命の重さ 4




「今日から働いてもらう、海比古(うみひこ)君です。
皆さんよろしく頼みますよ」


衣倉の若旦那に紹介され、イルカ礼儀正しくお辞儀した。

イルカの仕事は街中の店と、街外れの本宅兼染め付け場の

雑用係りという事になった。

依頼主の若旦那が、任務後にいつ居なくなってもあやしまれない様

そうなったのだ。

まぁ実際に必要な役目で、イルカは初日に3往復もさせられた。

仕事が終わり、本宅の離れに案内されたイルカに早速

先輩格の者から声がかかった。


「海比古、つかれただろう?
こっちに座れ」


染め付けの仕事をする男にイルカは笑顔で誘いを受け、数人の男達の

輪に入った。


「ここは食事もしっかりでるし、頑張れば染め付けの職人になれる。
いいとこだぞ!」


男は陽気に言うと、イルカの肩を抱いた。


「ええ。まだ慣れない事ばかりですが、長く働きたいと思ってます」


あいそう良く応えれば、周りの男達もイルカを歓迎するように撫で回してきた。

彼らは染め付けをする職人で、店の者より品はないが陽気な男達だ。

イルカはこの後、歓迎会と称した酒盛りで酌をして回った。

そして数刻後。

酔いつぶれた男達にイルカは布団をかけ、自室に戻った。

若旦那の配慮から、イルカは一人部屋を割り当てられている。

布団にもぐり込み、宴席でさり気なく聞いた話を思い出す。

衣倉は本宅の従業員も入れると、50人くらいの者達が働いている。

そしてたまに、突然姿を消す者がいるのだと言うのだ。

だから彼らは、イルカに衣倉の良さを主張していたのだろう。


「明日は店の者にも聞いてみるか…」


小さな呟きを残し、イルカは目を閉じた。

ガタッ

イルカは突然の物音に、布団を捲り上げた。

だがその途端、羽交い絞めに布団に寝かされたのだ。


「イルカ先生ひどいですよ。
あんな男どもには触らせるくせに、俺とのスキンシップは
なんでダメなんですか?」

「なっ…、カカシ先生!?
あんた、此処にしのびこむなんてバカですか!?」


もし忍が関係した任務なら、この時点でばれてしまう可能性は

大きいのだ。


「俺はイルカ先生が心配で、心配で
もう眠れなかったんです!!」


情けない表情を見せるカカシに、イルカは何も言えなくなっていた。

どうしてこの人はこんな…。


「大丈夫ですから。
俺を信じてください」


カカシの目を真っ直ぐ見つめ、イルカは力強く言い聞かせた。

カカシは何かを堪えるような表情をよぎらせ、渋々イルカから

離れた。


「…信じてます。
でも心配な気持ちも、わかってよ」


カカシは言い捨てると、再び突然姿を消した。

イルカはしばらく呆然としていた。

無意識に自分の身体を抱くように、腕を動かした。


「あなたに言われたくありませんよ…」


切なげな呟きを残し、イルカは布団を被った。



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