瀬人様総受け物語9〜海馬邸(剛三郎)編〜
















深い眠りについている筈なのに…



俺の身体はまるで泥の中に沈んでいくように重かった。

何だ…この感じ…

まるで誰かに圧し掛かられているようだ…

それは気のせいではない。

誰かがいる!?

俺の上に誰かがいる!

俺はそいつを押しのけようと身体を動かした。



「!?」

身体が動かない!?

声も出せない!何故だ…?

「うぅ…う…」

唸る様な声でその誰かを牽制するが全く動じず、それは俺の身体に触れてくる。

「んっん…」

真っ暗な部屋の中で必死にもがいても身体は動かず、その誰かがするすると俺の布団を剥いでいった。



「ひっ!」

冷たい手が下腹部に触れていく。



何だ…?この感覚…

この手の感覚には覚えがある…まさか…



まさか…そんな!ありえない!

ありえる筈など無いのだ…













『瀬人…久しぶりだ…相変わらずいい顔をしておる…』

俺の上に剛三郎の顔がぬっと現れ、にやっと笑いかけた。

「う、そだ!あんたは死んだ筈だ!」

『そう…わしは死んだ…だがお前は今でも忘れていないようだな…』

わしが教えた甘美な夜の事を。

そう耳元で、あいつの声で囁くと、剛三郎は俺の身体を愛撫していく。

首筋、胸、腹、そして…

『ほら、もう紅く染まり始めた。淫乱な身体だ。お前は。』

わざと中心を外し、太腿へと舌を這わせていく。

その刺激は絶妙で、俺自身はその感情とは裏腹にぐっと頭を持ち上げていた。

「やっあ…」

『触って欲しいのか…?ではいつもの様に懇願しろ。』

俺の脳裏に、毎晩言わされ続けた言葉が過ぎる。

その度に屈辱を味わい、やつへの殺意を膨らませていった言葉…



「くっ…」

『ほら…早く言わんか。でなければいつまでもこのままだぞ…?』

足の付け根の辺りを丹念に舐め、だが一番刺激を欲しがる箇所には一切触れない。



舌捌きが絶妙な為、それは暴力よりも酷い虐待だ。

俺の理性は徐々に奪われ…そして従順な奴隷へと化していく。



「と…うさん…お願い…です…して…下さい…」

『何をだ…?』

「…っ、舐めて…下さい…」

『何処をだ。ちゃんと言わないと判らんぞ?』



俺は目をぎゅっとつぶり、拳を握り締め唇を噛み締める。

その間も剛三郎は俺の太腿や胸を愛撫するのを怠らない。

だが自身への刺激は一切なし。俺が自分で触る事も許されない。



そう、ちゃんと言わなければこのままずっと焦らされて両手両足もも拘束され決してイかせてはくれないのだ。



「俺の…ペニ○を…舐めてイかせて下さい!父さん!

」

最後はいつも悲鳴に近かった…



剛三郎はにやっと笑い、俺の両足をぐっと大きく開かせた。

『いい子だ…瀬人。今夜もちゃんと言えたな。』



これが毎晩味わっていた屈辱の、始まりの儀式だった…













剛三郎が俺の両足を開き、快楽を待ちわびている俺自身にそっと触れてくる。

散々焦らされてるから、すぐにでも強い刺激が欲しいのに、爪の先で触れるか触れないかの感覚でなぞっていく。

俺は開放を求めていつも泣きながら懇願していた。

「はっああ…もっと…ちゃんと触って…」

『そうだ、瀬人。素直な事はいい事だな。』

わしに逆らう事なぞ許されぬ事なのだよ。

そうほくそ笑みながら剛三郎は俺自身を舌先で突く。

それだけでイってしまいそうなくらい俺はもう限界だった。

「ああ…ああっあ…」

『何だ、一舐めで達してしまう程淫乱な身体なのか?お前は。』

以前より更に淫猥度が増してないか?

くすくす笑いながらすっぽり咥え込むと、その巧みな舌業で俺自身を吸い上げた。



「うっああ!!!」



堪らない…自己嫌悪…

いつもそうだった…

嫌で嫌で仕方がないのに、身体はその快楽を覚え、従順に反応していく。

それが俺にどんなに屈辱を与えていた事か…



『薄いな…どこかで出して来たのか…ああ、そういえば風呂に入っていたな。』

「……」

『モクバとヤっていたのか?実の弟だぞ?お前は本当に際限無い娼婦だな。』

言葉で攻め立て…身体に覚えこませ…

俺のプライドを粉々にしていく。

毎晩行われていた悪夢。

それはもう終わった筈だ…



『後ろを向いて四つん這いになれ、瀬人。犬の様にわしに媚びろ。』

気だるい身体を起こし、言われるままに後ろを向く。

シーツを握り締め、これから来る衝撃に耐える。



ぐっと腰を掴まれ、俺は歯を食いしばった…











ぐっと引き寄せられ、熱い塊を押し付けられる。

まるでメキメキと音を立てている様に、異物は進入されていく。

その大きさも形も、身体が覚えてた。



「うぁああ…」

「相変わらずいい締め具合だな。」

ゆっくりと奥へと進んで行き、根元まですっぽり咥え込ませると、またずるずると引き抜かれていく。

先端まで出した時、剛三郎は俺の背中に体重をかけていく。



「変わらんな。お前の中は。熱くて、厭らしく蠢いて男を誘う。」

そして一気に奥へと突き入れた。

「ひあああ!!」

「わしが死んでからもこの身体を使って事業を進めたのか?」

「んっあ!そん…な事…」

「この身体を使えば、取引など一発で成功するだろう。」

かつてわしがやっていたように。

くくく、と蔑むように笑いながら、奴の腰は動きを早めていく。

腰を振り、角度を変え、その快楽を高めていく。

俺の足腰はもうがたがたで、膝立ちですら困難だった。

「あっあっ、もう…」

「イきたいか。だがまだ駄目だ。わしが頂点に達してないぞ。」

初老の剛三郎はイくのが遅い。

その間俺は必死に我慢しなければいけなかった。

もし先にイってしまったりしたら…











「い、やあ!」

『悪い子だ。タイミングを外すなとあれほど言い聞かせておったのに。』

俺の肩を掴み、仰向けにさせる。

まだ繋がったままのそれが、俺の中でぐるりと回転する。

「ひっ!」

『何だ…まだ足りないか…?』

蔑む言葉は止まる事無く、俺のプライドを粉々にしていく。

ぐったりしている俺の身体を押さえ、快楽でまだ揺れている俺自身にそっと手を添えた。



『堪え性のないここは縛っておかないとな。』

そう言って剛三郎は拘束専用のベルトを取り出し、俺のそこにはめ込んだ。

ゴム製のそれが根元を縛り、これにより俺はイく事が出来なくなる。

そして、剛三郎による責め苦が朝まで永遠に続くんだ…



奴のテクニックにより燃え上がった身体は開放を求め肥大する。

だが奴はけして俺をイかせてはくれない。

最後は苦痛だけが残り、俺は解放されるなら奴のどんな命令でも受け入れる。

そうやって…奴は俺を支配してきたんだ…



だがそれを俺自身で終止符を打った筈…

剛三郎を社長の座から追い出し、奴は俺の眼の前で身を投げたはず。



ではここに居る者は誰だ?

剛三郎の怨念か?











こいつは誰だ?亡霊か?

ではこの質感は何だ…?快楽は…?

何より俺と剛三郎の情事を何故ここまで詳しく知っている…?



「貴…様!誰…だ」

『何を言っておる。海馬剛三郎だ。お前の義父の…』



その言葉を聴き、俺は剛三郎と名乗り男の胸を思いっきり押しのけた。

その勢いで、ずるりと剛三郎自身が俺の中から引き出される。



その感触に顔をしかめながらも、俺は目の前の男をにらみつけた。



「貴様!誰だ!剛三郎じゃないな!」

『何を言っておる瀬人。聞き分けのない子は躾し直すぞ?』

「剛三郎は、一度も己の事を義父だと言った事はない!」

そう…あいつはいつもこう言っていた。

お前の支配者だと。

気だるい下半身に鞭を打ち、俺は剛三郎の下から這いずる様に退いた。



剛三郎は苦笑を浮かべながら俺を見ている。



「参ったな…そこまでは覗けなかった。」



剛三郎の身体には合わない、若々しい声。

この声…どこかで聞いた事が…








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