緑色の恋心 3
家の中を隈なく探すが、鋼のも博士もどこにも居ない。
いや、鋼のはここに居るが…アルフォンスも居ないと言うのはおかしいな。
「大佐、この練成陣どうします?」
「消すなよ。完璧に写し取って調査する。」
絡んでくる蔦を取り除き、私は奥の練成陣の部屋に行く。
周りの調査を部下に任せ、私は写し取る事に専念した。
見た事のない式。陣。これが一体何を意味するのか…
何と練成したのか。どうやって構築したのか。
これを解読しないと、鋼のを救う事は出来ない…
時を忘れて書き写していると、ハボック少尉とホークアイ中尉が部屋にやってきた。
「大佐、大体の調査は終わりましたが…」
「了解。私はもう少しかかる。車一台残して先に引き上げていてくれ。」
「判りました。あまりご無理をなさらないで下さい。」
さっと敬礼をかざし、二人は部屋を出て行った。
窓の外を見ると、兵士達が帰り仕度を始めている。
小さくため息をつき、私は作業を再開した。
シュルシュルと言う音が背後で響いている。
エドが…私を探しているのか…?
「鋼の、私はここだ。心配するな。」
声をかけると、一本の蔦が部屋の中に入ってきた。
まるでエドがドアの向こうから様子を窺っているようだ。
「もう少しで書き写せる。ちょっと待ってろ。」
シュル…シュル…
一本だけの蔦が私のすぐ傍までやってくる。
靴に触れ、そのまま上に伝って来る。
腰周りを撫でながら、私の髪に絡みだした。
「こらこら、作業の邪魔だ。あっちに行ってなさい。」
くすっと笑いながら、じゃれてくる蔦を払いのける。
がしっ!!
「なっ!?」
いきなり蔦が私の手首に巻き付いてきた。
と同時に数本の蔦が私に向かって伸びてくる。
「鋼の!?何の真似だ?すぐに離しなさい。」
そう叫んでも一向に力を緩めず、次々と私に巻きついてくる。
そのまま凄い力で私を引きずり、自分のほうへと引き寄せていく。
「鋼の!止めないか!私はまだ仕事が残っているんだぞ!」
それでも止まらない蔦に、私は少し脅かすつもりで発火布の指に力を込めた。
だが、一瞬の隙を付かれて、蔦が発火布を切り裂いた。
そのまま私は四肢に巻きつかれ、宙吊り状態で中心の幹まで運ばれていった。
葉っぱがゆさゆさと揺れている。
まるで悪戯が成功した時の子供のようだ。
「鋼の。悪ふざけもいい加減にしろ。」
誰の為に苦労して書き写していると思っている。
諭すように話しても理解出来ているのか、葉っぱは揺れるだけで蔦の力を緩める気配は無い。
私は少し怒った口調で語りかけた。
「鋼の!離せ!元に戻りたいんだろ!?」
一瞬ぴくっと蔦の動きが止まるが、根元から更に蔦が増え、私の身体に巻きついてきた。
器用に袖口から服の中に進入すると、内側から軍服の上着を脱がし始めた。
「何を!?」
と叫ぶと同時に無数の蔦が茎の根元から発生し、それらが一斉に私目掛けて伸びてくる。
シャツもベルトも器用に外し、肌が外気に触れた時、私はこの展開に焦りを感じていた。
冗談じゃないぞ!このままじゃ私はこのキメラに犯される!?
だが四肢を空中で拘束されてはどうする事も出来ない。
もがいても空を切るだけ。逆に蔦後からが増して行く。
下腹部も剥ぎ取られ、蔦の一本が下着の中にまで進入してきた。
「ひっ!」
まるで蠢く触手のように、蔦が私自身に絡みつく。
他の蔦たちも体中を舐めまわす様に触れていく。
無数の人間の手で撫でられているようだ。
感じるポイントを知っているのか、胸や首筋を執拗に撫で回していた。
「ふっああ…」
成す術も無く、されるがままにされている自分。
一箇所だけではなく、同時に無数のポイントを攻められている。
陰茎にまとわりついた蔦は絶妙な動きをし、快楽を引き出していく。
擦り上げるだけではなく、もう一本の蔦が先端に絡みつき、裏筋を撫で回す。
「んぁあああ!」
空中で無数の蔦に弄ばれ、私は絶頂を迎えてしまった。
宙に飛び散る精液に私は羞恥心で一杯になるが、蔦の動きは止まる事を知らなかった。
いや…飛び散った私の精が更に蔦の動きを活発にしているかのようだった。
「鋼…の…もう…」
絶え絶えの息で訴えるが、キメラはゆさゆさと葉を揺らすだけで蔦は止まる事は無かった。
数本の蔦がお互いに絡み合い、少し太めの蔦が出来上がる。
それが真っ直ぐに私の目の前に伸びてきて、私の髪に絡みつく。
たいさ…たいさ…
頭の中でその言葉が響いてくる。
鋼の…君は私をこんな風にしたかったのか…?
樹液を流しながら、私の頬に触れていく。
粘っこい感覚が頬を伝い、そのまま首筋から胸へと降りていく。
私の反応を楽しむかのように胸の突起を丹念に弄ぶ。
腹筋を触り、腰骨に絡みつき…
そして再び頭を持ち上げ悦んでいる私自身に絡みつく。
「あんん…」
シュルッと一回擦り上げたあと、蔦はそこから離れていった。
「…鋼の…?」
じれったい感覚が身体中を襲う。
一回出したとはいえ、あれじゃ満足するはずが…
そう思った私が愚かだった。
足に絡んでいた蔦が、左右に広がり私の足を大きく開かせる。
無数の蔦が後孔に集い、樹液を擦り付けてきた。
「やっああ、鋼の!駄目…だ…」
首を振って抵抗するがどうにもならない。
無数の蔦が絡み合って出来た、キメラの陰茎。
それが私の後孔目掛けて突き進む。
「ひっああああ!!」
何とも言い様のない感覚が私の身体の中を駆け巡っていく。
勿論、初めてではない。
出世のために何度となくこの身体を利用してきた。
満足な場合もあったし、不快で終わった時もあった。
だが…今まで経験して来たものとは比べ物にならない快楽が、私を襲ってきた。
人間外の物に犯される。
その意識が更に快楽をましているのか…
いや…
鋼のに抱かれている…
それがこんなにも私の心を満たしていくのか…
ジュッ、ジュッと音を立てて、私の中を犯していく。
最奥のポイントを突き上げ、私が喘ぎ声を上げると、悦んでいるように動きを早めていった。
他の蔦達も、私を攻めるのを忘れない。
胸を弄り、陰茎に絡みつき、私の唇に触れてくる。
「あっ…エド…」
蔦の樹液をそっと舐めとると、甘い味がした。
お前の味だ…エドワード…
キメラの陰茎の動きが更に早まり、私の身体もずっと痙攣し続けていた。
「あっ、あっ!」
大きく仰け反り、二度目の絶頂を迎えていく。
蔦がすっと動き出し、私を葉っぱの方へと引き寄せる。
キメラの陰茎がぐぐっと奥へと突き上げる。
「あああ!!!」
ドピュッと飛び散る精液が、キメラの葉っぱに降り注がれていく。
葉っぱは激しく揺れ、飛び散った精液を蔦がすべて掬い取る。
「ハァハァ…鋼の…」
ぐったりする私をじっと見つめるように、キメラは葉っぱを揺らし続ける。
蔦がゆっくりと私を下ろし、そして開放した。
力なく崩れ落ちる私を労う様に、蔦が髪に絡みつく。
「全く…私はまだ仕事があるのだぞ?」
気だるい腰を摩りながら、絡んでくる蔦に手を伸ばした。
指先に巻きつき、そして離れていく。
すべての蔦が幹の中に納まると、葉は揺れるのを止め、大人しくなった。
身体中に樹液がまとわりつき、少し気持ち悪い。
半分脱ぎかけだったズボンと下着をすべて脱ぎ捨て、私は辺りを見回した。
研究所と言えど住居も兼ねていたんだから、シャワーぐらいあるだろう…
いくつか部屋を行くと、奥にシャワー室を発見。
お湯が使える事を確認すると、服を脱ぎシャワーを浴びた。
水音が響き、外で何が起きているのか判らない。
身体中の樹液と汗を軽く洗い流すと、早々に切り上げシャワー室を後にする。
傍にあったバスローブ。博士の物だろうか…ちょっと拝借させて貰おう。
再び練成陣を写し取る為に部屋に向かおうとした時、人の話し声が聞こえてきた。
誰だ…?部下達は皆帰ったはず…
まさか博士が!?
身を隠しながら話し声のする方へと移動していく。
そっと窺うと、青い軍服が眼に入ってきた。
「軍か!?でも何で…」
皆帰る様に言ったのに…
思考を駆け巡らせていると、聞き覚えのある嫌なしわがれ声が耳に入ってきた。
「探せ!ルカー博士とその研究資料を必ず探し出せ!」
「はっ!グラン准将閣下!」
中央から派遣されたであろう…最悪の上官がやってきたのだった。
グラン准将があのキメラを見たら…
私は焦る気持ちを抑えながら鋼のが居る部屋へと急いで向かった。
To be continues.