命の重さ 7





離れに戻ったイルカは、夕食に出遅れたため、おにぎりで手早くすませることにした。

夕湯浴みをすませ、自分の部屋に戻る。

ターゲットの少年は祖父につけてもらったという名前を、誇らしげに名乗っていた。

ユウゲツ、と。

ユウゲツとイルカ、お互いに近いものがあるせいか気がつけば

空が闇に染まるまで話をしていた。

心配かけるから帰ると言うと、ユウゲツは酷く寂しそうにうつむいていた。


「また遊びに来ても、いいかな?」


その言葉は任務を抜きにして、自然に出た言葉だった。

はじかれように顔を上げたユウゲツが、はじめて年にあった笑顔を見せたのが印象的で。


「はい!いつでもどうぞ」


その言葉に頷き、何度も振り返って手を振った。


「あんなに可愛くて、賢い子なのに…」

「俺も昔はそう言われましたけどね」


イルカの独り言に返答したのは、またもカカシであった。

窓辺にしゃがみこみ、銀髪が月明かりをはじいて光っている。


「また貴方は…。
まぁ他里の忍の気配もありませんし、ここだけ結界をはったんで
いいですけどね」


イルカは苦笑しながらも、カカシを迎えいれた。


「お茶いれますね」

「そんなのいいから。
アナタね、一人でターゲットに接触するなんて危ないじゃないの」


イルカはカカシの向かいに座らされた。

何故か双方正座で。


「はぁ、でもそれは任務の一環ですから」


イルカとしては、そう答えるしかない。


「次からは気配消して、俺も同行します」

「でも…」


真剣なカカシに、イルカは自分の力量が疑われている様で

食い下がろうとした。

だがカカシが、イルカの手を取る方が早かった。


「お願いだから。
アナタを失いたくないんです」


こんな表情をするなんて…。

イルカは珍しく、うろたえた。

カカシはいつもイルカをからかって、本気で好意を寄せられているとは

思っていなかった。

なのに今は、心の底から自分を心配している様子のカカシがいた。


「…わかりました」

「安心したら眠くなっちゃった。
イルカ先生も朝早いでしょ?
一緒に寝ようよ、ね?」


カカシはさっさと布団を敷いて、潜りこんで空いたスペースを叩いた。


「ほら、早く!」


また、奇行が始まった…。

イルカはしぶしぶ従った。

もう前ほど、この奇行ぶりに腹が立たなくなったから。

そして、嫌いになれない相手だから。


「アナタ…浴衣姿もいいよね」


カカシは目を閉じたまま呟いた。


「合わせに手を入れたら、嫌いになりますよ?」


イルカもまた、目を閉じたまま呟いた。

布団の中では、カカシの手が素早く引く。


「あの…、それって…」


うっすら頬を染めたカカシが、薄目を開けてイルカを見る。

だがイルカは既に、眠りに落ちていた。

静かな寝息、規則正しいそれにカカシは諦めて目を閉じた。


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