仏様のとばっちり-聖母の肖像-

『孫』って歌、あったじゃない?ドラマにもなったみたいだけど。
ぼくが多分門野さんから受けてる愛情ってそんな感じじゃないかな、
って思う。
無条件に、ぼく一人の上に。贅沢だけど、それが時々重荷になる。
母さんからの愛情も、そうだったの、かな。違う、
って言い切りたいけど。

『おーい、香澄ちゃん。一寸待ったりぃな』
語学のクラスが一緒の佐々木国松から声を掛けられた時、
来るものが来たな、 と思ってしまった。
彼自身は隠し果せていると思ってるんだろうけど、彼が
門野さんの血縁だと言う事は、ぼくの本能…視覚的な能力…が
教えていた。少なくとも彼の体のパーツの三分の一は門野さんと
瓜二つだ。遺伝子をそのまま填め込んだみたいに。

…多分ぼくは彼に憎まれている、と思っていた。ほんの少し前まで。
だって彼が本来受けるべき無償の愛情を、成り行きとは言え
ぼくが奪ってしまったのだから。
ぼくがその愛情を受ける由来は母さんの事を除けば欠片もない。 
気にならない方がおかしいと思う。
だから、彼が本心を出して、ぼくを受け入れてくれたとき、
本当に嬉しかった。 
でもそれはそれで気になる事が一つ。
時々スキンシップが過剰な時があるけど、友情、だよね?

そして、国松と話している時にふとかおる母さんの事を思い出す。
国松が門野さんと素に向き合えないのは血の繋がりの所為。
じゃ、ぼくと母さんは?今なら笑って逢えるの?
自問自答。還らない答え。でも、愛してると言う事は判ってる。
今だからこそ自分で答えを出したいと、強く思う。

これからぼくは国松にも振りまわされるんだろうな。
そうだ、彼と門野さんを和解させて、愛情を半分肩代わりして貰おう。
かおる母さんを愛してる、って気付かせて貰えた御返しに。
それは京介達とは違う形の『好き』だと思う。
認めるのは悲しくない。只寂しいだけ。
いつか、優しさを投げ返してあげる為には、
越えるべき壁なんだろうから。
《コメント》
里親・domonnさんのリクエストにお応えして書いた物。
本編とは随分サイズが違うなー、我ながら^^;
そしてどっぷり浸かり始めた葡萄瓜は、
連載への構想を抱く訳ですが…
もう1作、その鍵となる作品が生まれて後の話です。



仏様と仲違い

舞台裏は見ないで

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