|
|
|
|
第28話「再びアンレスト」 |
|
レベル10台の頃に訪れたアンレストの館に、久しぶりに行って来た。
あのころは館の庭にいる虫や、弱いアンデッドを倒すのが精一杯だったけど、だいぶレベルが上がった今なら、館の中へ入って戦えるかもしれない。そう思って、再びやってきたのだ。
あわよくばアンレストの館内部で取れるレア・アイテムも狙っていこうという算段であることは言うまでもない。
さすがにもう館の庭にいるモンスターは、どれもこれも軒並み緑色で自分の成長を実感させられる。庭のあちこちには、館の庭のモンスターを狩っているレベル10台のグループがいて、「ああ、これ僕もやったなぁ」と思うと懐かしい。
ところで、ドルイドはレベルが上がると狼に変身する魔法を覚える(注1)。
この魔法を使って狼に変身すると、アンレストの館にいるモンスターは、ドルイドに対して敵対的ではなくなり、安全に館内を歩き回れるようになるらしい。
ってなわけで、今回はグループのドルイドが狼に変身して、館内のモンスターをうまく引っ張ってくるのを残りのメンバーが待ち構える、というやり方で進んでいくことにした。
僕らは館正門から向かって左奧にある、裏口のドアから館内に進入し、2階への階段の前で待ち構える。しばらくすると、先行したドルイドがHarmonyの魔法(注2)を駆使して、うまくモンスターを一体づつ連れてくるので、それを各個撃破していく。
そんなことを数回繰り返すと、2階の広間にいるモンスターが一掃されたので、今度は2階へ上がって、そこでまたその先からドルイドがモンスターを連れてくるのを待つことにした。
「あ、失敗した」
Harmonyがうまくかからなかったのか、一気に3匹のモンスターが襲いかかってきた。実はこのとき、グループはフルメンバーではなく4人だったのだ。
さすがに4人、しかもエンチャンターやバード抜きで青3匹を相手にするのはつらい。さらにどこから来たのか、出所不明のモンスターが後から後から増えていく。
さすがはトレインの名所アンレストである。もうすでに視界はモンスターの山、山、山。速やかにEVACをして、一旦ゾーンの入口まで退避する。EVAC発動前に死んでしまったメンバーを蘇らせつつ、次の方針を練る。
「プル以外のが何匹か来てましたね。巡回かな」
「あそこで戦うと、変なADDするのかなー?」
「今度は3階のベランダでやってみましょうか」
「そうですね」
館の2階の中央付近にある階段から3階へ上がると、館の正面玄関の真上に当たる位置にある、ベランダへ出ることができる。そこには、とりあえずざっと見たところモンスターがいないようなので、そこをキャンプポイントにして攻略してみよう、というのが狙いだ。
Invisibility vs Undeadの魔法(注3)をかけて、館内にいるアンデッドから襲われないようにし、一気にベランダまで駆け上がる。
ベランダに出ると、館の入口近くでモンスターを狩っているグループが遠望できたりして、なかなかいい眺めだ。
ベランダの入口がある部屋にはモンスターが三匹ほど湧いているので、まずこの部屋を片づける。
ドルイドが部屋の中のモンスターにHarmonyの魔法をかけ、ウォーリアがそのうちの1匹に弓を放つと、うまいこと部屋の中から一匹だけベランダにおびき寄せることが出来た。
よしよし、いいぞ。
|
1匹目を難なく仕留め、ここでのキャンプは成功するかもしれない、そう思ってどっかりベランダに腰を下ろした瞬間・・・。 ベランダのドアが自動的に開いた。
A dry bone skeletonはあなたを攻撃した!37ポイントのダメージ!
A crazed ghoulはあなたを切りつけた!11ポイントのダメージ!
A crazed ghoulはあなたをキックした!10ポイントのダメージ!
A ghoulはあなたを攻撃した!28ポイントのダメージ!
A ghoulはあなたを攻撃した!しかしミス!
A ghoulはあなたをバッシュした!6ポイントのダメージ!
A carrion ghoulはあなたを攻撃した!10ポイントのダメージ!
A carrion ghoulはあなたを攻撃した!28ポイントのダメージ!
A carrion ghoulはあなたをキックした!2ポイントのダメージ!
A skeletal monkはあなたを攻撃した!36ポイントのダメージ!
A skeletal monkはあなたを叩いた!18ポイントのダメージ!
・
・
・
一瞬で真っ赤に染まるチャットウィンドウ。な、な、なにごとだ! と思う間もなく、反射的にベランダから正面玄関に飛び降りた僕は、一目散にゾーン目指して走り出した。
「Train to Zone! ゾーン際へモンスターの群れが!」
シャレにならん。推定8匹ほどのモンスターが、突然ベランダへ乱入してきたのだ。どうやらベランダに座った瞬間に、館内のどこかのアンデッドが反応したようなんだけど・・・。
ひょっとすると座ったときに館の外のモンスターが反応して、出会うモンスターを全部巻き込んで1階からベランダまで駆け上がってきたのかもしれない。
結局、このトレインで周囲に多大な迷惑をかけ、グループのウォーリアも死なせてしまった僕らは、アンレスト攻略を一時断念して、他の狩り場へと向かったのであった。
うーん、恐るべしアンレスト。
|
5日19時間4分 |
|
|
|
|
注釈
(注1)狼に変身する魔法:
ドルイドのレベル24で覚える魔法、Wolf Formなど。一応変身しているのは「狼(Wolf)」なのだが、一般的には「犬」と呼ぶ。「狼」と言っている人を見たことがないほどに「犬」で呼び名が定着してしまっている。
(注2)Harmonyの魔法:
第8話の注釈参照。
(注3)Invisibility vs Undeadの魔法:
通常のInvisibilityは姿を消すことでモンスターに襲われなくなる魔法だが、アンデッド相手には通用せずに見破られてしまう。逆にこのInvisibility vs Undeadはアンデッドに襲われなくなり、通常のモンスターには見破られるという魔法である。 |
|
|
|
|
|