契約   2


一人の初老の将校が、とある部屋に向かうべく長い廊下を歩いていた。

時折小さく溜め息をつく。そこの場所には余程行きたくない理由があるようだった。



そこは大総統府の隣にある大総統公邸。
マスタング少将はその私邸部分でもある一室に呼ばれていた。


「マスタング少将、及びと伺い参上いたしました。」

眼の前の人物に敬礼をかざす。自分より随分年下なのに、それ以上の威厳を感じ取る。
…いや、威圧感だろうか…圧迫感で息苦しさに思わず襟口を緩めた。


「ご苦労。早速だが将軍に頼みがある。」
「はっ、何なりと。」

ブラッドレイはゆっくりと立ち上がり、背後にある窓に顔を向け外を眺め始めた。


「実は…猫を一匹拾ってね。だが私の手に余る程躾がなっておらん。」
「猫…ですか…?」
「将軍の元でしっかり躾けてはもらえんだろうか。」

マスタング少将の方を一向に見ず、淡々と話を進めていく。
たかが猫一匹引き取るだけでわざわざ自分を呼び出したと言うのか…?


「…こちらに来たまえ…」
ブラッドレイは部屋の奥にある寝室へと招き入れる。

重厚なドアを開けると、そこにはカーテンがまだ引いてあり眼をよく凝らさないと見えないほど薄暗かった。


部屋の真ん中にまるでそこの主のように構える大きな天蓋つきのベッドがあった。
その上でうごめく一つの影。


「…まだやんの…?俺、眠いんだけど…」


ゆっくりと起き上がると、眼を擦りながら入ってきた二人に眼を向けた。
マスタング少将は猫だと思ったのが人間だった、と言うより、その少年の姿に目が釘付けになっていた。


一糸纏わぬ姿の裸体。透き通るような白い肌に、無数に残る赤い跡。


何よりもその凛とした顔立ちに魅了されていく。


「コレが躾のなっていない黒猫だ。」
苦笑交じりでロイに近づくと、くいっと顎を上げてその唇を塞ぐ。
すると途端にブラッドレイの首に腕を回し、その求めに応じて舌を差し込んでいく。

ぴちゃぴちゃと厭らしい音が響き渡り、マスタング少将は眼を細めた。


欲望で目が潤んでいるロイを、ブラッドレイは頬をつかんで強引にマスタング少将の方へと向けさせた。


「ほら、見るといい。たかがキス如きでこんな顔をするどうしようもない淫乱な猫だ。」
華奢な身体の線を撫でるように手を這わせると、ロイは恥じらいも無く甘い声をあげていく。
マスタング少将は堪らずブラッドレイの行為を諌めた。

「閣下!お戯れも程ほどにして下さい!コレの何処が猫だと…」
「人間としての尊厳も失った猫同様。ならばペットとして扱うのが当然であろう。」

ロイをうつ伏せに寝かせ、双丘の割れ目に指を這わせるとロイはビクンと身体を震わせた。

「うああ…」
「言い声で鳴くがいい。お前はそれぐらいしか出来んだろう。」
クチュクチュと音を立てて中をかき回すように弄ぶ。
ロイはシーツを握り締め、その愛撫に耐えていた。


「閣下!これ以上の痴態、私は絶えられません!ここで失礼致します!」
「まぁ待て。成る程、噂通りの潔癖な男だ。これならロイを任せてもちゃんと躾できるだろう。」

ブラッドレイはクスクス笑いながらロイから手を離し、怒りで震える将軍を見つめていた。


「私にはこんな男を躾ける事など出来ません!」
「作法を身につけさせ、然るべき後に士官学校へ入学させる。お前の息子として…」
「閣下!!私は!」


「私の元まで這い上がってこれるかどうか…見てみたいのだよ…」


小さく呟いたその言葉は、荒く息をつくロイには聞こえず…
だがマスタング少将にははっきりと聞き取る事ができ…。


そのロイを見つめるブラッドレイの眼が何故か愛情を帯びているようにも見て取れた。



この人は…この娼婦のような少年に恋をしているのか…?
親子ほども離れたこの少年を…



「では…閣下がお育てすれば宜しかろうと…」
そうだ…この人には子供はいない。自分の跡継ぎとして養子に迎えても構わないはずだ。
恐らくどこぞの裏町から拾ってきたのだろう。それを引き取り立派に育てれば、それだけでもいい宣伝効果が生まれるはず…


「ふふ…それは無理だ…」
「何故…です?」

ブラッドレイはロイの背中に再び指を這わし、小さく痙攣するロイの反応を楽しむ様に撫で回した。


「見なさい。触るだけでこれだ。欲望の塊なのだよ、この子は。」
その姿が余りにも淫靡で、拾ってきてから抱かない夜は一日と無かった。

その漆黒の瞳を見ると冷静な判断ができなくなる。
赤く熟れた唇を見るとどうしようもなく吸い付きたくなる。
その白い肌に触れればその奥の熱い思いを共有したくなる。

『キング…』そう名を呼ばれただけで鼓動が激しく高鳴り、我を忘れてロイを犯す。


「私には妻がいるからな。もうこれ以上傍に置いておく訳には行かないのだよ。」
それに引き取った息子に手を出すようでは私のイメージはがた落ちだ。

反体制派には持って来いのスキャンダルだな。


今はまだ地盤が弱い。隙を見せれば反体制の奴らに攻撃の機会を与えてしまう。
ならばさっさと捨ててしまえばいいものを…何故にこうも魅かれていくのか…




いつしか寝息を立てている少年の髪に、ブラッドレイはそっと唇を落とした。


「ロイを私と対等な立場になれる様育てよ。」
私の横に並んでもおかしくない立場に。

私の傍においても誰一人文句を言えない立場に。


…誰一人…そう…私の真の名を知る兄弟やあの方も…


そしてロイ自身でさえ…文句が言えない立場に…



「…この子がそうなるかどうかは保障は出来ません。」
「その素質がなければ…闇にまた戻すだけだ。」

冗談なのか本気なのか…ブラッドレイは小さく微笑むとすっと立ち上がり寝室のドアを開ける。


「すまぬが暫く隣室で待て。」
「…はっ…では…」

マスタング少将は敬礼をかざすと、振り返る事無く寝室を後にした。



「ロイ…私はお前を見ている…」
常に…お前を見続ける。

必ずお前は私の元へと這い上がってくるだろう。
私を超える存在として…私を滅ぼす存在として…


私の運命を変える存在として…


「ロイ…」
ブラッドレイは眠り続けるロイの身体を仰向けにし、首筋に唇を落としていく。
強く吸い付き跡を付けると、ロイの顔が僅かに歪んだ。

「んん……」
それでも起きようとしないロイの身体に指をはわし、露になっている陰茎をぎゅっと掴む。
力なく萎えているそれを上下に擦りあげると、たちまち強度が増していった。


「ふああ…」
大きな欠伸と共に甘い声が混じり、ロイは静かに眼を開けた。


「あ…キン…グ…」
「ロイ…」

ロイが腕を伸ばしブラッドレイの首に絡めると、ブラッドレイはその肌に新しい跡を残していく。
ブラッドレイの頬に手を添え、その唇を塞ぐ。

先程とは違う、互いの熱を味わうような官能的なキス…


ロイは両足をブラッドレイに絡ませ、その先の行為を要求する。
ブラッドレイは苦笑交じりでロイの足を解き、不満げな顔をするロイの頭を撫でながら服を脱ぎ去った。


改めてキスを交わし、ロイの片足を高く上げる。

そこは既に湿り気を帯びており、快楽を欲してヒクヒクとうごめいていた。


「全く…お前のここは休む事を知らぬようだな…」
マスタングがはたして我慢できるか…いや、こやつが我慢できるか…

両足をぐっと開かせ、その中心の孔に顔を近づける。
吐息が当たるだけでロイは喘ぎ、身をくねらせていく。

ぺろりとそこを舐めれば、ビクンと痙攣しブラッドレイの頭を押さえてもっと奥を、と懇願する。
だがそれ以上中へは進まず、その周りだけを丹念に舐め回す。

陰茎にも触れず、じれったい快楽がロイの身体を占めていった。


焦らすだけ焦らすその愛撫に、ロイの不満が爆発し、かばっと身体を起こしてブラッドレイの肩を掴み、
その逞しい肉棒に吸い付いていった。

「ふっんん…」

手馴れた手つきで袋をしごき、すっぽりと咥えながら舌先を使って敏感な部分を刺激していく。
数々の男を相手にしてきたロイにとって、男の欲望を引き出すのはお手の物だ。
その証拠に、ブラッドレイのモノはみるみる強度を増し、ドクドクと脈打つ凶器と化していた。


「あっ…欲し…い…早く…」
その姿を目の当たりにしたロイが、愛しそうにその棒をさすり、その上に跨り自らの孔にあてがった。

「淫乱な猫だな…」
「キング…早く…」

首に腕を回し、唇に半ば強引に舌を差し込んで淫らに腰を動かしてアブラッドレイを誘う。
ブラッドレイは片手でロイの腰を掴み、残った片方で後孔を拡げてそこへ己を押し込んだ。


「ひっああああ!!いい!いいよ〜」
髪を振り乱して歓喜の声をあげるロイに、ブラッドレイの腰も自然に激しく動き出す。
繋がったままロイを仰向けに寝かせ、更に奥を突き上げる。

一度先端まで引き抜き、角度を変えながら一気に奥まで挿入する。

ポイントを擦られる度にロイは背中を反らし、痙攣を重ね、狂ったような嬌声を上げた。


「あっはあああ!んん!」
「良い声だ…ロイ…綺麗だよ…」

限界に達しようとしているのか、ロイの眼は虚ろでブラッドレイの方へと腕を伸ばした。


キング…キング…


まるで魔薬の様な声でブラッドレイの「通り名」を呼ぶ。



ブラッドレイは静かに眼を閉じ、ロイにそっと口付けをした。



もう二度と…その名で私を呼ぶ事は無いだろう…



再び私の前にまみえた時、お前はどんな立場でいるのだろうか…



「ロイ…私の可愛い子猫よ…」
その言葉に応えたのか…ロイは満面の笑みを浮かべてブラッドレイにしがみ付いた。



14年後には決して見せなくなった微笑を…




それから2時間後、軍服に身を包んだブラッドレイが寝室から現れる。




慌てて敬礼をするマスタング少将に眼もくれずにその部屋を出て行った。



To be continues.

     




す、スミマセン、もうちょっと続きます。(大汗)


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