8. 義務と意思の狭間にて


「ねぇ、葵くん。今日は媚薬を作ったんだけど試しても良いかな?」

社長室に入って一番に言われたのがHのお誘いの言葉というのもどうなのだろう。
そう思いつつも僕は頷いた。
社長は僕が頷くのを見て嬉しそうに顔を綻ばせた。
大人の玩具類の売れが非常に良いことに気を良くした社長と社員は、今や子供の玩具よりも力を入れて大人の玩具の開発をしていた。
開発に力を入れれば入れるほど、製品が短期間に多く社長の元に集まってくる。
結果的に、それは全て僕の体で試されることになるのだ。

「じゃあ、これを飲んでくれるかな」

ピンク色に透き通った小瓶に入った液体。
それを社長はジュースに混ぜると僕にカップを差し出した。
それをごくりと飲み干す。
媚薬を入れたものの、味は普通のジュースとなんら変わりない。
これなら、気づかれることなく相手に盛ることが可能だろう。

「どうかな?」
「そんな急には…」

期待に満ちた瞳を向けられ、僕は苦笑した。
そんなに早く効果を試したいのだろうか。

「そうだ。一つ提案があるんだけどいいかな」
「はい。どうぞ、おっしゃってください」

首を軽く傾げて言うと、社長は少しだけ恥ずかしそうに言った。

「セックスっていうのはやっぱり愛の営みなわけだからさ。だから、僕らも愛し合うべきだと思うんだよね」
「…はい?」

社長の言葉の意味が全く理解出来ない。
確かにセックスは愛の営みだ。
かといって、どうして僕と社長が愛し合う必要がある…?

「初めて僕たちが抱き合った日に言わなかったっけ? 性能をきちんと確かめるには、これを購入して使う人の体と限りなく近い状態にしないと駄目だって」
「…あ」

そういえば、そんなことを言っていた気がする。

「媚薬を使うのは愛し合った者同士だと思うのね。まぁ、例外もあるかもしれないけど…それは置いといて。基本はそうでしょ?」
「だから、愛し合えと?」
「そういうこと。理解が早くて非常によろしい。っというわけで、愛し合おう。もちろん、僕たちが抱き合うときのみのことで、他のときにはいつもの関係に戻るけどね」
「はぁ…」

僕は曖昧に頷いた。
どのみちしていることは愛し合った者同士と変わらないのだし、別に良いだろう。

「それじゃ、今から君は僕の恋人ね」

社長はそう言うと僕をソファーへと座らせた。
社長の温かな手が僕の頬を撫でるように滑り落ち、それから顎へと指がかけられる。
ゆっくりと、顎を上げさせられる。

「社長…?」
「愛してるよ、葵くん」

演技なのだと分かっていても、その言葉に胸が甘く締め付けられた。
注がれる視線すら深い愛が込められているように感じて、僕は戸惑いを覚えた。
まるで本気で愛されているのではないのかと錯覚しそうになる。

「葵くんは…?」
「…あ、僕も……愛しています」

そう言うと社長は笑みを浮かべた。
そしてゆっくりと伏せられた瞼に、ドキッと心臓が跳ねた。
キス…される?
僕は社長と同じように瞼を閉じた。
緊張によって瞼が震えるのが分かる。
ゆっくりと、唇を重ねられた。
社長の唇は柔らかくて温かくて、気持ちいい。
何度も角度を変え、社長は僕に口付けを繰り返す。
彼の舌が唇を割って口内に挿し入れられた。

「ふぁ…んぁっ」

絡めとられるように舌の裏筋をなぞられ、ゾクッと痺れるような快感が襲ってくる。

「んふ、ぁ…ぅんっ」

歯列の裏を舌先でくすぐるようされ、唇を甘く噛まれたり吸われたりすると、頭がぼーっとして何も考えられなくなる。
口腔の奥深くまで舌で犯され、飲みきれなかった唾液が漏れ出し喉を伝っていく。

「ぷはっ…あ、ん……っ」

唇を離すと、絡ませあった証が糸を引く。
その糸は酷く卑猥な輝きを放っており、それを見ているだけで頭がくらくらとする。

「あ…社長」

唇が離れたことが名残惜しくて、社長を見つめる。
社長はそんな僕に再び吸い付くように唇を重ねてきた。

「ん…っ」

唇と唇が重なるだけで、舌と舌が触れ合うだけで、考えられないような快楽が訪れる。
僕は夢中になって社長の唇を求めた。
社長はキスをしながら僕のスーツを脱がせ、ワイシャツのボタンを外していく。
肌蹴た前から手を忍ばされ、胸の飾りに触れられた。

「ぁん…っ」

キスとはまた違った甘い痺れに、上がっていた息は更に荒くなっていく。
指先で両乳首を擦られると、そこはすぐに充血して硬くなった。

「あふ、ぁんんっ……ん」
「はぁ…可愛いよ、葵くん」

社長は唇を首筋、胸、お腹へと下ろしていく。
もちろんただのキスではなく、肌を吸い上げてキスマークを付けながら。
ゆっくりとジッパーを下げられ、ズボンを脱がされる。
既に先走りが滲んで下着を濡らし、自分のものがありありと見て取れる。
その恥ずかしさに、僕は顔を逸らした。

「すごいね…葵くんがもともと敏感なのもあるだろうけど、やっぱり媚薬の効果もあるのかな」

社長は愛しそうに、下着の上から僕を擦った。

「んぁ…っ」

ゾクゾクとした快感が沸きあがってくる。
もっともっと、決定的な刺激が欲しい。
けれど社長はゆっくりと円を描くように愛撫してくる。
その動きはひどくもどかしくって、僕は社長を見上げた。

「社長…」

社長が欲しい。
これは言いたいけど、言いたくないことだった。
僕は唇を噛み締めた。
そうでもしていないと、早くしてだとか、そういう恥ずかしい台詞をたくさん言ってしまいそうだったから。
けれど僕から求めない限り、社長はずっとこの愛撫を続けるのだろう。
僕はしばらく社長の目を見つめていたのだが、社長がこれ以上のことをしてこないと悟ると、社長の唇に自ら唇を重ねた。

「ん…ぷはぁ、社長…お願いです…っ」
「どうしてほしい? 言ってごらん」
「僕のここ…触ってぇ」

恥ずかしさに死にそうになりながら、僕はそっと勃っている下半身を指した。
下着に押さえつけられているそこはひどく窮屈で辛かった。
早く、解放してほしい。

「ここ…触るだけでいいの?」

意地悪なことを言ってくる社長に、少しだけ頬を膨らませた。
どうしてほしいのかなんて分かってるくせに、何故こういうことを訊いてくるのだろう。

「本当はどうしてほしいの…?」

社長は僕の耳元で優しくささやきながら、乳首を強くつねった。

「んっ…!」

胸から痛みとともに甘い痺れが落ち、下股の付け根が疼く。
恥ずかしいけど、でも…もう、我慢なんて出来ない…っ!

「ぁ…い、挿れ…てほしいの」
「何をだい?」
「社長の…大きい、のぉ……っ」

言い終えると顔が一気に熱くなった。
本当に、顔から火が出そうだった。
社長は満足げに笑みを浮かべると、僕の下着を勢いよくずり下ろした。
途端に現れる、勃起して脈打つ性器。
溢れる液によりてら光するそれは、今までになく大きくなっていた。
社長の指が、性器にかけられる。
軽く触れられただけなのに、電気に似た快感が体中に伝わる。
五本指に力を入れられて上下に扱かれると、熱の塊が尿道を駆け上がっていく感覚がした。

「んぁああっ、社長…ふぁっ、ああん!」

早くもイキそうになっている僕に社長は苦笑した。

「もう…仕方ないな。でも、僕は葵くんと一緒にイキたいんだよね…だから、ごめんね」

社長は僕の根元を手で押さえ込んだ。
イキたくてもイケないことに焦燥を覚える。

「社長ぉ…っ」
「もう少しだけ我慢して」

社長は微笑むと、僕の後孔に指を這わせた。

「ひゃぁんっ!?」

指が挿入される感覚に腰を浮かせる。
挿しこまれた長い指は中を縦横無尽に動き回り、それから快感のポイントに触れた。
何度も何度も擦られるたびにイキそうになるのに、イクことが許されない苦痛に涙を流す。

「あぁああ、しゃちょぉ…お願い…ひぁっ」

後孔に熱いものが宛がわられる。
それが何なのか分かると、僕は悦びからくる悲鳴を上げた。

「ふぁっ、社長…!」
「葵くん…っ」

グイグイと奥に挿し入れられ、そのつど快感に背筋が震える。

「ぁあんっ! しゃ、ちょ…ぅ」

僕は体を社長にぴったりとくっつけさした。
もっと、もっと奥に…深く、社長を感じたかった。

「愛してるよ、葵くん」

耳元で愛の言葉を囁かれ、胸がキュンと切ないくらいに甘く締め付けられた。

「社長…っ」

下から強く突き上げられ、僕は体を大きく仰け反らせた。
快楽から流れ出た涙はボロボロと頬を伝う。
社長と繋がった部分は熱くとろけ、このまま溶け合ってしまいそうに思えた。
それほどまでに、体を襲う快感は激しいものだった。

「葵くん…っ」

社長の僕の根元を押さえ込んでいた手のひらが外される。

「んぁ、しゃ…ちょ……っ」

ズンッ、と骨身に響くように突き入れられ、僕は瞼をキツク閉じて声を上げた。

「ふああ…ッ!!」


頭の中が白熱していく。
ずっと押さえ込まれていた下半身からはびゅくびゅくと白濁した液が何度も何度も放出され、僕はあまりに強い快感にそのまま意識を手放した。




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