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第8話「借金地獄」
「・・・知っている天井だ。」
ウズメノの神社の旅立つ前まで使っていた部屋で、アイは布団の上で起きていた。目の前には、8年間、見慣れた天井がある。
アイは、身体を起こそうとすると、被っている掛け布団が、下へと落ち、小柄の身体には不釣り合いな豊かな双丘が、姿を見せる。
「・・・裸?」
少女は、自分が裸であることに気づく。そして、地獄のような陵辱の記憶を思い出した。
「確か・・・私は男の人達に陵辱されて・・・死んだんじゃなかったけ?」
自分の豊かな双丘の先端を指で挟み、軽く揉む。少しだけ、快楽を感じることで、今生きていることを再確認した。
「・・・生きてる。私、生きてるんだ・・・生きているのですよ!」
生きていることを確認した少女は、陵辱死ENDで終了しなかったことを喜んだ。あの時は、死んでもいいと思っていた少女だが、一度冷静になると、生きている事の素晴らしさを実感していた。
「生きているのです!生きているのです!生きているのですよ!生きていれば、いつか!清純派ヒロインになれると思うのですよ!」
少女は、どこまでも前向きである。というより、陵辱エロゲーヒロインであるという現実から逃避しているだけだった。あれだけの陵辱を受けた事は何かの間違いだと思っているに違いない。
バン!
襖が激しい音を鳴らして開かれる。襖を開けた人物は、丸坊主の少年にしかみえない身長180cmの少女アズサだった。
「うるさいよ!静かにしてね!理解したら、すぐに死んでね!」
「管理人さん!お久しぶりなのですよ!」
アイの主観時間としては、30日ぶりの管理人さんとの出会いである。
「こちらは久しぶりじゃないよ!1ヶ月間、眠っているあんたを世話したんだよ!理解したら、感謝してね!10億でいいよ!」
主に布団を取り替えるという意味では、世話をしている。巫女さんは、一度死ぬと、ウズメノ神社で1ヶ月間眠る仕様なのだ。
「世話はありがたいのですが・・・10億?」
「あんたが眠っている間の管理費用だよ!払えないならトイチでいいよ!優しくてごめんね!」
これで、アイの借金は11億になったのだった。10年ごとに、1億1000万づつ、借金が増える計算である。しかも、複利計算であるため、元金に利子を足した金額で計算する仕様だ。
「後、新しい巫女服をあげるから1億貰うよ!金がないなら、借金さんだよ!理解してね!安物の短刀は無料であげるよ!優しくてごめんね!」
さらに1億が追加されて、12億になった。ちなみに、巫女服は、管理人さんが昔作った巫女同士による相互協力組織「巫女協会」の特別仕様である。
アイのアイテム鑑定を使用した場合、このように詳細が表示される。
巫女服
自動修復機能あり。
女性の乳首を刺激しないように作られた上半身に着る白衣と、下半身に着る赤い袴の二つで構成されている。
妖怪との戦いの事を第一に考えて作られているため、敗れても修復する機能がついている。
ただし、防御性能は、ほとんどない。
巫女さんは、裸で妖怪と戦えば、高確率で妖怪に敗北する。陵辱エロゲーの法則。陵辱イベントが始まったら、ヒロインは大人しく陵辱されるべきが発動しやすくなるからだ。
巫女服に修復機能がついているのは、陵辱イベント終了後は、反撃のチャンスがくるかもしれない・・・という気休め的な意味と、世界各地を旅をする間に、服がボロボロになるのを阻止するために必要な機能だからである。
「ううう・・・借金が増えたのですよ・・・」
ウズメノ神社の廊下を歩きながら、新しい巫女服を着た金髪の少女が困っていた。
「全部、イブキさんが悪いのです!イブキさんに出会ったら、イブキさんの貯金から払ってもらうのですよ!」
アイは、あの陵辱地獄を用意した張本人に怒りを感じていた。さすがに、陵辱エロゲーヒロインともいえど、死ぬまで陵辱されれば、怒りを感じるのである。
早速、イブキを探すために、管理人さんから貰った短刀を腰に携え、保存食の用意をして、門から旅立とうするのだが・・・
「後1月もすれば、冬だよ!自殺はやめてね!」
管理人さんに止められていた。
「冬はね!大変なんだよ!雪が積もるんだよ!寒いんだよ!食料を得るには、村を襲撃しないといけないんだよ!理解してね!」
「でも、ここからなら10日くらいで・・・」
しかし、アイが反論しようとするが、すぐさまに管理人さんは大声で、アイの反論を封じる。
「ここを旅立って、1ヵ月で死ぬ奴なんか信用できないよ!アズサの手間をかけないでね!」
「ううう・・・ごめんなさい。」
「春まで待ってね!ご飯は、特別に無料で食わせてあげるよ!優しくてごめんね!」
アイは、管理人さんの優しさに泣いたのだった。そして、袴の下がすーすーすることで、青と白の縞々パンティーの履きこごちを思い出し、春になったら、取りに行こうと思うのだった。
一方、イブキは、どうしてるかというと、未だに小さな村にいた。300人いた男達は、イブキを1ヵ月間休む暇もなく陵辱したが、さすがに寒くなり始めたので、男達はそれぞれの村へと帰り、小さな村には元々住んでいた60人くらいの男達が残っている。その男達も、毎日のようにイブキを陵辱していた。
陵辱エロゲー世界の法則。男だらけの村が、存在するである。ヒロインを陵辱するために存在しているような村が陵辱エロゲー世界にはあるのだ。
なぜなら、陵辱対象は、女性であり、陵辱する側の男達の村に娘や嫁がいたら、徹底的に陵辱できないからだ。稀に、村に娘や嫁がいても、陵辱する強者が存在する。
長老の家の寝室は、農民にしては、豪華な畳張りの部屋であり、行灯の中の火が、部屋に敷かれた布団の上に立っている2人の裸の男女を照らしている。
1人は、腰まで届く美しい黒い髪と、白い裸体にそびえ立つ豊かな双丘を持つ少女イブキ。
1人は、身長は180cmはあると思われる巨漢の男性・・・この村の村長さんだ。3話でアイの豊かなおっぱいを揉みくだき、処女を奪って陵辱し、7話では陵辱の場まで駅弁プレイで、アイの胸を激しく揉みくだきながら、何度も何度も精液でアイの中身を満たした人物である。
男のほうは、大きな肉棒をそそりたたせ、女性のほうは、ここ1ヵ月の間の陵辱で、全身が敏感になりすぎて、大変なことになっている。
本来なら、ここはイブキと村長さんとの、激しい激しいエッチ描写があるのだろうが・・・陵辱エロゲー世界の法則。エロ話ばかり続けると、テンションが上がらなくなるが発動している。
これは、陵辱作品が、陵辱話を続けすぎて、見ている側が飽きてしまうことを防ぐために作られた法則である。
この法則が発動することによって、イブキは、両手に大太刀「戦乱」を持ち、村長さんの首元に刃を向けて、脅している。
「うちを1ヵ月間、300人の男達に陵辱させて、アイちゃんを死ぬまで陵辱したやん?いくら賠償金払ってくれるん?」
「・・・100万?」
イブキは、村長さんの言葉に、首元に刃が届くまで後1mmの所まで降ろす。
「1000万!」
さすがに村長も、命の危険を感じたのか。額を上げた。
「うーん、もう一声や!」
「・・・1001万」
「うちな、1時間前まで、男達に犯されてたせいで、少し疲れとるんよ。この刃を降ろしそうで怖いわ。」
「2000万!」
イブキの脅しに、更に金額を上げる。
「川で、精液は洗い流したんやけどな。うちが怒ってるのはそういう訳やないんよ。」
「・・・」
「うちな。本来なら、アイちゃんに陵辱の快楽と幸せをな。教えようと思ったんよ?」
「・・・」
「そんでな。あんたの村の近くにいる妖怪どもを無償に近い形で皆殺しにして、その代価で、うちらを陵辱するっていう夢のような話をもちかけたやん?」
「・・・!」
村長さんの顔が、少しだけ青くなる。
「うちを陵辱した男達が、何を言ってたか知ってる?1日1万で、裸の美少女を陵辱し放題やで?そりゃ、あんだけ陵辱が激しくなるわな!金を払ったら元を取ろうとするのが人間やからな!」
「・・・!・・・!」
村長さんは、武器を持っている裸の少女が怖すぎて、声がでていない。
「うちな、最初にいったやろう?金髪のおっぱいが大きすぎる美少女を陵辱する場合は、注意するようにって。あの娘とうちは、この周辺を妖怪の危険から救った恩人さんやて、全ての男達に伝えるように、あんたにいったやん?」
「・・・!・・・!・・・!」
「これもな、うちを陵辱した男達が話してたんやけどな。うちらが、お金で買われて、巫女のコスプレをしていた性奴隷扱いになってるのは、なんでなんや?」
「・・・!・・・!・・・!・・・!」
「この村の男達はな、さすがにうちと、あの娘が巫女って知ってたで?でも、あの娘が、死ぬまで陵辱するのをやめへんかったやん?どういうこと?」
「・・・!・・・!・・・!・・・!・・・!」
「まぁ・・・でも、うちは優しいからな?ここで2つの選択肢を選ばせてあげるわ。」
「・・・!」
「うちに、村人ごと皆殺しにされるか。謝罪として、村の全財産を差し出すかのどっちかにしたるわ。」
「・・・!・・・!・・・!・・・!・・・!・・・!」
村長さんは、それだけは勘弁してくれ!という顔をしている。
「ん?皆殺しにされたいん?虐殺されたいん?それとも、拷問されるのが好みなんか?」
村長さんは、イブキの笑顔を見て、諦めた。ちなみに、イブキは自分が有利な状況に慢心している。もし、ここで村長さんが腕を伸ばして、イブキの豊かな双丘を揉んだら、陵辱イベント扱いとなり、法則が発動して、イブキは無力化され、縄で徹底的に縛られて、死ぬまで陵辱される結果になっていた事は間違いない。
イブキは、ウズメノ神社へと向かってる。自分の巫女服だけを回収し、1ヵ月ぶりの服を着た生活を取り戻し、腰には大太刀「戦乱」を携え、あの村で奪った金目の物を、同じく奪った大きな竹製の籠にいれて、それを背負って歩いている。
「いやー儲かったわー」
以外と、あの男だらけの村が金を稼いでいたことに、イブキは満足していた。
「しかし、こんだけ陵辱されるのは、初めてやったわ。初めての陵辱で、これやと、アイちゃん辛いやろうな・・・」
しかし、自分が建てた計画で、死ぬまで陵辱された少女の事を思い出したことで、少しだけ辛い気分になる。しかし、陵辱慣れしているエロゲーヒロインはへこたれない。
「そうや!アイちゃんの借金を返済したろやないか!」
名案を思い浮かべたように、金でなんとか解決しようとするイブキ。しかし、アイの借金が12億まで膨れ上がっている事を、この時は知らなかったのだった・・・。
あとがき
今回は、エロがないんだ。なんというか、イブキでエロを考えると、エロくするのが難しい。
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