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 多少は動揺したように見えたものの、龍鬼はいたって冷静に対処をはじめている。
 頭とともに太ももに挟み込まれていた両手を引き抜くと、わずかな緩み――隙間が生じた。
 心を刺激しないように、そっと静かに動いて、呼吸できる体勢をつくりにいく。
 ふっくらと発達した大陰唇にもぐりこんで、ぬめりを帯びた『花びら』に押し付けられていた鼻と口を上へずらして息を吸えるようにした。鼻だけが土手のうえに出て、ちょうど、勃起した陰核に唇が押しつけられている。
 極めてデリケートな『女の子の部分』を強くこすって傷つけたりしないように、龍鬼は細心の注意を払って行動した――だがそれでも、どうやっても多少は刺激してしまうのはやむを得なかった。
「やっ…やぁ…いやぁ!」
 敏感な部分が擦れたことに過剰に反応して、心はますます強く龍鬼にしがみつく。
 せっかく作ったわずかな隙間も、これで無くなってしまった。
 心はもう便座の上に座ってすらいない。体を丸めて龍鬼の首から上にしがみつき――頭を太ももで挟み、両足を絡めて固定し、その上からさらに両腕で閂をかけるようにロックして――宙に浮いている。
 万一に備え、龍鬼の腕はすでに心の身体を抱きかかえているが、いまのところ落下する心配も感じぬほどに、しっかりと抱きついている。
 龍鬼はもはや身動きするのも困難だ。この体勢は息苦しいし、辛い。
 いかに軽いとはいえ、人ひとり分の体重を、ほぼ首一本で支えているのだから、これは当然のこと。
 だが同時に、このうえ無く『おいしい』状態でもある。
 龍鬼にしてみれば、ずっとこのままでいても良いくらいだ。いや、むしろ是非そう願いたい。
 心の『お花』に口元を突っ込むようなかたちで固定されているのだから、動けば、どうやっても必ず敏感なところを刺激してしまう――つまり、どのような方法をとろうが結局、心を『愛して』あげられるのだ。
「いやぁ、いやぁ……ふうふう、やめてぇ」
 口を塞がれているのだから、もう先ほどまでのように『ふうふう』と息を吹きつけているわけではないのだが、鼻息がどうしても恥丘に当ってしまう。うすい恥毛がなびいて、それを心はむずかっている。
 言葉をかけて弁解したいところだが、そうすることもできない。
 もうこれは、さっさとやるしかあるまい。
 このまま、心を『食べて』しまうのだ。
 たっぷりと愛情を籠め、あくまで優しく、じっくり時間をかけて、心の大切な『女の子』を口で気持ち良くして『治して』あげる――それ以外に方法はない。
 心には、先ほど口で『治す』ことを禁じられているが、この場合は仕方ないだろう。後できちんと謝れば、こころ優しい心はかならず分かってくれるはずだ。
 深く息を吸い込んで、ゆっくりと吐く。口がふさがれているから、もちろん両方とも鼻で行った。

{いい――いい香りだ。心、僕の…女神}

「いやぁ、だめ…だめですぅ」
 鼻息のかかるこそばゆさに、心は身をよじらせる。
 小さな蕾にはり付いていた龍鬼の唇が、ゆっくりと動きだす。
「ふあっ! あ、ああん、いやぁ」
 クリトリスにしゃぶり付き、舌で舐りはじめる。
 腰をくねらせ、心は必死に逃れようとしている。だが、それとは反対に、しがみつく力はますます強くなる。
「あ、あ…やっや、いや、いやぁ、やぁん! あん、ああっん……だめぇ」
 龍鬼の顔にぐりぐりと股間を押しつけながら、可愛らしい声で抗議する。
 ときおり、ぴくんっ、ぴくんっ、と身体が跳ねて、つま先がひくつく。
 間違っても、歯を立ててしまい傷つけるような過ちを犯さぬよう、龍鬼は注意ぶかく心を『食べて』いる。
「あん、あん、ああ……あ、いや、いやぁん、いや、いや…あ、あふ」
 心の手足から少しづつ力が抜けはじめ、龍鬼の腕に重みが掛かっていく。
 しがみつく力が弱まって、龍鬼はかなり自由に動けるようになったが、とうぜん離れようとはしない。
「はぁう、あ……あん! あん、あん、いや……はぁ、あ…あ、だめ、だめぇ…」
 自分からこんな体勢になっておいて、駄目も何もあったものではないが、心は先程から言葉のうえでだけは抵抗をつづけている。そう、言葉だけだ。
 龍鬼は唇をすぼめて肉芽をはさみ、吸いながらかるく引っ張った。
「いやぁ! いやいや、だめ、だめなのぉ!!」
 びくびくと身体を痙攣させて、ストンと、心は龍鬼の腕のなかに落ちてきた。足はまだ肩に引っ掛かったままなので、上半身だけが離れた状態だ。
 心の淫肉がわななく度に、ぷちゅぷちゅと蜜が流れだす。ミルクのような香りのする、透き通った粘液だ。
 顔の下半分をそのいやらしい蜜まみれにして、龍鬼はクリトリスを貪りつづける。
「ふぁあっ…………あ、あぅう…あはぁ♪」
 喘ぎつつわが身を抱きしめて、心はついに言葉での抵抗すら覚束無くなりはじめた。
 小さな身体のほんの一部、本当に小さな小さな、豆粒のように小さな肉の塊をもてあそばれるだけで、いまの心はいくらでも快楽におぼれてしまう。

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