瀬人様総受け物語3〜車内(磯野)編〜
「こちらです!瀬人様」
「磯野!助かった!」
俺はエレベーターを降り、駐車場に泊めてあるリムジンに乗り込んだ。
運転手もすぐにやって来て車は海馬コーポレーションを離れていく。
「どちらに向かいますか?瀬人様。」
「そうだな…」
逃げる事だけを考えていたから、何処に行くか決めていなかった。
仕事の予定もないし。困ったな。
「久しぶりに海馬ランドでも行きませんか?瀬人様。」
海馬ランド…?
そうだな…久々にデュエルマシーンのチェックをするか。
「よし、海馬ランドへ向かえ。」
「はい、瀬人様。」
運転手が方向を変え、海馬ランドへと向かう。
俺は一息つき、窓の外を見ていた。
疲れたな…仕事もそうだが、何と言っても社長室での出来事だ。
モクバも遊戯もペガサスもどうかしてる!!
今日は全く変な日だ。
「瀬人様…?」
磯野の声が遠くなる…何だ…睡魔が襲って…き…
俺はそのまま磯野の肩に身を委ねる様に転寝をしてしまっていた。
瀬人様が自分に寄りかかって眠っている!?!?
何と言う事だ!と言うより、何て美味しいシチュエーションだ!
初めてお傍に仕える様になった時、その気高さ、美しさに自分は一瞬で魅了されましたっ!
だがしかし!所詮は主人と従事の身。触れる事など決して叶わず。
それでもお傍に居られるだけでも幸せでありましたっ!
今…自分の肩に頭を乗せて眠っておられる…
この胸の高鳴りが瀬人様に聞こえてしまうのではないだろうか…
「瀬人様…」
自分は初めてお会いした時からあなたの事を…
自分は瀬人様がリラックス出来る様にシートを倒し、そこに寄りかからせた。
「う…ん…」
瀬人様が寝返りをうつ。その仕草に自分の理性が吹き飛びそうです。
リムジンは全窓スモークガラス。運転席からもスイッチを入れればカーテンが張られ、見えなくなる。
「や…だ…」「瀬人様!?」
夢を見ておられるのだろうか。顔が僅かに歪み、唇が半開きに開いている。
「瀬人…さま…」
自分は瀬人様の唇を震える指で触れてみた。
柔らかく、しっとりとした感触に、自分の理性は完全にぶちきれました。
「瀬人様。」
自分は瀬人様をシートに寝かせ、もう一度その濡れた唇に触れてみる。
「ん…遊…戯…」
自分を武藤遊戯と間違えておられるのか…
無抵抗なその寝顔に自分の顔を近づける。
吐息が唇に当たり、心臓の高鳴りは最高潮に達していた。
「瀬人様…失礼します…」
瀬人様の唇にそっと自分のそれを触れさせた。
直接伝わるその柔らかい感触…あぁ、生きてて良かった…
陶器の様な白い肌がほんのり紅くなっている。
「う…ん…」
寝返りを打とうとする瀬人様を両手で支え、自分はその上に覆いかぶさる様にシートに乗り上げた。
「ん…?遊戯…?」
「瀬人様…自分は…」
「………?」
うっすらと眼を開ける瀬人様の瞳に、自分が映し出された。
「い、磯野!?何を!」
「瀬人様!」
自分は瀬人様の両手を掴んで、そのまま無理やり唇を塞いだ。
両目をカット開けて驚く瀬人様を尻目に深いディープキスへと進めていく。
両足をばたつかせ、逃れようとするのを強い力で押さえ込む。
舌を絡め合わせ、散々中を味わった後、自分は瀬人様の口を開放した。
「ハァハァ…貴様…」
「せ、瀬人様…」
怒りに満ちた瀬人様の表情を見て、自分はすっかり我に返りました…
俺の舌を散々弄んで、磯野は俺を解放した。
「磯野!貴様!」
「瀬人様…」
ギリッと睨みつけても磯野の表情は変わらない。
社長室での出来事がまだ尾を引いているのか…
今のキスで俺の身体が火照っているのが判る。
「瀬人様、お辛いのでは?」
そう言いながら磯野が俺に近づいてきた。
「来るな!貴様!今お前が俺にした事、わかっているのか!?」
「もう覚悟は出来ています、瀬人様。」
自分は…あなたの事をお慕いしておりました。
今ここで解雇を宣言されても致し方ありません。
ですが、これだけは忘れないで下さい。
「自分は…命に代えてもあなた様を守ります。」
磯野の手が俺の頬に触れてくる。
剛三郎が生きていた時から俺を支え、助けてくれた磯野…
ゆっくりとシートに倒されても俺は身動き出来なかった。
「ッ…磯野…」
「楽にして下さい、瀬人様。」
最後までいく事は致しません。少しだけ、楽にしてさし上げるだけ…
磯野は俺を横にすると、そっと唇を合わせてきた。
俺はそれを拒む事無く受け入れる。差し出された舌も自ら招きいれた。
「んっ…」
俺は磯野の首に右手を回す。磯野が俺の左手を押さえ、指を絡ませている。
車のシートはぎしぎしと音を立て、俺の耳から犯されているようだ。
「んっああ…」
磯野の手が俺自身を布越しに刺激している…
社長室での出来事と…磯野のキスと…そしてこの密室での出来事と…
俺の思考は完全に麻痺状態だ。
遊戯が知ったらどんな目に合わされるかな…
そう思った瞬間、俺は全ての思考がクリアーになり、上に圧し掛かっていた磯野を跳ね飛ばしていた。
「せ、瀬人様…?」
「ゴメン…やっぱり俺は…」
キキッ!!!
車が急ブレーキをして止まった。何だ??
「どうした!」
「も、申し訳ありません、人がいきなり飛び出してきて・・・」
「引いたのか?!」
「は、はい…」
何てこった!どうしてこうトラブルが立て続けに…
「大丈夫か!?」
俺は慌ててリムジンのドアを開けた。
「いてて…ちゃんと前見て運転してんのかよ!」
……また会いたくもない奴と遭遇してしまったか…
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