9. 義務と意思の狭間にて
目が覚めて一番に目に入ったのが至近距離にある社長の顔だったため、驚いて僕は飛び跳ねた。
途端に強い快感に襲われ、僕は社長の体に縋るように抱きついた。
「あぅん! …な、なに…?」
下を見ると、僕と社長がまだ繋がったままなのだと分かった。
社長のものが中で脈打っているのを感じる。
僕は社長から離れようとしたのだが、抱きしめられ、押さえつけられてしまった。
僕は戸惑って社長の瞳を見つめた。
「あのときの葵くん、可愛かったよ…」
そう言って社長は唇を重ねてきた。
まだ媚薬の効能が残っているのか、唇が触れ合っただけで甘い痺れが体を襲い、舌を絡めとられれば体中の力が抜け落ちた。
「はぁ…っ、社長…体、熱いです」
「可笑しいな…媚薬の効果はもう切れているはずなんだけど?」
その言葉に首を傾げる。
なら、この体の熱は一体なんだろう…?
困ったように社長を見ていると、社長は優しく微笑んだ。
「ぇ…ぁ、あんっ!」
下から突き上げるように腰を動かされて僕は声を上げた。
「社長…っふぁ……あ、んんっ!」
何度も何度も突き上げられ、僕は簡単に果ててしまった。
「あ…」
「もう達しちゃったの?」
社長の言葉に顔が熱くなった。
こんなにも早くイッちゃうだなんて…!
「すみません…」
泣きそうになりながら言うと、社長は僕の額にキスを落とした。
「媚薬の効果が切れても感じてくれる葵くん、本当に可愛いよ」
そう微笑んでくれる社長が嬉しくて、僕は自ら社長と唇を重ねた。
社長は驚いたような顔を見せたが、すぐにその表情は照れたような笑みに変わった。
頬がうっすらと赤く染まっている社長をすごく愛しいと思う。
「愛してるよ、葵くん…」
「僕も…好きです、社長」
社長の体に手を回すと、社長は同じように抱きしめ返してくれた。
繋がった部分はまだ熱を持っていて、社長はゆっくりと腰を動かした。
僕も社長に合わせて、腰をゆっくりと動かしていく。
甘い快感の中、僕は熱に浮かされたように何度も社長とキスをした。
社長の唇は熱くて、舌が絡めば今にもとろけてしまいそうだった。
恋人のふりをしているだけでも、こんなにも気持ちよくなれるのなら。
幸せな気分になれるのなら。
社長と本当に付き合ったら、どれほど幸せになれるのだろうか―――。