2001年12月31日
「ぅああっ、いや、こんな、こんなの……!」
何一つ身に纏わぬ裸の姿でパソコンの画面に面向かうりなは、そこに映る写真に愕然とした。
WWWブラウザのウィンドウのバーには「RINA ANAGA」の文字が表示されている。それは大司氏が製作したりなのホームページだったのだ。
そこに大写しで掲載されていた写真は、26日に撮られたりなの淫唇のアップであった。ぬらぬらと愛液で濡れそぼった赤い肉襞の花芯から大司氏の濃厚に白いスペルマを垂れ流している写真である。
激しく首を横に降りたくるりな。
「こ、こんなの私じゃないっ――」
「何言ってるんだ。ここに掲載したのは全部りなのやらしい本当の姿なんだぞ」
「ぅあんっ!」
体の内から一瞬力を抜かれるようなむず痒い感覚がりなの体を貫く。
彼女は椅子に座る裸の大司氏の腰の上に跨がっている。もちろんただ跨がっているわけではない。その肉唇はねっとりと濡れそぼってしっかりと大司氏のペニスを咥え込んでいる。
そのペニスが突然りなの膣内でびくんと大きく跳ねたのだ。
しかも一回だけじゃ収まらない。間をおいてもう一回びくん、再び間をおいてまた一回びくんっ。
「あんっ、ああっ!」
「ほら、その証拠に私のペニスを敏感に感じてるじゃないか」
「そんな、それは大司さんが……ひぅあっ! ぅあっあっあっ……!」
今度はねっとりとした動きで大司氏の腰が椅子の台座に円を描く。太く黒い幹のペニスで繋がったりなの腰もそれに従属するかのように遅れて円を描く。
「ほおらりな、君の腰が私の動きにいい具合にシンクロして揺れてるよ。やっぱり僕ら、相性がいいんだね?」
「いやああっ! 違う、違うぅう!」
囁く大司氏の口を払い除け、りなは両耳に手を当てて激しく頭を振る。乳首尖る乳房もつられてぶるぶると揺れる。
その乳肉を両手で受けて彼は慰めるように撫で回す。人さし指で絶えず乳首を弾きながら。
「どうしてりなは、そういう話になるといつも否定するのだ? もう裸のつきあいを始めてからこんなに親密になっているのに」
「ぅぅ……、や……やなのぉ……。勘違い……しないで……ひうぅ……私はただ」
「私は、ただ?」
「ぐぅ……え、エッチなことされて感じてるだけなのぉ!」
「だからそれが、私の事が好きということではないのかな?」
「ち、ちがっ……ぅああああっ、ああああぉあぁあ!」
細くすらりとしているとはいえどこがごつごつとした手に撫で回されていた乳房が、今度は縦に弾む。
りなの体が、跨がっている大司氏の腰のわずかな動きに上下激しく揺さぶられていた。
大きく膨らんで愛液で磨きのかかった亀頭が、とめどなく狭い子宮口をこじ開けんばかりに突き立てる。おかげでりなの肉壷は揺さぶりたて踊らされていた。
「ほら、気持ちいいんだろ? ほら、ほら、ほらあ! りな、その口ではっきり言うんだ。『気持ちいいです』と。さあ、言うんだ!」
「あああ、あああああっぅあああっ……」
ペニスは濡れた肉襞を捲り上げ、膣肉を抉り、胎内にまで肉欲を貪らんと激しく責めたてる。体の奥から強く湧き出てくる喘ぎ声をかみ殺そうとするがそれもかなわない。
もう辛いのはいやだった。体の中でうずうずと蠢く熱い性感に抵抗するのは死ぬほど辛い。
苦難のりなの脳裏に、抵抗することに屈して絶頂に達してしまった時の恍惚とした感覚の記憶がよみがえる。あの心地よい風吹く空に放り出されたようなあの軽やかな気持ち。
我慢するより、あのいい気持ちを再び感じていたい……っ!
「ひ……ぃ、ぃぎっ、いい、いいです……きもてぃいい……ですっぅぅう!」
押し殺すようではあるが、りなは激しい喘ぎに混じらせて言葉を漏らす。
小さな声、発音すらあやしいその言葉。だがそのことで彼女は自分の心に風穴があいたような気分になった。
「ぅあ、ああっ、あっ、あっ、あっ、あっ!」
あえぎ声にしても、まるで曇りが晴れて明るくなったような響きになる。揺さぶられる体の動きも柔らかくなった。
大司氏の体に背を預け、りなは体を侵していく性感に身を委ね、体の欲求にまかせるままに鳴き続ける。
快感がりなの頭に達するまで時間はかからなかった。
「ぅあっ、あんっ、あああ、ああああ、ああイクぅ、イクですぅ、イクぅイクぅ……」
背筋を弓なりにこわばらせ、きゅううぅっと膣口でペニスを硬く締め付けながら、絶え絶えの息の中で搾り出すようにりなは言葉をこぼす。きっとこれで、いつも以上の爽快な恍惚を味わうことができる――彼女は犯される快楽に浸かりながら、やってくるであろうその時に期待して待つ。
だが、突然大司氏はぴたりと腰を動かすのをやめてしまった。
それからすぐにりなの両足を抱え上げると、そのまま彼女の体を持ち上げたではないか。亀頭の返しで膣肉の粘膜を抉り取りながら、ゆっくりと引き抜かれるペニス。エクスタシーを期待して燃え上がっていた陰唇は、未練がましくペニスの幹にしがみついてまとわりつく。
しかしそれがかなうことはなく、完全に引き抜かれてしまった。
りなのぱっくり開いた肉襞から、大量の愛液による悲しみの涙がペニスに滴る。
「そんな……どうして……どうしてですかぁ!」
そのままゆっくりと床に降ろされると、鼻にかかった声で明らかに欲求不満をうったえるりな。
「まだだめだ。今日は特別な日なのだよ。りなはセックス三昧ですっかり色ボケしちゃったんだね、今日は十二月三十一日――大晦日だよ」
「……大晦日……」
最初りなは呆然として言葉をオウム返ししただけだった。
クリスマス・イヴは十二月二十四日。
大晦日は十二月三十一日。
あの夜から一週間と一日が経っていたとは。
その間に、自分はこの男にこの体をいいようにされ、なおかつ体の中に何度も沢山のスペルマを注がれたのだ。
「……っひっ、えぐっ、ぅええぇ……」
小声を漏らして顔を押さえ、少女のようにすすり泣くりな。
「こらこら、どうして泣くんだい?」
「だって……えぐっ……だって……」
りなの胸に沸き上がっていたのは、これからの自分への不安であった。断たれてしまった芸能界の夢、迫りくる妊娠の恐怖、インターネットで交合う姿を暴露された自分の今後の生活のこと――。
「私はそんなりなは嫌いだ。だからほら、もう泣くんじゃない」
大司氏は床にしゃがんで丸くなっている彼女の体をしっかりと抱きしめて、まるであやすように背中を優しく叩いた。
なんだか久々に味わったような心地よさであった――そう、たしか中庭でプラスチックの卵を産まされた後に抱え上げられた時の、あの感覚だ。
自然と、りなの涙が止まった。縁を赤く腫らした目で大司氏を見つめる。
「ひどいことばっかりするくせに、優しいんですね」
「私は女に対してはだれでも優しい」
「……ずるいです」
「何がだ?」
「どうせなら、ずっと永遠にひどいことをし続けたらいいのに……大司さんこうやって優しいことするじゃないですか……私、私……」
恥ずかしそうにうつむいて、りなは小声で言った。
「――大司さんにハマっちゃいそう……」
大司氏は嬉しそうな顔で彼女の頭を荒々しく愛おしく、髪の毛が乱れるくらいにぐしぐしと撫で回した。
* *
四つん這いになったりなの目線より高い窓からは、黒闇の夜空しか見えない。星どころか、月すら見えはしない。厚い雲のシルエットが不気味にゆっくりと風に吹かれて流れているのがわかる。
(こんな日くらい、もっときれいな空だったらなぁ)
上目遣いで窓の外を見るりなの尻を、大司氏が軽くスパンとはたく。
「ほら、もう眠たくなったのか? 年越しなんだからな、寝ちゃだめだぞ。ちゃんと起きているんだ」
「……はい……」
返事をするりなの頬はどこかほんのり赤らんでいるようにも見える。
もう時間にして十一時半くらいだったろうか。大司氏はりなに四つん這いになるように命令した。見ていたテレビに背を向け、腰を突き出して脚をやや広げて菊門や咲き乱れる肉唇が見えるようにする。
しかし四つん這いにさせたからといってしばらく何をするわけでもなく、しばらく大司氏は椅子に座ってテレビを見続けている。りなは振り返ることすら許されず、テレビの音声を耳で聞くのみだ。
だが決してこのままの状態で年越しを迎えるわけではない。年越し直前にふたりはあることをしようとした。
「どうせなら楽しいことをしよう。りなの子宮を正午までに百七回突き回してやる。そしてジャストきっかりに一突きしてフィニッシュしよう。……ふふ、除夜の子宮だよ」
大司氏の提案がりなの頭をぐるぐると駆け巡る。
いままで味わったことのない奇妙なテンションであった。時迫る緊張感の中で、むずがゆい感覚が体に沸き起こる。旧年と新年の節目に自分の性器が突き回されるのだ。考えただけで今までの大司氏とのセックスシーンが肌に思い起こされ、まるで優しく愛撫されたかのようにほのかに熱を帯びる。
そんな自分にりなは心中驚いてもいた。イヴの時には大司氏に裸の肌を触れられること自体嫌でしょうがなかったのに、今では恥ずかしいことをされるのに期待すらしているではないか。
もう苦しいのはいやだから、りなはすっかり大司氏に抵抗するのはやめていた。だが彼が繰り出してくる数々の恥辱に自分が期待しているなんて認めたくもなかった。
そうは思っていても、しかし彼女は何もされていないのにすっかり感じているのだ。またも彼女の乳首は硬くしこっている。
テレビでは来るべき時に向けて陽気に特番をやっている。2001年は日本も不景気だったし、とにかくショッキングな事件が多かったので、来年こそはいい年であってほしいっすよねぇ――出演している芸能人は、言葉は違えどおんなじ内容のことを口にしていた。ひょっとしたら自分が思っているほど芸能界って面白くないところなのかもしれないと、ふとりなは考えたりもする。
と、彼女の尻に手の形が深くめり込むのを感じた。
「さて、いくか」
ついに来た! りなの裸体に緊張が走る。
彼女の菊門に大司氏の舌が入り込んでくる。ねっとりしてざらざらとした相反する感触が括約筋をねぶり、緩めてしまう。
「ぅあ、あんっ……ああっ、お尻だめっ。お尻はやめてっ!」
りなの悲鳴に耳も貸さず、彼はつづけて彼女の肉唇につぷりと指を沈めていく。まるで水風船に針を突き立てたかのように、肉襞の奥からじっとりと愛液がこぼれる。さらに指を沈めて肉襞の根元をそっとなぞれば、陰唇はすっかり濡れそぼってしまった。
肛門から口を離し、てらてらと濡れた肉花弁に大司氏が吸い付いた。口の中で伸びる肉襞を舌先でチロチロと弄びながら、空いた手指はクリトリスの包皮をそっと剥きにかかる。
すっかり充血しきったむき出しのクリトリスを愛撫するのはそう難しいことではなかった。
「ぅあ、ひゃ、あ、あんっ!」
軽くイキそうになった。脚や腰をガクガクと震わせて、燃え上がる性器を抑えようとする。
しかし彼女の意志に反して、状況はさらに性器を燃え盛らせようとする。
大司氏のいきりたったペニスの幹が肉襞と愛液に絡みながら自らを擦り付け始めたのだ。
首を下に向けてりなはその様子を見たが、まるで本当にペニスを突っ込まれているかのようである。
「は、ぅあぁっ、いやっ、本当にしてるみたい、やああっ!」
「りなは本当にエッチだよ。僕が何もしてない間もやらしいこと考えてたんだろ? こんなにドバドバ濡らしちゃって」
「いやっ、言っちゃやだっ!」
「いいじゃないか。ちゃあんと準備してたんだろ? 百八回突かれてイケるようにイメージトレーニングしてたんだろ? いろんな妄想頭で思い浮かべて」
「違う……ぅうんっ、そんなこと言っちゃ――ぅああああっ!」
ッズンッ。
体全体に音が響き渡るような力強い挿入。入り口から奥まですっかり濡れそぼっていたものだからその分入りやすかったのかもしれない。
いつもより大司氏のペニスが大きく感じられた。あの時と同じように、りなはくっきりと膣壁にその形と温度を感じていた。
「あああっ、……もうやるの? ……ねぇ、もうやるのぉ?」
心臓がバクバクと激しく脈打っている。頭も既にぼおっとして、何を考えているのかすらわからなくなっている。知らず知らず口の端からつうっと涎の雫が垂れて床に落ちる。
「そうさ、とっとといくぞ。りな、ちゃんと突かれた数を数えるんだぞ。――それっ、一回!」
ッズンッ。
「ぅああんっ! ……い、いっかいぃ……」
りなの子宮が除夜の鐘に見立てられて突かれている。そうなれば、彼女の喘ぎ声は心地よい鐘の音。
「りなの子宮はかわいらしい音が出るなぁ。そらっ、二回っ!」
ッズンッ。
「ぅああんっ! にかい……」
「さあ、前の窓の外に漏れるくらいにいい音色を響かせて御覧。――っ三回っ!」
ッズンッ。
「あああああぁっ! ひゃんかぃ……」
それから大司氏は数を数えながらりなの子宮を突く。ときおり彼女の体や髪を両手で撫で回し、ひたすら強く強く突く。
最初はゆっくりであったが、次第にペニスの抽送は速く激しくなっていく。大司氏の言葉につられて一緒に数を数えていたりなも、熱く体中に沸き上がる性楽の前にもはやなまめかしい鳴き声をあげる事しかできなくなっていた。
テレビに映る特番の司会がカウントダウンの準備をスタジオの芸能人たちに促した時、大司氏は既に八十数回を数えていた。膣の中のペニスはぎんぎんに屹立し、いつ暴発してもおかしくないくらいに激しく脈打っている。それ以上にりなの膣壁はうねり、強く強くペニスを締め付ける。
頭では数えていても、もう大司氏の口から数字はこぼれなくなった。ただ必死に腰を動かして交合いに徹していた。
二十からのカウントダウンが始まった。テレビの芸能人たちは目を輝かせて口を揃えて数字を口にする。その時には、大司氏はクライマックスとばかりに腰を震わせてりなの肉鐘を突きつづけた。
芸能人たちのカウントダウンが十を切った時、ようやく大司氏は抽送のスピードを緩めて力強い突き上げを続ける。
「ああっ、はああ、イクぅ、イクですぅ、イっちゃうれふぅ……」
「よしよし、一緒にイこうな。……来年を、一緒になぁっ!」
……五、四、三、二、一――
ゼロォぉっ!
芸能人たちがくす玉を割り、クラッカーを鳴らして新年の到来に馬鹿騒ぎを始めるその瞬間。
大司氏はひときわ強い百八回目の突きを肉鐘に見舞うと、同時に熱く濃い白濁をその中に注ぎ込んだ。
「ぅぁああああああああーっ!」
ひときわ背筋を弓なりにしてわななかせ、りなは遠吠えのように今際の叫びを上げた。 |