光と闇と   13                   


神官学校での授業が始まって数週間が経った。


瀬人はアクナディンが用意してくれた真新しい神官見習いの白い衣服を身に付け、
ハピルスを数枚抱えていそいそと神殿へと向かっていた。


王宮の隣にある神殿。
ファラオへの目通りの際に起きたハプニング。

「セトを跪かせて見せよ」

ファラオのその言葉に、アテムもきっと俺を探しているに違いない。
俺を探して、ファラオとの賭けに勝とうと今日もまた何か仕掛けてくるに違いない。

冗談じゃない。
俺はあんな奴に決して頭を下げたりするものか!

セトは腕の中のハピルスを握り締め、回りの気配を気にしながら神殿へと入って行った。


良かった。今日は見つからなかったか。

自分の席につき、師である神官長の一人が入ってきた時、セトはようやく安堵した。



あの謁見の間での一件があって以来。


アテムはセトがこの神殿に来るのを狙って、自分の元に連れて行こうと試みていた。
最初は高圧的に。
王子としての権力を振りかざし、王族としての絶対命令とセトの腕を取った。


「俺にとってお前は王族でもなんでもない。ただの下種な人間なだけだ。」


そう言い放ち腕を振り払ってセトは神殿へと走り去っていった。

次は強制的に。
兵士を連れ無理やり連れて行こうとするのを、セトは自慢の体術でなぎ払う。
スラムでの暮らしは危険も伴う。セトは必然的に護身術を身につけていたのだ。

魔力を使って幻術を見せ連れ込もうとしたり。
人を使って騙し連れて行こうとしたり。

その度にセトがすべてを見抜き、危機を脱していた。



神官学校の神殿に入ってしまえば、たとえファラオといえど神官長の許可なく入る事はできない。

故に、神殿に入るまでの間が毎日の緊張の一瞬でもあった。



朝から始まった講義を終え、セトは休憩と昼食の為に神殿の中庭に腰を下ろす。

アクナディンのところの使用人はセトにあまり好意を持たなかった。
そんな中でもセトに好意を持ち、優しく接してくれる女官もおり、セトにパンと葡萄酒を持たせてくれていた。
それを一口かじりながら、セトはぼぅっと水面を見つめていた。

力を得るにはどうしたらいい…?
母様達の無念を晴らすにはどうしたらいい?

アテムの追撃を阻止するにはどうすれば…


「なっ!何を考えてる!俺は!」
こんなリラックスする場で何故あいつの事を考える!
これからの目標や夢を考える時に何故…


そう思いながら、セトは暫く考えていた。
誰に聞いても、アテムの評判はいい。

「素晴らしき王子」
「慈悲深い方」
「魔力に富んでいて将来が楽しみな方」

皆口を揃えて褒め称える。

「何故だ…あいつは俺を陵辱し、侮辱し、その力を見せつけ俺をねじ伏せようとしてるのに。」

無表情で自分を犯した王子。
満面な笑顔で民に接する王子。

相反するその姿に、どちらが本物なのか判らなくなっていく。

セトはため息をつきながら、目の前の池に視線を移しその湖面を見つめていた。
水面に映る自分の顔。
突然、その背後に見知らぬ顔が数人映し出された。

「!貴様らは!」
「よぉ。スラムの娼婦がこんな所にいていいのか?」

貴族と思われる数人がセトの背後をぐるりと囲んでいた。
一人は見た顔だ…確か…


「覚えてるかな?まぁ、お前に取っちゃ数多い客の一人だけどな。」

ぺろりと唇を舐め、欲情に満ちた目でセトを睨みつける。
逃げようにも周りを囲まれ動く事は出来ない。

「…何の用だ。」
「用もへったくれもないだろ?お前にあるといったらただ一つ。」

そう言い放ち、男達はセトの手足を押さえつけ地面に押し付けた。

「離せ!ここは聖なるファラオの住まわれる城内だぞ!」
「その聖なるファラオの城に何で娼婦がいるんだよ。」

くすくす笑いながらリーダー格の男がセトの上に跨った。
神官見習いの服の襟元に手をかけ破こうと力を込めた。


「や、止めろ!これはアクナディン様が俺の為に!」
「娼婦が服着てていいのか?裸でいるのが普通だろ?」
ビリビリと服を破き、露になっていく肌に押さえていた男達が手を伸ばしていった。

数本の指が身体中を撫で回す。
まるで蠢く触手のようで、セトの表情が苦痛に変わっていく。
上に跨っていた男が位置をずらし、セトの下腹部に手を伸ばした。

「止め…」
「止めて欲しいのか?もう感じ始めてるんじゃねーのか?」

布越しにセト自身を掴むと、はっきりと形を成し、その反応に男はにやりと笑った。

「娼婦はどこに行っても娼婦だな。」
「くっ…はな…せ…」

服を全て破り捨て、全てを曝け出したセトに男達が暗い付く。
ポイントを知り尽くしているのか、その愛撫は絶妙で、セトは耐え切れずに声を漏らした。


「あっあ…」
「しかしおかしな話だよな。」
愛撫の手を止めずに、貴族の男はセトを上から覗き込む。

「スラムの娼婦だった時は金を払わなきゃお前を抱けず、
神官見習いになったらタダで好きに出来るんだからな。」
男の顔が近づいてきてもセトは逃れることも出来ずに、その唇を犯される。

舌が歯列を割って進入してきてもそれを押し返す事もできなかった。


スラムに居た時なら、噛み切ってしまっても良かった。
だが、今の自分の立場ならそれは絶対に出来ない。

万が一、貴族の男を殺してしまったりしたら、後見人になってくれたアクナディンにも
責任問題が生じてしまうからだ。



本当はこんな事死んでも嫌だ。スラムの時は生きる為に仕方なくしていただけだ。
神官見習いになって、もうこんな事はしなくていいと思ってたのに。


アクナディン様の為に…俺は耐えるしかない…



抵抗らしい抵抗もなく、男の舌を受け入れ身体を反応させていく。
このまま黙って犯されれば、何もなく終わるだろう…
そう考え、セトはすっと眼を閉じた。


貴族の男は動きを止めたセトの身体を割り、すでに硬く天を向いていたセト自身を咥内に頬張った。
ビクンと身体を振るわせ反応する様を楽しみながら、セトを快楽の頂点へと追い詰めていく。


「あっあっ!!」
「もうイくのか?早くねぇか?」
小刻みに痙攣しているセトをみながら、男は根元をぎゅっと掴み、その解放を遮った。


「やっあ!」
「まだイかせねぇよ。オレを満足させてからだ。」
そう吐き捨てると、貴族の男はセトの両足を抱え、慣らす事もなく秘所にいきり起つ己を押し付けた。
発作的に逃げようと身体をくねらせたが、取り巻きの男達がセトの体を押さえつける。


先端を少し挿入させ、セトの顔を覗き込む。
その違和感にセトの表情が苦痛に変わると、男は満足げに笑いながら前進した。


「ひっああああ!」
「んッ、やっぱりお前はいい娼婦だぜ!こんな状況下でも俺のを絡め取るように吸い付いてくる。」

ズッ、ズッと律動を繰り返しながら、貴族の男はセトの中を支配していく。
嫌悪感で身体が震えるが、相反して下腹部は熱を帯びていった。

両手を押さえていた男が興奮して、セトの唇にキスを浴びせた。
歯列を容赦なく割り、中に侵入する舌をセトは否応にもなく受け入れる。
もう一人もセトの胸を弄り、触るだけじゃ収まらなくなったのかしゃぶりついてきた。

三方から来る刺激に耐え切れず、セトは声をあげて喘ぎ始めた。


「はっああっ、やだ…ああっ!」
「嫌な事はないだろう?もう反応凄いぞ?腹にくっつく勢いじゃないか。」
ぐぐっと反らして蜜まで垂れているセト自身を、貴族の男はピンと指ではじいた。
びくっと身体が震え、肉壁が中を犯している肉棒を締め上げた。

「うっ、何だ、締め付けるなよ。思わずイきそうになったじゃないか。」
「はっ…ああ…さっさと…イってしまえ…」

この悪行を早く終わらせる事を考え、セトは一時快楽に身を落とす。
セトが本気を出せば、こんな男などすぐに達しさせ、行為の終了を宣言すればいい。

両足を腰周りに絡ませ、男自身を更に奥へと導いていく。
下腹部に集中し、中を締め上げ刺激を増幅させていく。

押さえつけられていた両手はすでに自由になっていた。
その手を貴族の男の首に回し、男の唇を塞ぐ。
腰の律動に合わせて舌を絡ませ、欲望を助長させた。


「はっああっ!!」


貴族の男はセトのテクニックにあっさり精を放出させてしまった。
どろりと中で注がれる感覚。


これは何度やられても気持ちいいと思わんな…


息を整え、上に覆いかぶさる男を払いのけようと力を込めた。
だが、その手を貴族の男はガシッと掴み、再び地面に押さえつけた。

「な、何する!もうイッただろう!離せ!」
「馬鹿だな。娼婦の時とは違うんだ。一回幾らじゃねえよ。」


俺たち3人が満足するまで、お前の孔にぶち込んでやる。


そう耳元で囁かれ、セトは今の自分の力の無さを思い知らされる。
貴族の男が己を抜き去ると、次に胸を弄っていた男が覆いかぶさる。
両足をぐっと持ち上げられ、充分解れている後孔に抵抗もなく挿入されていく。

「あっんん!!」
「へぇ〜〜これが噂の!随分といい具合ですねぇ。」
「アクナディン様に感謝だな。娼婦なら俺達の財力じゃとても抱くなんて出来なかったぜ。」


ズッズッとわざと音を立てて、今まさに犯している事を耳から知らしめる。
もう一人の男は我慢が出来なくなったのか、胸の上に跨り自身をセトの唇に押し付けた。

「ほら、こっちもやってくれよ。上手いんだろ?」

顔をしかめて首を振ると、貴族の男がセトの頭を押さえつけた。
口をぐっと閉じていると鼻を押さえられ、苦しさで開けてしまう。

待ってましたとばかりに喉奥に押し込まれ、嗚咽をあげながらもそれに奉仕しなければいけなかった。

卑猥な音が鳴り響き、セトは全てを諦めこの悪夢が早く終わる事だけを祈っていた。



一時が過ぎ、貴族の男達はようやくセトを解放した。

「中々良かったぜ。スラムの時は一回限りだったからお前のいいところを開発するまもなく終わってたからな。」
「後も前も最高のテクニックじゃないか。アクナディン様が気に入る訳だ。」

その言葉に、ぐったりと伏せっていたセトがきっと男達を睨みつけた。

「ア、アクナディン様と俺はそんな関係じゃない!」
「ふん、どうあれ、お前はここでも娼婦なんだよ。」
「気をつけろよ〜お前を狙っている貴族や兵士はたんまりと居るぞ。」
「せいぜい一人にならない事だな。」

くすくす笑いながら、身なりを整え男達はその場を立ち去っていく、


気だるい体を起こし、セトはバラバラになってしまった服を拾い集めた。

このままじゃ帰れない…どうしよう…


千切れた服を握り締め、セトは湖を見つめ途方にくれていた。





ぱさっ…




背後から紫の布がかけられる。
振り向くまもなく、その布の主が声をかけた。



「何て格好してる。ここは娼館じゃないぞ。」



真上から見下すような冷たい視線。
今、この己の状況を最も見られたくなかった人物が、背後で威圧感を放っていた。



「アテム…」


「やっと捕まえたぞ。セト。」


逃げたくても、この格好では逃げられない…



セトはどうする事もできずに、ただアテムを見つめるだけだった。


To be continues.








裏小説TOPに戻る  Back Next    



テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル