外はいい天気だなぁ。
今俺は勉強部屋で、歴史を勉強している。
3人で、それぞれ別の勉強をしてるんだ。
ユーリは頭が良いらしくて、難しい勉強をしてる。
キーアは年相応なレベルの勉強をしてるらしい。
自分の事で手いっぱいだから、あんまり他の人の進み具合は
どうでもよかったりしする。
アスナキア国の歴史は、この世界の創世からはじまるんだ。
初代アスナキア王は“大いなる者”から、この世界を与えられた。
今でこそ平和でのどかな世界だけど、当時は戦乱の世だったみたい。
アスナキア王は、この世界を安定させる為に賢者の力を借りた。
賢者が言うには、精霊の力のバランスが悪いから人間に影響するらしい。
だから四大元素である火・土・水・風、それぞれの精霊王を決めて
バランスを保つ事になったんだ。
けれど、精霊の魂に使命を刻む事が出来る者が、なかなか見つからなかった。
でもそんな時、異世界から来た黒髪黒目の者・ユラトが
自分ならばと役目をかってでたんだ。
ユラトはどんな動物にも好かれる、そんな心の清らかな人間だったから
まさに適任だと判断された。
アスナキア王とユラトは互いに協力して、四大精霊の王を決め儀式をしたんだ。
儀式は成功して平和がおとずれたんだけど、ユラトは元の世界に戻される事になった。
さすがに四体の精霊の魂に使命を刻む作業は、ユラトにもダメージがあったんだ。
元の世界の方が回復するだろうと、ユラトは元の世界に還される事になった。
恋仲になっていたアスナキア王は、身を切られる思いでユラトを見送った。
以来、精霊の王が交代の時はそれぞれの精霊の属性に合った黒髪黒目の者を
召還する事になってるみたいだ。
これは刻みこまれた使命の中に、盛り込まれてるんだってさ。
ユーシスが教えてくれたんだけど、アスナキア王の末裔の血には
黒髪黒目の人間に作用する“魂に使命を刻む者”にする為の
魔法がかけられてるんだってさ。
つまり精霊王に召喚されて、王族の血筋の伴侶になる人間に限られるって事。
ちなみに俺の身体に浮き出ている模様は、使命を刻む時に必要な物らしい。
全身に幾何学模様やら、細かい文字みたいなのが浮き出てるんだ。
これがさ、レオノアと初夜を迎えてからエッチするごとに浮き出てくるわけで…。
なんか恥ずかしいと思うのは俺だけかな?
「ショーゴ、顔赤いよ?」
「んっ!?そ、そうかな。
ははは…」
キーアのツッコミに焦る俺。
今はレオノア並みの変わらない表情が欲しい。
「そろそろお茶の時間にしましょうか。」
ヴァフィトさんがいい具合に話を変えてくれた。
この人はレオノアに髪と目の色を変える魔法をかけた人だ。
魔法使いなんて本当にいるんだなぁ。
って思ってたら、賢者なんだってさ。
王子達が勉強する年頃になると、城に住み込みで家庭教師をするんだってさ。
ユーシスもヴァフィトさんに教育をうけたっいうんだから、賢者って長生きなんだな。
見た目は26歳くらいで、明るい茶色の髪がふわふわして柔らかそう。
目は赤茶色で、アメと鞭を的確に使い分ける敏腕美人教師って感じ。
「今日は私がお茶を入れてきましょう。」
ヴァフィトさんが出ていくと、ユーリがティーテーブルを整え始めた。
ユーリは本当に優等生タイプだよなぁ。
まぁ将来ユーシスの後を継いで王様やるから、今から自分を磨いてるんだろうな。
「お待たせしました。
さぁ、席についてください。」
「お茶菓子は私が作ったんだ。
今日は上手く出来たと思う。」
ヴァフィトさんの後ろには、王妃のシャーレンさんがいた。
やっぱり青年二人組みに見えてしまう。
席に着きながらそんなことを考えていたらシャーレンさんと目が合った。
「今日もショーゴは可愛いなぁ。
ユーリとキーアも可愛いけどな。」
シャーレンさんは上機嫌で豪快に笑ってる。
「僕はレオンよりかっこよくなるんだ。
これから剣も磨いて強くなるんだから!
そしたら、ショーゴを妻にしてやる。」
「おいおい、俺はすでにレオノアの妻だぞ?」
あ、キーアが凄い顔になってる。
ガーンって擬音が聞こえた気がしたぞ。
「さすが我が息子だ。
まぁ初恋はみのらないもんだから、気にするな。」
シャーレンさん…、励まし方が無骨です…。
「相変わらずだね、シャーレン。
キーアは本当にシャーレンによく似てる。」
「昔、私も今みたいな告白をしたからね、貴方に。」
「はっ?そうなの?」
「そうだよ。ショウゴ。
ユーシスと結婚するまで、男として生きてきたんだから仕方ないだろう?」
なんだそれ?
俺はたぶんすごく間抜け面さらしてる気がする…。
「私は男の身体だが、女の部分もあるんだ。
ああ、でも子はもう産めないけれどね。」
そう言って微笑む目は、子供達に向けられていた。
生まれてきてくれて、ありがとう。
そんな言葉が聞こえた気がした。
しかし、どう見ても男なのがやっとわかりました、はい。
俺ってまだ十分驚ける事いっぱいあるんだろうな…。
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