真っ暗な船室に月の光が射し込んでいる。

 その中で二つの影が縺れ合うようにシーツの上で蠢いていた。

「大分慣れてきたな」

 青白く大きな手が少女の頭を撫でる。返事の代わりにじゅぶじゅぶと唾液と粘液の交じり合う卑猥な音が一際大きくなって、赤い目が満足げに暗闇の中で細められた。

 小さな唇が男の先端を優しく噛み、吸いつき、脈打つ茎の裏筋をちろちろと舌先で丁寧になぞる。

 一度唇を離してから、少女は思い切って男を根元まで飲み込もうとするかのように強く吸いついた。

「その調子だ」

 男も攻撃の手を休めない。口の中に全神経を集中させている少女の脇から手を滑り込ませ、ややあどけない顔の割に重たげな乳房を揉みしだき、尖ったピンク色の先端を人差指の腹で擦り上げると、少女の口からくぐもった悲鳴が漏れた。

「……っ!」

 少女の白と黒の翼が二、三度羽ばたき、シーツの上に柔らかな羽毛が舞い落ちる。その中の大きな一枚を男は拾い上げ、触れるか触れないかの距離で背筋をなぞった。

「――んんっ……む…ぐ……」

 咳き込みそうになるのを必死に堪えながら、少女は涙目で男を軽く睨んだ。

「テスタメント、ずるい……」

「何が?」

 笑い出しそうになるのを堪え、彼は少女の体を抱き寄せる。その細い首筋を舐めながら敏感な黒い尾の付け根を裏側から撫でて、自分の体の上に跨らせた。

「……ぁ」

「――どうして欲しい?」

 先ほどの返礼のように少女の白い指を口に含み、舌先でつついてから吸い上げる。

 腹の上で少女の腰が恥ずかしそうにもぞもぞ動くのを確認して、再び彼は満足そうに赤い目を細めた。

「言ってみろ…どうして欲しいんだ?」

 返事を促すように、長く青白い指が少女の腹から胸の谷間をなぞる。少女は小さな悲鳴を上げて男の首にしがみつき、抗議代わりに薄い耳朶を甘噛みした。

「……大人しくしてて下さい」




 話は数時間前に遡る。

「……どうしても、か?」

「ダメ?」

 自分を見上げてくる大きな瞳に、ついほだされてしまいそうになる。

「お願い」

「…………」

 白く柔らかな指をテスタメントの艶やかな黒髪に絡ませて、ディズィーは彼の胸に顔を埋めた。

「ねぇ、テスタメント……」

「何度言われようと駄目なものは駄目だ」

 じっと見つめられている内次第に息が苦しくなり、耐え切れず彼は叫んだ。

「――大体何で60過ぎにもなって、セーラー服など着なければならんのだ!」

「せっかく作ったのに……リボンもちゃんとつけたんですよ?」

 ――尚更嫌だ。

 などとは口にも出せず、テスタメントはじりじりと後ずさった。

 ジェリーフィッシュがイノに襲撃されディズィーが行方不明になるという事件が起きてから数ヶ月後、テスタメントは臨時の乗組員として船の上の人となっていた。

 事件の際に何名かの戦闘員が負傷し戦力が不足していた事もあるが、何よりたまたま訪れた彼が事件を知って激怒し船で暴れてしまったという事への詫びもあった。

 ギアによって帰る場所を無くした子供達の多くは、最初こそ聖戦時に実際活動しまた目の前でその力を見せつけたテスタメントに怯えていたが、ディズィーという先例と彼本来の穏やかさを知り次第に打ち解けていったのだった。

「今だってテスタメントを怖がってる子は結構いるの。だけど、少しでもテスタメントは皆と変わらない優しい人だって分かってもらうには、形だけでも皆と同じ……」

「……その方法はどうかと思う……」

 言いたいことは分かるし、痛い所も突かれている。しかし何かが間違っている。

 大体ベッドの上でする会話ではない。

 誤魔化すように手荒く愛撫を再開しようとした時、不意に彼としては珍しい提案を思いついた。

「どうしてもと言うのなら条件がある。お前の手で私に気をやらせてみろ……そうしたらセーラー服でも何でも着てやる、ただし先にお前が気をやってしまったなら私の要求を一つ聞いてもらうぞ」

 かくして、本人達以外にはわりとどうでもいい熾烈な争いが始まったのだった。




「大人しくしてってば……」

 ディズィーがテスタメントの頭の横に突っ伏し、しきりに首を振る。彼女が耳を責めている傍から、敏感になっている背筋を撫でてちょっかいをかけてくるのだ。

「別に……ちょっと背中を撫でただけだろう?」

 更に意地悪くふっくらした臀部を摩る。

「ひぁ…っ!」

 耳に直接かかる吐息と喘ぎ声が心地好い。調子に乗って指先を色々な所へ滑らせると、その度に小さな肩が震えて下になったテスタメントの肌を刺激する。

「ばかぁ……」

 弱々しく抗議しながらディズィーは鎖骨を軽く噛んだ。そこから首筋、耳の裏にかけてが彼の弱い所の一つだというのを学んではいるのだが、中々責めさせてくれそうにない。

「どうした?」

 笑いを噛み殺しながら髪を撫でてくるのが余計に腹立たしい。もどかしさと苛立ちに、黒い尾がぴしりとシーツを打った。

「動いちゃ、やぁ……」

 実は案外柔らかな彼の胸をぽこぽこ叩き、顔を埋めて首を振る。悪かった、と溜息をついてテスタメントは手を下ろした。

「分かったから、ほら……好きにしろ」

 そうは言ったものの、このまま好きにさせる訳にはいかない。『セーラー服(臍出し短パン)+リボンつき』という、世にも凶悪なコンボが自分を待っているのだ。

「――っ……!」

 火照る肌にひんやりとした指の感触。思案に暮れる間もなく現実へ引き戻される。

 ディズィーの背から現れたウンディーネの指が、呼吸で上下する胸を辿り始めた。

「テスタメントの胸、温かくて柔らかい……」

 半陰陽の体故か、彼の胸は見た目と比べて柔らかい。密かに気にしていた事を突かれ、テスタメントは憮然とした。

「こ…っ、これでも鍛え…て……、……っ!」

 尖った先端を冷たい口の中に含まれ、優しく舌先で転がされる。ちょっかいを出せないようにネクロの右手が両腕を肩の上に纏め上げ、ディズィーはテスタメントの唇を貪った。




 軋むベッドの音と、乱れた吐息とシーツに擦れる羽音。

 異形の恋人達の睦み合う姿が月明かりに照らされる。

「――ふあ……」

 ネクロの指先を唇で噛まれ、甘い疼きにディズィーは全身を震わせた。口腔を犯す指をテスタメントがいやらしい音を立ててしゃぶり、彼の火照る胸に舌を這わせるウンディーネは愛おしげに二人の体を交互に撫で回す。

 ディズィー本人は彼の男の部分を柔らかく握り込み、根元から扱き上げ、ネクロが押さえつけている事で無防備になっている二の腕の筋を舌先でなぞった。

「……っ…ふ……ぅ」

 咥えていた指を離し、テスタメントが首を振る。壁にかけられた青い襟のセーラー服が目に入った。

 いつ彼のサイズを測ったのかは知らないが、よりにもよってピンクのリボンである。

 ――せめて……リボンだけは……

 一人で三人を相手にしている内に、次第に思考が弱気なものへと変わっていく。

 全身から力が抜けていって、揺れた膝が開かれていたディズィーの脚の間に入り込んで擦り上げた。

「あぁっ……」

 責めに終始しながら本当は早く彼を欲しがって仕方ない彼女自身が、思わぬ刺激にこれもまた淫らに粘着質の音を立てる。

 聞こえてきた嬌声に反応して無意識の内に膝を小刻みに震わせると、彼の両腕を拘束していたネクロの手の力が緩んだ。

「動いちゃ…ダメだ……てば……」

 流されまいと必死に声を堪える姿に、更なる欲が掻き立てられる。

「……それでは賭けにならないだろう?」

 少し動きを緩め、安堵の溜息を漏らした彼女の頬を自由になった手で撫でる。

 吸いつく花弁の感触。その奥から次々溢れ腿を伝う淫蜜。

 密着した肌でそれらを感じ取りながら、今度は軽く膝を上下させる。

 両手を広げ、ウンディーネの凍てつく胸と汗でぬめるディズィーの乳房の温かさを共に愉しみながら、彼の頬を撫でていたネクロの指を再び口に含み、テスタメントは膝の動きを激しくしていった。

『――ンン……』

 灼けつくような熱さの大きな手の平がウンディーネの青い肌を撫で、申し訳程度に胸を覆っていた布を押し退け氷の粒のような頂をきゅっと抓む。突き刺すような冷たさとは裏腹に、人とそう変わらぬ柔らかな乳房を捏ねるように揉みしだく。

 人であれば到底耐えられたものではない、触れた傍から凍りついていくようなその温度。

「あんっ! ダメ…テスタメント……」

 ウンディーネと感覚を共有している為か、彼女が身悶える度にディズィーの体も震え膝に脚の付け根を押しつけてくる。膝の動きに合わせるように腰が揺れているが、本人は気付かないようだった。

「…は……ぁ、あ、あぁ……ふあああっ!!」

『……ヒ……ァ……』

『……ッ!』

 愉悦に潤むテスタメントの赤い目の中で、ディズィーを形作るモノがそれぞれの形で悦楽に震えている。傍から見れば異様な光景に映るだろう。滑稽ですらある。

 だが、彼にとってそんな事はどうでもいいのだ。彼女らが全て合わさってできたモノがディズィーという存在なのだから。

「やだぁ……テスタメント……もぉ……やめて……」

「嫌なのか?」

 ネクロの指を離し、ウンディーネの胸に顔を埋めていたテスタメントが顔を上げる。

「お願い、だから……」

「本当に?」

 彼の肩を掴み逃れようとするウンディーネの腕を、背後からネクロが押さえつけている。

『モゥ……ヤメ……、……アアアアッ!』

 飴を舐めるように口中の氷の粒を舌先で転がす。痺れるような冷たさが心地好い。

「テスタメント、ダメ…っ! ウンディーネ融けちゃうお願いもう離してぇっ!」

 切羽詰まった悲鳴と共に、舌先に冷たさだけ残して背中の二人は翼へと戻る。

 肩を上下させ呼吸を荒げるディズィーを抱きすくめ、蜜を滴らせる秘部の内へ指を挿し込んだ。すっかり慣らされ切ったそこは、さしたる抵抗もなく指を呑み込んでくちゅりと音を立てる。

「きゃっ!」

「融けそうなのはウンディーネだけではないだろう?」



「せっかく作ったのに……もうだめ」

「絶対着てもらうの、諦めない」



早めの言い訳

 ええとすみませんこれも出来心です(爆)

 元々はネクロとウンディーネもディズィーの一部だから相手をするテスタ、というシチュがやりたかっただけだったはずが……気がついたらこんなことに

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