お嬢様のわんこ
第二章・わんこ、お嬢様への愛を叫ぶ・12
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目覚めたお嬢様は、いつもと変わらない優しいお嬢様だった。
この数日にパトリスから聞いたことも併せて現状を説明すると、俺を責めることなく今の姿も気に入っていると言ってくれた。
主従契約が逆転したことも気にせず、これからも一緒にいられるねと笑顔で言われては、嬉しくて我慢できずに再び抱きついてしまった。
「愛してます! これまで通り、精一杯お仕えしますから、この犬めをお傍に置いてください!」
押し倒したお嬢様に思いの丈をぶつけ、鼻をこすりつけて甘えた。
お嬢様も俺と同じ気持ちなんだ。
何も変わることはない。
これからも俺はお嬢様の犬として生きていく。
だけど、お嬢様はもう犬は飼わないなんて言う。
一瞬捨てられるのかと泣きそうになったけど、お嬢様は俺を犬じゃなくて狼族の獣人だと言い、今度は俺がご主人様だと、自分のことはお嬢様ではなく名前で呼ぶように言った。
「旦那様、私は旦那様のものです。これからは精一杯お仕えしますから、お傍に置いてくださいね」
抱きついてきたお嬢様が、甘さをたっぷり含んだ声で囁いた。
俺が旦那様?
お嬢様が俺に仕えてくれるの?
脳内で、これまでのお嬢様と俺の立場を入れ替えてみる。
ご褒美に頭を撫でて欲しいと訴えるお嬢様、甘える彼女を抱きしめてキスしたり、お風呂や食事のお世話をしたり……。
俺が彼女を可愛がりたいと願えば、幾ら手を出しても叱られる心配もしなくていい!
だってご主人様だから!
もう抑える必要がないと理解するなり、お嬢様を押し倒して唇に吸い付いた。
口内に舌を入れ、絡め、互いの唾液さえも美味に感じて酔いしれる。
キスの合間にお嬢様が荒い呼吸をしているが、苦しげな息遣いが艶を帯び、さらに興奮を煽った。
ええい、服が邪魔だ。
お嬢様を直に感じたくて、着ているものを剥いでいく。
丸くて美味しそうな乳房がぷるんぷるんと揺れている。余計な肉のない腹部とくびれた腰、その下には魅惑的な太腿が惜しげもなく晒されており、仰向けになっているために見えないが、触り心地の良い尻まで幻視できてしまう。
「お嬢様、ああ、お嬢様が俺のものだなんて、夢を見ているようだ」
うっとりと呟いた。
夢なら覚めないで欲しい。
生唾を飲み込み、乳房を両手で掴む。
手の平には収まりきらないそれの柔らかさを楽しみながら夢中で揉みしだいた。
硬くなった先っぽを指で押さえ、回すように捏ねると、お嬢様はさらに息を荒げて喘いだ。
「あっ、クロ、だめぇ……っ!」
だめと言われても止まらない。
手の感触だけは足りず、舌を使って乳首を弄る。
お嬢様は敏感に反応し、あられもない嬌声を上げた。
下半身が熱く滾ってくる。
ほんの少しでもお嬢様を感じることを止めたくなくて、口で胸を嬲りながら、服を脱ぐという曲芸じみた技を駆使して全裸になった。
さあ、いよいよという場面で俺はお嬢様に求婚の言葉を告げた。
本能に任せて飛びかかってしまったけど、本来はこちらを先にして了解を得てからするものだったと、わずかばかり復活した理性に気づかされたからだ。
俺が与えていた快楽から逃れ出たお嬢様はちょっと不機嫌そうにして返事をしてくれない。
調子に乗りすぎたのかも……と、落ち込んでまた泣きそうになった。
「そんな顔しないで。結婚を申し込むなら、もっと素敵な場所で服を着ている時にして欲しかっただけよ。愛してるわ、クロ。私もあなたを奴隷や飼い犬だなんて思ったことはなかったわ、今まで犬扱いしてごめんなさいね」
涙が零れる前に、お嬢様が不機嫌だった理由を言って慰めてくれた。
うわああん、良かったよぉ。
だけど、お嬢様は旦那様のことを思い出して俺から意識が逸れてしまった。
俺の興奮は冷めないままなのに、もう我慢できないいいいいっ!
「旦那様との思い出に浸るのは今は勘弁してください、結婚の申し込みは後日改めてします。お願いですから、俺をこれ以上待たせないでください。お嬢様と結ばれる機会を得て、お預けなんて我慢できませんっ」
鼻息をごまかすこともできなくなり、大声で訴えた。
お嬢様はびっくりした様子で俺に視点を戻し、両手を広げて体を晒した。
「ご、ごめんね、クロ。大好きよ、欲しいなら私を全部あげる。待たせたりしないから、好きなだけしてもいいよっ」
「! いただきますっ!」
お嬢様の許可が出た途端、飛びついた。
濃厚な口づけを交わして、今まで触れることの叶わなかった禁断の園に手を伸ばす。
太腿を撫で、付け根へと這い登っていく。
羞恥からか閉じかけた足を押さえ、茂みを探り、さらに奥の割れ目に到達する。
ここで繋がるんだと思うと、今にも血を噴きかねないほどに鼻が痛くなってくる。
だめだ、やっとお嬢様と結ばれるという時に、鼻血を垂らす醜態だけは避けないと……!
「あっ」
お嬢様が小さな悲鳴を上げた。
割れ目は愛液ですでに濡れていて、指にぬるりとした蜜が絡みついた。
潤滑剤として使うべく、人差し指にたっぷりと塗り付けて奥に進む。
最初は一本で試し、膣内を解しながら指を増やしていく。
お嬢様は緊張していて体が硬い。
指を動かしながら、キスをしたり、体の敏感な個所を舐めたりしながら快楽も与えていった。
「お嬢様、大丈夫ですから落ち着いて、体の力を抜いて」
耳元でささやいて、耳朶を甘噛みした。
甘い息を吐いたお嬢様がぷるぷると震える。
秘部からまた蜜が溢れてくる。
感じたんだ。
嬉しくなって、さらに愛撫を続ける。
いくら舐めても飽きることのない乳房を交互にしゃぶり、指を入れた秘口の上にある小さな蕾を優しく刺激してみたり、お嬢様が気持ちよさげに喘ぐ姿を眺めながら俺自身も興奮して昂ぶっていく。
三本まで入った秘部から指を抜き、濡れて蕩けた入り口を見つめた。
お嬢様は余裕のない表情ではぁはぁ息をついている。
真っ赤に染まった肌と、潤んだ目元が色っぽくて誘っているみたいだった。
喉を鳴らし、蜜で満たされた割れ目に顔を近づけた。
舐めてみたい。
本能のまま貪る俺はケダモノそのもの。
これから俺を受け入れる場所を解す仕上げに、念入りに何度も舐めた。
美味しい。
これがお嬢様の味。
俺だけが味わうことを許された極上の蜜だ。
満足すると同時に、お嬢様をいただく準備が整った。
「お嬢様、俺を受け入れてください」
お嬢様は返事をする余裕もないようだった。
仰向けになっているお嬢様の足を開き、俺を迎え入れるべく口を開けて待っているそこに、欲望で満ち溢れる自身を挿入していった。
「あんっ、い、いたっ」
お嬢様が苦痛を訴えて、俺の背に爪を立てた。
ごめんなさい、お嬢様。
今すぐ止めてあげたいけど、こればかりはそういうわけにはいかない。
少しでも痛みが和らぐように、感じる場所に触れて快楽を引き出していく。
お嬢様と一つに繋がる。
妄想でしかなかった事が現実となり、夢の中にいるようだ。
でも、これは本当のことで、俺は今、愛しい彼女の中にいる。
初めは気遣ってゆっくりと、次第に抑えが効かなくなって、夢中になって腰を動かした。
彼女の手は俺の背にまわされたまま、肌に爪が食い込むほど強くしがみつかれていたが、この痛みさえ俺に幸せを与えてくれる。
お嬢様が俺を求めている証拠だから。
「クロぉ……っ!」
縋るような声で何度も名を呼ばれた。
もっともっと俺を呼んで、欲しがって。
俺もあなたが欲しい。
「リュミエール!」
あなたの名前を呼ぶ。
初めて会った日に教えられてから、一度も呼べなかった名前。
あなたは俺のご主人様で、自分からは決して触れてはいけない存在だった。
もうあなたは永遠に俺のもの。
名を呼ぶことを許された幸福を、この命がある限り忘れることのないように胸に刻む。
これからもずっと一緒。
主従契約なんてあってないようなものだ。
あなたは俺のお嬢様。
俺に光をくれた優しいご主人様。
もう二度と失いたくない、大事な人。
あなたがこの腕の中でいつまでも笑っていられるように、俺はもっと強くなるから――。
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