22

 待合室に帰っても、心は院長室に戻らない。亜津子の傍を離れずにいる。
 亜津子も、懐いてもらったことが嬉しくて、ずっと話相手になっている。
 トイレからの帰り道、心は彼女の手を両手で握り、ぴたりと寄り添ってきた。
 頼りなげで、こころから守ってあげたいと思わせる、その可愛らしさ。
 本当にすっかり骨抜きにされてしまいそうだ。
「ふーん。あっちゃんはほんとの看護婦さんになって、すぐに玲那せんせいの、専属の看護婦さんになったのか……すごいねぇ」
 実際それは驚くべきことだろう。普通ならあり得ない事だといえる。
 心には、彼女に対して幾つかの疑問がある。それを先程から尋ねているのだ。
「どうして、ずっと座らないの?」
 一番大きな疑問を聞いてみた。彼女は心が見る限り、一度も腰を下ろしていない。
「あ……それは、立っている方が、楽だから、です」
「ふーん……」
 なんだか歯切れが悪い。だが、いちおう納得してみせるふりをする。
 同時に、もう一つの方を先に確かめてしまおうと考える。
「――あっちゃん、あっちゃん」
 自分の立ち位置を確認しつつ、亜津子にキスを促す。瞳を閉じて、顎を上げる。
 亜津子は周りを見回し、確認してから唇を重ねてきた。彼女の首から肩にかけて、腕を廻して絡ませながら、身体を引き寄せて重心をこちらに持ってくる。
 (まだ、まだだよ。まだまだ……もう少し、もう少し)
 舌を絡め合いながら、気付かれないように彼女の身体を操作していく。
 (――いまだ)
 唇を離すと、亜津子の背後に素早く回りこむ。彼女の腰にとりついて引き込んだ。
 傾いた上半身に重心が乗っていた彼女は、為すすべもなく、心の予定どおり倒れてしまう
 倒れた先は秘書用デスクだ。上半身だけをうつ伏せに乗せて、心にお尻を突き出す格好だ。
 なにが何だか分からないうちに、あられも無い姿を晒すことになった彼女は慌てている。
 それに女としてすら非力な部類であるこの少女に、こんな真似ができるとは信じられない。
 ――彼女は知るはずもないが、心は只者ではない。本来の彼は、小柄でありながら、体格差をものともせず闘い続けてきた、かなりの力量を持つ格闘士なのだ――
「お嬢様!? いったい何をなさるんです? 悪戯はお止めくださ――ひぃ!」
 心は彼女のお尻に取り付くと、撫で回しながら頬擦りを始める。
「ああ……やっぱり、やっぱりそうだぁ」
 何がやっぱりなのか、心は鼻をくんくん鳴らしつつ、しつこく頬擦りを続けている。
 実はトイレからの道すがら、彼女に寄り添っていた時、何とも言えぬ良い匂いを感じたのだ。
 それは彼女の身体から漂ってくる気がした。
 周りの人間が、心から『甘い匂い』を感じるのと同じように、いや、より敏感に、心は亜津子から、良い匂いを感じていたのだ。
 同時に非常に微かな、機械的な振動音のようなものも、心は聞いた気がしたのだが、それはこの後で調べることにした。いまはこの匂いの方が気になって仕方ない。
 いまの心からすると、ずいぶん大きく感じる、まん丸いお尻。なぜだか見ているだけで、こころがウキウキしてくる。悪戯したくてたまらないのだ。
 スカートの上から、お尻の割れ目に鼻先をもぐり込ますようにピタリと当てて、匂いを嗅いでみる。間違いない、股の間、『お花』の辺りから匂いは漂ってくる。
 それに好都合なことに、例の音もその辺りからするようだ。
「はぅ……お止め下さい、お止め下さいぃ……お嬢様ぁ!」
「ダメだよ。やめてあげない。だって、すごく良い匂いがする――教えて、何の匂い?」
「存じません! 知りません。そんな、そんなこと……」
「嘘つきぃ――あっちゃん知ってるもん! 調べちゃうから……見せてね?」
 撫で回しながら、スカートの裾に手をかける。ほんの少し、捲り上げる。
「お願いです! お止め下さい!! お願いです、お願いしますぅ」
「いやだよ。さっき、ボクの見たじゃないか! それに、嘘つかないって約束したのに……
 自分のこと知らないなんて、嘘つき!」
 たしかに亜津子はトイレで、心に嘘をつかないと約束した。だが、それとこれとは話が別だ。
 非常に子供らしい、ワガママな解釈といえる。そんな言いがかりに過ぎないことでも、心にこころを奪われ始めた彼女は、胸が痛んでしまい、何も言えないのだ。
「ボクのを見たこと、誰にも言わないから。あっちゃんのも見せてね?」
「お願いです……お願いですからぁ……」
 スルスルとスカートが捲り上げられ、黒い下着と真っ白なお尻が丸見えになる。
 コントラストが見事だ。下着はレースたっぷりで、とてもセクシーなものだ。
 ガーターでストッキングを吊っている。そればかりではない、変なものが付いている。
 下着の股間が膨らんでいて、そこから例の振動音がする。透明の管が二本のびていて、内股に括り付けた小瓶に繋がっている。瓶の中には何か液体がいっぱいに溜まっている。
 よく見ると、下着もじっとりと湿っているようだ。
「あっちゃん、これなあに?」
「それは……その、何でもありません」
 小瓶を突付きながら尋ねるが、とうぜん教えてはくれない。
「どうして? なんで教えてくれないの? もしかして、困るの?」
「はい、そうです……お答えするわけには――あっ! ひい!」
 お尻をじかに撫でてみると、汗でじっとりしている。きっと、苦しいのだろうと思う。
 それに、この管のせいで彼女は座れないに違いない。
 (いじめられてるんだ。きっと、だから)
「お願いです……もう、お止め下さい」
「いじめられてるんだね? だから、何もいえないんだね? ボクが助けてあげる」
「いえ、いいえ、違います。どうか、どうかもう……」
「いじめられてる子は、みんなそう言うんだよ。知ってるもん」
 本当に嫌なら、すぐに立ち上がってしまうはずだ。こころの中では助けて欲しいから、さっきから言葉だけで抵抗しないのだ。心はそう考えた。
「とってあげるね?」
「ひふぅ!! ふぁあ……ひゃ、いやぁ! やめて……止めて下さい」
 管に手を掛けて引っ張ったが、下着の中にかなり大きい部分があるらしく、抜けない。
 下着を脱がすために手を掛ける。
「いけません、お嬢様のお手が、汚れます」
 それなら手を使わなければいいと考えて、口で端を咥えた。唇が触れた瞬間、亜津子の身体はビクリと震えた。
 (かわいい。あっちゃん、とってもかわいいな)
 口で下着を引きずり下ろすと、なんとも異様なものが現れた。
 股間にちょうど合わせた形の、半透明の漏斗のようなものが『お花』を覆い隠している。
 触ってみると弾力に富んだ素材でできていて、その中から振動が感じられる。
 漏斗状のそれは、完全にぴったり張り付いている訳ではないらしく、揺り動かすと隙間ができる。その度に隙間から、液体が滲み出してくる。
 {見られてる……お嬢様に、こんな、こんなぁ!}
 二本の管は漏斗そのものから一本、それとは別にもう一本があって、その別の方の先が、『お花』の中に潜り込んでおり、漏斗全体を固定しているらしい。
「いま、助けてあげる……」
 漏斗に手を掛けて、ゆっくりと管を引き抜いていく。ぐぼぉ、と音がして、亜津子の『お花』に潜り込んでいた部分が顔を出す。かなり大きな半透明の球体だ。
 それに穴が開いて管が通っている。『お花』がすっかり丸見えになった。
 こぽりと愛液が溢れ出す。漏斗の管と、胎内に入れられていた管の双方が、内と外から彼女の愛液を小瓶の中に集めていたらしい。だがすでにいっぱいになっていて、漏斗の内側まで愛液が溜まりきった状態だった。外された途端に愛液がこぼれ出し、彼女の内股全体を濡らしていく。漏斗の中にはまだ、愛液がたっぷり溜まっている。
 愛液の水溜りの中に、丸くて黒い小さなものが泳いでいる。小さなローターだ。
 いま気付いたが、ローターからのラインが彼女の腰まで伸びている。
 ローターはとても静かで、触れていないと振動しているのが分からないほどだ。
 小瓶とローターの本体を外して、漏斗と一緒にデスクの上に置いた。
「……うぅ、う、う……うっうう……」
 亜津子は先程からずっと何も言わない。どうしたのか気になって顔をのぞきこんだ。
 泣いている。子供のように顔をぐちゃぐちゃに濡らして泣いている。
 (どうして? 助けたはずなのに、どうして?)
 心には分からない。だが、すごく可哀想だ。慰めてあげないといけない。
 男は女を泣かせてはいけないのだ。彼女に触れようとして、両手が濡れているのに気付く。
 ごく自然に、それを舐めてみる。
 (チーズの味……おいしい。カッテージチーズ? でも、違うなあ)
 なんだかとってもわくわくする味だ。身体の奥の方から元気が出てくる。
 こんなに美味しいものが、亜津子の身体から出るのだ。彼女はとても素晴らしいと思う。
 さっき自分からもミルクみたいなものが出たが、彼女の方がずっとずっと美味しい。
 (あっちゃんは、可愛くって、美味しくって、キレイで、優しい……大好き)
 ぺろぺろと夢中で愛液を舐める心に、亜津子は気が付いた。
「いやあああ!! ダメェ、ダメですぅ! そんな、そんな汚い」
「汚くないよ? あっちゃんとってもキレイ。すごくおいしいよ?」
 心はにっこり笑って、見せ付けるように愛液を舐めつづける。いやいやをするように、涙に濡れた顔を振って放心する亜津子。
「どうしたの? なんでそんなに泣いてるの? つらいの? ボクね、あっちゃんが好きだから、そんな風に泣いてるのはイヤだな……それに、とってもおいしいよ? ほら」
「ひゃうう!――あ、ん」
 愛液を『お花』からじかにすくい取り、亜津子の口に運んだ。彼女は心の手だと思うと、ごく自然にそれを受け入れてしまう。そのまま心は、指で彼女の舌と口中を愛撫する。
 さきほど愛に自分がやられた事を、こんどは亜津子にしている。恐るべき学習能力だ。
「ん、んん……あ、んぁ……あん」
「ね? おいしいでしょ」
「は……い、いえ。あの、私にはおいしいとは、思えません」
「そっか。これ、あっちゃんのだもんね。じゃ、しょうがないね――でも、ボクはとってもおいしいよ? あっちゃんが大好きだし」
 唇を重ねる。いたわるように優しく、亜津子の舌を、口中を歯茎の隅々まで愛撫していく。
「泣かないで、恥ずかしがらないで、ボクが守ってあげるから。ほんとのこと話して」
「心お嬢様……私も、お嬢様が大好きです。ですが――」
「もしかして、あっちゃんをいじめてるのは、これをやったのは……せんせい?」
 亜津子は答えない。黙って俯いてしまう。
「どうして答えてくれないの? まだ、怖いの?」
 (あっちゃんが怖くないように、慰めてあげないと。そうだ!)
 慰めるには、優しくするのが一番だ。優しくしてあげるには……玲那や恋や愛、それから千鶴に、自分がしてもらったことをすれば良い。
 あの気持ち良くなる悪戯は『やさしく』することだと、恋も愛も言っていたではないか。
 『可愛がる』とか他にも色々な言い方があるようだったが、することは同じだ。
「大丈夫だよ。いっぱい『やさしく』してあげるね」
 微笑みかけながらお尻の方に回り込んで、ふたたび『お花』をじっくり眺める。
 とってもキレイだ。同じ『お花』だが、自分のとはまるで違う。
 亜津子の『お花』は全体が少し褐色に黒ずんで、ところどころ色素が沈着している。
 花びらはピラピラ、しわしわのベーコンのようで、なんだか可愛らしい。
 何かで開かれている訳でもないのに、自然と捲れて外に向かっている感じだ。
 全体が愛液ですっかり濡れそぼって、てらてらと輝いている。
 クリトリスも充血しきって膨れ、完全に露出している。周りを囲うように、濃い目の陰毛が生えている。
 心は自分についているものとはまるで違うそれが、とても自然で可愛いと感じている。
 ちょっぴり怖いような感じもするが、すごく美味しそうなものに見える。
 そっと触れてみる。ウニウニとコリコリの中間くらいの感触が気持ち良い。
 愛液でぬるぬるした花びらを摘んで、いじくりだす。
「ああっ……あん、ぁああん、いやぁあ! ダメェ、ふわぁあん! 止めて、下さいぃ」
 触っているうちに夢中になってしまう。見ているだけで元気というか、ヤル気のようなものがむくむくと湧いてくるのだ。それに触ったらもう、気持ち良い感じがして止まらない。
 でも、亜津子が悲鳴を上げて可哀想なので、止めてあげることにした。
「あっちゃん、ごめんね」
「いえ。でも、もうお止めください。お願いです……」
 (あれ? へんだ……あっちゃん、つらそうじゃ、ない)
 亜津子の顔はなんだか、つらいのとは違う感じだ。それに、もじもじと太腿をすり合わせ、腰をくねらせて、まるで痒いのを我慢しているみたいだ。
「また、嘘ついたね? ほんとは止めて欲しくないんだ!!」
「ひうぅ! はひぃ、はぁっひぃい! 止めてくださいぃ、お嬢様ぁ」
 今度はクリトリスを摘んで、こりこりと指先でいじりまわす。
「お嬢様じゃない!! ボクはお嬢様じゃないよ!」
 少しだけ優しく力を緩めながら、亜津子の顔を睨む。
 口の端から涎が垂れて、彼女の表情は気持ち良いと言っているみたいだ。
「何て、何てお呼びすればぁ……いいの、です、か?」
「心……心って呼んでよ」
「心…さま? 心様ぁ! 心様、お願いですぅ。もう、かんべんしてぇ」
 (コノイヤラシイ女ヲ、モット、イジメタイ……)
「ダメだよ……ボクのを見たくせに! 嘘ついたくせに! お仕置きだよ――」
 クリトリスを口に含むと、舌を筒状に丸めて包み込み、唇で甘噛みするようにしながら、もくもくと強く吸う。赤ん坊が乳を飲むときのやり方だ。
「はっはぁああああん!! ひぃっひあああ、いやあああぁあん! だめえぇ、だめぇえん」
 ちゅぱちゅぱと吸い付ける度に、亜津子の身体は跳ね上がる。愛液がこぽこぽと、膣口から溢れ出す。
「何がダメなの? あっちゃん気持ち良いよね? 言ってごらん――」
 ぺろぺろと膣口からたれた愛液を舐め取りながら、クリトリスを摘んで捻る。
「ひぃやぁあああ! ひゃふ……気持ちいいぃですぅ!! 心様、心様ァ、心さまぁあ!!」
「いい子だね。可愛いよ、あっちゃん。もっとして欲しい?」
「だめぇええ!! 心様だめぇ。怒られちゃうのぉ……心様ぁ、心様ぁ」
 乱暴に入り口から指をねじ込むと、じゅぴゅじゅぴゅと出し入れする。
「まだ……また嘘をつくんだね? いけない子、いやらしい子なんだから!!」
 さきほど取り外したローターが心の目に留まる。拾い上げて、スイッチを入れる。
 入り口に押し当てると、そのままグイグイとめり込ませていく。完全に埋没しても、指を使ってどんどん奥に押し込んでいく。
「はぁっふ! ひゃあふ、ふはぁう、あっああん! 心様ダメぇ! 深いぃ、深いのぉお」
 やがて、心の指では届かないところまで潜り込ますと、ラインを使って一気に引っ張り出す。
「ひゃひぃぃいいいいいいいい!!」
 じゅぽん、と湿った音を立てて、ローターが引き抜かれた。
 それをまた、胎内に押し込み始める。
「いい子にするまで、何度も、何度でもお仕置きするからね……」
 お尻の汗を舐め取りながら、静かに囁きかける。
「心様、心様ぁああ……ひぁあん、ダメぇええ、ダメですぅうう!!」
 腰をくねらせる亜津子の言葉をまったく無視して、胎内の深奥までローターを押し込む。
 (本当ハ、モットシテ欲シインダネ? ソンナニガンバッテ咥エ込マナクッテモ、イクラダッテ、何度ダッテ入レテアゲル)
 両手を愛液でぐちょぐちょに濡らしながら、指で送り込める限界まで挿入していく。
「……あ、服が汚れちゃう」
 ローターを奥の方に挿入したまま放置して、手についた愛液を舐め取る。
「はっふ、ふはぁあ、ひゃふぅ、やぁあ! 心様ぁ、取ってぇ、とぉおってぇえ!」
 悲鳴のような喘ぎ声を上げつつ、腰をくねくねさせてお尻を振る亜津子の様子を、冷静な目で観察する。心の表情はとても悪戯っぽい、可愛らしく無邪気な笑顔だ。
 それでいて瞳の奥に、底の見えない冷たいものを窺わせる。
 愛液を綺麗に舐め取ってから、袖を捲り上げる。ローターのラインを手にすると、ゆっくりと引き抜いていく。焦らすように、本当に少しづつ。
「ふぅあ、はぁ、はぁ、はぅう、心様ぁ! ひっ、ひぁあ、ひはぁ、ひぃい! 心さまぁ!」
 入り口から半分ほど顔を出したところで、再び押し込んでいく。奥へ、奥へと。
 ビクビクと身体中で反応する亜津子が、とてもとても可愛らしい。
「なんでぇ!? ヤダぁ、心様とってぇ、とってよぉお!!」
「本当に? 本当に取って欲しいの? 違うよね、入れたり出したりして欲しいんでしょ?」
 お尻を鷲掴みにして乱暴に揉みしだきながら、入り口を何度も舐めあげる。唇を当てると、じゅりゅじゅりゅと愛液を啜る。ローターが収まったままの入り口から直接に、まるでキスでもするように口をつけて、大きな音を立てながら愛液を啜り続ける。
「ひゃはぁあ、いやぁあ! 心様ダメぇ、汚いよう。心様ぁ、心様ぁ、心様ぁ」
「キレイだよ。あっちゃんとってもキレイ。おいしいな、あっちゃんのジュース……」
 舌をねじ込んで、愛液をかき出すように蠢かす。しばらくその味を愉しんだあと、亜津子の息が少しだけ落ち着いたのを見計らって、一気にローターを引き抜く。
「ふわぁあああ!! ひやぁあ……いやぁ、だめぇ、心様、心様ぁ」
 引き抜いたローターをふたたび押し込んでいく。奥まで入れたら、引き抜く。
 その繰り返しだ。気まぐれにスピードの緩急をつけながら、何度も何度も、何度も何度も繰り返す。亜津子はずっと悲鳴を上げている。少し可哀想かとも思ったが、表情はとても気持ち良さそうなので安心する。
 それに……コレを弄っていると楽しいのだ。触っているだけで、なんだか気持ち良い。
 だから亜津子が苦しいのだとしても、止めたくない。
 ローターを出し入れするうちに、心はおもしろいことに気が付いた。
 亜津子の『お花』は少しづつ柔らかくなって、指を飲み込む本数が増えていくのだ。
 もう片手の指四本は入ってしまう。両手で二本づつ指を突っ込み、思いっきり拡げる。
「ひぃ! いやぁああ!! ダメぇ、心さま見ないでぇ!」
 お口がポッカリ開いて、胎内が少し見える。暗くて細かくは分からないが、びらびらがウネウネと波打って集まり、ざらざらが濡れてぐちょぐちょしている。
 赤っぽい綺麗な桜色だ。肉の色だ。
 (ブチ込ミテェエ……ブチ込ンデ……ブチ込ンデ……ブチ込ンデ……)
 先程から心は、とっても気持ち良いはずなのに、こころのどこかが、なんだかイライラするのをずっとずっと感じていた。それがいま、分かった。
 『挿入(いれ)』るのだ。自分はいったい何をしているのだ? 弄るだけで満足するものか!
 この可愛らしい肉穴にねじ込んで、ぶちまけてやる。たっぷりとかき回してやろう。
 きっと喜ぶに違いない。大好きな亜津子を気持ち良くさせてあげるのだ。
 だが、何を?
 (……ちんちん)
 そうだ、ペニスだ。男根だ。男の証だ。逞しく禍々しくそそり立つ『無敗の王者』だ。
 どうしてこんな当たり前のことを忘れていたのだろう。男は、自分はそれを持っている。
 心は自らの股間に手を伸ばす。
 (――あれ? 無いよぅ……ボクのちんちん……無いよ、無いよぉ?!!)
「うあぁ!! うわ、うわぁああ!!」
 下着の中をまさぐり、懸命に探す。すぐに、小さな小さな豆粒を探り当てる。
 クリトリスだ。女の子の身体に存在する、敏感で可愛らしい蕾。
 (これ? これ、ちんちん? 小っちゃい?)
 摘んだ瞬間、強い刺激が身体に奔る。快感と痛みを同時に感じて、脳が痺れる。
 (大きくなるよ……弄ると、気持ち良いと、気持ち良くって、大っきくなるの)
 どこかがペニスのイメージと重なるのか、心はクリトリスを弄りだす。
 (大っきく、大っきく、大きくなあれ……大っきく、おおっきくぅう)
「んん……はぅ……ん、んん、んぅ……はぁあ! うあ、うあぁ、はぅあ」
 (膨らんだぁ……ちょっと固くなったよぉ。もっともっと大っきくぅ)
 ぺたりとその場に座り込んで、必死にクリトリスを弄りまわし続ける。
 傍から見たらあまりにも可愛らしい、幼い少女が自慰行為に耽る姿。
 まだまだ覚えたてで何の技巧も無く、ただ単純に敏感な部分を弄るだけ、それだけでも快感に翻弄されて、夢中になってしまっている――そんな姿だ。
 心にさんざん悪戯され、弄り倒されて朦朧とした意識の中で、亜津子はそんな心の様子に気付いた。悪戯を続けるうちに身体が疼いてしまい、幼いこころで訳も分からずに自慰を始めてしまった――いまの心は彼女の目に、そんな風に映っている。
 {心様……心様ぁ。素敵、素敵ですぅ……心様、キレイ}
 可愛くて堪らない。今すぐに抱き締めて、お互いの身体を弄り合いたい。けれど、もう腰が抜けてしまって力が入らないのだ。
「はぅ、はう、はぁう……はぅん、はぁあん、はふぅ、はぁふ、ひゃふぅ!」
 (もっともっとぉ、もーっと大っきくなるのぉ!……ダメェ! ヤダぁあ)
 少し膨らんで固くなったきり、それ以上は一向に大きくならないクリトリスに、心は焦れてきている。
 それは当然のことに過ぎないのだが、幼く『戻って』しまった彼には納得できない。
 彼のペニスはもっともっと、ずっとずっと大きくなるはずなのだから。
 ムキになってしまい、どんどん強く、乱暴にクリトリスを弄くる。
 摘んだ指で擦り、ねじり、捏ねくるたびに、するどい刺激が身体を奔る。
 ぽろぽろと涙までこぼしながら、幼い少女の身体を虐める心。
「ダメぇえ!! 心様、そんなに乱暴しちゃ、ダメ、ダメです。いけません!!」
「……あっちゃん? 違うの、違うよぉ……ひふ、ひやぁあ!」
 そうだ、亜津子だ。彼女を可愛がってあげなくては――そのためにもペニスを……
 あれ? でも? 訳が分からない、もう止まらない。
「ひゃふっ! ……ひゃ、いひゃ、ひふ、ひふぅ……はぅう、ひぃあああああ!!!」
 心は軽くイってしまう。その瞬間、思い出したせいで、忘れていたことを思い出す。
 亜津子といっしょ、同じ。いまの自分についているものは、彼女と同じだったはず。
 でも、自分は男なのに……さっぱり分からない。
 (ちんちん、ちんちん無いの? ちんちん、ボクのちんちんは? ちんちん……)
 いまの彼には把握も判断もできない。ただ情報に踊らされるだけだ。
 『お花』では『お花』には入らない。それでも何としても『挿入』たいのだ。
 小さな少女の身体に押し込められ、幼い子供にまで『戻され』て、それでも尚、『男の本能』は失われることは無い。
 その本能の発露を、彼は二つとも根こそぎ奪われてしまったのだ。
 『犯す』ことも、『闘う』ことも。
 (どうしよう、どうしよう……どうすればいい?)
 自らの小さな手を見つめる。思えば自分の手は、もっとずっと大きく逞しかったはずだ。
 こんなに細く小さくなってしまった……
 ふと、自分のペニスは丁度これくらいだったと思い出す。拳を軽く握る。そう、このくらいだ。
 (あっちゃんは……入るかなあ?)
 誰かにそのペニスを入れた覚えがある。きっと入るはずだ。
 立ち上がり、亜津子のお尻の前にいく。ローターを入れられたまま放置された彼女は、荒い息をつきながらぐったりしている。そっとやさしく、それを引き抜いてやる。
「はぁああ、はぁあ、ふうぅ……心様ぁ、心様ぁ」
 さっき彼女の『お花』には、指が四本すんなりと入った。きっと平気だ。
 普通なら躊躇するだろう。だが、溜まりに溜まった鬱屈は、幼いこころを突き動かす。
 (貫イテヤル!! カキ回シテヤル!!)
 右手の指の第二関節を立て、拳を握る。何も言わずに入り口にあてがうと、一気に押し込む。
 ぐじゅうぅ、じゅぶじゅぶ、と湿った音がする。
「ひゃあああああ!! いやぁあ!! ひぃいっ、ひひゃぁあ!!」
 絶叫が響きわたる。しかし、亜津子の膣は驚くほど柔軟に心の右手を飲み込んでいく。
「やめてぇええ!! いやぁ、ぬいてぇ!! 心様ぬいてぇ! いひゃあ、いやぁあ!」
「――ヤダ」
 あっという間に、心の右腕は肘くらいまで潜り込んだ。こつん、と何かに行き当たる。
 胎内はぐにゅぐにゅしてあたたかい。ぬるぬるしているのに、ざらざら、ぶつぶつだ。
 右腕が気持ち良い、だが足りない。何かがまるで、決定的に足りない。
 イライラする。すごく、ものすごく。腕を引き抜く、肉襞がまとわり付いてくる。
 一緒に中から引き出せてしまいそうだ。こぷこぷと入り口から愛液が溢れ出す。
 ぎゅじゅぎゅじゅと軋んだ音を立て、ふたたび押し込む。いっぱいに入れたら、また引き戻す。押し込む、引き戻す。入れる、出す。何度も出し入れする。
 愛液が泡立って、白く濁りだす。水飴に空気を混ぜると、白くなるみたいに。
 濁ったそばから新しい愛液が溢れ、透明なそれが白いものに混じって濁っていく。
 亜津子は良く分からないうわ言を喚き、絶叫を繰り返す。彼女がしんさま、しんさまと呼ぶ声がときおり聞こえる気がする。だが、それを無視して腕で犯し続ける。
 心は泣いている。訳も分からずただ涙を流している。
 亜津子は乱暴に犯されながら、歓喜の涙を流し、嬌声を上げ続ける。
「ひゃあっ!! あはぁ……心様心様心様ぁ!! もっとぉ、心サマぁあ!!!」
 {心様ぁ心様ぁ……心様心様心様心様心様心様心様心様心様心様ぁああ!!}
 あまりにも対照的な涙。
 犯され、喘ぎながら、亜津子は喜びを滲ませた瞳を心に向ける。
 心が泣いていることに、ようやく気が付く。
 {心様?! どうしたの? 私がいけないのぉ? 汚れてるから……私が汚いから?}
 犯されているのは自分なのに、彼女は自分が心を汚しているような気がしてくる。
 禁忌を犯している。自分は罪を犯している。そう思い込めば思い込むほど、彼女の身体は奥底から火照り、快感が熱い炎のように、身もこころも焦がしていく。
 彼女はもうすっかり、心の虜になっている。
「あははは! あはあははは!! きゃは、あははははっはっははっはははは……」
 突然、心は笑い出す。涙に濡れた表情のない顔で。その笑い声自体は、とてもとても可愛らしい。
 人形のように整った顔をまるで歪ませることなく、心は泣きながら笑い続ける。
 いつまでも、いつまでも――

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