牙が赤く染まる時  3


        ロイは東方司令部の一室に監禁されていた。

        
        直属の部下達はおろか、東方司令部を取り仕切る将軍さえ面会する事は許されなかった。


        「馬鹿な!大佐がテロリストと内通しているはずがないじゃないか!」
        「何とかグラン将軍に掛け合って…」

        「無駄よ…将軍閣下が何度もグラン将軍に話をしたけれど、大総統閣下の直々の命令と言う事を盾に
         応じなかったわ…」


        ホークアイが愛用の拳銃を念入りに整備しながら、冷静に話す。
        その言葉に、ブレダ達もぐっと黙り込んでしまった。

        「とにかく、今私達に出来る事は、大佐の無実を晴らす為の証拠を集める事。」
        「少尉の消息を探す事が一番早いかもしれませんね。」
        「そうね。ハボック少尉が何か知っている可能性は大だわ。」


        少尉の行きそうな所をピックアップして…しらみつぶしに探すしか方法はないか…?


        「将軍の話に寄れば、明日にでも大佐は中央に移送されるそうよ。」
        「セントラルに!?」
        「何故テロリストの情報がグラン将軍の元に流れ出たか…それも調べる必要があるわね。」

        ホークアイはブレダ達に指示を出し、色々調べる様命令を下す。
        大佐を助けられるのは我々しかいない。

        その思いのもと、東方司令部を後にした。




        ロイは部屋の一室で、両手を後ろ手に拘束されたまま、ソファに据わらされていた。

        見張りの兵士が二人。皆銃を下げている。
        勿論発火布は取り上げられ、錬成陣を描けないよう、両手は布で覆われていた。

        全く…何だってこんな事に私が巻き込まれなければならないんだ…
        それもこれもハボックがあんな奴を連れてくきのがいけないんだ! 


        「みてろ!ハボック!見つけたらただじゃおかないからな!!!」

        不貞腐れていると、ドアがぎぎっと音を立てて開けられる。

        立て付けが悪くなっているな。将軍に言って直すよう命令書を作らなければ…
       

        意外と冷静な自分に思わず笑っていると、グランが厳しい顔つきでロイの胸座を掴んだ。

     
        「随分と余裕ではないか、マスタング大佐。」
        「将軍閣下は焦っておいでの様ですが?」

       
        どんと突き飛ばす様にロイをソファに投げ捨てると、向かい合わせの机にドカッと座る。


        「先程大総統閣下より命令があり、貴様を明日にも中央へ送還する事となった。」
        「閣下自らが貴様を尋問すると言う。覚悟しておけよ。」

        ぺろりと舌なめずりをしながら眼の前の獲物を嘗める様に見ていた。


        不敵な笑みを浮かべるロイに、グランの中で沸々と欲望が込み上げていく。

        「貴様は何故あの部下の部屋にいたのだ?」
        「それよりも何故、将軍閣下自らたかが部下一人の部屋にいらしたのです?」

        私に嫌疑があったとはいえ、まず東方司令部の将軍閣下にお知らせするのが筋ではないのですか?


        意を付いた質問に、グランの言葉が一瞬詰まる。

        「そ、れは大総統閣下直々のご命令があったからだ。」
        「真の目的は私を逮捕、拘束する事ではなかったのでは?」
        部下の件はそのきっかけに過ぎない。

        あの方のくだらない遊びに付き合っている暇はない。


        早くハボックを探し出さなくては…


        ガシッと顎をつかまれ、そのまま腹を思いっきり殴られ、ロイは思わずうぅっと呻き声を上げた。
        バンとソファに叩きつけられ、苦しい表情でグランを見上げた。


        その反抗的な眼が、グランの理性を狂わせるのを知っているのだろうか。


        グランは息を荒くしながらロイの首をぐっと掴み、ソファに押し付ける。
       
        「んっくは、将…軍…!」
        「セントラルに行けば容赦ない尋問が待っておる。何もかも話すなら今のうちだぞ…」
        
        左手で首を押さえながらロイの頬に舌を這わせ厭らしく笑う。
        右手はロイの身体の線をなぞり、ベルトのバックルに到達した。

        カチャッと言う音にロイの顔色がサァッと引く。

        こんなっ!下級兵士のいる眼の前で!?

        「将…軍!お待ちを!」
        「人払いでもして欲しいか?馬鹿め。大勢の目の前で尋問をするのが常識であろうが。」

        それはあんたの様な変態上層部の常識だろう!


        身をよじって逃げようとするが、両手の拘束とグランの馬鹿力で身動きが取れず、バックルは見事に外され、
        ジッパーが下ろされていく。
        ごつごつした手が下着の中に滑り込み、ロイは思わず悲鳴をあげてしまう。


        「ひっああっ」
        「ククク、相変わらずいい声だ。ほら、見張りの兵士達にも聞かせてやれ。」

        首を押さえていた手をロイの顎に添え、思いがけない自体に身体が固まった様に見つめる兵士に顔を向けさせた。

        眼が合い、羞恥心で互いの顔が赤らんでいく。


        噂に名高い焔の錬金術師のあの人が…


        何の抵抗も出来ずに上官に犯されていく…


 
        グランはにやっと笑うとロイのズボンを引き摺り下ろし、露になった下半身に手を回す。
        グチュグチュと音を立てながら陰茎を擦りあげると、兵士達は堪らず前を押さえ始めた。

        
        「クク。貴様のこの音が兵士達を刺激しておる。やはりお前は淫乱な奴だな。」
        グランの厚い舌が耳をも犯す様にねっとりと這っていく。


        嫌悪感で顔を背けると、自分を視姦している兵士たちの姿が眼に飛び込んでくる。


        「誇り高いお前はこの状況に耐えられんだろう。なら全てを吐いてしまえ。」

        貴様が会ったテロリストの名前は?
        ハボック少尉とどんな関係が?

        暗号か何かを受け取らなかったのか?


        すべてを話せば兵士達を外に出してやろう。



        だがロイは屈辱に唇を噛み締めながらも、沈黙を守り続けた。
        軍には忠誠を誓っている。テロリストの情報があればそれを報告するのは義務でもある。


        だが部下を売ってまで報告するのは己の心情に反する行為。

        大体、ハボックがテロリストと内通していたと言う証拠も何もないじゃないか。


        何も言おうとしないロイにむっとしたのか、グランはロイの両足を抱え一気に前進した。


        何の準備もしなかったその場所はグランの太い肉棒で裂け、赤い雫が滴り落ちる。
        いきなりの挿入に、ロイは身体に痙攣しながら悲鳴に似た喘ぎ声をあげる。

        「ひぁああああ!!」
        「言わんか!大佐!何もかも吐いてしまえ!」

        ガクガクと身体を揺さぶり、ロイを執拗に攻め立てていく。

        青臭い匂いと耳がおかしくなる程の喘ぎ声に、兵士達は終にズボンに手を入れ己を慰め始めた。


        「ほら、貴様の姿にすっかり興奮しているぞ。もう少し見せてやろうか。」

        そういうとグランはロイの腕を掴み、ぐっと自分に引き寄せると、ぐるりと回転させ兵士達の方へ向けさせた。

        そして両膝を抱え、全てを曝け出す。
        グンと天を向いたロイの陰茎を、グランが厭らしく指でなぞる。
        その度に先端からは蜜は滴り落ち、グランの指を汚していった。

        「あっやっ…」
        羞恥心で身体が赤く火照っていく姿に、兵士たちは我を忘れふらふらとロイに近づいていく。

        
        「マスタング大佐はな、わし一人では満足せんのだ。お前たちも手伝ってやるといい。」
        腰を掴んで上下に落とし、ロイの中を擦りあげていく。

        それだけでもロイは狂ってしまいそうなのに…


        兵士達はロイの前に跪き、天を向いて震えているロイの陰茎に手を添えながら、その肉棒を舐め上げた。


        「はっあぁああ!!」
        「た、大佐ぁ!!」
        「もう、我慢できません!大佐!!」  

        二人がかりで夢中でしゃぶり、ロイのその甘い声を引きださせる。

        ロイは眼に涙を浮かべながら、3つの刺激に耐え続けなければいけなかった。


        セントラルで閣下の手にかかれば、これではすまんからな…
        今ここで全てを吐いてしまえばどんなに楽だった事か…



        グランはロイの中を執拗に攻め、兵士達はロイの陰茎を絶え間なく舐め続けた。



        セントラル行きの列車の準備が出来たと言う報告が来るまで、その尋問は続くのだった。






        意識のないロイをグランは軽々と抱え、囚人護送車に放り込む。

        ホークアイを始めとする直属の部下達はただそれを見ているしかなかった。


        「…大佐…向こうで無事でいてくれればいいですが…」
        「何にせよ、今私たちが出来る事を全力でしましょう。」


        ぐっと拳を握り締め、車が出発するのを見送るホークアイに、一人の男が声をかけてきた。



        「失礼します、ホークアイ中尉ですね。」
        「そうですが…あなたは?」

        黒いスーツに身を包んだ紳士らしき男は、にっこり笑ってある手紙を差し出した。


        「これは…?」
        「ハボックからの手紙です。あなたに渡すよう頼まれました。」
        「少尉から!?」
        
        ホークアイはとっさに腰の拳銃を取り出そうと手を回すが、その男にさっと右手をつかまれてしまった。 
   
        それも眼にも止まらぬ素早さで。


        ホークアイは自分の早撃ちには自信があった。
        その自分をも上回るこの男…一体…


        「物騒だなぁ。私は彼に頼まれただけです。」
        掴んだホークアイの右手の甲に優しくキスを落とすと、ホークアイの腰から拳銃を取り出した。


        「…少尉は何処に…」
        「まずはその手紙を読んで頂けませんか?その上で彼の元に案内するかどうか決めましょう。」


        ホークアイはきっと睨みつけながら、その手紙の封を空け中身を確認した。

        一通り読んだ後、ホークアイはブレダを呼んだ。


        「何です?中尉…」
        「ライター…あるかしら?」

        首を傾げながらライターを渡すと、ホークアイは手紙に火をつけ、焼き払ってしまった。

        「中尉!?どうしたんです?」
        「ブレダ少尉。フォルマン准尉とフュリー曹長を至急呼んできて。」

        厳しい顔つきのホークアイに、ブレダはそれ以上何も聞けず命令に従った。


        「…お名前を伺いたいわ。」
        「アイザック・ボーグと申します。中尉殿。」

        宜しくお見知りおきを…

        そう言いながらホークアイに奪い取った拳銃を渡す。

        ホークアイはそれを受け取ると、腰のホルダーにしまった。
        顔の表情は変わらない。アイザックは肩をすくめながら苦笑交じりで笑っていた。



        ブレダたちがやってきたのはそのすぐ後だった。

        「今よりこの人と行動を共にします。これは大佐を助ける唯一の方法です。いいわね。」
        そう言いながら眼の前の男に敬礼をかざす。

        アイザックはにっこり笑いながら、よろしくと手を差し出した。
        ブレダ達は何が何だか解らない表情をしながらも、ホークアイがそう判断したなら、大佐を救えるなら、
        とアイザックに向け敬礼をかざした。     




        この日より、ホークアイを始めとする、ロイの直属の部下全員が姿を消した。




        To be continues.

     




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