「いたたた・・・・・・そんなに力任せに、つねらなくても・・・・・・。あぁ、すごい内出血してるし・・・・・・」
ようやく痛みから解放された宏雪は、ひどく痛めつけられた太腿を労わるようになでさする。
「はあ!? あんたがあたしにひどいことをするからでしょ!」
「た、確かにあれは悪かったと思うよ・・・・・・だから・・・ごめんなさいって謝ってるじゃんか」
「それが謝る時の態度なわけ?」
「うぐ、す、すみません・・・」
「大体、謝ってすむなら警察も弁護士もこの世に必要ないわよ!」
相変わらず鋭い目つきときつい口調で咎めてくる雪那。
宏雪が素直に謝ってもまだ怒りの治まらず、突拍子も無いことを言って追い詰める。
「謝っても済まないなら、じゃどうすりゃいいわけ?」
「そうねぇ・・・・・・」
姉には何を言っても意味がないとばかりに自分はどうすべきかぶっきらぼうに聞き返す。
その問いを聞くと、姉としてどう答えを返そうかと思案し始める。
下唇に右手の人差し指を何度も押し当て思案をめぐらす姉の姿に、ハッとし顔を赤らめてしまう宏雪。
よくよく考えてみるとお互いにすごい格好をしているのだ。
姉は下着姿をさらし、弟は全裸で向かい合っている。
一度意識すると思考がどんどんあらぬ方向へと行ってしまう。
身体は正直なもので、そうすると否が応にも下半身が反応してしまう。
一度は萎えてしまっていたペニスが瞬く間に元気を取り戻してしまった。
慌てて隠そうとするが、さすがは弟のことには目敏い姉だけのことはある。
すぐに弟の異変に気付いてしまった。
「あんたねぇ・・・・・・はぁーっ・・・、あきれた。こんな状況でよくそんなことができるわね」
「あっ、いや・・・これは生理的なもので仕方ないというか・・・・・・。その、わざとでは・・・・・・」
「どうせエロいことでも考えてたんでしょ?」
「うっ・・・・・・」
「ほんっとに節操が無いのね、あんたって。自分だけまだ気持ちよくなりたいわけ?」
鋭い目つきから一転、軽蔑するような目つきで弟を見下しさらに問い詰める。
どうにかして言い逃れようとするが、言い訳すら思いつかず宏雪は言葉に詰まってしまった。
上手く言葉が思いつかずいたたまれなくなり、目を逸らしてしばらく黙ってしまう。
雪那は相変わらず宏雪にジト目で視線を向けたままでいる。
と、ふと雪那の言葉になんか違和感があることに気付いた。
そう、雪那は『自分だけまだ気持ちよくなりたいわけ?』と言ったのだ。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
つまりは、そういうことなのだろう。
「あっ、あのさ、雪姉」
「なによ」
俯いていた顔を上げ雪那に目を向けると、いまだに突き刺さるような視線を向けてくる姉と目が合ってしまった。
ひざを抱えた姿勢がどこかかわいらしいとも思ったが、迫力のある釣り目に圧倒され、何を聞こうとしたかを危うく忘れそうになる。
「ちょっと、何か言いたいんならはやく言いなさいよ」
「え、ああ、その・・・・・・」
聞きづらい。
めちゃくちゃ聞きづらい。
いくらなんでも、『雪姉も気持ちよくなりたいんでしょ?』なんて聞いたらどうなるか分からない。
でも、でも・・・・・・聞いてみたい。
雪姉のことだから、もしかしたら狼狽するかもしれない。
そう思うともう聞かずにはいられなくなってしまった。
「雪姉さあ・・・えーっと・・・、もしかしたらオレだけ気持ちよくなったのが気に入らなかった?」
「当たり前よっ!」
「えっ!?」
「――ッッ!」
全く想像もしていなかった言葉に思わず反応してしまう雪那。
しかもとんでもないことを言ってしまったことに気付き絶句してしまう。
ものすごく恥ずかしいのだろう。
見る見るうちに真っ赤になってしまった。
顔だけでなく白い柔肌の身体まで朱を帯びたように赤く染まる。
「ごめん、全然気付かなくて」
「ななな、何を・・・言い出す・・・のよ・・・・・・」
相変わらず図星を突かれたときの雪那は分かりやすい。
雪那のしどろもどろな態度に確信を持った宏雪は早速行動に出た。
慌てている今こそが責めのチャンス。
普段の仕打ちへの仕返し、もとい、先手を打つなら今しかないのだ。
「えっ、ちょ、ちょっと・・・な、何するのよっ!」
雪那の前にスッと移動すると覆いかぶさる様にして押し倒す。
そのままおずおずと右手を差し出し雪那の左乳にそっと添えてみる。
ブラジャー越しからも分かる柔らかさに思わず息を呑む。
「ぁ・・・ど、どこさわって・・・んっ、るのよ」
宏雪のとった行動を咎めようとするが、なぜか身体が上手く動かせない。
相手は弟とはいえ唯一好意を持っている異性でもある。
できることなら自分も気持ち良くして欲しいと思う。
しかもその相手が大好きな弟なら喜んででもそうしてもらいたい。
ただ、やっぱり交わってはいけないという気持ちもある。
近親相姦なんてやるべきじゃないことなのは分かっている。
そう、頭では十分すぎるくらい分かっているのだ。
でも正直に言うと、身体は弟を求めている。
それもまた身に沁みて分かっている。
だが、日に日にその欲求は強くなってきている。
抑えれば抑えるほど身体が疼いてたまらない。
だからこそわずかに残った理性でこれ以上は歯止めをかけなければならない。
そうでなければもう止められなくなってしまう。
「雪姉、今度はオレが気持ち良くしてあげるから、許してよ」
「ゆ、ゆゆ許すって、怒ってない、怒ってないから・・・って、やめ・・・、やめなさいよ!」
「大丈夫、優しくするから」
「や・・・優しくとかじゃな・・・くて、・・・ぁん・・・」
だがすでにその気になってしまっている相手には何を言っても無駄だった。
宏雪はなだめるように優しく言うとそっと抱きすくめる。
普段ありえない程優しく扱われ、何をどうしてらいいのか分からなくなってしまった雪那は固まってしまう。
混乱した頭で何か考えようとするがもはや考えがまとまらない。
もうこのままなるようになった方がいいかもしれない。
弟との関係で、結局今まで自分の考えに沿って行動して上手くいったことが一つもない。
あまのじゃくな言動をしてしまう自分のせいで、いつも文句の言い合いになってしまうし、最後は自分が言い負かしてしまってばかりいる。
そう考えると、流れに任せてしまえば何か変わるかもしれない。
好きなもの同士なんだから関係が悪化するなんてことはないはずだ。
好きなもの同士なんにも我慢する必要なんてない。
一度そう思い込むと、もうそれまで堅く閉ざしていた箍はあっという間に外れてしまっていた。
いや、ただ自分に素直になっただけなのかもしれない。
「だったら・・・ちゃ、ちゃんと気持ち良くしなさいよ・・・・・・」
口調だけは相変わらずのままだが刺々しさがなくなり、なんだか少し甘えたようにさえ聞こえる。
「そうじゃなかったら、それこそ許さないから」
耳元でそう囁くと恥ずかしさを紛らわせるように両手を宏雪の背中に回し抱きしめる。
宏雪はそんな姉がなんだか愛おしく感じられ思わずより強く抱きしめる。
「ちょっと・・・・・・い、いつまでもそうしてないで・・・・・・、は・・・はやくしなさいよ・・・」
だんだん恥ずかしさが込み上げてきたらしく、体を捩るとそっぽを向いてしまった。
唇を尖らせているその横顔が拗ねているようにも見えるてかわいらしい。
そんな姉の姿についに我慢の限界を超えてしまった宏雪は、ブラジャーを一気に取り除くと胸を揉みしだき始めた。
「あっ・・・、んっ・・・ぅ」
宏雪がぐっと揉み込むたびに指の間から乳肉がはみ出てくる。
手の動きに合わせて次々と形を変えていく様はものすごく卑猥だ。
見たままだけでなく、その感触もまた宏雪を虜にする。
欲望に支配されてしまった今、目の前にある姉の乳房しか見えていない。
柔らかいというだけではない感触。
マシュマロのよう柔らかく、それでいて食い込んだ手を押し返すほどの張りと弾力。
シルクのように肌理細やかで滑らかな絹素肌。
その上、手の平に吸い付いてくるようなしっとりした肌触り。
その全てが宏雪をさらに引き込んでいく。
「ふ・・・んくっ・・・」
「すごい。雪姉のおっぱいめちゃくちゃ柔らかくて・・・、気持ちよくて・・・、手が止まんないよ」
「んっ・・・はくっ・・・んっ、んんっ・・・」
「雪姉・・・声出してよ・・・・・・雪姉の可愛い声・・・聞かせてよ」
「い、いやよ・・・んっ、そんな恥ずかしいこと・・・んんっ・・・」
ひとしきり感触を確かめるように揉み、張りのある柔らかさを堪能すると余裕が出てきたのか、喘ぎ声を聞かせまいと押し殺している雪那に、どうにかして声を上げさせたいと宏雪は思い始める。
しかし強情な彼女は、とっさに自分の指を咥えるとさらに我慢しようとする。
「我慢しちゃダメだよ雪姉ぇ・・・」
「はっ・・・ん・・・・・・、我慢なんて・・・してないわよ・・・・・・。んっ・・・大体・・・・・・、そんなに下手なんじゃ・・・んっふ・・・ッ、気持ちいいわけないじゃない・・・ッ」
「むぅっ・・・。それなら・・・・・・これはどうだ」
勝気な物言いにカチンときた宏雪は揉み方にも変化を加え始める。
ただ単に揉むだけだったものが、下からすくい上げ内から外へ、今度外から内へと揉み込んでいく。
さらにスピードや力に強弱をつけて少しずつ雪那の感情を昂らせていく。
「・・・んぁ・・・・・・っむぅ・・・・・・、むふっ、んぅ」
「いつまで耐えられるかな、雪姉」
さっきまでは無駄口を叩く余裕さえ見せていたが、すでにその表情から余裕は失われてしまっていた。
頬を桜色に上気させ、声を抑えて悶える表情が宏雪を一層勢いづかせる。
「だったら・・・・・・、ここならどうだ!」
「むふ――ッ! んむ――ッ!」
乳肉の中心でふるふると揺れ動き、次第に立ち上がり始めた桃色の突起に目敏く気付いた宏雪は、好奇心から軽くつついてみる。
それだけで身体をビクビクッとひくつかせる雪那。
その反応を楽しむように何度も何度もつつき回す。
鼻息を荒く乱しながら、それでもなおこらえようとする。
しかし、すでに我慢の限界にまで達していた。
そのまま乳首を中心として、指先で幾重にも円を描くように乳首全体を責め上げられると、堰を切ったように喘ぎ始めた。
「んあッ! ・・・っはぁん! ・・・ひゃんッ!」
さらに親指を引っ掛けるようにして尖りきった乳首を何度も弾き、時折爪で引っ掻くように弾き上げる。
それと同時に空いた手で反対の乳首を摘み上げた。
乳首への刺激は効果が抜群のようで、すでに息もままならない程に感じてしまっている。
「雪姉・・・・・・、雪姉がしてくれたようにもっと気持ちよくしてあげるからね」
「ちょっ、ひゃぁん! ま・・・待ってぇ・・・・・・ッ、それ以上しちゃ・・・・・・あ、はぁっ、ダメェッ!」
姉の「ダメ」という言葉が引き金となったかのように、今度は一気に乳房の中心に吸い付いた。
軽く音を立てて吸い上げると、雪那は身体を捩らせ押し寄せる快感の波から逃れようとする。
だが、すでに力が入らなくなってしまっていては、もはやどうにもならないない。
「やぁん・・・いきなりぃ、そんな・・・・・・、はぁんっ! 乳首にぃぃッ!」
頭が真っ白になるほどの刺激に我を忘れ、普段は絶対に口にしない言葉までもが飛び出した。
それを聞いて殊更に気分が昂ってきた宏雪は、舌先でも責め立て始める。
舌先でゆっくり焦らすように嬲り上げたかと思うと、先端を舌先で舐め転がすように刺激する。
自分で慰めるのとは桁違いの気持ち良さに恐怖さえ感じた雪那は、この期に及んでもなお逃れようと抵抗を試みるが、右腕でガッチリと抱き締められてしまう。
しかも、その動きがさらなる刺激を誘発してしまった。
抱き締められたことにより、吸い付いている宏雪の唇がより密着し、舌全体で擦り上げられてしまい、より強い痺れとなりが全身を駆け回る。
「あッ! ひぁああぁーっ!」
たまらず嬌声を上げた雪那に追い討ちをかけるように、今度は空いていた左手で反対の乳首を指の腹で潰すように摘まみ上げる。
舌先でも乳首が窪むほどに尖らせた舌先をめり込ませグリグリとねじ込ませる。
「いひぃっ! ――もう――ッ! 来るッ! なにか来ちゃうぅ――ッ!」
「・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・雪姉・・・イッちゃうんだね・・・? もうすぐイッちゃうんだね・・・?」
「いやぁ・・・ヒロなんかに・・・・・・、ヒロなんかに・・・・・・、あぁっ! く、ぅんっ・・・・・・イカされたくないのにぃーっ!」
快感の連鎖に翻弄され、普段は鋭い目つきで釣り目がちの双眸はあふれ出る涙で潤み、口元からは涎を垂らし乱れていく雪那。
いつも虐げられている自分が快感で姉を追い詰めている。
その事実が宏雪をより一層興奮させていく。
そして、どうにかして絶頂に達させようと乳首をさらに執拗に責め立てる。
「ひゃうぅ! はぁっ・・・あああんッ!」
「雪姉がイクところ見ててあげるから・・・だから、はやくイッちゃってよ」
「ダメェッ! いやぁ・・・ッ! 見ないで・・・・・・、イクとこ見ないでぇ――ッ!」
乳房、特に乳首が敏感な雪那にとって宏雪の責めは、快楽地獄そのものであった。
常に姉である自分が弟である宏雪の上に立ち、姉に従わせることを第一としてきた雪那にとって、主従関係が逆転してしまった今の状況は到底受け入れ難い。
見下していた弟に今まさに絶頂に追いやられようとしているだけでなく、最も見られたくない絶頂に達する瞬間を見られることは彼女のプライドが許すはずがない。
しかし、弟の手により確実に絶頂へと導かれようとしている。
「雪姉ってホント強情だよねぇ・・・・・・。そんな雪姉には・・・・・・こうしてやる!」
そう言うやいなや思いっきり乳房にむしゃぶりついた。
そのまま一気に吸い付くと部屋中に響き渡るほど激しく吸いたてる。
「ひあぁああぁぁ――っ! だめだめぇーっ! あぁーっ! あぁんっ! 吸っちゃダメェ――ッ!」
一際大きな声で喘ぐ様に、絶頂が目前であることを感じ取った宏雪は、トドメとばかりに最後の一撃を加えにかかる。
歯を立て乳首を噛み咥えると、顔を離していきおっぱいを引き伸ばしていく。
もちろん手指による刺激も一気に強める。
親指と人差し指の腹で捻り上げると、今度は爪を立てながら摘み上げる。
「もうダメ――っ! ふぁぁっ! おっぱい吸われてぇ・・・・・・ッ、はぁぁんっ! 抓られてぇ・・・・・・ぁ、あぁっ! イカされちゃうのぉ――ッ!」
何度も頭を激しく揺らし、美しく長い黒髪を振り乱して喘ぎ続ける雪那。
さらに顎を突き出し、何度も身体をのけ反らせる。
それを見た宏雪は、噛みしゃぶるようにして乳首を引き伸ばすと、俄に歯を立てて噛み付いた。
と同時に、爪で抓って力いっぱい引っ張り上げる。
硬くシコった乳首から、激しい電流が脊髄を駆け抜け脳を直撃したその刹那。
ほんの一瞬動きが止まり、ガクンと顎を引いたかと思うと、目いっぱいに顎をのけ反らし声にならない叫びを上げた。
「―――ッ! ――ッ―――ッッ!」
ピクリとも動くことなく、ただゼーゼーと酸素を求めるように荒く呼吸する雪那と、ベッドの隅にちょこんと正座し、我に返りとんでもないことをしてしまったという後悔に苛まれ、後から下されるであろう懲罰という名の仕返しに戦々恐々とする宏雪。
強張った顔で身構える弟に対して、陶然とした表情で余韻に浸る姉という、対照的な二人の面持ちからは、その主従的関係の堅強さが伺える。
ようやく乱れた呼吸を整える、雪那は頭を上げた。
その瞳が宏雪を捉えると、縮こまった宏雪の体がもう一回り小さくなってしまう。
姉の機嫌を伺うように上目遣いで恐る恐る視線を向けるが、その心中は後悔の念でいっぱいだった。
しかし宏雪の杞憂は全くの取り越し苦労だった。
なぜなら、弟を見つめるその表情があまりにも妖しく、ゾクリとするほど艶めかしいものだったからである。