願い 3
ホテルの最上階のスウィートルームにはキングサイズのベッドが置かれている。
ゆったりとしたベッドには最高級のシーツやマットを使っている。
それすらも見劣りしてしまうほど、瀬人の裸体は美しかった…
「綺麗ですよ…セト。」
「煩い!余計な事を話すな!」
羞恥心でほんのり赤みを帯びているその身体に、ペガサスはそっとキスを落としていく。
一つ一つ感触を感じる度に、何故だか幸せな気分に包まれていった。
「ペガサス…」
無意識に腕を首に回す。
自分に引き寄せ、その唇に触れたかった。
舌を絡ませあい、互いの吐息を共有する。
そのまま下の方へと移動していくと、瀬人はピクンと身体を痙攣させた。
紅く熟れている胸の飾りに丁寧に舌を這わせると、瀬人は声を殺す事が出来ずに甘い声をあげ始める。
「あっ…」
一言発する度に顔を赤らめ、眼を閉じて顔を隠す仕草はペガサスの悪戯心をくすぐった。
「声を出してください、セト。あなたの声が聞きたい。」
「だ…まれ!さっさと終わらせて…」
最後まで言う前に声を失う。
ペガサスの舌が瀬人が一番感じる所に到達したからだった。
「やっ…ペガ…」
「ほら、ここは素直だ。セトもこうあって欲しいのですが…」
クスリと笑いながら、先走りでトロトロになっている先端を優しく舌先でつつく。
瀬人の身体がしなり、両手をペガサスの髪に絡ませ始めた。
「はぁっ!やぁああ…」
「嫌ならやめますよ?セト。私はもう無理強いはしません。」
欲しいのならちゃんとお願いしないと…
意地悪くそう言うと、ペガサスは瀬人自身から顔を離した。
途端にカァッと身体が紅潮し、瀬人は歯を食いしばってペガサスを睨みつけた。
「貴様!ふざけるのも…」
「ふざけてなどいません。セト、私はあなたの気持ちを知りたい。」
つつっと瀬人自身を指でなぞり、だが決して刺激は与えない。
瀬人はその度に身体を震わせ、息を荒くしたままシーツを握り締める
「…て……れよ…」
「ハイ?」
「ちゃんと…」
瀬人は両手をペガサスの首に回し、自らの顔に近づけさせる。
グイッと引き寄せ、耳元ギリギリで声を震わせながら囁いた。
「ちゃんと…抱いて…くれよ…」
回した腕に力がこもる。
ペガサスはにっこりと微笑んで瀬人の唇にキスを落とした。
するすると下方に下りて行き、はちきれんばかりに肥大した瀬人自身に軽くキスをすると、一気に咥内へと咥え込んだ。
「はぁああああ!」
上下に舌を動かすペガサスの頭を押さえ込み、更に根元まで咥えさせる。
あと少しでイキそうだった時、フッとペガサスが瀬人自身から口を離した。
「うっああ…?」
「まだです、セト。まだイってはいけません。」
困惑気味な表情を見せるセトに向かってペガサスはにっこり笑って、両足を抱え込んだ。
「やっ、ペガサス!まだ…」
「大丈夫。ちゃんと慣らしますから。」
ぐぐっと太腿を押し上げ、赤くひくついている秘部にペガサスは舌をつき入れる。
「ああっ!ペガ…」
「もう少しです。もう少し…」
もう少し焦らしてあなたの心を素直にさせる。
ペガサスから流れ出る唾液と瀬人自身から流れ出る液とで、そこはすっかり濡れそぼり、ペガサスの指を難なく受け入れていく。
一本、二本と指を増やし、中をかき回して肉襞を擦り付ける。
ビクビクと身体を震わせ、瀬人はもう耐え切れずに声を殺す事無く部屋中に喘ぎ声を響かせた。
涙を流して、ペガサスの名前を呼び、「早く」とねだる。
そうです…セト…私はその姿が見たかった。
全てを曝け出し、娼婦のように乱れるあなたのその姿を。
準備が整った瀬人の中に、ペガサスは己を少しずつ繋げていく。
迫り来る圧迫感と快楽に瀬人はシーツを握り締め、息を吐きながらペガサスを受け入れていった。
全てを咥えこみ、ペガサスと一つになった瀬人は震える腕をペガサスの首に回す。
「ペガサス……」
白銀の髪をそっと指に絡ませ、荒い息の中からその名を呼ぶ。
お互い微笑みあい、触れる様な口付けを交わす。
ペガサスが腰を動かし始めると、瀬人もその動きに合わせて甘い声を上げていく。
ズンと奥へと突き上げると、瀬人が背を反らし、その反動で髪がはじけ汗が飛び散る。
その美しさにペガサスは益々魅了されていく。
「セト…愛しています…私の全て…」
「ペガサス…」
互いの動きが早くなり、限界を迎えていく。
「あっ、あっ」と声を上げ、ペガサスの腰に両足を絡める。
瀬人の腰を掴みグイッと引き寄せ、最奥のポイントを突き上げる。
同時に瀬人自信も掴み取り、そのまま上下に擦りあげ快楽を助長させていった。
瀬人はもう限界なのか、涙を流して虚ろな眼でペガサスを見つめていた。
「も…イク…」
「私もです。」
共に…イきましょう…セト…
小さく頷く瀬人に笑みを浮かべながら、ペガサスは激しく腰を打ちつけた。
「はぁああ!!ああ!!」
「んっ…はっあ…」
同時に声を上げ、ペガサスは瀬人の中に、瀬人はペガサスの手の中にそれぞれ思いを放出した。
ハァハァと荒い息をつきながら、ペガサスは瀬人に覆いかぶさりぎゅっと抱きしめた。
大きな腕の中に包まれ、瀬人は静かに眼を閉じた。
何だろう…穏やかな気分だ…
こいつの腕の中は…暖かい…
幸せな空気に包まれながら、瀬人はそのまま眠りにつく。
ペガサスは瀬人がすっかり寝入るまで、その肩を抱き続けた。
愛しています…セト…
私がもう一度人を愛せるようになるなんて…
シンディアが死んでからはもう二度と誰も愛せないと思っていたのに。
「セト、眠りなさい。今は何も考えずに…」
私はあなたの虜。
あなたの僕。
あなたが望む事を私はするでしょう。
「あなたが望むのは何ですか…?セト…」
あなたの願いは何ですか…?
ペガサスは瀬人を抱きしめ、額にキスを落とし、するりと腕を外してベッドから起き上がった。
シャワーを浴び、衣服を整え、瀬人がまだ眠っているのを確かめた後、テーブルにカードキーを置いてその部屋を後にした。
to be continues.
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