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第24話「ラニーアイの開放地」 |
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レベルも20台になると、狩り場とするダンジョンを複数選択できるようになる。諸国漫遊をかねて、今までにナジェナやガックに挑戦した僕は、今回ラニーアイの開放地というダンジョンに行って来た。
ラニーアイの開放地は、ミスティーの雑木林を挟んで、ハーフリングの生まれ故郷であるリバーベイルと、対立しているダンジョンでゴブリン達(a goblin)の巣窟になっている。
内部は入り組んだ立体構造になっていて、下手に動くと迷ったあげくに即トレインで全滅という危険なダンジョンの一つだ。
僕ら一行は、手探りで不慣れなラニーアイを進みながら、ダンジョンの上から三層目(注1)辺りにいる、キノコ人間のようなモンスター(a sporali)を狩って経験値稼ぎをしていた。
ところが、前述のようにここは場所を選んで戦わないと、次から次へとモンスターが増えていく危険なダンジョン。必死にやって来るモンスターをさばいていった僕らも次第に息切れを始め、ついに撤退を余儀なくされた。
ゼン 「evac!」
Evacuate、通称evac(またはドルイドの場合Succor)と呼ばれる緊急避難魔法(注2)を使って、僕らは辛くも死者を出すことなく、ダンジョンの入口まで戻ってくることが出来た。
さて、ダンジョンの入口へ戻ってみるとそこには別のグループがいた。
僕ら一行が、しばらくそのグループの隣で体力回復に努めていると、そのグループがこんな提案を持ちかけてきた。
「レイド・モードにして、一緒に最下層でガリガリとアイテムキャンプをしませんか?」
ふむ。最下層というと、おそらくレベル20台後半から30程度が必要なエリアではなかろうか。そこへレベル20台前半のレイド・グループで乗り込んで、今の僕らからすると上級なアイテムを手に入れようということか。
あまりアイテムに依存しない職業であるウィザードの僕としては、正直「やってもやらなくてもいい」という程度だったけど、グループメンバーのタンクの人にはおいしい話に違いない。
ゼン 「はい、それではよろしくお願いしまーす」
ってなわけで、南カラナ以来のレイド・グループを再び組んだ僕は、大所帯となった一行と共に奧へ奧へと突き進んだのだった。
途中の狭い道を大所帯で進むと、なかなかの混雑っぷりだ。特にバーバリアンのような大型種族は身動きが取りにくそう。
魔法のエフェクトもいつもの2倍輝いて、それはもう貧弱な僕のパソコンではしんどいしんどい。
そんな風に大人数でゾロゾロと進んで行くと、やがて細い洞窟状のエリアから、小さな部屋で区切られているエリアに着く。
ここがラニーアイ最下層のゴブリンのお偉いさんたちが住むエリアだ(注3)。最下層の入口から、わらわらとやって来るモンスターをことごとく排除しながら進む。
最下層に入ってすぐにある、広間のような部屋まで着いたら、そこで僕らの大グループはついに進行を止め、やっと腰を落ち着けてキャンプをすることにした。
プラーが引っ張ってくるキノコやゴブリンを2グループがかりでボコボコにする。
とはいえ、2グループがかりと言っても敵のレベルが高いために、完全に余裕とは言えない。歯ごたえのあるモンスター達をなんとか倒し続ける。
たまにデストロイヤー(a Pickclaw Destroyer)というモンスターがPullされて来たりする。すると突然レイドチャットには、
「デストローイ」 「デストローイ」 「デストローイ」
と、デストローイ・コールがわき起こる。
このDestroyerをはじめ、レベルの高いゴブリンはBlackened Alloyシリーズと呼ばれる、なかなかの性能の黒いチェイン・メイルを出すことがあるのだ。
このアイテムが出ることを期待して、デストロイヤーが来ると場が盛り上がるのである。
しかも2グループと言うこともあってその盛り上がりっぷりも通常の2倍なのだ。
そして運良くBlackened Alloyシリーズが出ると・・・。
「アローイ」 「アローイ」 「アローイ」
と、アローイ・コールがわき起こるのである。もはや部外者には訳の分からないハイ・テンションである。
そんなハイテンションを維持しつつ何度もアローイ・コールを繰り返した僕らは、何人かの鎧をBlackened Alloyシリーズで黒く染めて、ラニーアイの開放地から引き上げたのであった。
あ、気が付いたら僕のレベルも23に上がってるし。戦闘とアローイ・コールに夢中で気がつかなかったよ。
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4日18時間22分 |
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注釈
(注1)ダンジョンの上から三層目:
ラニーアイは大きく分けて四層構造になっている。もちろん下に行くほどモンスターのレベルは高い。一層目、二層目、四層目はメインとなるモンスターはゴブリンだが、三層目だけはキノコ人間がメインの階層になっている。
(注2)緊急避難魔法:
ウィザードのEvacuateの魔法、またはドルイドのSuccorの魔法。これらは、グループメンバー全員をそのゾーンの安全なところや、他のゾーンまで転送できる緊急避難用の魔法。普通のグループ用の転送魔法(ウィザードのPortalの魔法やドルイドのCircleの魔法。通称GG:グループゲート)にくらべて、詠唱時間が短いという長所があるが、その反面低確率で一部のメンバーが転送されない場合があるという短所をも持つ。
(注3)ゴブリンのお偉いさんたち:
Lord Pickclaw、Battlelord Paluk、Battlewizard Unak、といった固有名詞付き(named)のゴブリンが最下層に徘徊している。通常のゴブリンより強いので注意が必要。 |
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