26

「――絶対の、絶対だよ? 絶対に見るだけ、見せるだけだよ? 触ったら、ダメだよ? いたずら…したら、イヤだよ? 本当の、本当に確かめるだけだよ?」
「ああ。絶対の絶対に、本当の本当に、約束する。確かめるだけだ」
 不安そうに見上げてくる心の瞳を、真っ直ぐに見つめて、清十郎は静かに答える。
 彼の表情は、真剣そのものだ。
 ようやく涙の止まった心と、清十郎は、まだ図書館にいる。
 普段から、ほとんど人のくることはない奥まった一角、ながらく誰にも読まれることの無くなった、埃の積もった本に囲まれた場所。
 ささやくような小声で、二人は話している。
 こくりと心は頷き、シャツのボタンに手をかける。一つ一つ、ゆっくりと外していく。
 すっかり前がはだけて、白いお腹と下着があらわになった。
 今日の下着は恋が選んだもの。ブラジャーは白いレースがたっぷりの可愛らしいデザイン。
 まるで、こうなることを予測していたかのように、都合の良いフロントホックだ。
{細いな。俺の腕とあんまり変わらない}
 薄く、細く、小さな身体。ウエストが、清十郎の上腕ほどしかない。
 本当にこれで、生きていられるのだろうか? 清十郎は信じられないような気がしていた。
 ぱちりと音がして、ホックが外された。心は両手で庇うように、胸をおさえる。
 二人はふたたび見つめ合う。清十郎がやさしげに笑いかけ、すぐに真剣な顔に戻った。
 両手が離され、ささやかな膨らみが二つ現れる。ふるんっと微かに揺れた。
 小さいのに、とてもとても柔らかそうだ。きっと、触り心地も素晴らしいだろう。
 頂きについた二つの蕾は、唇と同じ美しいピンク色をしている。
{……珊瑚の色だ}
 生家の居間に飾られていた、大きな珊瑚の置物を思い出す。母のお気に入り、自分も大好きだった。
 いつの間にか忘れてしまっていた、大切な思い出。
 心は真っ赤だ。うつむき加減で、上目遣いに清十郎を見つめている。
(恥ずかしい……見られてる。清十郎に、見られてる)
 女の子の身体――胸を、おっぱいを見られている。
 清十郎の表情は真剣で、何を考えているのか読みとれない。少しだけ目を細めて、瞬きもしない。
 この顔は知っている。試合の前、精神を集中する時の、そして相手を確かめる時の顔。
 少なくともそこには、やましいものがないと感じて、心はちょっぴり安心する。
 けれどなんだか、真剣過ぎて、怖い。
「……清十郎。もう、いいよね? もう、もういいよね?」
「ああ、いいよ。もう、いい」
 ほっとした顔でうしろを向くと、心はブラを着け直し、シャツのボタンを素早くかけていく。

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 一頻り泣いたのち、猛烈に恥ずかしくなった心は、そっぽを向いて清十郎と目を合わせなかった。
 清十郎の胸に抱かれて髪を撫でられ、安心しきっていたことが、なんだか悔しいのだ。
「どうした? なにか気に入らないのか?」
 清十郎はやさしい。口調も態度も、いつものぶっきらぼうな彼とは違う。
 それが気に入らない。子供扱いされていると感じてしまう。
 それこそまさに、『戻って』しまっている証拠なのだが、心自身にはそれが分からない。
「なんでもないよ……」
 清十郎は、心のようすが明らかに、泣く前と変わっていることに気が付いている。
 ずっとずっとやわらかく、子供っぽい雰囲気をまとっているのだ。
 しかも、それに比例するように、何ともいえぬ色気までが感じられる。
{やばい……いかん、いかんぞ! 何考えてやがる! しっかりしろ、俺}
 どうにも『何か』してしまいたくなる。言葉でも、触れることでも、何でもいい……
「なんでもないって顔じゃないぞ? 子供みたいなふくれっ面だ」
 つい、からかってしまう。半ば自分を誤魔化すために。
「どうせ、いまのボクはガキだよ! 愛にだってからかわれる……」
 真っ赤な顔でいうも、目が合うとすぐ視線を逸らし、うつむく心が可愛くて仕方ない。
「15だもんな、まあ、ガキだな。そういや見ためもガキっぽいな。胸もぺたんこだし、チビだし、歳相応の色気もないな。だいたい、ほんとに女なのか? お前の自己申告だけだからな」
{くそ! 違う、違うんだ……こんなこと、したくない。心を……傷付けるような真似なんぞ……}
 心を守ってやりたいのに、ちょっかいも出したい。自分のコントロールが効かない。
 目の前の女の子を自分だけのものにして、すべてから守りたい。
 しかし同時に、自分だけがこの少女を嬲りつくし、滅茶苦茶にしてしまいたい。
 気も狂わんばかりの欲望が、清十郎の内側で、密かに動き始めていた。
 ぎりぎりのところで、それを押さえつけている。
「本当だよ……イヤだけど、もとに戻りたいけど、でも、女になってる。この身体は女なんだ……」
「ただ子供になってるだけ、とは違うんだな?」
「姉さんも愛も、先生も、あっちゃんも――みんなみんな、ボクの身体を見て、女の子だって、そういってるし、ボクだってそれくらい分かるよ……」
「あっちゃん? 誰だそれ?」
 しまったという表情で、心は答える。
「看護婦さん……」
「看護婦? それがなんであっちゃんなんて……お前、ひょっとしてなんかあったのか? そいつと」
 心は田崎医院であったこと、悪戯されたり、または『した』ことまでは清十郎に話していない。
 それに心自身、はっきりと説明できるほど『分かって』いない。
「なんにもしてないよ! ただ、身体を見てもらって――」
「――まて、なんだと? 身体を、見られた?」
 清十郎の表情が明らかに変わる。なんだか物凄く、怖い。
「違うよ……見られたんじゃないよ。見て、確かめてもらって……」
「なんで確かめてもらうんだ!? そんなの家族と、あとは医者だけで十分だろ? どうして――」
「だって、だってあっちゃんはいい人だったから、信用できる人だったから……」
 ふたたび心の瞳には、涙が滲みだしている。
「それに、それに不安だった。姉さんたちは同じことしか言わないし、なのに診察するし――」
 突然、清十郎が心を抱き締めた。
「すまん。お前が苦しんでるのに、何もしてやれんくせに、ごちゃごちゃいって、すまん」
「清十郎……恥ずかしいよ。やめてよ。男同士で、こんなこと」
 清十郎は離れると、ばつが悪そうにいう。
「すまん。なんだか、お前が消えちまいそうな気がして――その、急に変わっちまったし……」
「変わったって、身体のこと? だって今、信じられないって」
「いや、それは女かどうかってことで……外見は確かに変わっちまっただろう?」
「そうだね。でも、ボクは心だよ? 君が知ってる心だよ、中身はいっしょだよ」
「…ああ…そうだな」
{そうじゃない……お前は変わっちまった。身体といっしょに、多分、こころも}
 急に歯切れが悪くなってしまった清十郎に、今度は心の方が悪戯ごころを起こす。
 子供のようになった心は、清十郎を困らせたくなってしまったのだ。
「ねえ、清十郎。なんだったら、君も確かめる? あっちゃんみたいに――」
(さっきの仕返しだよ……)
 だが清十郎の答えは、心の予想とは異なっていた。彼は心の瞳を真っ直ぐに見つめ、
「ああ、頼む。俺も確かめたい。でなけりゃ、納得できねえ。お前が変わっちまったことを」
 大真面目な顔で、こう言ったのだ。

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 自分で言い出したてまえ、冗談だとは言えなくなってしまった。
 もとより強情な面がある心なのだ。子供に近くなったことで、それが余計に強くなっている。
「……次は下だよ。ねえ、ほんとに確かめる? 後悔、しない?」
「ああ、頼む。でもな、恥ずかしいなら、止めていいんだ。お前が嫌なら、俺はもう――」
「いいよ! 恥ずかしくなんかないもん! ボクは男だから、男同士だから恥ずかしくないもん!」
「けどな、心。お前はいま、身体は女の子なんだろう? 家族も、医者もそういってるんだろ?
だったら、その、大切にしないと、駄目だ。こういうのは、な?」
「さっき信じられないって言ったのは君だろ! それになんだよ?! なにを大切にするの?
見て確かめるだけなんだから、いいんだもん!」
 冗談めかして言われるならともかく、本気で、真面目に気遣ってくる清十郎に対して、理不尽な苛立ちを覚える。まるっきり、駄々っ子のようなものだ。
{心……こんな、子供みたいにムキになって……お前、やっぱり}
「やめよう、な? もう、いいから。お前は、いまは女の子なんだよ。だから、な?」
「うるさい! ボクは男だ! いいから確かめろ!」
 心はベルトに手をかけると、少々もたつきながらそれを外す。
 レザーパンツの前を開けると、これまでそのうちに籠もっていた甘い体臭が、ふんわりと漂ってくる。
{これ、心の体臭なのか? いい、匂いだ……}
 心の身体が細いせいで、穿いているときには余裕があるものの、脱ぎ穿きするのには、やはり多少の抵抗があるらしく、苦戦している。
 なんだかとても微笑ましい。手伝ってやりたくなってしまう。
 レザーパンツを膝の辺りまで引き下ろしていくと、純白の下着があらわれた。
 形こそ男物のボクサーブリーフに近いが、ブラジャーと同じでレースたっぷりだ。
「ほら! 見てよ! 見て、確かめてよ!」
 その股間には、あの膨らみはない。男性のシンボルが、確かに、そこには『無い』ことが分かる。
「もう分かったから、な? そんなに大きな声、だしちゃ駄目だぞ? 人がきたらどうする」
「うるさい! 子供あつかいしないでよ。そんなの分かってるもん。それに、そんな風に遠くから見て、ほんとに分かってる?!」
 清十郎は上から心を見下ろすかたちだ。心はその状態で、優しげに気遣われるのが余計にいらつく。
「……分かった」
 立て膝をついてしゃがみ込むと、ほぼ正面から心の、下着に包まれた下腹部を見つめる清十郎。
(甘い……匂いだ。可愛いなあ……心)
 目を閉じて深呼吸をしたあと、ふたたび真剣な表情になる。
 白く細い太腿が見える。太さが、清十郎の二の腕ほどしかない。
 お腹から下腹部、股間にかけてなだらかな曲線を描く、やわらかな膨らみが美しい。
 自分で見ろといったくせに、心は真っ赤になって恥ずかしそうだ。
「よし、分かったよ。心、いまは確かに、お前の身体は女の子だ。だから、もういいだろう?
そんなに恥ずかしがって、無理しなくていい。さあ――」
{これ以上は駄目だ。可哀想だし、それに……我慢できねえ}
「違う!! ボクは男だ! 違う、違うもん……」
 身体は女の子だと、自分で言い出したのに、それを認められると今度は、自分は男だと主張する。
 いまの心は支離滅裂だ。駄々をこねて甘えている子供だ。
「コレがあるから、わかんないだけだよ!」
 いうが早いか、心は下着を一気に引き下ろす。
 清十郎は目を閉じて、顔を逸らす。
 彼の脳裏には、栗色のささやかな茂みが焼きついている。
「駄目だ! 駄目だ……駄目だ、心、もう止せ。早く戻すんだ」
「やだ。ちゃんと見ろ。清十郎の臆病者」
 無言の一瞬。
「心、分かったよ。いまから確かめてやる」
 清十郎がゆっくりと目を開いた。口元は真一文字に引き結ばれ、両目は針のように細められている。
 まさにいま、闘いに没入せんとするときの表情だ。
「…あ…」
(怖い…清十郎が、怖い)
 これまで清十郎と真正面から、いざ闘わんとするときですら、このように感じたことなどない。
 いや、怖くなかったわけではないが、『怖さ』の重みが、感じがまるで違う。
 清十郎の視線はただ一点、心の『お花』に注がれている。
 陰毛が薄すぎて、ピタリと閉じた割れ目の一部が透け、丸見えになっている。
 不意に清十郎の手が伸ばされ、心の両太腿の付け根をがっちりと固定する。
「――!! ダメぇ……触ったらダメだよ」
「大声を立てるな。人が来るぞ? 大丈夫、確かめるだけだ。女の子は男と違って、上辺だけ見ても、細かく分からんからな……ちょっとだけ見やすくする――俺はこれでも彼女持ちだぞ? 女の身体くらい、見れば分かる。安心するんだ。いいね?」
 彼の声はあくまでやさしく、表情は真剣だ。
 しかしその心中では、心の肌身の吸い付くようなやわらかさと、太腿の細さに驚いている。
 付け根のいちばん太い部分を掴んだはずなのに、片手でぐるりと一周してしまいそうなのだ。
 そのうえ、きめの細かい白い肌が、まるで搗きたての餅のように手に吸い付いてくる。
 ぷにぷに、ふにゅふにゅした感触がたまらない。いますぐかぶりつきたい。
 思うさま揉みしだいて、こころゆくまで弄びたいという衝動を、必死で我慢する。
{なんだ!? なんだよコレ! こんなに細いくせに、ものすげえやわらかい。こんな……こんな女、見たことねえ……}
 両手の親指で、心の割れ目をゆっくりと押し拡げ、のぞき込もうとする。
「ひぁ! ダメぇ! そこ触っちゃダメ!」
 清十郎の顔や頭、肩などを掌底でぺちぺちと叩き、心は抵抗する。
 だが、まるで効かない。
{心……あの心が、こんな、こんなになっちまって……}
 かつて初めて遣り合った日、心は組み伏せられた状態で同じ技を使い、清十郎を苦しめた。
 あの時、圧倒的に不利な状況にありながら、彼を手こずらせたその技に、今は何の威力もない。
 清十郎が顔を上げ、やさしげな目を心に向ける。
「心……何もしないから、な? だから、静かにしてくれ。誰かに見られたら、困るだろう?」
 こくこくと頷く心の瞳は、もう涙でいっぱいになっている。
 清十郎は視線を戻すと、ふたたびゆっくりと心の割れ目を拡げていく。
 くちゅりと音がして、くすみ一つない薄桃色の柔肉があらわれる。
 間違いない。甘い香りは、やはりここから漂ってくる。濃く、甘ったるいミルクの匂いだ。
{どんな味がするんだ?} 
 味わってみたい。今すぐ舌で舐め回し、小さなクリトリスを口に含んで愛撫したい。
 だが、震えながら涙を堪えている心を、これ以上『いじめ』たくない。
「清…十郎ぉ…もう、いい? ねえ? まだ?」
 恥ずかしさと恐怖で、心はもうすっかり『戻って』いる。
 ろくに抵抗すらできないところまできているが、それでもまだ、恥ずかしいという意識はある。
 それにさっきから、清十郎の吐息がかかって、あそこがくすぐったいのだ。
(ムズムズするよぉ……へん、だよぉ)
 一人きりだったなら、自分のあそこに触れてどうにかできるのに……ムズムズを、とりたい。
「見ためは……女の子だ。とってもきれいな女の子だ」
 やさしく声をかけてくる清十郎。
「……うん。もう、いい?」
 そのとき、心の瞳から、ぽろりと涙がこぼれた。
 何故かは分からない。だが、確かにその瞬間、清十郎の中で何かが壊れた。
「――心。心、心……」
 呼びかけながら、彼の手は心の太腿をすべり、腰の辺りをがっちりと掴む。
 そのまま抱え上げると後ろを向かせて、廻した片腕で吊るすように固定する。
 まるで人形のように軽々と扱われた上に、あまりの早業で、心にはわけが分からない。
「……? 清十郎? ……!」
 気が付いたら、清十郎に向かってお尻を突き出す格好で、腰の辺りに廻された腕に吊るされている。
 身体はくの字を描いて折れ、両足のつま先は床から浮いてぶらぶらしている。
「いやぁ! やだぁ……やぁ、放せぇ!」
「静かに……大丈夫だよ、確かめるだけだ。女の子は複雑だから、ちょっと胎内(なか)もみるだけだ。痛くしないから、な? いたずらじゃ、ないんだ。分かるね?」
 やさしく言葉をかけながら、空いた片手で心の割れ目を拡げていく。
「ん……あ、やっ……やあ」
 言葉とは裏腹に、有無を言わさず目一杯に拡げてくる。
 くちくちと音がする。いや、心がそう感じただけかもしれない。
「きれいだよ。とってもきれいだ――」
 清十郎はお尻の方から顔をうずめ、割れ目にそって心の花びらを舐め上げる。
{甘い……味まで甘い。少し、しょっぱいな……汗の味か?}
「んん、ん……んぁ……あん」
「そう、そうだ。いい子だ、声を出しちゃ駄目だよ。我慢するんだ。誰かがきたら、恥ずかしい思いをするのは、心だからね?」
 小さな女の子に言い聞かすように、やさしい声でささやく。
 ぺちゃぺちゃと湿った音を立て、清十郎は心の膣口を唾液まみれにしていく。
「ん、んん。……ん、ん、んん」
 心は両手で口を塞ぎ、声がもれるのを必死で我慢する。
 舌先でクリトリスを探ると、それを口に含み、強く吸い付ける。
「ぴぅ! いやぁ……あ、あ、あん。ん、んん、ん」
「ほーら、ほぉら。声だしちゃ駄目だろう? 人がきちゃうぞぉ?」
{……もし、きたら殺す!! 邪魔するヤツは殺す。俺の心に恥ずかしい思いをさせたら殺す。男は殺す。女も殺す。誰だろうが殺す。殺す。絶対に殺す……殺す!!}
 彼には、それができる。彼が本気でやろうと思えば、ほとんどの人間は簡単に殺すことができる。
 クリトリスを口中で愛撫しつつ、空いた指先で花びらを摘んだり、閉じたりして弄る。
 ほんの少しづつだが、心の『お花』は充血していき、ますます色鮮やかになっていく。
 それとともに、甘い香りもどんどん強くなる。
 清十郎を狂わせる、魔性の香り。
{舌なら大丈夫か? 胎内をみていいかな?}
「心? もういいか? 胎内をちょっとだけ、確かめるよ?」
「ダメ……いたずら、ダメぇ――はぅ!」
 ゆっくりと、心の胎内へ舌先を侵入させていく。
 内部をさぐるように舌をうごめかし、心の味を確かめる。
 すぐに、心が処女である証にたどり着く。
{浅いなぁ……よかった。心が綺麗なままで、良かった}
 『あっちゃん』――心の口からその言葉を、名を聞いたとき、親しげな感じに苛立ちを覚えた。
 心は言った。身体を確かめてもらったと。もしかしたら、その時に『何か』をされたかもしれない。
 男はもとより、女だろうが関係ない。
 もしも心が『汚されて』いたら、そいつを殺すつもりだった。
 だが、良かった。心は処女のままだ。
{守ってやる……ずっと、ずっと大事にする}
 ちゅぽっと音がして、舌が引き抜かれる。
「……うん。胎内も、ちゃんと女の子だ。間違いない、心の身体は女の子だよ」
「清十郎……もう、やめて。もう、いいよね? ボクは……ボクは――」
 しゃくり上げながら、心は何か言おうとする。
「お前は、身体は女の子で、こころは……男、だよ。俺の大事な親友だ。これからずっと、ずっと守ってやる。助けてやる」
「……いつまで?」
「必要なくなるまで」
 きっぱりと清十郎はいった。
「どうして? なんで、こんなことしたの? ひどいよ、ひどいよぉ!」
 涙ながらに責める心に、清十郎はすぐには答えられない。だが、
「――百合のこと、覚えてるか?」
「当たり前だよ。覚えてるもん」
「思い出せ。百合とお前は、友達で、男と女だった――そうだよな?」
「それは……そうだけど、でも――」
「それにお前は、いけない子だ。無用心だ。自分がいま、女の子だって自覚がない! どうして、どうしてそんなに、俺を困らせる? 簡単に、確かめさせたりしちゃ、駄目だろ」
「いけない……子? だって、だって」
 いけない子という言葉が、何故かとてもこころに響く。
「そうだ。ちょっぴり、本当にちょっぴりだけど、お前はいけない子だった。だから、お仕置きだ。俺以外の誰にも、こんなことを二度とさせないように、しっかり覚えるんだ」
「いけない子……お仕置き?」
「さあ、始めるよ。お仕置きは、痛くない。ただ、忘れないようにするだけで、いい」
 ふたたび膣口に舌をすべり込ませ、胎内をかき回す。
 空いた手でクリトリスを摘み、くにくにと弄りはじめる。
「ひふぅ……はぁ、はぁあ。んん、ん、んぁ! はぅ、はぅ。ダメぇ、ダメぇえ!」
「声を出すな! 出しちゃ、駄目だよ? 人がきたら、そいつを殺すことになる……」
「え!? 清十……郎?」
 心には分かる。清十郎なら造作も無くそれができる。
 でも、彼はそんな男ではなかったはず。冗談でもそんなことを口にする男ではなかった。
(どうして? どうしたの? 清十郎?)
「心、よくごらん」
 清十郎は顔をはなすと、自らのイチモツを取り出した。すでに半ば立ち上がっている。
「男にはこれがついてる。いまの心には、これは無いね?」
 解放されたイチモツはみるみる膨れ上がり、凄まじく長大な悪魔の角と化す。
 ずっと衣服の中で抑圧されていたのだろう、その先端には透明な先走りが糸を引いている。
「無い……よ」
 心の股を通してまたがせると、割れ目にそっと竿の部分を押し当てる。
 唾液まみれの『お花』が、くちゅりと湿った音を立てた。
 ちょうど、心のあそこからペニスが生え出したように見える。
「もっとだ、もっとよーく見るんだ。さあ、これはなんていうのかな?」
「ちんちん……」
 可愛らしい物言いに、清十郎はつい笑顔になってしまう。
「そうだね。ちんちんだ。前は、心が男のときは、これよりもっと大きなちんちんがついてたね?」
「……うん。でもね、ないの。いまはボクのちんちん、ないの」
「それじゃあ、いまは何がついてるかな?」
「わかんないよ……わかんない」
 かぶりを振って、いやいやしながら心は答える。真っ赤になって、とても恥ずかしそうだ。
 清十郎は狂喜の笑顔を張り付かせ、ペニスをゆっくりと『お花』にすりつけはじめる。
「困ったな……それじゃ駄目だよ。自分の身体のことは、ちゃんと分かってなきゃいけない」
「う……んん! んふ、んんふ。あぁ、ん、はぁ……ん、んふぅ! やぁ、いやぁ」
 こすり付けられるペニスによって与えられる弱い刺激が、心の『お花』を責める。
 唾液に濡れそぼったそこが、ぷちゅぷちゅと音を立て始める。
 花びらに少しづつ食い込み、巻き込まれたそれがまとわりついて、刺激がより強くなる。
 まるでレールに滑らすように、清十郎はペニスをすりつけ続ける。
「心のここ、この部分は何ていうのかな? 知ってるはずだよ、ね?」
 清十郎は、心の耳元でやさしく囁きかける。
「……うんと、お、『お花』。お花、お花だよぉ……姉さんが、先生も言ってたもん」
{心のお姉さん、恋さん、やっぱり心を凄く大切にしてるんだなぁ……こんな伏字で誤魔化して}
 可愛らしい、まさに今の心の外見に、ぴったりの教育が施されていることを読み取って、清十郎は喜びを隠せない。
 それは言うならば、心のこころを『穢す』喜び、とても下品な種類のものだ。
 たとえ心がもともとは、清十郎の知る親友だったとしても、いまのこの少女からは、単純に『彼』なのだという感じを受けない。
 清十郎は直感で、心が『再教育』を施されている途中であることに、うすうす気が付いていた。
 だから、ここでほんの少しだけ、この少女の魂を『穢す』ことを試みた。
「そうか、『お花』か。んー、でもね、そこには本当の名前がある。心は知ってるだろう? 男のときに知ってたはずだよ?」
 心は泣きながらイヤイヤをする。
「知らないよぉ……思い出せないよぉ。頭がぼーっとするの。どうして? 清十郎、助けてぇ……」
 ぽろぽろと涙をこぼし、くしゃっと顔を歪める。
 ズキリと、清十郎のこころが痛む。
{俺は何をしてる!? 心を傷付けてまで、何をやってる……}
「いいんだよ、いいんだ。分からなくっていい。知らなくてもいいんだ……『お花』だよ。そう、心のここは『お花』だ。とってもきれいだね」
「きれい……? 『お花』きれい?」
 じっさい、心の性器はそう呼ばれるに相応しく整って、美しい。
 清十郎はペニスをすりつけるのを止めて、心の花びらを摘んだ。
「これは、心のこれは花びらだね? ここは気持ち良いかな?」
「ひああ! ダメ! ダぁメぇ! 触ったらダメぇ!」
 クニクニと摘んで弄られると、心は身をくねらせながらも抗議する。
 だが弄ばれているうちに少しづつ息が荒くなり、指先の動きに合わせる様に、腰をくねら始める。
「気持ちいいんだね……良い子だ。それでいい――じゃ、ここは?」
 クリトリスを摘み、内皮から露出させて口に含む。
 ちゅぴちゅぴと音を立てて、清十郎は心の蕾を吸い付ける。
「はぁあ! いたずらダメぇ……そこダメなのぉ」
 口を離すと指先でつつきながら、清十郎はふたたび尋ねる。
「気持ち良いかい? 心は良い子だから、答えてくれるね?」
「いやぁあ……ダメぇ、いけないの……それダメなの……いじっちゃイヤぁ」
 少しだけ指先に力を込め、やさしく摘みあげてねじる。
「あはぁ♪ あん……ダメぇ、やだぁ」
「いいんだよ……いいんだ。だから、いってごらん? 気持ち良いかい?」
 とろんとした目付きで、心は清十郎を見つめる。清十郎が笑顔でうなずく。
「きもち……いい。清十…郎ぉ、いいよぅ……きもちいいよぉ」
「よくできたね。良くいえた、えらいぞ――」
 清十郎は膣口にペニスをあてがい、小刻みに動かしてくちゅくちゅとこすりつける。
「ふぁあ……うぁ、うぅ……はぁ、は、んん。ん……」
「ここだ。ここが『お花』の真ん中だよ。ここには何があるのかな?」
「わかんなぁい……わかんないよぉ……なあに、教えて?」
 清十郎の目には、心が十分に感じていることが分かる。
 だが、一向に濡れてくるようすがない。
{心……まだ、女の子になったばかりだからか? それとも、子供だからなのか?} 
 このままでは、『お仕置き』がきちんとできない。下手をすると心を壊してしまう。
 先端を擦り付けて愛撫しながら、清十郎は思案する。
{心を傷付けるのは、絶対に駄目だ……でも、ここで分からせないと、これからが不安だ}
 誰かに心が『汚される』ことを考えて、彼は身震いする。
{このまま、これを続けてみるか……心も気に入ったみたいだし、な} 
 尚いっそう激しく、亀頭を『お花』に擦りつける
 清十郎は経験上、指先などよりもずっと、ペニスの方が柔軟に『探る』ことが可能だと知っている。
 時にはレールを滑らすように大きく、また時には先端で小刻みに、心の『お花』を愛撫し続ける。
 張り出したカリが、クリトリスにときおり触れる度、心はピクリ、ピクリと反応する。
{ここが無難か……}
 清十郎は器用に手を廻すと、クリトリスを摘んで愛撫する。
「あはぁ♪ ふぅ……ふぅ。ひぅ、ひぅ、ひはぁ♪」
 同時に何箇所も責められることで、ようやく心の『お花』は自ら潤いはじめる。
{こんなもんかな? 分かってもらうだけでいい、犯るわけじゃないんだ……}
 清十郎はこんなところで、つまらぬ勢いで、心の大切な処女を奪うつもりなど毛頭ない。
 いまはただ、心に自分が女の子であることを、自覚してもらうだけで良いのだ。
 心を下ろすと、お尻をこちらに突き出させた姿勢をとらせる。
 もう心は抵抗することもなく、されるがままに任せている。
「心、もう一度きくよ? ここは、この『お花』の真ん中は何かな?」
 膣口にしっかりとペニスの先端をあてがい、むにむにと押し付ける。
「?…わかんなぁい……なあに? なあに?」
 本当に何だか分かっていない。心は嘘をついているのでも、恥ずかしがっているのでもない。
 清十郎はそう確信した。
{心……可哀想に、身体だけじゃなく、こころまで……一体なにが……}
「教えてあげるよ。ここは膣の入り口だ。女の子の大切な、とても大切なところだよ。だからね、誰にも触らせちゃ駄目だ。俺以外のどんな男にも、触らせちゃいけない。いいね?」
「女の子の、入り口? 大切……女の子にも、触らせちゃダメ?」
 家族のことを言っているのだろうか? 姉妹同士ならば、まさか『危険』はあるまいが……
「そうだね、女の子の入り口だ。……なるべく女の子にも、触らせちゃいけないよ」
 心は可愛らしく眉を寄せて、とても困った顔をする。
「ダメ? 誰にもダメ? ボクもダメ?」
 自分は男だから、ダメなのかと思っているようだ。
「心はいいんだよ。コレは心の身体だからね」
 そういって示すように、強くペニスを押し付ける。
「あん♪ んん……あ、ああ、あん……ひああ!」
 花びらごと、むんにゅりとペニスが押し込まれてゆく。
 とてもとてもきついが、小さな穴は驚くほど柔軟に、清十郎を飲み込んでゆく。
 やがて亀頭の部分がすっかり飲み込まれたところで、ちょうど処女膜に行き当たる。
 そのまま器用に、先端のみで心の胎内をにゅちゅにゅちゅとかき回しはじめる。
「あ、あ、ああん……はぅ、はぁ、はぅん。ひぁ、ひはぁ、んふ、ん……んふぅ! んはぁ♪」
「気に入ったかい? 気持ち良いかな? 痛くないかな? 痛かったらいうんだぞ?」
 小刻みに腰を動かし、内部の肉壁に擦り付けるようにして、胎内を犯す。
 何度も何度も亀頭を出し入れし、引っ掛りの強いカリの部分で膣口を刺激する。
 むにゅり、くにゃりと花びらごと押し込まれ、引き出さされる度に愛液が滲みでてくる。
{出る…出ちまう。搾り取られるみてえだ……耐え…ろ、耐えるんだ!}
「気持ち良いか? 気持ち良いかな? ここ? ここがいいのかな? ほぉらほぉら、声でてるぞ?」
 誤魔化すように腰の動きを抑え、クリトリスを摘まんでねじる。
「…んむぅ……んん、ん、んふ。ふんん! ひぃん、ん……ん、んん!」
 先ほどの清十郎の言葉を覚えているらしく、心は手で口を押さえ、声を必死で我慢する。
 それでも吐息はどんどん荒くなり、それにつれて腰をくねらせる。
 悲鳴のように短く、強い吐息が洩れるたびに、膣がきゅうきゅうと清十郎を締め付けてくる。
{最高だ。最高だよ、心。可愛くって、イイ子だ}
「気持ちいいだろう? さあ、答えるんだ」
「んんぁ…気持ち……い、いひ……いいよぉ…んふ、んふぅ……んはぁ」
 まるで泣いているような、しゃっくりあげるような――甘く切ない声を上げる。
 そのまま背後から小さな身体を抱き締め、清十郎は耳元でささやいた。
「そうか……ここはね、おまんこ、とも言うんだよ。さあ、言ってごらん、おまんこ」
 その言葉だけはまだ、恥ずかしいものと覚えているのか、心はいやいやをする。
 清十郎は、心のその恥じらいぶりが可愛くてたまらずに、腰の動きを激しくする。
「いぁああ……ひぁ、ひぁあ、あふぅ……ダメぇ、お、おまん、こ……イイの」
 清十郎の身体を狂喜が駆け巡る。
 女の子としての、ある一つの段階を、自らの手で為さしめたという感慨。
「イイ子だ……でもね。いくら気持ち良いからって、俺以外の誰にも触らせちゃいけないぞ? ここはね、俺が優しくしてあげるから気持ちイイんだ。他のヤツが乱暴にしたら……」
「――?!! いひゃあ!! イタ、痛いのぉ! 清十、痛いぃい!!」
 突然、腰に力を籠め、グイグイと処女膜に先端を押し付ける。
 ギヂギヂと軋んだ音が、心の胎内に響く。
 すぐに力が緩められ、もとのようにやさしく胎内を、入り口を愛撫する。
「分かったね? ここは、心の大切な女の子は、俺だけが触っていいんだ。いいね?」
 涙をこぼしながら、こくこくと肯く心の唇をそっと奪った。
 背後からの無理な姿勢でも、小さな身体は扱いやすく、ほとんど苦にはならない。
「さあて、大切なここはあんまりいじっちゃ駄目だ。今日はここまで、ね? その代わり……太ももでちんちんをきゅうって挟んでごらん。そう、そうだ」
 スマタだ。
 すでに、お互いが高まりきったことを分かっている清十郎は、最初から何の遠慮もなく、激しく腰を打ち付けてくる。
 誰かが気付いてしまわないか、心はちょっぴり心配だった。
 ぐいぐい、にゅちゃにゅちゃと擦り付けられる刺激が、さらにクリトリスにカリが与える快感が、凄まじい勢いで心を侵していく。
 心の柔肌でふにゅふにゅと締め付けられ、擦られる刺激が清十郎に、素晴らしい快楽を味あわせる。
 清十郎はさらに、心の太腿を交差させるように押さえつけ、お互いの刺激を強くする。
「んん……ふぅ、んふ、んふ…あ、あふ、ひふ、ひふ、ひぅう! ひっ……ひい!」
 懸命に声を我慢する心の口に、清十郎は丸めたハンカチを差し出す。
 はむぅとそれを咥えて、心はその上から口元を押さえつける。
「んん、ん、ん……んふ……ん、んん、んひぃ……んふ、んふ……ふ、んはぁあああ!!!」
 ぽろりと、口元からハンカチを落とし、心は簡単に果ててしまう。
「ぬお! ……ん、ぬ、ぬああ!!」
 清十郎が獣のような唸りを発する。
 くたりと力を失い、身体がくの字に折れたままの心の顔に、清十郎の迸りがぶちまけられた。
「にが…にが、苦ぁい……」
 可愛らしくつぶやいて、心は口元を舐める。
 心を抱きかかえ直し、清十郎はやさしく唇を重ねた。

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