|
|
|
|
第15話「天下の要衝、ハイパス・ホールド」 |
|
サンド・ジャイアントに追い払われるようにしてマーのオアシスを後にした僕らは、次は西コモンランドの山賊(a dervish cutthroat)狩りをすることにした。
砂漠を駆け抜けて、西コモンランドの山賊のアジトへ向かった。
ところが、西コモンランドまで行ってみると、すでに山賊退治をしている先客グループがいるではないか。
ゾーンを三つも越えて来たというのに、とほほ・・・。
目標を見失って途方に暮れる一行。緊急会議の開始だ。
「どうしますか」
「ハイパス・ホールド(注1)に行ってみませんか」
「そうですね、せっかくここまで来たことですし行ってみますか」
「行くなら急ごう、もう夜になっちゃう。キシコールが危ない」
「OK、行こう」
すみやかに話し合いは終了し、計画は固まった。西コモンランドからさらに北西へと走り、僕ら一行はハイパス・ホールドを目指すことにした。
ところで、西コモンランドとハイパス・ホールドの間に広がるキシコールの森は、夜になると危険なアンデッドが多数出没する。
そのため、レベルの低いうちは出来るだけ日中に通過しないといけないゾーンとして知られている。
そして、このときの時刻はノーラス時間にして午後4時だったのだ。一行は何度も「/time」コマンドでノーラス時間を確認しながら、グループメンバーのドルイドからもらったSoW(注2)で突っ走る。
「うあ、もう午後5時! やーばーいー!」
すっかり日が暮れてきた。しかし一行もすでにキシコールの森に入っている。もう少しだ。暗い森の中をゾーンの壁沿いにひた走る(注3)。
結局、一行はなんとか日没前にハイパス・ホールドに着くことが出来た。
ふー、間に合ったか。
ハイパス・ホールドに入ってみると、今僕らが入って来たすぐそこのキシコールの森側出口で、オーク(an orc berserker等)狩りのグループがキャンプをしているのに遭遇した。
どうやらここのオークもすでに先客がいるらしい。
そそくさと狩りの邪魔にならないようにその場を通り抜け、ひとまずハイパス・ホールドの中心にある、ハイ・キープ(注4)と呼ばれる砦の入口にまで走ることにした。
砦の入口はガードが多数いて安全なので、そこで一息ついてから次へと進むのだ。
ハイパス・ホールドは、縦に長いほぼ一本道の狭いゾーンで、中心にあるハイ・キープを境にして、キシコールの森への出口側にはオークが、カラナ平原(注5)への出口側にはノール(a gnoll)が、それぞれうろついている。
このうちオークの出没地域にはすでにキャンパーがいたし、ノールよりも若干レベルが高く、さっき見た限りでは僕らには少し手強いようなので、今回はノールを狙うことにしよう。
そうと決めた僕らは、ハイ・キープ入口からさらにカラナ平原側へ進んで、「坂の上」とか呼ばれるキャンプポイントでノール相手のキャンプをすることにした。
ノールは、犬人間、といった見た目のモンスターで、オーク、ゴブリン、コボルドと並んで、ノーラスのモンスターの代表格だ。
カラナ側のゾーンから僕ら一行のいる坂の上までの周辺に、このノールがうろうろしている。これをプラーが見つけては、坂の上まで引っ張って来ては倒す。いつも通りのキャンプが始まった。
一旦キャンプが始まればあとは順調だ。
ここにはサンド・ジャイアントのような危険モンスターもいないし、サクサクとキャンプは続いた。ノールの強さは、レベル14の僕から見て水色から赤といった感じで、経験値も申し分ない。
結局、ここで狩りをし続けた僕は、この日はハイ・キープでログアウトをした。これから数レベルに渡って続く僕のハイパス・ホールド生活はこうして始まったのである。
|
1日17時間30分 |
|
|
|
|
注釈
(注1)ハイパス・ホールド:
東西アントニカを結ぶ交通の要衝で、山脈を切り開いて作られた街道、といった構造になっている。街道とはいえ、ハイパス・ホールドには多数のオークやノールが徘徊しているので、決して安全とは言えない。
(注2)SoW:
ドルイドやシャーマンの持つ魔法「Spirit of Wolf」の略。魔法をかけられた対象の移動速度を上げることが出来る魔法で、便利な魔法ランキングの上位に位置すると思われる、超有名魔法。一般にSoWという略語で用いられるので、覚えておいて損はない。
(注3)ゾーン壁沿いにひた走る:
ゾーン壁沿いを走る利点は、一つには道に迷いにくいこと、もう一つにはモンスターに遭遇しにくい点である。後者については全てのゾーンで当てはまるわけではないが。さらに言えば、死んだときに回収する死体の位置を把握しやすい、というネガティブな利点もあるにはある。
(注4)ハイ・キープ:
ハイパス・ホールドの中央にある砦。それ自体が別個のゾーンとなっていて、中には店や銀行、さらには小さなダンジョンまであるという、小さいながらも侮れないゾーン。ハイ・キープ内にあるダンジョン(と言うほどの規模でもないが)はレベル20台の冒険者にとって、店が近く、ガードも近いため、便利で安全な狩り場として知られている。
(注5)カラナ平原:
アントニカ大陸最大の平原。東西南北、四つものゾーンに区切られていて、その一つ一つが広大な平原になっているという、あきれるほど広いゾーン。「カラナを走ってみろ」とはエバークエストの世界の広さをわかりやすく体験させようというときによく言われる文句。 |
|
|
|
|
|