04変態女、美露の胎動
何も見えない暗闇の中に、美露は裸で立っていた。見えないライトで照らしだされているのか、自分の身体だけ白く闇に浮き立っている。
いつからかは分からない、さっきからずっと彼女の身体は上から雨のように降ってくるおびただしい雫に打たれてびしょ濡れになっていた。肌に沢山の水玉が浮き立って、いっそう艶やかに映る。
どういうわけか、すっかり両乳首が充血して硬直しているのに気付いた。そこだけがさっきまで愛撫されたかのように熱く切ない余韻をたなびかせていた。手で両胸を隠せばいやでも掌に固くなった乳首が当たる。その感触に乳首は敏感に神経を昂らせ、乳房全体に共鳴する。
(あっ……)
淫らな炎をともしていたのは、胸ばかりではない。
下腹部のあたりが、心臓とは別の鼓動を刻んでいた。正確にいえばちょうど子宮のあたり。そこだけがとろけてしまいそうなくらいひどく熱くなって蠢いていた。そのうねりがヴァギナの肉壁を悶えさせて、秘襞をしっとりと愛液で濡らす。
胸と性器にともる甘美な炎の熱は、美露の頭にも伝わって、少しづつ、少しづつ蝕んでいく。
そんな状態でまともに立っていられるわけがない。熱くなった胸と股間に手を当てつつ、だんだんと身体中を行き渡り始めた心地よい痺れに力を奪われてふらつく足を、やや開き気味にしつつなんとか踏ん張る。
「どんどん美露さんが、僕のものになっていく……」
雨が地面を打つ音さえ聞こえない無音の世界で、男の声がした。
あの忌わしい男、俊司の声だ。
「すっかり乳首もピンピンに立たせて、アソコもびちょびちょに濡らして……」
(ああいやあぁ、言っちゃいや、言っちゃいやあああぁっ!)
必死に叫ぶ美露――しかし、まるで声帯が喉からなくなったかのように声が出ない。吐く息の音さえも聞こえない。
「なにもかも、本当のことじゃないですかぁ」
しかし俊司の声は、声なき美露の叫びに受け答えた。
「いやいやいつも言ってるけど、本当はすごく気持ちいいんでしょ? いいんですよ、気持ちに素直になっても。身体がうずいてたまらないなら、そこに座ってオナニーしたっていいんですよ」
(そんなことないっ! 気持ちよくなんかない!)
「またそんなこと言う。知ってるんですよ。本当は好きでもない男に身体が反応して、戸惑ってるんでしょ? でも、いやが応でも僕の事が好きになりますよ。それが証拠にほら、美露さんの子宮の中で僕の分身が――」
脳裏に蘇る、いまいましい射精の瞬間。
肉壷に飛び散った精液の生暖かい温度とねとついた感触。欲望を発散した喜びでうち震える陰茎のグロテスクな身震い。
(ぅあああああああああああああ!)
その場に座り込んで、下腹部を掻きむしるようにつかみ上げて美露は悲鳴をあげる。
(あああ、いや、あああああああぁぁ……)
目から大量の涙を流す彼女の顔は、悪夢の妊娠の事実で絶望に染まる。
その彼女の心中に反して、子宮の中で蠢いているモノはさらに我が物顔で暴れ回る。それは哀しいかな、めくるめく快感となって彼女の体中を駆け巡る。
(うはぁあ、あああ……ううぅ、あああ)
声になっていれば、鳴き声なのか喘ぎ声なのかわからなかったであろう。絶望と快楽に挟まれて美露はすっかりパニックに陥っていた。
「なに迷ってるんですか? 気持ちいいほうがいいでしょ? ほらヨガってみなさいよ美露さん。手伝ってあげますよ――」
美露の両側の腋の下をくすぐりながら、後ろの方から俊司の手が伸びる。彼女の両胸にそれぞれ五本の指を食い込ませて、彼の手はまるでパン生地を引きちぎるように乳房を引っ張り、全部の指の腹で揉み始めた。
(あぃっ、あひぃ!)
痛いはずなのに、乳房は勃起していた乳首の余韻のせいですっかり感じるようになってしまっていた。掌で揉まれる以上に、心地よい。
(ああっ、あっ!)
ぐりぐりと円をかくように引っ張り回された後、彼の手はぱっと指を離した。
今度はすっかり固くなった乳首をつまんで、おもいきりひねり始めた。
(ひぎぃぃああああああああああ!)
痛い。ひどく痛い。
彼女は手で掴んで引き離そうとしたが、つまんだ指は離れるどころかさらに乳首に食い込む。
「僕の手をそんなにいとおしそうに握っちゃって。もっと痛くされたいんですか。美露さんってマゾだったんだ……」
(違う、違――ぎひぃぃい! 痛あああああああああああああ!)
乳首の痛みに、美露の目が覚める。
耳には外で降りしきる雨の音。
涙にじむ目の前には、上半身裸の俊司の姿。
さらに見れば、乳首には赤い洗濯ばさみ。
「やっと目を覚ましたみたいだね」
「きゃっ!」
洗濯ばさみを取ろうとする美露の両手を、俊司はとっさに捕まえてベッドに押さえ付ける。
「駄目。これはお仕置きだよ」
「お仕置きって一体何の――?」
「あなたはお嫁さんなんだから、僕より早く起きないといけないんだよ。それを悠長に――」
「ちょ、ちょっと! 私いつあなたの嫁になるって言ったのよ!」
「口で言ってなくても身体が」
「身体が何よ――って、あ!」
時計は午前九時は十五分過ぎを差している。
「もうこんな時間じゃない! もう遅刻じゃない、とにかく着替えなきゃ――!」
ベッドから降りようと身体をよじろうとすると、腰の辺りが何かに押さえ付けられて動かすことができない。
そこではじめて俊司が自分の身体の上に馬乗りになっているのに美露は気付いた。
「ちょっと降りてよ! 仕事に行かないと……」
「そういや美露さんって、仕事何やってたの?」
「いいからどいてっ!」
「何で?」言っていることが分からないと言わんばかりに俊司は首をかしげる。「行かなくていいじゃん、仕事になんか」
「行かなくちゃいけないの! どいてよ早く!」
「行く必要なんかないよ」
両方の洗濯ばさみのくちばしを親指と人さし指でつまみ、力を入れてさらに挟み込む。
「ぎひぃぃぃぃぃぃぃっ!」
「今日から君は僕の側で生活するんだ。ずっと、僕の人生の伴侶としてね」
「痛いっ! お願い許して!」
「じゃあ今から朝ごはんを作るんだ。ほら行って!」
ようやく俊司は美露の上から降りた。美露は急いでベッドから降りてそのまま服を収めたクローゼットの方に行こうとする。
が、腕を引かれて連れ戻される。
何一つ覆わぬ裸の尻に、俊司が平手打ちする。うっとうしい季節に似合わない乾いた音が二、三発ほど部屋に響く。
「ひゃっ! やめて、あっ……」
「台所はそっちじゃないだろ! 腹減ってんだから早く作れよ!」
おとなしく彼の言うことに従うしかなかった。美露はとぼとぼと台所に行く。歩くたびに、赤い洗濯ばさみが両乳の先端で肉豆に食らい付きながら小さく揺れる。小さな痛みが羞恥で増幅され、じんじんと疼きはじめた。
(何やってるんだろ、私……こんな恥ずかしい格好で)
ちらりと目をやると、挟まれた乳首がぴりぴりとうずいて、朝起きた時よりほんのりと赤らんで大きくなっているのに気付く。
(何感じてるの、私? 痛いのに……気持ちよくないのに……)
台所の冷蔵庫に来ると扉を開け、中身を確認する。しかし一人暮らしなので、置いてあるものはすこしだけ。ツードアなのに、その半分も埋まっていない。
結局ゆで卵とトーストと牛乳という、美露が毎朝食べている朝食が二膳テーブルに置かれる。
「何だ、味気ない朝ごはんだな」
文句をいいつつも、俊司はトーストに口をつける。食べながらちらちらと、向いに座ってトーストを食べる美露を見つめる。
そのきれいな丸みを帯びた両乳の輪郭は、見ているだけでも勃起を禁じえないほどになまめかしい。乳首に食らい付いた洗濯ばさみは、彼女が腕を動かしたり物を噛んだり飲み下したりすればその度にヒクヒクと小さく揺れる。
そこからだんだんと俊司は彼女の仕草の一つ一つが淫美に見えてならなかった。動く喉元、パンを噛む際の唇の動き。時々唇についたパン粉を拭おうと舌舐めずりするのにさえ、俊司は愛おしく見つめる。
しかし何より、胸の洗濯ばさみが揺れるたびに乳首をさいなむ痛みに、まるではにかむように顔をしかめるのが俊司にはたまらなかった。
「美露さん、食べてる姿すごくかわいいよ」
「……え?」
唐突に変なことで誉められて、当の彼女は困惑する。
「パン食べてるだけなのにすごくいやらしいよ。おっぱいなんか、飲みこむ度に揺れてるのが洗濯ばさみでわかるよ」
「な、何言ってるのよ……」
笑ってごまかしはしたが、恥じらいの表情までは隠せない。
「……嬉しいんだ」
「え?」
「エッチだって言われて嬉しいんだろ?」
「そ、そんな……そんなことあるわけないじゃない」
「嘘だ。実は美露さん、自分がやらしいと言われてすごく嬉しいんだろ? 恥ずかしいのが嬉しいんだ」
「そんな……」
「じゃあ、さっきから勃たせてるこの乳首は何?」
腕を伸ばし、ピンと伸ばした人さし指の先で洗濯ばさみにはさまれて窮屈そうな乳首をつつく。
「んうっ……!」
ばれていた!
乳首をつつかれたのと、気付かれたことの恥ずかしさに、美露は思わず肩をすくませた。
「男の人の目の前で裸になって御飯食べてるのが、嬉しいんだろ?」
「そんなことないっ!」
「それじゃあなんで乳首勃たせてるの?」
「それは……」
言葉に詰まる美露を、俊司はさらに責め立てる。
「嬉しくもないのに、何で乳首勃たせてるの? やらしいことでも考えてたの? 昨日の晩の事とか」
「やめて……」
「僕が美露さんの膣内にスペルマ出した時の感覚でも――」
「やめてっ!」
両肘をテーブルについて美露は耳を塞ぐ。
「全く、素直じゃないなぁ」とぼやきながら、俊司はパンの残りを食べて牛乳を飲み干す。それからほんの少し黙っていたが、再び話し始めた。
「洗濯ばさみ、取ろうか」
それを聞いて美露はさも安心した様子で洗濯ばさみに手をかける。
「まだだよ! 取っていいって言うまで取っちゃ駄目だ。その前にしてもらうことがある」
すんでのところで手を止められ、美露は不満そうに俊司を見る。
その俊司の口から出た言葉は、美露の心を見えぬ楔で深く突き刺した。
「オナニーするんだ」
思わず美露は、自分の身体を守るようにその胸を両腕で覆い隠した。
「い、いや。そんなこと、できるわけないじゃない」
「じゃあ洗濯ばさみはそのままだ。僕にちゃんと見えるところでオナニーしない限り、乳首が腐るまでずっとそのままだよ」
「ふ、ふざけないでよ、こんなもの――」
「おい! 僕の指図なしにその洗濯ばさみを取るな」
わざわざ指差して命令してくる俊司の異様な気迫に、美露は取ろうとした手をぴたりと止め、そのままゆっくりと下ろした。
「さあ、床に座ってこっちに大きく股を開くんだ、おら早く!」
俊司の大声に気押されて美露は椅子から下りる。俊司に促されるままテーブルから少し離れたところに来ると、彼の強い指図で座らされる。
しかしその場に正座したのはいいが、いくら俊司が大声で叫んでも美露は股を開こうとしない。
当たり前である。好きでもない異性に、自分の一番恥ずかしい場所を自分から見せることなど、「やれ」と言われてできるわけがない。
しかし彼は彼女の心情など意にも介さない。
「今さら何恥ずかしがってんだよ! 昨日の晩だってソコで美味しそうに俺のチンポくわえてたじゃねぇか!」
「そんなのっ、そんなの……! できるわけ……えぐっ……ひっ、できる……わけ……」
美露の声は嗚咽にまみれて震えている。肩もまた怯えきって震えており、うつむく目には涙が溜まりはじめていた。
だが俊司は少しの慈悲も見せなかった。
「できないなら、手伝ってやるよ。ほら、床に尻つけろよ!」
震える肩を突き飛ばし、無理矢理フローリングの床に尻をつけて座らせると、今度はぴっちり閉じた脚を無理矢理こじ開け始めた。
「ひゃっ! いやああ! いやだぁあ! やめてぇ! やめて! やめてぇぇぇぇ!」
開こうとする手をどけようと、身体をよじらせた腕を思いきり叩いたりして必死に抵抗する美露。
だが脚を開かせようとする俊司の力はあまりに強かったし、そもそも美露には彼の手をどける力どころか、抵抗を続ける持久力さえなかった。
「んぁあああああああ――!」
力に負けて美露の脚が大きく開かれた時、彼女は古い扉の蝶番の軋む音よろしく、喉から絞り出したような悲鳴を漏らした。
大きく開かれた股間の中心に、きれいなピンク色をしたみずみずしい秘裂が、その隙間から柔かい肉の花びらを飛び出させていた。
「いやぁ、見ちゃやだ……」
美露の弱々しい声にも耳を貸さず、俊司は彼女の肉華にさらに目を近付ける。
実際それは昨日一昨日強姦されて膣内に無理矢理スペルマを流し込まれたとは思えないくらいにきれいな色をしていた。しかも美露自身の意志とはうらはらに肉襞はうっすら湿っており、陰唇の奥底から濃厚な淫臭が彼の鼻を優しくくすぐる。
「美露さん、こんなかわいいオマンコしてたんだ……」
「あっ――! ああっ」
(言っちゃいやっ! もう私のアソコを見るのはやめて! でないと私、このままだったらどうかなっちゃう……!)
股間を視姦されている美露の心の中で、何かが起ころうとしていた。
羞恥の炎から逃れようともがき苦しむかたわらで、彼女自身認めたくもない感情がじわじわと沸き起こっていたのだ。それはブラックホールのように、彼女の意志すら飲み込んでしまいかねないものであった。
「こ、怖い……」
「何が怖いんだよ、本当は自分のオマンコ見られて嬉しいんだろ? 喜べよ」
(ひぃっ!)
「喜べよ」と言われた瞬間、美露の体中に鳥肌がざわめいた。心の中の「認めたくない感情」が、それを聞いたとたんに一気に膨張したかのような感覚を覚えたのだ。
「も、もういいでしょ……? もう許して」
「何いってるんだよ、ほら、この中に指入れてオナニーしろってさっき言っただろ?」
「そん、な……」
「何言ってんだよ、さっきよりもっと濡らしてるくせに。近くで見ておいてやるよ。ほら、早くしろ!」
するしかなかった。
おそるおそる美露の右手指が陰唇にじわりじわりと近付く。
「う……んんぅ!」
ようやく秘裂の先に行き着いたと思ったら、勃起し始めていたクリトリスを擦ってしまった。
思わずビクンと背をのけぞらせる美露。
一気に充血しはじめたクリトリス。
「ほら、まだ大丈夫なんだろ?」
尻の脇をぺちぺち叩いて促され、美露の指はヴァギナを目指す。
右手の人さし指が、虫が巣穴に潜るようにのっそりと、濡れそぼった膣穴に潜っていく。
「あ……んっ!」
昨日の夜に浴室でやっていたように、肉壁をこするように指を動かす。
膣内は燃え上がっていた。しかも昨日より熱く、強く身体を火照らせる。目の前に男がいるのに。
(ああぁ、男の人の前で恥ずかしいはずなのに……。身体が、身体が……す、すごいぃ)
こらえにこらえているのに、美露の腰は意志に関係なく前にくいくいと動く。それは、自身の指をくわえる発情に濡れそぼった肉襞のヒクつきと絶妙にシンクロして、俊司の目を楽しませる。
「すっかりその気なんじゃない。ほら、遠慮しないでいいんだよ」
(そんなこと言っちゃやだ、言っちゃやだぁ!)
「はぁはぁ……うんううううううぅ!」
鼻からうめき声を出して、ひっきりなしに切ない息を吐き続ける。
彼女の指はひたすらヴァギナで踊り、奥から溢れ出るうっすら白く濁った愛液をクチクチと鳴らしてしきりに出し入れをくり返す。
(こんなの……こんなの私じゃない。私じゃない……)
色欲で火照りきってねっとりととろけた頭の中で、美露はまだ自分の発情を認めようとしない。
しかしそれでも彼女の指はヴァギナをまさぐり、肉壷の中で膨らむむずがゆく熱っぽい感覚に腰をくねらせ、M字に大きく開かれた脚も快感を発散させるやり場なく震える。
「そろそろかな」
舌舐めずりする俊司。さらに彼女の濡れそぼった陰部に、鼻頭が当たりそうなくらい顔を近付ける。
生暖かい息が、ヒクつく肉襞を撫でる。これが、最後まで抵抗していた美露の意識を貫いた。
「うあぁ、あぁ、あああぁ、ああああ」
ぐっと背をのけぞらせ、身をよじる美露。手はさっきより激しくズボズボと膣をえぐりぬく。
彼女の耳に外の雨の音は聞こえていない。聞こえるのは時々ひきつりながら甘く湿っぽく脳内に響く自分の喘ぎ声。
すっかり性欲に支配された意識の中で、このむせかえるほどの快楽から抜け出して楽になりたいと一心に願う。しかし、手を伸ばせば届きそうな頂きになかなか近付けない。
「うんんんんっ、うううううぅ!」
哀し気を含む喘ぎ。
必死に膣の中で指を動かして、目から涙を流してスパートをかける美露。だが指をどれだけ激しく動かしても、激しく悩ましく腰を振り立てても、求めるエクスタシーに達することができない。
ようやく俊司が立ち上がった。
「よしよし、良く頑張ったね。洗濯ばさみ、取ってあげよう」
「あ、んうっ! 」
強く乳首をつまんでいた赤い洗濯ばさみが取られた瞬間、自慰に燃え上がった血液が勢いよく乳首の血管に流れ込む。その心地よい痺れは、すっかり敏感になった彼女の神経を強く刺激する。
「……ぁあああああ……」
硬くしこった乳首を斜め上に向かせて、美露はほとんど声にならぬ絶頂の嬌声を上げた。
洗面台の前に、美露は立っていた。
だ円形の鏡には彼女の臍あたりから上が映っている。何もまとわぬ裸の姿。腰から股間に至る、脚の付け根にうっすらと描かれた身体の線が、鏡に映らない陰部を想像させる。
背後には俊司が顔満面に笑みを浮かべて、鏡の中の裸婦を眺めていた。
「じゃあ、自分で胸を揉んでもらおうかな? あれだけ大胆なオナニーが出来たんだから、そんなことお茶の子さいさいだよね?」
馴れ馴れしく肩に手を乗せて、その丸みを楽しむように撫で回す。
ゆっくりと美露の手が胸に伸びる。それぞれの乳首が人差し指と薬指の間に挟み込まれると、乳肉を優しく包んだ手がその指を食い込ませて円を描くように動き始める。
鏡の美露の顔が赤く染まっていく。
その彼女のうなじを、俊司は舌ですっと線を引くように舐めた。
「やっ!」
「美露さん、どんどんエッチになってくね。だんだん僕好みになっていくのがわかるよ」
「へ、変なこと言わないで。あなたの好みなんかに、絶対ならない」
弛んでいた眉間を引き締めて言いはしたが、胸は命令されたとおりに揉みしだいている。
「でもすごく気持ち良さそうに胸揉んでるじゃない」
「あなたが好きだからじゃ、ない」
「じゃあ何のために?」
「……」
黙りこくった美露の手の上に、俊司の手が重なる。
「オナニーで火がついた身体を慰めるため?」
「ひゃぅっ!」
彼女の手の甲に覆いかぶさると、さらに大胆に円を描いて乳房の形をゆがめる。
「うわぁあ、エロエロだね。見てごらん美露さん、おっぱいがいいようにされてるよぉ」
(こ、この人でなしっ! 人をおもちゃみたいにして、許せない!)
唇を噛んで、鏡を見てニタニタ笑いながら自分の体を弄ぶ俊司を睨み付ける美露。
しかしそんな彼女も、その乳首を充血させて硬く立たせているのである。
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