4. ちいさなことですらあなたを独り占めしたくて堪らない の


放課後、先生に会うために自習室へと向かう。
ローターはまだ、入れたままだ。
だって約束だから。
入れたまま授業を受け続けれたら、もっと熱くしてもらえるって。
トイレであれだけ気持ちよくしてもらったのにも関わらず、僕の身体は疼いて仕方がなかった。
きっと先生は僕のこの疼きを、満たしてくれる。
散々焦らして、泣かして、喘がせた後で。
そのときのことを考えると、内壁がひくんと震えた。
イクにイケない苦しさに耐え抜いた後に与えられる絶頂は、僕を虜にしていた。
早く、先生に弄ってもらいたい。
先生の楔を、深く埋め込んでもらいたい……。

「……せん、せぇ……」

少し動くだけでも膝から崩れてしまいそうなほどローターの刺激は気持ちよくって、僕は出来る限り腹部に力を込めないようにして声を出した。
こんな玩具でイカされたくはなかったから。
僕が達したいのは、達せられるのは、あくまで先生相手のときのみだ。
恍惚とした思いのまま扉を開けて中を覗き、僕は目を見開いた。
先生が、女子生徒と唇を重ね合わせていたんだ。

「…………?」

事態が、呑み込めない。
目の前で行われている行為を受け入れることが出来なくって、僕は視線を逸らした。
昂ぶっていた身体は冷めていき、代わりにじっとりとした汗が出てきた。
心臓が先程までとは違う意味で、早く動いている。

「……せんせぇ?」

僕は小さく呼んで、再び室内を見た。
そこにはやっぱり、見たくもない光景が広がっているわけで。
あの女子生徒には見覚えがあった。
僕同様、以前から勉強を教えてもらいに来ていたはずだ。
膝がカクンと折れて、僕は廊下に座りこんだ。
頭の中が、真っ白になっていく。
先生が僕以外の人間と、キスをしている。
僕、以外と……?

「あ……はっ……」

そうだよ、な。
先生は僕だけの相手をしてくれているんだと、思い込んでいた。
そんなわけがないんだ。
だって先生は、すごく格好よくって、たくさんの人に人気があるんだから。
だから僕以外のたくさんの人と、こういうことをしていたって可笑しくない。
僕とのセックスも、先生にとってはそのたくさんのなかの一つに過ぎないんだ―――。

「やっ……馬鹿、みたい……」

その事実に気がついて、嘲笑が漏れる。
何を自惚れていたんだろう。
先生は僕だけを抱いてくれているのだと思っていた。
僕のこと…想って、くれてるんだと思ってた。

「っ……せんせぇ……」

視界が霞んで、よく見えない。
けれどそれで良かったのかもしれない。
これ以上、先生と女子生徒がキスをしているところなど、見たくなかったから。
僕はギュッと両腕で鞄を抱きしめると、そこから逃げるように駆け出した。



どうして好きになっちゃったんだろう。
どうして、どうして……。
僕が好きだと言ったときに、冷たく突き放してくれれば良かったのに。
キスなんてしてくれなければ良かったのに。
そうしたのなら、こんなにも、先生に夢中になったりしなかったのに……ッ。
苦しくって、悔しくって。
僕は家に帰ってからも、泣き続けていた。




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