俺、泣き寝入りなんて性に会わないんだよな。

大体がレギウスに守ってもらおうなんて考え自体が甘い。

俺はレギウスに守ってもらう為に一緒に居たいんじゃなくて

レギウスと肩を並べられる男になりたくて一緒に居たいんだ。

だから俺、今出来る事は何か考えなくちゃいけない。

まず情報不足過ぎるよな。

王都に来てからは何にも出来ない事づくしだしさ。

ここから脱走するって事も考えなくはないけど。

その後レギウスの邸に行っても待ち伏せされてるだろうしな。

ユーシスの弟に嫌われて、先延ばしで時間稼いで考えるか…。

俺は使用人を呼ぶためのベルを鳴らした。


「お呼びですか?ショーゴ様。」

「うん。ユーシス…王様の弟ってどんな人?」


俺は早速情報収集するべく、ジーナに聞いてみた。


「陛下がおっしゃる弟君でしたら多分、レオノア様でしょう。
他にも御兄弟はいらしゃいますが、陛下ご自身が弟だと
認めていらっしゃるのはレオノア様だけですから。」

「レオノアっていうのか…。で、なんで認めるとか認めないとか?」

「レオノア様は陛下のお言葉で“同じく王になる器”だそうです。
ですがご本人に表舞台にでるお気持ちはなく、領地で慎ましく過されるのが
お望みのようです。」


なんだか随分謙虚な奴だな。

確かに普通に紹介されたら好感がもてる人かもな…。

ユーシスが30歳くらいだろうから、そんなにおっさんじゃないだろうし。


「ジーナは見た事あるの?」

「いいえ。公の場にお出にならない方ですから。」


なんだよ。

そしたら、これ以上の事はユーシスに聞くしかないのか?

その時、ノックの音してジーナが出て行った。

あ、ユーシスが入ってきた。


「レオノアの事を聞いていたそうだな。いい心がけだ。
バルコニーでお茶でも飲みながら話してやろう。」


おいおいユーシス。なんでそんなに嬉しそうなんだ!!

バルコニーからは城下が一望できて最高の景色だった。

でも俺は一時間くらい弟自慢を聞かされたんだ。

ユーシスのブラコンが鬱陶しくて弟は領地に引き篭もってんじゃないかと

疑ってしまった。

ユーシスが言うには、レオノアの母親が元・侍女だったから誰にも相手にされずに

城下でひっそり暮していたらしい。

レオノアの存在を知ったユーシスはお忍びで本人に会い、その聡明さと可愛らしさに

一目で気に入って王立学校に入学させ今の地位を与えたらしい。

レオノアの領地は王都の次に大きい、港町のガーラルというとこだそうだ。

ちなみにユーシスの他の兄弟は、あまりに無能で金食い虫だから即位とともに

田舎の領地に追いやった…なんて涼しい顔で言うんだよ。

すげ―ハッキリした性格だよな。

いっそう気持ちいいほどに。


「俺どうしても結婚しなきゃダメなのか?」

「ああ。この世界の運命がかかっているからな。」


この世界の運命?

初耳なんですけど!?


「この世界はとても不安定なんだ。異世界から人を呼び保っている部分もある。
だが世界を支えているのは四大元素を司る竜の姿の精霊だ。
そして今現在、その姿を確認できるのは三体のみ。」

「俺に何ができるって言うんだよ?」

「黒髪・黒目の者が姿を現す時、竜の世代交代が行われる。
竜に名を与え、世界を支えるべく魂に使命を刻むのだと伝えられている。」


名前はつけられるだろうけど、魂に使命を刻むって何!?

俺いたって普通だし!!


「風の精霊に好かれているらしいな。
ショウゴの名づけるべき竜は風の竜だからだろう。」

「何かの間違えじゃないのか!?
だいたいレオノアって人と結婚する意味がわかんねぇよ!」

「王家の者との契りがショウゴを覚醒させる鍵となる。
神話ではこの世界を創ったのは我らが祖先と、黒髪・黒目の異世界人だという。」


俺は返す言葉が浮かばなかった。

今日一日で悩みが余計に増えた!!

もう頭がパンクしそう…。

ユーシスが出て行って、俺はベットで天上を眺めながら考えてた。

でも、いつのまにか寝てた…。

朝日がまぶしい。あ、夕食、食べ損ねちゃったよ。

昨日はあんなに悩んだけど、何処かでしっくりきてるっていうか…。

俺の感情とは別に、俺のやるべき事については納得してるんだ。

ああ、レギウスが遠いよ…。

もう俺のために無理しなくてもいいよ。

レギウスがいるこの世界だから、俺は前向きに頑張るよ。

俺のやるべき事が終わったら、多分俺は開放されるだろうから。




俺はジーナを呼んで朝食をとった。

今やるべきは精霊と、この世界の構造をちゃんと把握する事だろう。

明日はレオノアとの対面だしな。

俺はこの世界の事が書かれた本を読んでいった。

もちろん、知らない単語だらけだからジーナに聞きながらだけど。

読んでみてわかったのは、ユーシスの言うとおりだったって事。

四大元素の化身たる竜がこの世界では一番重要なのだ。

風の精霊・フィルに聞きたいことがあるけど、城に入ってから見てない。

あいつ、肝心な時に居ないってなんだよ!

まあどうせ、まともな返事が返ってくるとは限らないけどさ…。

あ!あの竜のベルトとか剣、俺がやるべき事の道具なのかもな。

レギウスの家に置きっぱだから、届けてもらわないと。

今日という日はあっという間に過ぎていった。



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昨日が短めだったので今日はぼちぼち長めになったかな?
ほぼ連日、午前様帰宅で書いているので頭働いてない時は文章変だろうな…;



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