陥落の誓約者-中編-「ウソ……でしょ……?」 ようやく絞り出されただろうカシスの声は、震えていた。 目の前の光景全てが、自分の見ている悪い夢だとでも言いたげな様子だ。 「ああ、嘘だよ。全部嘘さ。お前が見たもの全部が嘘だ」 俺はカシスを落ち着けるように笑顔を繕い、声色も努めて優しくなるように語る。 「……どれが?」 返ってきた声は冷たかった。 普通の人間なら、この一声で震え上がらせる事も可能なのではないかと思わせるほどの冷徹さ。 さすがにこれで騙されるほど馬鹿な女ではないということか。 俺は小さく鼻で笑うと、再度口を開く。 「おそらく、お前が思っていることが正解だ」 そう言う俺の表情は、どうやらカシスの怒りを引き出すのには充分だったようだ。 刃のように鋭く睨みつけてくる視線を、だが俺は嘲笑で迎える。 「昨夜出会った俺が嘘――この答えで一応は正解だな」 もう少し近ければ容易に唇を奪うことが可能なほどの距離まで顔を近づけ、正面から瞳を見据える。 茶色がかった瞳は強固な意思を湛えていた。 気持ち良いほどに明確な殺意と僅かな時間とはいえ俺に心を許してしまったという屈辱。 だがいくら憎悪の炎が強くとも、抵抗することは事実上不可能だ。 「惜しかったな。あの夜に躊躇わなければ、今頃こんなことにはならなかったのに」 「くっ……!」 余裕ぶった俺の言葉にカシスは過剰な反応を見せた。 歯を食いしばり、低く唸る。あからさまな挑発にこれほど乗るとは、内心の激怒の様子がよくわかる。 「だがまあ、幾ら悔やんでももう元には戻らない。自分の無力さと判断の甘さをゆっくり噛み締めるんだな」 「……犯すの? あたしを」 響いてきたのは呪詛のような声だった。 怒りの感情をたっぷりと言葉に含んでおり、同時に固い決意が感じられる。頑固と置き換えてもいいだろう。 しかしこの反応も予想の範疇に入っている。 「まさか。相手をしてやりたいのはやまやまだが、今は違うさ」 わざとらしく肩をすくめながら、顔を半分ほどアヤの方へと向ける。 それだけでカシスの顔には焦りの色が濃くなった。 「まさか……」 「お前がいいタイミングで起きたからな、まだ途中なんだよ」 「……さい」 消え去りそうな小さい声が聞こえてきた。出所は言うまでも無くカシスからだ。 「どうした?」 ほとんど予想のついた内容ではあるが、俺はあえて聞き返す。 もう一度、カシス自身の口から言わせることに何よりも意味があるのだから。 「アヤの代わりに……あたしを、犯しなさい……」 多少言い淀んではいるが、今度は誰の耳にもはっきりと聞こえた。 予想通りの返答だ。もっとも、そうなるように仕向けたわけでもあるが。 しかしまだまだ。もう少し楽しませてもらうとしよう。 「ふぅん……親友をかばう、美しい友情っていったところか。それとも……」 そっとカシスの耳元に口を寄せて囁く。 「単に、自分自身が犯されたいだけなのかもしれないがな」 嘲笑を交えたその言葉に、瞬時に顔が赤く染まる。 だが、ムキになって反論するほど冷静さを失ってはいなかったらしい。 どうやら感情に任せて暴言を吐き、俺の機嫌を損ねるほど愚かではないようだ。 「だがどっちみち、そんな言い方じゃ無理だな。もっと言葉を選ぶ事だ」 今度は無言のままだった。 言うべき言葉が見つからないのか、それとも言葉を捜しているのか。 「どうした? 断わっておくが俺は強要したりはしないぞ。考えるのも言うのも、全てお前一人の意志だ」 黙ったままのカシスを追い立てるかのごとく、親切にも注意を促してやる。 無論、俺自身が考えた卑猥な台詞を言わせることも可能だが、決してそれはしない。 一瞬前の俺の言葉ではないが、言うのはあくまでも自分の意志でなければ意味は無い。 他人に言えと命令されたから言った。などという逃げ道を用意してやる必要性など皆無なのだ。 「お願い、です……あたしが代わりに、満足するまで相手をしますから、どうかアヤには手を出さないであげて……」 何かを確認するような様子を見せながらカシスは必死で言葉を紡いだ。 顔を伏せているせいで前髪が邪魔をし、表情をよく読み取ることが出来ない。 おそらく、羞恥と屈辱に打ち震えた顔をしているはずだ。漂ってくる剣呑とした雰囲気がさらに強くなっている。 「ふふ、まあいいだろう」 心情がどうあれ結果は同じなのだ。言いながら俺はカシスへと向き直る。 ふと目をやれば、先ほどまでカシスの視界を奪っていた目隠しが落ちていた。 しかし刹那の逡巡の後、必要ないと判断する。もっと面白いものがあるからだ。 「さて……満足するまで、だったな?」 思わせぶりを装うような口調を取りつつ正面から手を伸ばし、カシスの胸元へと触れる。 すると伝わってくる感触は昨夜とは多少異なっていた。 慣れていない時期特有の硬さは完全といって良いほど失われており、柔らかな感触が手の平から広がる。 「くっ!」 カシスの声が小さく響くが、そんなものは気にもならない。 僅かに沈めている程度だった指先に力を加え、柔らかな乳肉の味を存分に楽しむ。 少し強めに力を込め、揉み上げるようにして刺激を与えていく。 やや小さめなカシスの胸は俺の手の中に完全に収まり、容易く蹂躙することが可能だ。 だがまだまだ楽しませてもらう必要がある。 五指を広げ、摩擦によって熱を発生させるかのごとくゆったりとした手つきで満遍なく揉みしだく。 「……っぅ」 手の動きが四回ほど繰り返されると、カシスの口から僅かに吐息が漏れた。 微かだが頬も赤く染まり、余裕も若干なくなってきているようだ。 俺は漏れ出た反応に嘲笑を返した。するとすぐさまカシスの顔の赤みが増していく。 だがそれも当然だろう。 少なからず快楽を感じているという合図。それを俺に聞かれたのだから。 そして、一旦意識してしまった以上もう逃れることは不可能だ。 目を背けようとすればするほど意識はそちらの方向を向いていく。 現に俺の手はゆっくりと硬さを増しながら上を向いていくカシスの乳首をしっかりと捕らえていた。 「……おや?」 俺は誰に向けるわけでもなく、惚けるような調子で一言口にする。 さらには緩やかな動きを見せる手とは対照的に、中指だけは布越しに乳首を刺激するために強く押し付ける。 「んっ、くぅ……」 幾分苦しそうな声が上がる。 「どうした?」 「な……なんでもないわよ……」 気丈に言い放つが、それが演技であるのは誰の目にも明らかだ。 うっすらとした汗が額から滲み出ていき、落ち着きがなくなっている。 「そうか、ならいい。まだまだ始まったばかりだからな」 俺は胸元から両手を離すと、カシスの顎を掴みこちらを強制的に向かせる。 多少上気してはいるものの刺すような視線は未だ健在だった。 だが俺はそんな事など意にも介さず、即座に唇を奪う。 「!?」 途端にカシスが様相を変える。 目に見えて暴れ出したりこそしないが、数瞬の間何が起こったのかわからず混乱していた。 そして事態を理解してからは身体を震わせながら必死で耐えていた。 唇を重ね合わせたが、それ以上のことはしない。ただ触れ合わせるのみだ。 そのままカシスを押し倒し、仰向けにしてから俺は片手を太腿へと伸ばす。 素肌を露出したままの服装のおかげで、なんら手間取ることなく触れる事が出来た。 さらけ出されている脚は雪の様に白く、触れた指には確かな感触を教えてくれる。 上質の織物のような柔らかさと手触りは、アメルやカイナたちと比べてもまるで遜色ないほどだ。 素晴らしい感覚に心が躍りだした。少し動かしただけでも指先は滑るように動いていく。 指の腹をたっぷりと使い、焦らすようにじっくりとカシスへの愛撫を開始した。 力を極力抜いて肌の上をただ擦るようにしながら指を動かしていく。 「……っ……ぅ……」 未だ塞がれているカシスの口から、吐息のような小さな声が漏れ出す。 普通ならば必死に堪える声に聞こえるが、その奥には確実に燻る情欲がある。 カシスの官能が引きずり出されている証拠だ。 その反応をさらに大きくしてやろうと、肌の上を這い回る指に僅かに力を入れ、内腿に重点を置いて責めていく。 時折手の端が秘部付近へと接触し、それが俺でも意図できない刺激を含ませる。 予期せぬ直接的な刺激と、嫌というほど理解できる婉曲的な刺激。 異なる二種類によって、カシスの身体はゆっくりと俺のことを受け入れ始める素振りを見せだした。 痙攣のような小刻みな動きを太腿は開始し、指の動きに合わせて微細だが多様な反応を見せる。 しかしそれを認めたくは無いのだろう。 カシスの双眸はきつく閉じられ、触れ合った唇からは、歯を食いしばったであろう固い感触が返ってきた。 俺の指は腿の上を更に滑っていき、五指全てが付け根の部分へと到達する。 秘部外側のふっくらとした感触がショーツ越しに感じる。だがここも、昨夜とは違う顔を覗かせるだろう。 そう確信しながら長く重ねていた唇を離し、指を秘所へと移動させた。 薄布越しの秘裂をなぞるようにしながら、一瞬停滞していた前戯を愛撫を再開する。 触れるか触れないか程度の絶妙な力加減を用いて、カシスを責め立てていく。 だが、何の反応もしなかったというのは褒めてもいいだろう。普通ならば過剰な反応を返してもおかしくは無い状況だ。 多少の感心を抱きつつ更に首筋に口付けを施し、舌先で軽く突いてやる。 「うっ……」 さすがにこれは我慢しきれなかったのだろう。カシスは身をよじり、低い声でうめく。 静まり返った室内にその声は予想外によく響いた。 ――頃合だな。 そう判断すると俺は一旦口を離し、囁く。 「あんまり騒ぐと、アヤに聞こえるぞ」 途端、頬は焼かれたように真っ赤に染まり、視線は大急ぎでアヤへと走った。 だが幸か不幸か、未だ目覚めそうな様子は見られない。 どうやら責め手が少々強すぎたらしく、達した後に軽く気を失ったようだ。 無論、もし目覚めたとしてもカシスへの手を休めるつもりはない。 しかしそれはカシス本人にとってみればかなりの恥辱を伴うだろう。 だからこそアヤを目覚めさせるような大声を上げることがカシスには出来ない。 何時目覚めるとも知れぬ緊張感と恥を知られるのではないかという恐怖感。 この二つが、視界を奪われることよりもよほど大きな意味を醸し出してくれる。 まあ、どのみちアヤが目覚めるのには間違いないのだ。 にも関わらずその時を一秒でも長引かせようと必死で抗うカシスの姿を楽しませてもらおう。 俺は指先へともう少し力を込め、確実に視認できるほど指を埋没させた。 秘裂の上へと乗せられていた指が微かに内側へと潜り込む。 カシスは声も無く身体を震わせ、全身へと更に力を込める。それ以外に反応らしい反応は無かった。 潜り込んだ指に角度を与え、引っ掻くように擦り上げる。 本来ならばそれでだけで濡らすことも可能だが、それはしない。まだ手加減を加えている状態だ。 ゆっくりとした手つきでじわじわと刺激を与え、少しずつ昂ぶらせていくようにする。 昨夜カシスの弱点はある程度見抜いているのだ。不可能ではない。 緩やかな刺激から段々と力を注ぎ、指も深くゆっくりと沈めていく。 さながら土でも掘り起こしていくかのような動き。だが薄布一枚隔てていては、普通なら大した刺激には決してなりえない。 生娘ならば何とか我慢出来るであろうはずのその刺激にも、一度性の味を知った身体では充分に反応してしまう。 じわじわと強くなっていく快感により、否応無しにゆっくりと上り詰めていく。 「はっ……ぁ……!」 とうとう堪えきれなくなったのだろう。悩ましげな声が吐き出された。 途端にカシスは、しまったとばかりにアヤへと視線を走らせる。だが目覚めそうな様子は見受けられない。 そして、声が漏れるのとほぼ同時に俺の指先が僅かな違和感を訴えてきていた。 口元に笑みを浮かべつつ視線を移すと、ショーツの股布が微かな湿り気を帯びている。 「おや、もう濡らしたのか?」 「ち、違う……」 否定の声は弱々しかった。快楽に抗っているのか、それとも声を張りたくないのか。 俺はそれ以上は言及せず、わざと強めに指を押し込み、そしてすぐに力を抜く。 繰り返すそのたびにゆっくりとではあるが染みは広がっていき、やがては小さな音まで聞こえるようになってくる。 カシス自身が快楽を感じているということを何よりも如実に表している証拠だ。 「そろそろ物足りなくなってきたんじゃないのか?」 「そんなこと……ない……」 否定するが、説得力は皆無だった。その間にも俺の指は休むことなく動き、染みを大きくしている。 「つれないな。昨夜とは大違いだ」 「あっ、あれは」 何かを訴えろうとしてカシスの言葉が詰まった。口を僅かに開閉させてはいるものの、それ以上が続いていない。 「別に答えなくてもいいさ」 俺はショーツの中に指を突っ込むと、秘部の辺りを抑えた。 「ひっ」 意外に可愛らしい悲鳴と共にカシスの身体が小さく震える。 「昨日の続きだとでも思うんだな」 そう言いながら裂け目を指で少しずつ割り広げていく。ゆっくりと開いていくに従って愛液が溢れてきた。 「ひぅ……! やめ、て……お願いだから……」 入り口へと指を押し当て力を込めると、まるで誘っているように抵抗無く進み入っていく。 流れ出る粘液を襞に擦りつけて膣内にじっくりと快楽を教え込み、内部へと埋没したのとは別の指で陰核付近を圧迫する。 じわじわと快楽を大きくするように指の動きを荒々しいものへと変えていくと、カシスの身体に更に力が入った。 堪えるための必死の抵抗。だが俺の前ではまるで意味をなさない。 内側に差し込んだ指を半分ほど折り曲げ、膀胱の裏側辺りを擦る。 「あああっ!」 途端に余裕の無い声が漏れた。態度が軟化したとでもいうべき、甘い喘ぎ。 膣内は俺の指を締め上げ、小さく痙攣する。腰も若干動いたが、暴れたというよりはくねらせたと言う方が近い。 感じているのは間違いない。それも、俺の予想を大きく裏切るほど。 「随分と反応が良いな、昨日はあの後何回くらい自分で慰めたんだ?」 俺の問いに返事はなかった。だが顔を赤らめて複雑な表情をしている。 当然のことながら、すんなりと言うなどとは思ってなどいない。 「まあ、無理に答えなくてもいいさ。言わなくても大体わかる」 内側を指でかき混ぜるようにして弄っていく。 その動きにカシスの膣内は反応を返し、絡みついてきた。たっぷりとした滑りも見せてくる。 間違いなく昨夜よりも慣れていた。どうやら我慢し切れなかったらしい。それも、一度や二度では利かないほどだ。 「この具合からなら5回……いや、違うな。7回か」 「な、なんで……!?」 信じられないといった様子で、カシスは俺の方を見た。だが、その驚愕の表情をいつまでも直視はできなかった。 俺はしばらくの間喉の奥で含み笑いをしてから、口を開く。 「嘘だよ、適当なカマをかけただけだ。まさか当たるとは思ってなかったがな」 まだ完全には笑いが収まらなかったが、答えてやる。だがこれは完全な答えじゃない。 返ってきた反応からある程度の予測は出来るが、とてもじゃないが細かな回数まではわからない。 だから一度回数を言い、それを聞いたカシスの反応から回数を導き出した。 もっとも一切の誤差無く正確に的中したのは俺自身も驚かされたが。 しかし、下手に反応しなければ隠し通せたかもしれないものをわざわざ自分から明かすとは。 「卑怯……者っ……!!」 うめく様な後悔の声が上がる。自ら俺に正解だと告げてしまったことがよほど据えかねるのだろう。 どうやらカシスの味わった衝撃と屈辱はかなりのものだったようだ。それも、今の状況を失念するほど。 「それより、そんな大声を出して本当によかったのか?」 この一言で一瞬にしてカシスの様相が変わった。指摘した通り張り上げられた声の大きさは今までで一番だった。 一般論から言えばそれでもまだ小さい方に分類されるだろうが、それでも充分なほど。 カシスは恐る恐る隣を見やる。おそらく心では何よりも強く願っているのだろう。 だがそこにあったのは一切の期待を打ち崩すものだった。 「カシス……さん……?」 アヤは完全に起きていた。先ほどカシスが目覚めた時と同じようにこちらを見ている。 目隠しはさっきズレたままにしていたせいで、もはや何の意味も為してはいない。 「見ないで……」 弱々しい懇願の声がカシスから飛ぶ。今にも泣き出しそうなほどだ。 「そんなこと言わずに見せてやれよカシス。それも、どうせだったら直接に」 だからこそ貶め、辱めたくなる。 下着の中に入り込んでいた手を上手く引っ掛けるとそのまま下ろし、一気にショーツを脱がせに掛かる。 「いっ、いやぁっ!」 だが俺の動きを拒もうと、かろうじて自由になっている両足を暴れさせて抵抗しようとした。 しかし、無駄な行動に過ぎない。そもそもが遅すぎる上に力も違いすぎる。 ショーツを膝まで瞬く間に下ろすと、寝そべったままのカシスを上半身だけ起こす。 そして両足を掴み、アヤに見えるように広げてやった。 「いやあぁっ! 見せないで! お願いアヤ、見ないで!!」 激しい羞恥と強い懇願だけが込められた悲鳴が上がる。同時に押えつけている脚から強烈な力が返ってきた。 よほど嫌なのだろう。が、俺の手を押し返すにはまだ力が足りない。 カシスの秘部は一切隠されることなくアヤの前へと露わになった。 内側から溢れ出してくる愛液と、いやらしくも控えめに顔を覗かせている桜色の秘肉。 それを、アヤは食い入るような瞳で見つめてた。強い酩酊感に襲われているかのように頬が真っ赤に染まっている。 おそらく他人の物を見た経験もないのだろう。羞恥と好奇との狭間で心が揺れ動き、そして好奇心が勝ったようだ。 その証拠に黒い瞳は一切動くことなく、カシスの割れ目へと視線が注がれている。 だが涙を溜めた瞳を必死で閉じ、全てを拒絶するかのように俯いたままのカシスは気付かない。 「どうしたアヤ、そんなに気になるのか?」 俺の言葉に二人の女は弾かれたように身を竦ませた。 長々と視姦を続けていたアヤは赤らんだ頬もそのままに気まずい表情を浮かべ、カシスは愕然とした様子でアヤを見る。 無理も無い。カシスにとってみれば裏切りにも等しい行為だろう。 僅かなすれ違いがやがて大きくなり、やがてそれは軋轢へと姿を変える。 ならば利用しない手はない。この二人の間に生まれた揺らぎを最大限に活用してやるか。 「じゃあ、とっておきを見せてやるよ。カシスが思いっきり果てるところをな」 押えつけていた脚を解放し、その代わりに再び秘部へと手を乗せる。 愛液が指にじっとりと纏わりつき、それどころか、いち早く迎え入れようとしているような動きすら見せてきた。 その招きに逆らうことなく二本の指をカシスの胎内へと潜り込ませる。 「くうぅぅんっ!」 どこか泣き声を思わせる悲鳴が響く。 度重なる責め手によって慣れたのだろう、秘穴は二本の指を根元近くまでしっかりと咥え込んでいる。 俺はねじ込んだ指の全てを余さず使うように荒々しく上下させ、内壁全体を一気に擦り上げていく。 「ひやあああぁぁっ!! やあぁっ、だめっ、止めてえぇぇっ!!」 擦りながらそれぞれの指を別々に動かし、乱暴とも言える程の力を込める。 ともすれば暴力にもなりかねないそれを、カシスは嬌声を上げながら甘んじて受けていた。 長らく弱々しい刺激によるもどかしい快感を受け続けていたカシスにとってみれば強烈過ぎる快楽。 だがこの凶暴な刺激こそ、カシスの身体が求めていたものでもある。 粘膜壁はまるで歓迎の意を示すように指を締めつけ、浅ましいほどの愛液を分泌させていく。 カシスの身体が精神を見事なまでに裏切っている証拠だった。 「やだっ、やだあぁぁっ!!」 背筋を反り返らせながらカシスは耳に痛いほどの悲鳴を上げた。最高潮に達したようだ。 同時に膣内からは濃厚な匂いを上げながら淫蜜が吐き出され、俺の手首近くまでを白く汚す。 尿道口からは、それほどではないものの潮が放たれていた。 僅かな隙間から漏れ出す水のように勢いは無く、アヤの時ほどではない。 それでもカシスにとっては耐えがたい行為だろう。 「うう……もういやぁ……」 幼児にようにしゃくりあげながら涙が零れ落ちた。 すぐ下からは小さな湯気が立ちこめ、ベッドシーツがぐっしょりと濡れている。 俺が膣口から指を引き抜くと、まだ堰止められていた蜜が零れ落ちてさらにシーツが湿る。 「どうした、もう終わりか? これじゃ俺の相手はもう無理だな」 残念な口ぶりでそう言ったが、カシスの反応は無かった。 強烈な快楽の余韻を噛み締めているのか、それとも喪失感に心を支配されているのか。 だがそれはどうでもいい。重要なのはカシスが力尽きたことだ。 意味の無い約束とはいえ違えられたのだから、相手を変えねばなるまい。 汚れた手をカシスの服で拭い、ベッドから立ち上がろうとして視線を感じ、そちら――アメルたちへと視線を向ける。 見れば二人ともまるで自分が犯されたかのように頬を赤らめ、自らの手で慰めていた。 座り込んでいる絨毯の上には染みが出来ており、物欲しげな目で俺を見ている。 あてられたか。 考えてみれば随分とお預けを喰っているからな。 「そうだな……カシスの相手でもしてやれ」 声を掛けながら立ち上がり、アヤの隣へ移動した。 味あわせてやった絶頂の疲労と衝撃から完全に回復したらしく俺を見る目は幾分鋭いものの、まだ俺を信じたいらしく威圧感は一切無い。 「マグナさん、どうしてこんなことを……」 強気な口調で尋ねてくるアヤを無視してベッドサイドに置いてあるナイフを手にすると、アヤへと見せ付ける。 何かに気付いたようないぶかしげな様子を見せたのを確認してから、俺は口を開いた。 「見覚えくらいはあるだろう」 「ええ。カシスさんのですよね……でも、どうして貴方が?」 「昨日の夜中、俺の部屋に忘れていったんだ」 途端にアヤの顔色が変わった。 「こんな物を持って夜中にやって来る、どういうことか想像くらいつくだろ?」 アヤは答えない。脳裏に浮かんだ考えを口にしたくないのだろう。 「襲われたのさ」 だから俺が代わりに正解を口にしてやった。もっとも完全ではない答えだが。 それでも俺の言葉に反応し、見る見るうちにアヤの顔が青ざめていく。 どうやら昨日の出来事は何一つ知らないようだ。知っていればまた違う反応をするだろうからな。 そこまで目にしてから短刀を元の場所へと戻す。 「まさかそんな……」 「信じられないか? なら、本人に直接聞いてみるといい」 戸惑いを見せるアヤを抱きかかえ、カシスの方へ向く。 するとアメルたちは、俺の命令通りにカシスの身体を弄っていた。 二人でカシスを挟むようにして寝そべり、首筋や耳たぶへ口による愛撫を行っている。 片方の手は動かぬように身体へ絡ませつつ、空いた手はカシスの秘部へと穏やかな責めを施し快楽へと誘っている。 そうした責め手を行いながらもカシスの脚へと股間を擦りつけ、疼いた身体を少しでも慰めようともしているのは大したものだ。 同姓二人の手で行われる愛撫は休息を求めていた身体を強引に覚醒させ、再びカシスの情欲を燃え滾らせているようだった。 俺と同じ物を見ていたのだろうアヤの顔が再び赤くなる。眼前で見せ付けられたカシスの絶頂の瞬間を喚起でもしたのか。 「悪いが一時中断だ。アヤがカシスと話がしたいとさ」 命令に従って二人は責め手を止め、カシスから離れる。 解放されたカシスは深く呼吸を繰り返しながら疲労感を全身に漂わせていた。穏やかそうに見えても与えていた快感はかなりのものだったらしい。 俺はカシスの上へ覆い被さるようにして、抱えていたアヤを下ろした。 一見すれば女同士がベッドで絡み合っているようにも見える光景だ。 「カシスさん……マグナさんを襲ったって、本当なんですか?」 そんな異様な状態に飲まれたのか少々言い淀みつつも、目と鼻の先のカシスへ尋ねる。 「う、うん……でも、それはアヤのことを思って……それであたし……あいつの所に行ったの……でも騙されて、信じちゃって、そのせいでこんな目に合わせちゃって……」 多少なりとも混乱しているのか、口早に紡がれた言葉は少なからず意味を理解するのが困難だった。 事情を知っている俺ならまだしも、何があったかを知らないアヤには難しいだろう。 ただ、未だ落ち着かない呼吸の為に途切れがちとなっている言葉には後悔と慙愧の意思が感じられた。 「ごめんね……ごめんねアヤ……あたしが余計なことしたばっかりに……」 「カシスさん、もういいんですよ。そんなに自分を責めないで下さい」 落ち着かせるようなアヤの言葉には慈愛がたっぷりと込められていた。 「でも、もう大丈夫ですから」 「……え?」 最後の言葉の意味を図りかねているカシスを尻目に、アヤは不自由な体勢をどうにか捻り俺の方を向く。 「これ以上カシスさんを苦しめないであげてください。どんなことでも私が代わりに受けますから」 気丈に言い放ったが、瞳の奥底は僅かに恐怖で震えていたのが確かに確認できた。 それでも大切な相棒のために内心の恐怖を押し殺し、強がっているのだろう。 互いの絆のために庇おうとする。予想していた通りの行動だ。 それにしても、やはり昨夜カシスが尋ねてきてくれたのが何よりも嬉しい誤算であることは間違いない。 あの出来事がなければ、ここまで上手く事は運ばなかっただろう。 口元に浮かぶ笑みを隠すことなくアヤの視線を正面から受け止めるが、何も言わない。もう一つの声を待つために。 「だ、駄目ッ! アヤはいいの。これはあたしが招いたことなんだから、だからあたしが!」 だが待つ必要は無かった。視線同士が交差した瞬間カシスが大慌てで叫んだからだ。 アヤの為に自らの身体を差し出したカシスからしてみれば、眼前でアヤが犯されることはそれまでの全てが水泡に帰すことに等しい。 アヤ自体はそうは思っていないだろうが、結果としてはそうなってしまう。 互いに庇いあう行為が、互いに傷つけあう行為となる。これほど傑作なことがあるだろうか。 「困ったな、二人とも俺に犯されたいのか。さて、どうしたものだろうな……」 二人を挑発するようにわざとらしく呟くと空いているベッドに腰掛け、さも考えているような演技をする。 もう心は決まっているが、こういった演出も必要だろう。 改めたように二人を見やると、さも今思いついたように笑顔を作る。 「そうだな、ならお互いに責め合ってもらおうか。相手を先にイかせた方の願いを聞いてやるよ」 俺は用意していた最低で最善の提案を突きつけてやった。 「そう難しい話じゃない。二人とも一度は俺の手で達してるんだ、それを今度は相手にしてやればいいんだよ」 飛んでくる鋭い視線を俺は涼しい顔で受け流す。相手を助けるために苦しめる、それは今の状況となんら変わりは無い。 むしろ解決方法を提示してやったのだから感謝して欲しいくらいだ。 「本当でしょうね……?」 「嫌なら別に構わないぜ。もっとも、俺はその方が望ましいがね」 カシスの言葉を一笑に伏せる。ここまで行ってやれば理解できるだろう。 自分たちに選ぶ権利は無く、従うしかないということを。 「……あたしが、アヤの相手をすればいいのね?」 決意をしたような目で俺を見てきた。アヤも覚悟を決めたらしく何も言ってはこない。 期待した通り面白い見世物が見られそうだ。 未だ二人の拘束は解かれていないため、必然的に口や舌を使っての辱め合いとなる。 ましてや相手を助けたければより苛烈に責めなければならない。 反する二つの感情で板挟みになりながらの行動は二人の精神をさぞかしかき乱すことだろう。 その苦悩をじっくりと見物するのもまた一興というもの。 「ああ、そういうことだよ。相手を助けたかったらせいぜい頑張るんだな。だがその前に」 「なっ!? 何を……」 もう一度ナイフを手にすると、二人のショーツを切り裂く。 引き下ろして膝の辺りで引っ掛けてあるだけだったのだ。これでは色々と不都合にもなるだろう。 布地が少ない部分へ刃を当てるだけで下着は簡単に布切れへと変貌した。 「そのままじゃ邪魔だろ」 口元を歪ませながら言うと刃物を仕舞い、覆い被さっているアヤの体勢を前後逆にしてやる。 お互いが相手の秘園を間近で見ることの出来る状態だ。 だが二人ともただ見つめたまま動くことなく呆然としていた。それほど衝撃的だったのだろうか。 「ほら、どうした。やっぱり止めるか?」 黙して動こうとしない二人を奮い立たせるべく声を掛けてやった。 すると俺の声で我に返ったのか、カシスは赤い顔をしながらアヤの割れ目に唇を近づけ舐め上げる。 「ふぅっ!」 柔らかな舌になぞられた途端、アヤは切なげな声を上げて身体を強張らせた。 視覚によって興奮を促されていた身体はカシスの舌に敏感に反応したようだ。 「ごめんねアヤ……でも、許してとは言わない。だからあたしに任せて。アヤは何もしなくていいから」 後ろめたさを振り切るように言い訳がましい言葉を述べると、止めていた舌の動きを再開させた。 舌先を丸めさせると、物欲しげな膣口を宥めるようとしているのか突き入れていく。 内側へと進んだ舌は秘肉を掻き解しているらしく、内部から淫蜜が舌を伝わって溢れ出しカシスの口腔内へと垂れていた。 口の中ではアヤの味が広がっていることだろう。 「あぁっ! カシスさん、やめてください。そんな……ひぃっ!」 刺激に必死で抗っているらしくアヤは声を振り絞るが、カシスの動きは止まらなかった。 流れ出る蜜液を全て掬おうとでもいわんばかりに舌をくねらせ、アヤを昂ぶらせている。 いやらしい音を立てながら舌を這わせて愛撫を行うカシスの表情は、次第に熱を帯びているように見えた。 アヤは奉仕を受け喘ぐばかりで一向に責めようとしない。 カシスにしてみればそれでいいのかもしれないが、それでは面白くないというものだ。 「どうするんだアヤ。カシスに全てを背負わせる気か?」 ならばやる気を出させてやればいい。言葉でちょいと刺激してやるだけで、アヤの様子が変わる。 目的を忘れ快楽に溺れていた自分を恥じているかのようだ。 「カシスさん、そんなに無理をしないでください。言いましたよね? これ以上は私が引き受けますからって」 秘部から駆け上ってくる快楽を必死で堪えながら早口で言い放つと、アヤも眼前の裂け目へゆっくりと舌を這わせ始めた。 稚拙だがそれまでのカシスに負けまいとするような舌遣いだ。 「ひぃっ! アヤぁ……」 舌の動きに反応しカシスは甘い声を上げた。 ほぼ休むことなく責められていた所為で秘部は既に淫蜜で濡れており、口をつけたアヤの顔も濡れ光っていく。 だが液体に塗れることも気にならないかのようにアヤは舌を動かした。 覗き込む体勢の利点を生かすかのように舌先で縦線をなぞり、自らの唾液をカシスの内部へ流し込む。 それまで反撃を受けなかっただけに油断していたらしく、一瞬にして動きを止めてしまう。 しかし、いつまでも責められてばかりいるカシスではなかった。 襲い掛かる刺激に快楽を感じながらも歯を食いしばるようにしてアヤを果てさせるべく動きを再開する。 舌先で花弁を器用に捲り上げ、皺の一つまでも丁寧かつ柔らかに這わせていく。 襲い掛かる快感に呼応するように蜜液が搾り出され、カシスの顔も怪しく濡れている。 淫らな粘液に可愛らしい顔が汚されながら、それでも舌の動きは止まらなかった。 アヤも負けてはいない。 快感から逃れるためか奉仕には一層熱が入り、カシスの性器を貪っていく。 濡れた花弁をなぞり上げ、捲り返らせると大きくなった陰核を舐め転がした。 するとカシスの身体が瞬間大きく震え、言葉にならない喘ぎ声が漏れる。その反応をアヤは見逃さなかった。 充血の度合いを増した陰核を中心に口をつけると一気に吸いたてる。 「ひゃあっ!」 流石に刺激が大きすぎたらしく、カシスは動きを止めて余裕のない声を上げてしまう。 それでも停滞は一瞬であり、愛撫はすぐに再開された。 吸われたお返しとばかりにアヤの膣口付近に口をつけ、下卑た音を響かせながら愛液を吸い上げる。 「んんんぅっ!」 今度はアヤが弱音を吐く番だった。 しかしそれでも口は離さず、くぐもった悲鳴を上げながらカシスを狂わせている。 何時までも続くと錯覚しそうな女同士の絡み合いだが、そろそろ終わりが見えてきた。 どちらはも激しく相手を攻めているが、逆に言えばそれだけ責められてもいるのだ。 どちらも絶頂の訪れを必死で堪えながら忙しなく奉仕を続け、涎を零し、顔中を汚しながらも喘いでいる。 賑やかな二重奏。だがそれもついに終わりが訪れた。 「ふあぁっ! ひゃあぁぁっっ!!」 「はああぁぁっ!!」 絶頂の悲鳴が重なった。ほぼ同時に二人とも果てたようだ。 奥に残っていた全てが放出したかのような大量の愛液が溢れ出ていく。 それでも絶頂の疲労感からか二人とも拭おうともせずに荒く呼吸を繰り返している。 二人の表情は共に悲壮感が漂っていた。 ひょっとすると互いに相手をイかせたことを知らないのかもしれない。 もしそうならば、自分が先に果ててしまったという罪悪感が襲っていることだろう。 「はははっ! 面白いものを見せてもらったよ。だけど、約束は約束だ」 その言葉に二人とも沈んだ表情を浮かべた。 だがすぐに知ることとなるだろう。もっと悲惨な結果を出してしまったということを。 「さて、まずはアヤからにしておくか」 「えっ!? だ、だって私はカシスさんに……」 「ア、アヤ!? 何を言って……私の方こそ……」 二人とも意味が分からず困惑したように大げさな反応をする。 どうやら予想通りだったようだ。混乱する様子を嘲笑で見つめながら俺は淡々と述べた。 「いいや、間違ってなんかいないぜ。なにしろ二人同時だったんだ」 「……え……? う、うそ……」 「それ……って……」 顔が青ざめ、それから少しずつ赤くなっていく。 「だったら二人共ってものだろう」 俺は絡み合う二人のすぐ傍まで近寄ると宣言通りに、まずアヤへと手を伸ばした。 「都合のいいことに、もうすっかりと出来上がってるみたいだしな」 そして濡れそぼり半分ほど口を開けた秘裂を割り開き、一本の指を膣内に潜り込ませる。 面白いほど濡れていたために抵抗無く受け入れられ、内部は愛液の感触で一杯だった。 「ああんっ!」 「アヤっ!!」 カシスが心配そうな声を出すが、アヤの膣はむしろ大喜びで俺を迎えていた。 度重なる愛撫によって成熟したらしく、始めの時よりも具合が良くなっているようだ。 「どうやら欲しくてたまらないみたいだな」 「そ、そんなこと……ないです……」 そう言葉で嬲ってやるだけで指の締めつけが強くなっていく。 赤い顔で否定しているが、どうにも言葉に力がない。 「まあ、どっちでもいいさ」 指を引き抜くとまだ残っていたのだろう淫蜜が糸を引き、カシスの顔に垂れて落ちた。 その光景に笑いを浮かべながら、俺はズボンから肉棒を取り出す。 二人の痴態をたっぷりと堪能させてもらったおかげで既に充分なほどに勃起している。 目撃したアヤたちが恐怖に顔を引きつらせたほどだ。 「これからたっぷりと狂わせてやるよ。一生に一度の体験だ、よく覚えておくといいぜ」 囁きながらアヤの腰を高く持ち上げ、そのまま膣口を一気に貫いた。 「いやあぁぁぁっ!!」 膣道が広がり秘唇は捲れ上がり、俺の肉棒を根元近くまで美味しそうに咥えこんだ。 肉襞は歓喜したかのようにすぐさま締まり、たっぷりと愛液を塗してもてなし始める。 生娘とは思えないほどの具合。一気に押し込んだために破瓜の感覚は感じられなかった。 出血はなく言われなければ処女とは到底思えないだろう。 唯一、処女喪失の悲鳴だけがまるで場違いな道化師のように虚しく響いた。 「やめて……抜いてください……お願いですから……」 うつ伏せのうえに尻を高く上げているせいで顔を押し付けるという不自由な姿勢で、アヤは弱々しい懇願をする。 だがそんな願いを聞いてやるつもりはない。 腰を動かし、膣内を擦り上げていく。すっかりと敏感になった肉襞はいやらしく絡みついてきた。 その反応に幾許かの満足感を感じながら俺は更に膣内を刺激する。 肉棒に角度をつけて背中側の膣道を強く擦り上げてやった。 「はぁぁっ! そ、そんなところ……」 締めつけは更に強くなり、俺の動きを歓迎するように蠢く。 おそらくアヤは相当な快感を感じているのだろう。ただ、それを認めようとしないだけで。 だったら認めさせてやればいい。 一度思い切り強く突き上げてから動きを止め、アヤの肩を掴んで上体を起こす。 「なっ、なにを!?」 「続きだよ、あの時のな」 そう言いながら右手でアヤの乳房を鷲掴みにする。 初々しい乳肉の感触が手の平いっぱいに広がり、すぐに押し潰されて形を変えていく。 大きさもかなりのものだ。指の隙間から零れ落ちそうなほど。 服の上からというのが多少なりとも残念ではあるが、それを補うほどの上物。 もう片方の手も胸へと掛けた。それまで肩口付近に掛かっていた重心が胸元のみとなる。 自重もあってアヤの胸は俺の手の中で押し潰され、絞られているかのようだ。 俺は腕にもう少し力を込めてアヤの身体を引き寄せてから、両手で改めて触れなおす。 それだけで感じていた重苦しい感触が減り、手には胸の感触がより良く伝わる。 今度は痛々しくではなく柔らかな力で指を沈め、胸を弄っていく。 「どうだ、胸を触られる感覚は?」 「あぁうっ……ま、まさかあの時って……!?」 「へえ、思い出したのか。大したもんだ」 ただでさえ絶え間なく快楽に襲われつづけているせいで思考能力はさぞ鈍っているはずだ。 にもかかわず、一度目の絶頂で果てる瞬間に呟いただけの言葉を覚えているとは。 思わず素直に感心しながら指の動きに更に技巧を凝らせる。 全体をかすめるように揉み上げながら、それまで軽く揺らす程度だった腰の動きを再開させた。 肉棒で膣内をかき混ぜるような腰使いと共に乳首の辺りを指で挟む。 全ての動きに強弱をつけ、容赦なく快楽を叩き込んでいく事も忘れない。 「む、胸を揉まないでください!! それ、と……動かないでぇっ!!」 俺の手でなすがままにされながらも身体を何とか暴れさせ、必死で声を上げる。 だが喘いだ声には喜悦が混じっているように思えた。 何時の間にか服の下で硬度をしっかりと持って自己主張をしている突起の周りを指でなぞり、秘穴を掘り起こす。 膣内は蕩けさせそうな程の淫蜜を分泌させ、肉棒に吸いついてきていた。 「はぅ、ぅくっん、はぁっ、もう、来ちゃいます!!」 内襞が痙攣を起こしたように蠢き、そして一瞬強く締めつけられる。それはアヤが声を張り上げたのと同じタイミングだった。 絶頂に達したのだ。それも誰の目にも明らかなほど。 しかし、内側の粘液はさらに濃く粘度を増し、本能で動いているかのように肉棒に擦り寄ってきた。 どうやらアヤの肉体はこの程度では満足できないようだ。 そして俺自身の欲望もまだまだ満たされてはいない。 「ひっ、い、いやです……もう、休ませてください……」 腰の動きを幾分緩めながらアヤの身体をさらに引き寄せ、俺に寄り掛からせる。 ちょうど後ろから抱きしめたような格好。俺の手で潮を吹かされた時と同じ格好だ。 完全に抱き寄せると突き上げる動きをより強くする。 突き上げるたびに密着した身体が少し離れ、アヤ自身の重みによって落ちることで肉壁を擦り上げていく。 ぶつかり合う微かな音の背後に肉洞を蹂躙している証拠の水音が加わり、そしてアヤの嬌声が一定のリズムで響く。 粘液に擦られる快感を味わいながら、更に貶めるべく手を動かす。 余計な枷から解放された胸を下から持ち上げ、両手で情欲をそそらせるように強く捏ねる。 ふと、出るわけないだろうが、力を込めて搾れば乳頭から母乳を噴き出しそうに思えた。 「きゃあっ!!」 当たり前というべきか実行しても当然射乳などはせず、その代わり膣壁がうねり肉棒に強い刺激を与えた。 亀頭から精液を搾り取ろうとするように巻きついてくる。 「はは、コイツはいい!」 思いがけない収穫に口火を切り、俺は指に力を再び込めた。 再び膣は強く締まり、アヤは胸元から襲い掛かる刺激から逃れるように暴れる。 だが暴れるという予期せぬ動きは更なる快楽を俺に提供してくれた。 内壁との擦れ合いに法則など全く無くなり、動く度に新しい快感を味わえる。 調子に乗って強く握り、力を抜いて優しく微細に撫で上げ、そしてまた強く握るという動きを繰り返し、膣の変化を楽しむ。 胸の刺激に抗うようにアヤも腰を振り、俺の突き上げを一層気持ちの良い物にしてくれる。 「は、ひぃっ! わたし、また、またあぁっ!!」 瞳から涙を零しながら俺の肉棒で再び絶頂まで押し上がった。 痙攣したように身体を震わせ、大きく仰け反る。暴れることを忘れてしまったように動きを止め、余韻に浸っているかのようだ。 しかし、アヤが果てても俺は動きを止めなかった。 射精感を感じてはいるものの射精するにはまだ快楽が足りない。 俺は蜜壷の奥底に届くほど勢い良く肉棒を突き入れ、これまでになく強く突き上げる。 収斂していた膣を強引に押し広げ、ただ快感のみを貪っていく。 「わたし、また……ひゃ! らめぇ、またイっちゃう! いやあぁっ!!」 呂律の怪しい言葉で叫ぶ。 元々が果てたばかりで敏感になっている膣だ。そこを更に責められる快楽は半端なものではない。 全体重を俺に預け、完全に屈服したように快感に酔いしれていた。 膣圧で肉棒が食いちぎられそうなほど締まり、俺の手助けをしてくれる。 激しく抽送を繰り返す度に亀頭の先端が子宮口に当たるが、それすらも歓喜で応じる。 「狂っちゃう、狂っちゃいます! お願いですからもう少し優しくしてくださいぃっ!!」 泣き叫ぶ声が耳に痛いほどだ。だがその声は紛れも無く本物。 そして俺も限界を感じ、律動の感覚を狭めていく。 「いやあああぁぁぁっ!!」 絶頂の声と共に膣内は痙攣し、アヤの精神は通常よりもさらに高みへと強引に突き上げられた。 連続絶頂によって普通に果てるより何倍も大きな快感を味わえたのだ。幸せだろう。 アヤが果てた瞬間に合わせ、俺も肉棒を強く突き上げて勢い良く射精する。 丸一日分ほど溜められていた為にかなりの時間精液を吐き出し、アヤの内部を白く汚す。 注ぎ込んだ量はかなりのものだろう。気のせいか、下腹が少し膨らんでいるように見える。 射精しながらも肉襞は絡みつき、一滴も残すまいと蠢く。 やがて体力の限界からかそれも終わり、わずかに秘肉をひくつかせるのみとなった。 激しい突き上げと天井知らずの快楽を味わったことで完全に力尽きたらしく、アヤは崩れ落ちる。 それにしても、一日ぶりの射精はかなり満足できるものだった。 精液と愛液に塗れた肉棒を引き抜く。 口を開けたままの膣からは、愛液と精液の混ざり合った液体が漏れ出てきた。 凄然すぎる光景だ。 だがもう一人、これと同じ結末を迎えなければならない女がこの場にはいる。 「どうだ、間近で処女喪失の瞬間を見た感想は?」 カシスは俺とアヤとの一部始終を声も無く見守っていたのだ。 見るのがあまりも辛すぎるのか一度は目を逸らしたものの、やはり良心の呵責に耐えかねてか覗くように見ていた。 それでも相棒が外聞無く泣き叫ぶ痴態など、見ていても自分の不甲斐なさを再確認するだけだろう。 「さあ、次はお前の番だぜ」 「えっ!? だ、だってもう……」 「満足させるって言ったのは嘘か? それとも、自分さえ無事ならいいのか?」 言葉で心をかき乱せば簡単に乗ってくることは分かっていた。 「わ、わかったわ……」 肩を震わせて怒りを露わにしている。俺に抱かれるのがそうとう不服らしい。 だったら、その怒りすら忘れるほどの屈辱を体験させてやろう。生娘には耐え切れないほどの恥辱を。 「その格好もそろそろ飽きただろ。もう少し趣向を凝らしてやるよ」 何の前触れも無くそう言うとカシスの膝裏辺りを掴み、左右に広げながら持ち上げていく。 怒りを湛えていたはずの顔があっという間に赤く染まっていった。 膝を閉じ、必死で脚をばたつかせて抵抗するが無駄なことだ。 もはや太腿から腰までが浮き上がり、背中ぐらいしか地に着いていない。 だがそれでも手を止めずになおもカシスの身体を窮屈に折り畳み、終には足の指がベッドに触れる。 前屈姿勢のままに天地を逆さまにしたとでも言えばいいだろう。 誰の目にも隠される事無く秘裂を晒す羞恥姿勢だ。 カシスの柔らかな身体のおかげで完成した美術品のような美しさを誇っているが、本人にそれを感じる余裕など存在しないだろう。 「こ、こんな格好っ!! やめてよバカっ!!」 窮屈な姿勢でも罵ることは忘れない。いや、罵らなければ不安で仕方無いのかもしれない。 なにしろ恥ずかしい格好で女性器を視姦されているのだ。 縦筋はおろか、陰唇の一枚一枚の襞全てが認識できるほどの至近距離。 無理な姿勢が祟って秘唇は引きつり、それまでの刺激と相まっていやらしく口を開いている。 その膣口は乾くという事を忘れたかのように淫蜜を溢れさせ、甘く香りを立てている。 陰核も未だ完全には萎えず、半分ほど顔を覗かせていた。 挙句、秘部で自分の吐息を感じることが可能なほど近くに存在してるのだ。 少し視線をずらせばカシスも簡単に見られるだろう。 「いい格好だな、前も後ろも丸見えだ。物欲しげに動いているのがよく分かるよ」 高く突き上げられた秘穴へと口をつけた。 愛液に塗れていた為にそれだけでも唇の周りまでが粘液で瞬く間に汚され、ベタついてくる。 舌を伸ばして秘裂に割り入れると肉襞を一枚一枚皺に沿わせて動かしていく。 刺激に感化されたように蜜液の量は増し、遠慮なく俺の舌に絡んできた。 蜜を下品に啜って口内へ一気に流し込み舌で味わう。 「や、だ……っ、こんなの……さいっ、てい……」 唾液を塗りこんでいくたびにカシスは毒づき、身震いをしていた。 抉り入れた舌で摩擦を施し、嬲るように快楽を教え込む。入り口付近をざらつかせるようにして粘膜を擦り立てていく。 一旦舌を抜き、今度は陰核に舌全体を押しつけて舐め上げた。 カシスは一瞬泣くようにしゃくり上げ、身体を反らせる。 「もう、やめな、さいよねっ……!」 舌技によって与えられる快感を懸命に堪えながら必死の抵抗を続けている。 どうせ余興の様な物だ。ならば、もっと楽しませてもらおう。 「悪いな、アヤじゃなくて」 俺は舌の動きを止め、カシスの顔を覗き込む。 「アヤとの時は大喜びだったから、てっきり好きだと思ってたんだがな。相手が俺じゃ不満か?」 言葉に根拠などなかった。思いつきに等しいが、多少なりとも効果はあるだろう程度にしか考えてはいなかった。 だが弾かれたように動きは止まり、恍惚とは異なる赤に頬が染まっていく。 まるで秘めたる心の内を見透かされたかのような反応。 相変わらず、素直でかわいい女だ。 「ち、ちが……」 「隠すなよ。お前の穴も文句を言ってるみたいだぜ、俺よりもアヤに可愛がって欲しいって」 押えつけていた片手を離し、指を一本秘穴へと潜り込ませる。 アヤとの一時の情事でも思い出しているのか、膣壁はきつく締めつけてきた。 その行為は抜くまいとせがんでいるように思える。 「本当はアヤにこうして欲しかったんだろう? あの時も、そして今も」 指の腹で肉壁を擦り、弱い刺激を与える。 もう既にこれ以上ないほど濡れているというのに、また更に愛液が濃くなっている気がする。 やはりアヤを引き合いに出せばカシスは面白いほど反応を返してくる。 まだまだ楽しみたいが、それでもそろそろ頃合だろう。過剰といっても良いかもしれない。 少しだけ身体を動かして調整すると、だらしなく涎を垂らす陰唇に亀頭部分を押し付ける。 「けど残念だったな、俺が相手で。まあ、女同士よりはよっぽど正常だと思うぜ」 発情しきっている秘部はまだ入り口だというのに俺を招こうと蠢いていた。 その誘いに乗り肉棒を奥へ向けて突き立てる。 ほぐされた肉具はほんの僅かな抵抗だけを残して俺の分身を受け入れた。 「うあぁぁっ!!」 カシスの顔が苦痛に歪み、悲鳴が上がる。だが無視して膣を満たしていく。 「やめ、て……もう、うごかさないで……」 懇願の声にもしやと思い、秘奥まで突き刺した肉棒を引き抜いてみる。 すると愛液に混じってピンク色の液体が漏れ出てきた。 薄まっているが間違いない。破瓜の証拠だ。 どうやら挿入時のあれは処女膜の抵抗感だったのだろう。 アヤは苦痛なく受け入れられたというのに、奇妙なものだ。 「そんなに痛くはないだろう。それにアヤは大喜びだったぜ」 腰の動きを嫌味なまでに遅くして襞を優しく擦っていく。 激しい刺激で一気に狂わせるのではなく、鈍痛をしっかりと味わせてやるためだ。 そしてその痛みが快楽へと変わっていく瞬間を明確に認識させるために。 膣内はアヤよりも狭く、慣らされていなければ受け入れられたかどうか疑わしい。 ただその分締めつけは強かった。熱い肉壁が全体的に纏わりついてくる。 苦痛を伴っているとは思えないほどの吸い付き方だ。俺に蹂躙されることを喜ぶように熱心に締めつける。 「こんなこと、されたら……あたし……うっ!」 優しく擦られ続けるという刺激に心を乱されているのか、カシスの言葉には微かに熱が篭っていた。 肉棒を引き抜けば愛液が掻き出され、カシスの身体を伝わって落ちる。 それと同時にめくり裏返されて淫猥な形状を作り上げた。 突き下ろせばそれらはめり込んで縦皺が深くなり、膣内は狭くなって肉棒を押し潰そうとする。 俺は何度も上下運動を繰り返して肉の感触に酔う。少しずつ動かす速度を上げながら。 「ん! ひっ、はぁ」 肉棒の出し入れに合わせてカシスの声が漏れる。徐々に痛みよりも快楽が勝っているのが声色で分かった。 襞も俺の責めを甘んじて受けるだけでなく楽しませようとしてか蠢きを増す。 限界が近いらしくその蠢きは痙攣するように落ち着きが無い。 それでも感じていることを頑として認めたくないのか、カシスは強く瞳を閉じていた。 だったら、否定など無意味なほどしっかりと快楽をその身に刻み込んでやる。 俺は肉棒を膣から抜ける限界まで引き抜き、そして渾身の力で突き入れた。 「んんううぅぅっ!!」 くぐもった悲鳴が響く。 一突きがよほどの快楽をもたらしたのかカシスは全身を震わせながら身悶える。 不自由な体勢でも全身に力を込めて瞳を閉じ、それでも最後の矜持とばかりに歯を食いしばっていた。 果てた証拠のように結合部の隙間からは愛液がたっぷりと溢れ出す。 だがカシスが達しようとも俺の動きは止まらない。 突き込んだ勢いそのままに長い間隔で膣粘膜を擦り上げ、果てたばかりの秘部を更に嬲っていく。 「ひぃっ!! 動かれたら……またぁっ……!」 休まることなく与えられる快楽に敏感な襞は再び絶頂の兆候を見せ始めた。 快感のために膣内をたっぷりと濡らしながらも堪えようとしている。 しかし、所詮は無意味な抵抗に過ぎない。 再びカシスを快楽へ溺れさせるべく手加減せずに腰を使い、責め立てていく。 「あはああぁぁぁっっ!!」 泣き叫ぶ声と同時に膣全体がきつく締まり、ほとんど間を置くことなく再度の絶頂に達した。 胎内は熱く蕩けるような感覚を持っているが、俺は構うことなく粘液を擦る。 その動きは先程と比べて明らかに切迫しているのだが、果たして意識の飛びかけているカシスでは気付けないだろう。 極上の締めつけを持つ膣に扱かれたおかげで、俺も限界が近づいているのだということは。 「アヤと揃いにしてやるよ」 涙を流しながら絶頂感を漂わせた顔をしているカシスに向けて呟く。 「え……!? い、いやぁっ!!」 意識が混濁していた為に一瞬遅れたがそれでも言葉を意味を感じ取り、瞳を大きく見開いて何とか逃れようとする。 だが抵抗しようにも拘束されている身体では満足に動かすことも出来ず、ひっくり返された体勢ではどうする事も出来ない。 俺は鈴口を子宮口に叩きつけ、精液を強く吐き出す。 「う、は……ああ……」 膣内射精を受けてさえ、どうやら軽く達する事が出来たようだ。 カシスの瞳が屈辱と絶望と、そして潜む様な快楽に彩られていく様子をじっくりと観賞する。 子宮内部へアヤの時にも負けるない程大量の精液を流し込みながら。 やがて射精の余韻までを存分に味わうと、肉棒を引き抜き密着していた身体を離す。 窮屈な体勢からようやく解放された身体は脱力したように寝転がり、秘部付近から様々な体液を垂れ流していた。 「お前も満足させられちまったか」 まだまだ物足りなさを感じながらも身体を起こして衣服を整える。 虚脱感を全身から漂わせているカシスではもはや俺の相手など到底出来はしないだろう。 元々生娘二人程度で俺をどうにか出来る話ではなかったのだが、宣言したのはこの二人だ。 「二人とも失敗した以上は、報いを受けてもらわないといけないな」 言いながら俺はアヤたちから取り上げたサモナイト石の一つ――緑色の物――を手にする。 「な、なにを……?」 快楽の余韻からいち早く抜け出したのだろうアヤが恐る恐る声を掛けて来た。 だがその声を無視し、記憶を呼び起こして間違いのないことを確認すると手に魔力を込める。 「来な」 続いて名前を呼び、こちらの世界へと召喚する。 召喚獣は呼びかけに応え、一瞬の閃光を切り裂くようにして姿を現した。 まず目に飛び込んできたのは植物の種子。それも綿毛の様な物だ。 それが一瞬にして成長をすると朽ちた切り株に姿を変える。 切り株の隙間を縫うようにして、その中に緑色をした何かがいるのも見える。それこそが本体。 「森のめぐみ……ですか?」 今度は幾らか安堵したような声色でアヤは召喚獣の通称を口にした。おそらくは無害な召喚獣だからだろう。 確かに間違ってはいない。 コイツは木々が本来持つ自然治癒力を転化させることで他者を癒す事の出来るメイトルパの召喚獣。 木質の硬さを持ち合わせながらも同時に泥のごとく不定形という奇妙な生き物。 他者を傷つけるような器官など何一つ持っていないため、恐れるには値しない。 それでもアヤの言葉にはまだ瑣末な不安が残っていたのは、俺の真意を読み取りかねているからだろう。 「それじゃ始めるとしようか。ウッディスライム、たっぷりと遊んでやれ」 誓約された名前を呼ばれ明確な命令を与えられれば逆らうことは出来ず、召喚獣は動き出した。 「えっ!? こ、これって……」 緑色をした不定形な肉体を操り蔓のように伸ばしてアヤたちの身体へと迫っていく。 一本一本は小指程度に細く、動きも決して速いとはいえない。 だが数十本にも及ぶその数は脅威的だった。全身から蔓を生やし、緩慢に動いている。 「せいぜい色気を出すんだな。勝手に果てた分を埋め合わせるくらいに」 恐怖に戦くアヤへと声援を送ってやりながら、俺は備え付けの椅子に腰掛ける。 幾ら動きが遅いとはいえ、如何せん距離事態がない。 蔓の群れはすぐさま二人の脚に絡みつき、白い太腿にまで続く緑色の縞模様を作り上げた。 「なっ、何これ!? いやあぁぁっ!!」 両足を拘束されるという違和感から意識を覚醒させられたらしく、カシスが嫌悪を叫ぶ。 対照的にアヤは何も口にしなかった。ただじっと蹂躙されることを待っているように見える。 だが叫ぼうが叫ぶまいが蔓の動きは止まりはしない。 脚の動きを封じた数本とは別の、残った蔓が二人の肉体へと襲い掛かった。 緩慢な動作そのままに二の腕へと巻きつき、細い見た目とは裏腹に意外な力を発揮して身体を無理矢理起こす。 そのまま引き摺るようにして動かされ、二人とも膝立ちの姿勢を取らされたまま向かい合わされている。 顔を赤らめている様子からすればおそらくお互いの瞳には相手の秘部が見え隠れしていることだろう。 だがまだ蔓は残っている。 今度は胸元へと這い寄って行った。腋の下辺りから蔓の先端が顔を覗かせ、乳房を象るようにして巻きついていく。 「やだっ、動かないでぇっ!!」 「こ、こんなこと……」 カシスは身体を揺らしてどうにか振り払おうとしているが、いくら暴れようとも蔓はびくともしない。 一切の澱みない動きによって完全に巻きついた。 「こうしてみると、違いが良く分かるな」 俺はポツリと呟く。 ある程度の力を持って巻きつかれた二人の胸は薄絹を隔てているとはいえその上からくっきりと浮き出ていた。 搾り出され強調するように張り出ており、その大きさを視覚から俺へと如実に教えてくれる。 こうして見れば、控えめなカシスの胸もそれなりの大きさを持っているように見えるから面白い。 無論、元々がかなりの大きさを誇っているアヤの胸も然りだ。突き出された乳房を蔓は弄びだした。 蔓の先端部のみを器用にくねらせて乳首へと巻きつき、蔓自身をゆっくりと回転させて刺激を与えている。 同時に蔓全体を胸へと沈め、揉み込むような動きを見せてもいた。 「んっ……くぅっ……」 「はぁ……はぁ……」 二人の口からは途切れ途切れの嬌声が漏れ出ていた。 それほど強い刺激ではないだろうが、幾度も激しい絶頂を味わって肉体が過敏になっている二人には辛いだろう。 ほとんど自由にならない身体を捻って何とか堪えているといったところだ。 顔を上気させているところを見るとそれほど耐え切れているとも言えないだろうが。 少しだけ視点を動かせば、秘部は肉体の刺激に反応して再び淫らさを漂わせている。 ――頃合だろう。 そう念じただけでウッディスライムは俺の意思を汲み取り、残った蔓を動かした。 蔓が二本ずつアヤたちへと近寄り再び脚へと絡みつく。 だがそれは道を進むための一時的なものに過ぎず、蔓は脚から這い登ると先端が淫裂を優しくつついた。 「ひっ!」 「あんっ!」 突如として下半身から襲ってきた衝撃はどうやら油断していた肉体により大きく響いたらしい。 鋭い痛みでも受けたように目を見開いて身体中を跳ね上がらせる。 申しわけ程度に先端を秘裂へとめり込ませるとその蔓は唐突に行動を止めた。 そして小器用に形状を変化させて二股になり、左右に引っぱるようにして秘唇を割り開く。 割り広げられた淫裂からは一時的に溜まっていた愛液が漏れ出し、押さえる蔓を汚した。 残った一本ずつの蔓は触れたかどうかも分からないほど微細な動きで今度は陰核へと触れる。 「んっ!」 「ふぁっ!」 優しく控え目な刺激を施されても声が上がり、陰核は再び顔を覗かせていく。 のろのろと勃起していくのを余所に、糸の様に細く長い蔓が姿を見せる。 陰核が顔を覗かせたと見るやそれまで責めていた蔓は巧みな動きで包皮に巻きつき、完全に引き下ろす。 「いやぁっ!! 止めてぇぇっ!!」 「ひっ、こ、これ……すごい……だめですっ!!」 完全に剥き出しにされた肉芽は空気の流れにすら敏感に反応し、アヤたちに狂いそうな快楽を提供する。 だが蔓の動きはまだ終わっていない。 細長い蔓が待ちわびたとばかりに肉豆へ根元から巻きついた。 「か……は……」 声にならない声が一瞬にして返ってくる。 それまでは刺激を受ける度に仲良く喘いでいた声が、今回はカシスの分だけ響く。 アヤはといえば、声を上げることも忘れたように恍惚の表情を浮かべている。 いや、実際に声を上げる余裕すら残っていないのだろう。 そうなってもおかしくないほどの刺激を受け続けているのだから。身体中を痺れさせたようにしている様からも窺える。 動きたくても動くことの出来ないほどの快感。 そのうえ刺激から逃れようと反射的に身体を動かせば蔓の糸が絡まり更なる快楽を味わう羽目になる。 だからこそ快感に身を委ね動けずにいる今の状態は二人にとっては不幸中の幸いであると言えた。 無論、このままずっと動かずに済むほど甘くはない。 自分の力で動かないのであれば、動かしてやればいい。幸いなことに蔓はまだ残っている。 残っていた蔓は広げられた秘裂を這い進み、易々と膣口へ潜り込んだ。 「なにこれ……入って、きて……るの……?」 「この感覚って……間違いない、みたいです……」 流石に胎内へと進入した異物感には敏感に反応したようだ。 互いに恐慌したように言葉を交わし合い、それでどうなるわけでもないのに推論を述べ合う。 確信を隔しているのは蔓自体が太さも硬さも少ないからだろう。膣内では蔓が押し潰されているに違いあるまい。 「安心しろ、そいつは細い上に軟らかいからな。馬鹿みたいに拡張されて緩くなっちまうこともない」 少し下を向けば緑色の蔓が自分の股間から伸びている様が見えるというのにアヤたちは見ようとしなかった。 だが俺の言葉によって否応なしに事実として認識される。 そして蔓自身も自らの存在を誇示するように膣内を這い登り始めた。 「んっ、はぁ……ああっ……」 「奥まで……くっ、戻ってよぉっ!」 それまで指の第二関節程度に遠慮がちに埋まっていたのがズルズルと我が物顔で奥へと突き進んでいく。 肉棒を受け入れた時のような膣内が満たされる感覚は薄いだろうが、その分蔓は縦横無尽に暴れ回れる。 ただ膣内がどのように蹂躙されているのかまで見ることが出来ないのがいささか残念だが。 蔓はどうやらあらゆる角度から肉襞に擦りついているようだった。 むず痒いような弱い刺激を与えることで、逆にアヤたち自身に動かせるように画策しているようである。 しかし何時までも緩慢な動作を続けているわけではなく、時折思い出したように強烈に蔓を撓らせもする。 強引な動きのせいで腰を無理矢理動かされ、強制的に快楽を味わう羽目となるのだ。 緩急のつけられた蔓の技のせいで刺激が恋しくなったのか、動きが鈍いときでもアヤたちの腰が僅かに揺れだした。 自ら陰核を擦りつけて快楽を貪り始めている。 だが指摘しても頑として認めないだろう。完全に断定出来ないが、少なくとも片方は。 「まあ、分かりきってることだろうが」 嘲笑と共に言葉を紡ぐ。 「所詮それは植物の蔓だからな。男のように果てることもなけりゃ、休むこともない。俺が命令を解かない限り動き続けるぜ」 言葉には事実を再確認する程度の意味合いしかない。分かりきっていることだからこそ改めて思い知らされることとなる。 この責め苦から逃れるのも延々と味わうのも全て俺の心次第だということを。 「でも、そっちの方はもう無理みたいだな」 二人へと更に言葉を浴びせ掛ける。 絶え間ない刺激ですっかり興奮したらしくこれまでに無く息が荒い。 軽く達する程度なら何度も味わっているだろうが、その程度では肉体が満足してないのだろう。 欲しているのは本当の満足感を得られる程に深い絶頂。それを得るために必死で快感を求めている。 「せいぜい可愛い姿を見せてくれよ。蔓で果てるその姿をな」 突然、弾かれたようにアヤたちは顔を見合わせた。俺が言わなければ気付かずに済んだのかもしれない。 自分たちが植物を使って果てようとしている卑しい人間だということに。 泣き出しそうな顔をして動きを止めようとするが、それは止めるには遅すぎた。 「私……わたし……でも……でもっ!!」 「こんなの、こんなの嫌あぁぁっ!!」 幾つかの感情――快感に羞恥に背徳感と情けなさ辺りか――が混ざり、二人の理性を奪い去る。 満足するほど深い絶頂に達したようだ。 果てた際にも動いていたことから考えれば、見た目以上に激しい快感だったに違いあるまい。 普通ならばこのまま崩れ落ちそうなところだが、生憎と蔓がそれを許さないでいる。 惚けた表情の二人を支えたまま命令を忠実に守って責め手も休んではいない。 だがこれ以上刺激を与えても今以上の反応は望めないだろう。 「まあ、この程度で充分だろう。中々面白い見世物だったしな」 俺は拍手をしながら椅子から立ち上がり、ウッディスライムの動きを止めさせる。 命令に従って全ての蔓は静止し、絡みついていた蔓も潮が引くように離れていく。 支えを失った身体はベッドの上に倒れこんだ。まともに腰が立つかどうかも妖しいほど消耗している。 もう充分だろう。 「カイナ、送り帰してやれ」 「え……い、良いんですか……?」 「ああ」 戸惑うカイナをしばらく見つめると観念したように口を開いた。 「はい、わかりました」 不信感というか不安感というか。とにかくそういったものが拭えないのだろう。 無理も無い事だ。今までの俺からすれば異質すぎると誰でも思うはずだ。まだ危険性が残っているのだから。 だが、これでいい。 「それと、コイツも返しておいてくれ」 完全に鞘へと収まっている事を確認してから、カイナへ向けて放り投げる。 それはカシスが持っていたナイフ。俺に付け入る隙を与える切っ掛けとなった品物だ。 「は、はい……?」 受け取った手の中のナイフを見つめて、だが結局何も言っては来なかった。 俺の真意を測りかねているらしいが、それでも言われた通り精根尽き果てた二人を支えて部屋から出て行く。 完全に部屋から出て行ったことを確認すると、アメルが心配そうな顔で寄ってきた。 「本当に良いんですか? あのままだと……」 「不安か?」 言葉を途中で遮るようにして肩から抱き寄せてやると、アメルは小さく頷く。 「心配するな。考えも確信も無しにこんな真似はしない」 俺は知っている。たった一晩でもどれだけの事が出来るのかを。 傾きだした陽光が室内に差し込んできていた。 夜の帳がもうすぐ落ちる。 続 前へ | 目次 | 次へ |
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