むなら僕は何度でも君を抱くよ。 それが柳蓮二への届かない思いのはけ口だとしても。 僕は乾を腕に抱きながらそのまま明け方まで見つめていた。 乾の寝顔は終始安らかで、もしかしたら僕が乾に会ってから初めての安堵感に満ちた顔だったのかもしれない。 乾の頬にそっと触れてみる。 柔らかいその頬に僕はそっと口付けをする。 これは恋…?それとも同情…? もし恋だとしても、きっと長続きはしないだろう。 なぜなら僕達はあまりにも似てしまっているから。 孤独の闇に耐え切れず、自ら死を選ぼうとした、愚かな弱い人間。 「僕には乾を包み込む度量は無い。」 同じく乾も僕を受け止める余裕は無いだろう。 でもこうして傷を舐めあう事は出来る。 いつか…お互いに最良のパートナーが出来るまで… To be continues.
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