絶頂へと達し、意識を飛ばした の顔を、跡部は彼女に覆いかぶさった状態で見下ろしていた。
彼女の両の目尻には、涙の筋。
跡部はそんな の右の目尻に唇を寄せて涙を吸い取ってやる。
そんな事をしても、彼女の瞳からは涙が後から後から零れ落ちていた。

跡部は、の唇に軽く口付けると、彼女の身に残る衣服を剥ぎ取りにかかる。
引き裂いてしまったブラウスも、無理やり押し上げた下着も、スカートも。
彼女を一糸纏わぬ姿にしてしまう。
更に、それが終わると、跡部は自分もその身にまとう全てのものを脱ぎ去った。
彼女も自分も、生まれたままの姿。

そして跡部は、再び覆いかぶさり、右手で彼女の左足を押し開く。
跡部の左手は、の腰に回っており、いつでも彼女を手に入れる事が出来る。
その時、が小さくうめき声を上げて、意識を取り戻した。
涙に濡れた瞳が開かれたその瞬間。
跡部は興奮に立ち上がり、膨れ上がった己を、の中心へと突き入れたのだった。

「あぁぁぁぁぁぁっ!」
意識を取り戻した瞬間、下腹部に掛かる圧迫感と引き裂かれるような痛みに、は悲鳴をあげて仰け反った。
自分の中に、自分ではないものが入ってきている。
それが、痛みと共に生々しく感じられた。
「やめ……て…ぇ……」
痛みと息苦しさに息も絶え絶えになり、はそう跡部に懇願する。
けれど、跡部がそれに答えるはずも無く。
「もう、遅ぇよ……」
跡部のその言葉の通り、の中は彼によって埋め尽くされていた。

の中へとその全てを埋め込んだ跡部は、彼女の唇を己の唇で塞いで貪り始める。
「ん…ふぅ…く……」
その口付けに気をとられていると、跡部はの左足に添えていた右手を、彼女の中心にある真珠へ手を伸ばした。
「んんぅっ!」
再び、先ほど絶頂へと導かれた時と同じ衝撃が、の背筋に走る。
けれど、唇は跡部にふさがれたままである為に、くぐもった喘ぎ声しか出ない。
跡部の指先が、の真珠を弄るたび、彼女の体はビクビクと震える。
そして、跡部の唇でふさがれたままの口端から、くぐもった声が零れ落ちるのだ。

不意に、跡部の唇がから離れる。
それと同時に、跡部は自分の腰を動かし始めた。
「ひぃっ」
驚きに目を見開き、は跡部の肩を両の手で突っ撥ねるが、完全に繋がりあったこの状態で、彼を自分から引き離す事など、できようはずもない。
跡部は、の真珠を指先で弄りつつ、腰を動かして彼女の中を犯す。
暫くすると、その二つの刺激はにとって酷く甘美なものに変わってきた。
破瓜の痛みを忘れさせてしまうほどの……。
「はんっ…ぁん…あ……ぁあ」
跡部から与えられるそれらは、もはや快楽。
幼く未熟な彼女の精神は、快楽に囚われてしまったのだ。
ただ、ひたすら、彼に与えられる快楽に身もだえ喘ぐ。
「気持ち…いいか?」
跡部がの耳元で囁く。
「ん…あ…っ、いいっ……。気持ち……いっ…はぁっ」
その言葉が、はしたない事であると、まともな精神であったなら思ったであろう。
けれど、そんな事など、はもう考えられない。
跡部に与えられる快楽に身を委ねて……。
そんな彼女を見て、跡部は口端を釣り上げて笑む。
「俺もだ……。お前の中は最高に気持ちいい……」
そう言葉を紡ぐと、跡部はの真珠を弄る手を更に激しく動かし、更に腰の動きも早める。
跡部の激しい動きが、更なる快楽を呼ぶ。
に限界がすぐそこまで近づいていた。
しかしそれは、跡部とて同じ事。
彼の息遣いも荒くなり、時折小さく喘ぐ事すらある。
「いやあぁっん、あっあっあっっ」
「はぁっ…く…ぁっ」
二つの声色の違う嬌声と、いやらしい水音、肉と肉のぶつかり合う音、それらによってベッドルームは支配された。

それから間もなく、はひときわ甲高い声を上げて体を仰け反らせ、二度目の絶頂を迎える。
彼女の絶頂と同時に、跡部もまた絶頂へと達し、の中に己の欲望を注ぎ込んだ。
は朦朧とする意識の中で、跡部の呟きを聞いた。

「愛してる……」

そんな言葉を呟いたような……。
けれど、それは幻聴だとは思った。
彼が彼を騙した自分を今でも愛しているなどと、思えなかったからだ。
そしての意識は、ゆっくりと遠ざかってゆくのだった。
 

 

二度目の絶頂で意識を飛ばしたから自身を抜き出した跡部は、彼女の隣にゴロリと体を横にした。
そして気絶したの顔を、横目で見やる。
跡部が絶頂を迎えた直後に向けたあの言葉は、彼女にちゃんと届いていただろうか?
それは跡部の偽りのない想いだった。

彼女の告白が、偽りのないものだと知ったあの時。
跡部は彼女が何故 金を必要としているのかを瞬時に悟った。
あまりに、簡単すぎる答えだったからだ。
以前に彼女が大切な存在だと言った、の為…と……。
白血病治療には、莫大な金が掛かる事を、跡部は知っていた。
その治療費を必要として、彼女が夫妻の話に頷いた……。
それは、彼女の人となりを知っていれば簡単に思いつく図式だ。
そして、更に跡部には、もう一つ別の図式が脳裏に浮かんでいた。
彼女の今後の行動についてのものを…。
真っ直ぐな心の持ち主である彼女は、自分の行った行為を悔いている。
彼女が苦しそうに暮らした日々の理由も、そこにあったのだろうと跡部は思った。
だから、彼女は跡部から離れてゆくだろう。
罪悪感に苛まれて、彼女は跡部の目の前から姿を消してしまう。
これもやはり、彼女の人となりを知っていれば簡単に思いつく事だった。

彼女が、自分の目の前からいなくなる。
もう二度と、彼女を抱きしめる事もかなわなくなる。
そんな事が、あっていいはずがない。
跡部は、彼女を心から愛していた。
しかし、彼女がだから愛していたわけではない。
名を偽り、立場を偽って跡部の前にいた彼女。
けれど、彼女は本来の自分を偽ってなどいなかった。
真っ直ぐで、初心で、泣き虫なくせに気が強くて。
跡部に見せていたあの姿は、紛れもない彼女自身であったと解る。
跡部の人並みはずれた洞察力をもってすれば、その程度の事がわからない筈がないのだ。
嘘偽りのない姿で居たからこそ、跡部は彼女に惹かれた。
愛したのだ。
もう、跡部には彼女が居なくなる事など、考えられなかった。
考えたくもなかった。
名前も、立場も、なにもかも、どうでもよかった。
ただ、彼女さえ手に入れられれば。
彼女が欲しかった。
名前も知らない、目の前の少女が。

そして、跡部の思考は闇に落ちる。
跡部は、裏切られて怒りを爆発させた男を演じて、彼女をまんまと手に入れたのだ。
罪悪感を感じている、彼女の心すら逆手にとって……。
その行為が、どれほど浅ましいものであるのか、跡部には解っていた。

けれど、どんな事をしてでも、跡部は彼女を手に入れたかったのだ。
とはいえ、何も考えずに行為を進めたわけではない。
彼女が少しでも苦痛を感じずに済むようにと快楽を味わわせた。
無理やり彼女を手に入れる代わりに、少しでも苦痛のない初体験をと……。
嬉しい誤算だったのは、彼女の感度のよさ。
彼女の体は跡部の愛撫にいとも簡単に反応してくれた。
お陰で彼女を酷く苦しめる事も無く、全てを終わらせる事が出来た。

そして、絶頂を迎えて彼女に己の迸りを注ぎ込んだその直後、跡部は小さく呟いた。
「愛してる……」と……。
彼女に、この言葉は届いただろうか?
 

跡部が、こんな浅ましい行為に走ったのも、全ては彼女への愛ゆえだ。
 

そして跡部は、気絶したままの彼女に再び覆いかぶさった。
彼女の足と足の間に自分の体を割り入れ、力を取り戻した己を彼女の中へと再び埋めてゆく。
意識のない彼女ではあったが、体だけはそれに反応したようで、ビクリと身じろいだ。
そのまま、跡部は腰を動かし、彼女の体を心ゆくまでむさぼるのだった。

そして、跡部は明け方近くまで彼女を抱き続け、眠ったのだった。

 

 

 

 

 

しかし跡部は、己が及んだこの浅ましい行為を、彼は後々悔やむ事になる。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明け方、跡部が深い眠りに付いた頃、は意識を取り戻す。
彼の腕の中で。
意識を取り戻したの瞳は、涙に滲んでいた。









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<あとがき>
あい、裏終わりです。
跡部の暴挙の理由もあきらかに。
ええ、愛のない描写はいたしませんよ。
愛あっての性ですもの。
話が長くなるからと、二つに分けたら、こっちはちと短めに……。
でも、長すぎるよりマシだし、いいですよね;

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