3. 義務と意思の狭間にて
社長は僕を振り返させると、再び椅子に座らせた。
力の抜けた僕は背もたれに体を預ける。
社長は僕の頬を優しく撫でながら、視線を下ろしていった。
「葵くんの顔、すっごく可愛いよ。それにここも…」
社長の視線の先には、イったばかりでひくひくと痙攣している僕自身がある。
「やだ、見ないで下さい!」
急いで手で隠すのだが、すぐに手首を掴まれて開かされてしまう。
露になる、僕の下半身。
社長はそこを眺めながら微笑んだ。
「隠すことないんじゃないかな? 君のここ、凄く綺麗だから…」
社長はふぅっと息を吹きかけた。
「んぁあッ」
そのゾクリとする快感に僕は体を震わした。
弛緩していた体に再び力が篭る。
「本当にやりがいのある子だね、君は。さて、それじゃあ…そろそろこれを試すとしようか」
そう言って微笑んだ社長が手にしたのはバイブだった。
リモコンによってスイッチを入れると、ヴヴヴ…と機械音を鳴らしながらゆるやかに回転する。
社長は少しだけレバーを上げ、回転速度を上げた。
回転のスピードが上がると同時に、上下に律動し始める。
「根本にある機械がピストン運動をして突き上げるように動くんだ。もちろん、本体は中を掻き回しながらね。きっと気持ちいいと思うんだけど…まぁ、試せばすぐにでも分かるよね」
「あ…っ」
社長は恥ずかしさに閉じていた僕の足を開かせると、バイブの先端を後孔にあてがった。
「…は、しゃちょ…っ」
「大丈夫、安心して」
社長は柔らかく微笑むと、ゆっくりとバイブを挿入した。
「ぁ、ふぁ…んんっ! ああ!?」
耳障りなモーター音と共にバイブの振動と下から突き上げるような律動に襲われていた。
社長のものよりかは大分小さい、けれど十分大きいと言えるバイブは自分で動こうとしなくても一番感じる部分をビリビリと刺激する。
快感慣れしていない僕にとって、強すぎる快感は痛みと紙一重だった。
「うん、十分な性能がありそうだね。これなら売れそうだ」
椅子に座って足を開き、バイブを呑み込んでよがっている僕の姿を満足げに眺めながら社長は微笑んだ。
「あぁ、も…嫌! 社長やめて下さい…ッ」
性能が分かったのならもうこれ以上この行為を続ける意味はない。
そう思って言ったのだが、社長は首を縦に振ってはくれなかった。
「駄目だよ。きちんとこれでイケるかどうか見ないと」
社長はリモコンについているレバーを強に押し上げた。
「んぁあああっ!!?」
途端に激しくなる振動と律動に、急激に追い立てられていく。
下半身に熱が篭っていくのが分かる。
「あああ、んぁあっ…やぁあっ!」
乱暴に絶頂に導かれていくような快感に、僕は頭を振った。
下半身はビクビクと震え、ひっきりなしにトロトロと溢れている先走りは陰茎を伝い、押し広げられて敏感になっている後孔までもを濡らしている。
当然、座っている椅子はびちゃびちゃだった。
「ふぁ、もっ…だめぇっ!」
「葵くん?」
「ぁああっ、い…イクぅっ!!」
大きく背中を反らせると同時に、熱いものが尿道を駆け上がるのを感じた。
「ひっ…あぁ―――ッ!!」
悲鳴のような声を上げ、僕はひとたまりもなくイってしまった。