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第17話「活火山の地を偵察せよ」 |
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相変わらずハイパス・ホールドのノールを倒して経験値を稼ぐ今日この頃。気が付けばレベルは16だ。
しかし、ハイパス・ホールドほどに有名、かつ便利な狩り場ともなるとさすがに人気スポットなのか、三つのキャンプポイントにいるグループ全てが満員で、入り込む余地すらないことがままある。
この日も、いつものようにホームポイントに設定してあるハイ・キープへの入口にログインした僕だけれど、どのグループも空きがなく、グループに入りそびれてしまった。
うーむ。ソロはつらいしどうしようかな。
・・・よし! たまには物見遊山の旅にでも出るか!
ってなわけで、今回、僕はいつものルーティンワーク的な狩りから離れて、行ったことのないゾーンを偵察がてらに歩き回ってみよう、ということにしたのだった。
目指したのは、東コモンランドの北にあるネクチュロス・フォレストという森、そしてこの森を抜けた先にあるラヴァストーム山脈だ。
ネクチュロス・フォレストは、ダークエルフの街であるネリアックのあるゾーンで、ゾーンのあちらこちらにダークエルフのガードが歩き回っている。
普段だったら頼もしいガードも、敵対種族(注1)のガードとなると話は別だ。
ここのガードに見つかったらあっと言う間に僕などはやられてしまうだろう。ここは一つ、新しく覚えたInvisibilityの魔法(注2)で姿を消して行くか。
しょわわ〜ん
おう、消えた消えた。
外部カメラで見ても自分が見えないではないか。試しにガードに対して「/c」をしてみると、「『無関心』だ」と出た。よしよし、これなら不意にガードに遭遇しても安心だ。
とはいえ、Invisibilityは突然効果が切れてしまうという心臓に悪い魔法(注3)なので、出来るだけガードに出くわさないように、ゾーンの西壁沿いを進もう。
薄暗いネクチュロス・フォレストを進む。川を泳いで渡ると、草地だった地面が岩地に変わる。
さらに壁沿いに進むと、たき火があり、その周りにダークエルフのNPCが座っていた。
たぶん平時だと近づくだけで襲って来そうなダークエルフのNPCだけれど、今は姿を消しているので、近づいても何もされない。
思わず接近して写真なんかを撮影しちゃったりする僕。
そのまま壁沿いを進み続けると、ついにゾーンが切り替わり、ラヴァストーム山脈に到着する事が出来た。
ラヴァ(溶岩)ストーム(嵐)の名前が示すように、ラヴァストーム山脈は、活火山で構成されている地形を持つゾーンで、あちらこちらに溶岩が沸き出している。
溶岩に入るとダメージを受けるので、極力溶岩には落ちないようにしよう。
ラヴァストーム山脈はダンジョンの宝庫と言ってもいいゾーンで、東には「ナジェナ」、北には「ソルセックの眼」や「ナガフェンの巣」といったダンジョンへの入口がある。
この中ではナジェナが一番適性レベルが低く、僕が行くのには一番レベル的に適しているのではなかろうか。
そう思った僕は、ナジェナを目指すことにした。ラヴァストーム山脈を東進すると、ナジェナの入口はすぐに見つかった。
岩地に大きく開かれた入口は、その巨大な扉が半壊していて、かなり目立つ。そして、その壊れた扉がナジェナへ入るための階段をなしているようだ。
壊れた扉の残骸を駆けのぼり、僕はナジェナに突入した。
ナジェナ内部に入ってみると、見事に誰もいない。今はナジェナ攻略に来ているグループがいないようだ。
これはやりたい放題出来るってことですな。ふふふ。
入ってすぐに地面に骨の残骸に偽装しているスケルトンが数体いるのが目に付いた。しかしコイツらは僕から見て緑色の弱いスケルトン(a large skeleton)のようで、近づいても襲って来ない。襲って来ないなら放っておくか、と言うことでさらにずんずん進む。
すると、僕から見て青いオーガガード(an ogre guard)というモンスター(?)がいるのが目に入った。周りには他に襲って来ない緑のスケルトンしかいない。
よし、こいつを倒してみるか。
おもむろにオーガガード目掛けてRootの魔法を唱える僕。
すると・・・
ヒャーハハハハハハ!
ヒャーハハハハハハ!
ヒャーハハハハハハ!
緑のスケルトンがこれに反応して、大挙して襲い掛かって来た。オーマイガッ!
ゼン 「Train to Zone!! モンスターの群れがゾーン際へ!」
ついクセで誰もいないトレインコール(注5)をしつつ、一目散にゾーン際まで戻り、ラヴァストーム山脈へ逃げる僕。
ふう、死ぬかと思った。
結局、1人でダンジョン内のモンスターに挑むのは非常に危険、と言う教訓を得た僕は、さらに「ソルセックの眼」を偵察し、レベルが全然全くもってまるで洒落にならないほど足りないことを痛感して、帰路についたのだった。
やっぱりもう少しレベルを上げよう。
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2日2時間3分 |
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注釈
(注1)敵対種族:
ゼンのような邪神を信仰していないノームにとって、ダークエルフやオーガ、トロルなどは敵対種族であり、そのガードは恐るべきモンスターとなる。同じ種族でも、職業や信仰心によってどのガードは味方で、どのガードは敵になるかが変わってくる。
(注2)Invisibilityの魔法:
Invisibilityの魔法を使うと、普通の視線を持つモンスターから襲われなくなる。普通の視線とは一般的な生物(動物、ノール、オーク、普通の町の人、等々)が持つ視線のこと。スケルトンなどのアンデッドや特殊な視線を持つモンスターからはこの魔法では身を隠せない。
(注3)突然効果が切れてしまうという心臓に悪い魔法:
Invisibilityの効果時間はランダムで、運がよければ十数分持つが、運が悪いと数秒で効果が切れてしまう。効果が切れる寸前に一応警告のメッセージが出るが、警告を見てから実際に効果が切れるまでの時間は非常に短いので、怖い。
(注4)溶岩には落ちないように:
溶岩に落ちるとダメージを受けるので、もし落ちたら素早く溶岩から上がろう。また、足がつかないほど深い溶岩に落ちた場合、操作が水中と同じになるので、慌てず上を向いて浮上し、岸に上がろう。
(注5)トレインコール:
トレインがゾーン際へ向かっていることを「/shout」等のコマンドでゾーン全体に警告すること。一種のマナー。トレインを起こした人が行う場合が普通だが、トレインを起こした人に余裕がない場合などに、周りで傍観している人が言う場合も多いので、トレインコールをした人を「あいつが悪い!」と一概に疑ってはいけない。
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