瀬人様総受け物語4〜車内(城之内)編〜
「てめっ!やっぱり海馬の車か!」
凄い形相で睨みつけるのは凡骨城之内だ。
見た目はたいした傷ではなさそうだが…
「フン、ぼぅっと歩いている貴様の方が悪い。」
「何だと!?事故起こしておいてよくそんな事言えるな!貴様!」
城之内が俺の襟首を掴んで食って掛かってきた。
相変わらずの直球野郎だ。
「どこか怪我をしているのか?」
「お…?あ、寸前でかわしたから別に。」
「ではこれで以上だ。」
襟を掴んでいた奴の手を引き剥がし、軽く突き飛ばす。
その行為にカチンと来たのか、城之内が車に乗ろうとする俺の腕を再び掴んできた。
「何だ、俺は今忙しいんだ。」
「怪我してないからってそれで終わりって事はねぇだろう!お蔭でバイトに遅刻だぜ!責任取れよ!」
「ギリギリの時間に行こうとする貴様が悪いのだ。」
「仕方ねぇだろ!俺ら貧乏学生は貴様と違ってやる事がいっぱいあるんだ!」
ふん、大企業の社長だって息つく暇もないくらいやる事はいっぱいあるわ!
「凡骨デュエリストに構っている暇はない。離せ!」
「やだね!こうなったらバイト先まで送ってもらうぜ!で、店長にてめぇから説明しろ!」
事故って遅刻してしまいました、申し訳ありませんでしたってな!
そう息巻いて城之内は俺を押し退け、リムジンに乗り込んでしまった。
ま、磯野とやばい雰囲気だったからこいつがいれば気が紛れるだろう。
…そう考えた俺が馬鹿だった…
図々しくリムジンの真ん中に座る城之内の横で、不意に磯野が席を立った。
「磯野?どうした。何処に行く?」
「あ、自分は前の助手席に移ります…」
少し赤ら顔の磯野。流石に気まずいと感じたのか、早々に前の席に移ってしまった。
後部座席に俺と城之内の二人。
ま、こいつの肝っ玉じゃ遊戯やペガサスの様な事はないだろう。
「…何処だ…」
「は?」
「だから!貴様のバイト先は何処だと聞いているんだ。」
運転手が何処に行っていいのか困っている。さっさと行き先を教えろ!
城之内はきょとんとした顔で俺を見つめている。何だというのだ?
「へぇ〜!俺のバイト先に行ってくれるんだ。」
「そう言ったのは貴様だろうが!」
「海馬の事だ。磯野に命じて俺を叩き出すのかと思ったぜ。」
ニヤニヤ笑いながら背もたれに気持ち良さそうにもたれかかっている。
そうか…そうすればよかったのか…
「俺のバイト先は海馬ランド内だ。頼むぜ!」
まるでこの車の主の様に寛ぐ城之内に、俺は深い溜め息をついて隣に席を下ろした。
「海馬ランドへ向かえ。」
運転手にそう告げると、俺は眼を閉じ無視を決めた。
城之内の視線を感じる。
クソッ!何をじろじろ見て…
「海馬の肌って…すんげぇ綺麗だな…」
こんなに間近で見るの初めてだ。
すっとやつの手が俺の頬目掛けて伸びてきた。
あまりに突然の事だったので俺はその手を叩き落とす事を忘れてしまっていた・・・
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「・・・っと」
突然城之内が手を止めた。
それで俺も我に返る。
「何だ」
「いや、これで触ったら絶対はたかれるなーって」
「・・・わかってるじゃないか」
・・・うっかりぼーっとしていたことはこの際なかったことにする。
だいたい男が男に綺麗という言葉を使うこと自体おかしいだろう。
そう言いかけて距離を置こうとした瞬間。
「だから」
「?」
「見るだけな」
ずい、っと城之内の顔がアップになった。
「・・・っ近いわ凡骨!」
「だって触ったら怒るだろ?」
「当たり前だ」
・・・だからといって触らなければいいというものでもないだろう。
けれど息もかかる近さで見つめられて、つい言葉を飲みこんだ。
しげしげと覗きこむ鳶色の瞳。
「・・・やっぱすげー綺麗」
「・・・」
「眼とか本当青いんだな」
「・・・いちいち口に出さないと考えられんのか」
「いいじゃん、こんな機会ないし、ほらアレだ、率直な感想ってやつだよ」
・・・つきとばしてやろうか。
そう思った矢先、カーブのせいだろうか、突然車がつよく揺れた。
「おっと!」「うわっ!」
カーブに揺れた車の勢いで、俺と城之内の身体はバランスを崩し、そのままシートに倒れこむ。
城之内の顔がさっきよりも増して俺の目の前に近づいてきた。
「あ…わりぃ…」「そう思うなら退け!」
俺は上に圧し掛かった城之内を押し退けようと腕に力を入れる。
その腕を手首から掴まれシートに再び押し付けられた。
「おい!貴様何をしている!」
「…どうしよう…何かすっごく興奮してんだけど…」
馬鹿な事言ってないでさっさと退け!
そう言って腰を動かした時、城之内の腰が俺に当たる。
…こいつっ!
「ごめん、起っちゃった。」
さらりと恥ずかしい言葉を平気で言ってのけるのは教育がなっていないのか。
それとも素直なだけか…
「…とりあえず…キスしていい…?」
俺が拒む前に奴の唇が俺のそれを塞いだ。
「んっ!!!」
触れるだけのキスかと思ったら、こいつ、しっかり舌を入れてきやがった。
「あめ〜な…お前の口ん中…」
ぺろりと俺の唇を舐めると、そのまま俺の足を割って入り、シートに完全に押し倒された。
「止めろ!こんな所で盛るな!」
「お前が悪いんだぜ?海馬…」
訳の判らん事を言いながら城之内は暴れる俺の腕を片手で押さえにかかる。
「何言ってる!俺はそんな気などないぞ!」
「お前が俺を誘うのが悪い。そんな色っぽい顔するなんてさ。」
遊戯が嵌っていくのが良く判るぜ。
そう俺の耳元で囁くと自由になった右手を俺の下腹部の方に伸ばした。
「ッあ…」
「ほら、準備万端じゃん」
ちっ、磯野との事がまだ治まっていなかったのか…
敏感になってる俺の身体を、奴の手が触りまくる。
「はっあ…」
「我慢出来ない…海馬。」
ジジッと何かの音がする。
下腹部に冷たい空気が当たる感触…
「ふぁああ…」
「擦り合わせるだけだから…さ、」
それなら浮気にならねーだろ?
既に大きく肥大した城之内のと俺のが擦りあわされる。
その快感に俺は思わず声を上げてしまった。
いい……と…
車内は異様な雰囲気に包まれている。
運転席とこちら側にはガラスとカーテンで仕切られていて、
マイクで話さない限りこちらの声は向こうには聞こえない。
仕切りはシート横にあるリモコンで操作する。勿論、こちらにのみある。
そう…今ここは完全に密室…
「はっああ…んん…」
「ハッハッ…たまんねーぜ、海馬。」
お前のその色っぽい表情。絶対俺の事誘ってるだろ?
そう言うと、城之内は俺のズボンを脱がしにかかった。
「や、めろ!最後まではしないと…」
「あ〜もうダメ。遊戯には悪いがもう止まんねぇ〜」
暴れる俺の腕や身体をしっかり押さえつける。
奴の何処にこんな力があるんだ?
「慣らす必要はなさそうだな。」
クスッと笑いながら俺の中に指を入れている。
出し入れする度にクチュクチュと音を立てていた。
あぁ…遊戯のがまだ残ってたんだけ…
やけに冷静な俺の思考とは逆に、さっきから散々焦らされていた俺の体は、与えられる快楽に素直だった。
「行くぜ、海馬。」
城之内がゆっくりと前進する。
俺はそれを誘い込む様に受け入れた。
「いっああああ!」
「あっあ…いい!すげ〜お前の中気持ちいい!」
恍惚とした表情で抽出を繰り返す城之内に、俺は何故だか素直に反応していった…
「ウッああ…」
甲高い声を上げて、城之内は俺の中で果てる。
何て奴だ。自分だけやるだけやって一人でイッてしまうとは。
「終わったのなら退け!」
「もう少し余韻を楽しませろよ。」
言葉は余裕がありそうだったが、顔は切羽詰っている。
「…お前…初めてだったのか?」
「うるせーな!てめぇと違って貧乏学生は忙しいと言っただろ?」
成る程。色恋沙汰をしている暇があったらバイトに明け暮れる、と言う訳か。
「でも、初めて抱いたのがお前じゃな。」
その言葉に俺のプライドがピシッと唸る。
俺はぐっと身体を起こし、奴を逆にシートに押し付けた。
「な、にすんだよ!」
「ふん、ネンネの貴様に本当の快楽を教えてやる。」
シートに座る様な形になった城之内に、俺は上から腰を下ろしていく。
充分湿っている後孔に、まだ勢いが衰えていない奴自身を宛がった。
「やっ、ちょっと待てよ海馬!」
「我慢できないのだろう?」
そのまま腰を下ろし、奴自身をすっぽりと咥え込む。
全てを納めた時、俺は勝ち誇った様に城之内の頬をそっと撫でた。
「始めるぞ。」
否応無しに身体が覚えてしまった快楽を、貴様に教えてやる。
ズン、と腰を動かすと、城之内の表情が見る見る歪んでいく。
ギリギリまで腰を浮かせ、そしてまた降ろしていく。
角度を変えながらその行為を繰り返すと、
耐えられなくなったのか俺の胸にしがみ付いてきた。
「うっあ…たまんねぇ…」
夢中で胸に舌を這わせ、俺の腰をぐっと引き寄せる。
そのまま腰を掴んでグン、と奥まで突き上げた。
「あっ…」
「あ、いいね、今の声。成る程、ここがいいんだ。」
だんだん要領を得てきたのか、城之内も自分で動き出し始めた。
「はあっ…んん…」
「いいっ…さっきより…全然違うぜ、海馬。」
そりゃそうだろう。
さっきは自分ひとりで満足していた。
お互いが満足し合わなければそれはただの凌辱に過ぎない。
それは俺のプライドが許さないし…
もうそんな目には二度と合いたくなかった。
俺が満足すればいいと言うものではないが。
少なくともこいつだけ満足して終わり、と言う結果は許せなかった。
「んっんっ…」
「お前のそんな表情見れるなんてな。」
欲情に濡れたその顔、凄く綺麗だぜ…
俺の声をもっと聞きたいとばかりに奴の動きが早くなっていった。
突然城之内が俺の腰をひょいと持ち上げ、そのままうつ伏せにひっくり返した。
「何を!」
「何をって…SEX。」
淡々と答えながら、再び俺の中に進入してきた。
だがさっきとは違う。
明らかに余裕のある感覚。
「俺もそうだが、お前も気持ちよくさせてやるから。」
そう言って動きを始めると、左手を俺自身に伸ばしてくる。
「んあッ…」
「ゴメンな。さっきは俺ばっかり気持ち良くなってたぜ。」
「馬鹿な…事を…」
城之内の手付きが絶妙で思考が徐々に麻痺していく。
俺の中でも奴自身が肥大していき、中で擦れて刺激を与える。
「あっあ…城之…内…」
「初めて名前で呼んだな。」
何時もは凡骨とか、負け犬とかだったのに。
ぐんと奥まで突き上げながら、俺の髪をそっと撫でる。
あぁ…遊戯もよくそんな仕草で俺の髪を触っていたな…
「はぁあああ!!」
「っああっ」
ほぼ同時に声をあげ、城之内は俺の中に、俺は奴の手の中に白濁の液を吐き出した。
「ハァハァハァ…」
「…すげ〜良かった…」
ロスト童貞記念になるぜ…
達した余韻を楽しむかの様に俺の中でくちゅりと動く。
そしてズルリと抜き去ると、力尽き、ぐったりとソファーに座り込んでいた。
「あ〜もうダメ。腰がたたねぇ。」
「ふん、初心者の貴様には刺激が強すぎたようだな。」
あくまでも強気な俺の態度に、城之内はふっと笑って衣服を整えていった。
「やっぱ海馬はこうでなきゃな。俺には高嶺の花だ。」
「当たり前だ。俺はそんなには安くはない。」
何事も無かったかのように車中は平穏に包まれていく。
キキーッ
ブレーキの音がして、スピーカーから運転手の声が響いた。
「瀬人様、海馬ランドに到着しました。」
止まった車のドアを奴が静かに開ける。
「城之内…」
「バイトに遅れちゃまずいからな、ここで降りるぜ。」
降りようとした瞬間、奴がくるりと向きを変え、俺の首をぐっと引き寄せた。
「んっ!?」
「こんな機会もう二度とないだろうからな。」
にやっと笑いながら俺の額をパシッと叩き、奴は車を降りていった。
一度だけ振り返り…
そのまま海馬ランドの総合案内所へと消えていった。
何のバイトをしているのだろう。
…俺には関係ない事だな。
「瀬人様…?」
「何でもない。デュエルマシーンの調整に行こうか。」
磯野を連れ立って、俺は海馬ランド内にあるデュエルマシーンへと向かう。
ランドの支配人が出てきて色々おべっかを言ってきたが全て無視。
俺は今貴様らの話を聞く気分ではない。
「調整は俺一人でやる。誰も入ってくるな。」
そう言ってデュエルマシーンの部屋に鍵をかける。
久しぶりだ…
俺は鞄に詰めたレアカードを取り出す。
まずは正常にカード情報を読み取るかどうか調べないと。
「最初のカードはこれか。」
俺は持ってきたカードを次々と設置する。
そして俺にとって最も大切なカードをマシンに設置した。
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