命の重さ 10





ターゲットの少年・ユウゲツは、血継限界の力を持つ者と判断された。

そして、ユウゲツがイルカに好意を持つのを逆手に

カカシは挑発して見せた。

案の定ユウゲツは逆上し、カカシに力を使ったのだった。

もちろん、消されたカカシは影分身だ。

だが目の前でカカシを消されるのも、ユウゲツが傷つくのも

イルカをやるせない気持ちにさせた。


「カカシさん、苦しまないように奪ってください」


イルカの言葉に、カカシは無言で頷いた。

内心では嫉妬していた。

ターゲットが子供な時点で予想はしていたが、イルカの態度は

忍としてどうかと思いもした。

殺す相手の命に、向き合いすぎる。

アカデミーでは命を粗末にするなと教え、任務では冷酷に奪うのが

あたり前なのだ。

イルカは人を殺める時、本当に大丈夫なのだろうか?

カカシは不安に思うのだった。






次の日イルカは休みを貰い、ユウゲツのもとに再び訪れた。


「大丈夫ですか?」


イルカは、ユウゲツが起きあがるのを手伝った。


「大丈夫です。
縁側に出たいので、少し支えてもらえませんか?」


イルカは言われるまま、ユウゲツを支えながら歩いた。


「海比古さん、僕は貴方がいいです」


ユウゲツは庭に目を向けながら、ぽつりと言った。

イルカはユウゲツが何を言わんとしたのか、探るように見つめた。

するとユウゲツは、真っ直ぐイルカの目を見て言った。


「僕の命を奪うのは、貴方がいい。
貴方以外には、全力で抵抗します」


ユウゲツは覚悟を決めていたのだ。


「いつから、気がついていたのですか?」


イルカは隠し立てをしなかった。


「確信が持てたのは、ついさっきです。
海比古さんの身体からは、少しですが力を感じてました。
支えてもらった時には、もっと明確に感じました」


ユウゲツは、にこやかに言った。

イルカは変化はしていない。

顔の傷を隠すのに、ごく微量にチャクラを使っているくらいだ。

その微量なチャクラを感じとれるとは、忍なら暗部になるのも夢ではないだろう。


「ユウゲツ君は忍に向いてます。
アカデミーの教員たる私が言うんだから、自信をもっていい」


イルカも微笑んだ。


「・・・嬉しいな。
もし生まれ変わったら、海比古さんの生徒になりたいです」


ユウゲツは幸せそうな顔を、イルカに向けた。


「…待ってるよ」


イルカの手には、いつの間にかクナイが握られていた。

そして言葉と共に、クナイはユウゲツの心臓に埋まった。

ユウゲツは穏やかな表情のまま、わずか十数年の命に終わりを向かえた。


「お見事です。
イルカ先生の殺し方、痛みなんて感じないやり方だ〜ね。
正直、かなり驚きましたよ」


カカシはイルカの背後から話しかけた。


「いくらアカデミー勤務だからって、中忍ですよ?」


イルカは強かった。

イルカは殺した命を受け入れながら奪う。

静かに、確実に。

なんて強靭な精神力なのだろうか?


「戦場なんかだとさ、簡単に沢山の首落とすじゃない?
だんだん麻痺しちゃうんだけどね」


イルカも、あの戦乱を生き抜いた忍。

戦場は経験しているはずなだ。

なのにもかかわらず、命をいつも同じ重さで扱っている。


「オレは両親や、多くの里の者達の命を奪った九尾の様には
なりたくなかったんです」


九尾は圧倒的な力で、虫を殺すかのごとく人を殺した。

イルカは、そんな忍びにはなりたくないという。

カカシはイルカに惚れ直していた。


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