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第33話「ピラミッドの登頂をめざせ」 |
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その日LFGをして集まったグループで、ラス山脈のヒル・ジャイアント、通称HGを退治しに行った。
HGといえば、コモンランドやカラナ平原といった初心者時代にもなじみの深いゾーンに出没しては、初心者を踏みつぶしていくということで有名なモンスター。いつかレベルを上げたら倒してやろうと思っている人も多いはずだ。
レベルも30を越え、もうHGもグループで挑めば簡単に倒せるようになったので、ラス山脈に多数生息するHGを倒して経験値を稼いでみようということになったのだ。
加えてHGは、大量のお金を現金で持っていることが多いので、金稼ぎをしたい人にはもってこいの相手でもある。
そんなわけで、ラス山脈の一角に陣取り、HGをちぎっては投げ、ちぎっては投げを繰り返して、僕たちは狩りを続けていた。
しかし、どうにもHG狩りはテンポが遅く空気がまったりとしてきてしまう。そこで僕らはさらなる刺激を求めて、今度は比較的近くにあるカジック・シュールへ行き、そこのピラミッドに挑んでみようということにしたのである。
でもせっかくのお誘いなので、結局、お言葉に甘えてご一緒させてもらうことにしたのだった。
InvisibilityとSoWを駆使して、速やかにカジック・シュールへ移動する。前回ここへ来たときには、メイズにうろつくリザードマンをちまちまと倒すのが精一杯で、その先のピラミッドにいるリザードマンは軒並み黄色や赤だった。
しかし、あれからレベルもだいぶ上がった今、ピラミッドへ行って見てみるとそこにいるリザードマンはほとんどが青。ちょうど倒しごろといった感じだ。 メイズを抜け、ピラミッドを見上げつつ、登頂作戦を練る。といっても特に練るほどのこともなく、とりあえずとにかくリザードマンを倒しつつ、どんどん上へ上へと進むだけだ。ピラミッドの周囲のリザードマンで小手調べをして、リザードマンの手応えを確認した僕らは「これならまあいけるかな」と判断して、上を目指すことにした。
ピラミッドは、各階層ごとに外周部分が回廊状になっていて、その一角に次の階層への階段がある。そして、その構造が延々と最上層まで続いている。僕らはリザードマンを倒しつつ、各階層の回廊をまわっては、次の階層への階段を探し、登っていった。
中の回廊にいるリザードマンは、ほとんどが巡回型のモンスターで、いつどこでリザードマンに遭遇するか予測しにくい。それをなんとか判断しつつ、先導、兼、プラーをしているパラディンの方の指示に従って、上へと進んでいく。
このとき、メンバーにはエンチャンターやバードのような、敵を寝かすことのできる職業がいなかったので、できるだけパーキングをしつつも、狭い回廊内の戦闘ということもあって、基本的にはガチンコ勝負になってしまった。二匹くらいならなんとかなるけど、三匹来るといっぱいいっぱい。四匹来たらかなりやばい、といった感じだ。
しかもピラミッドの回廊内にいるリザードマンの半数ほどは、回復魔法を使ってくるヒーラータイプ(注1)。ただでさえ複数のリザードマンが来ると厳しいというのに、そこにヒーラーが混ざっているとしんどいことこの上ない。
そんな風にして、何とかかんとかだいぶ上の階層までたどり着いた。上へ行くほど回廊の一辺の長さが短くなって、閉塞感がある。ここから目玉召喚魔法(注2)を使って先を覗いてみると、すぐ上の階層にどうやらピラミッドの終着点らしき場所が見えた。
リザードマンが三匹ほど待ちかまえているのが見える。よし、あと少しだ。頑張るべー。
と、思ったとき、巡回型モンスターのタイミングが悪かったか、大量のリザードマンが襲いかかってきた! パーキング等を駆使してなんとかこらえようとするものの、多勢に無勢。あっと言う間にグループのクレリックが倒れ、グループは一挙に壊滅モードに。
「逃げろ!」
とっさにEVACを唱えようとしたものの、すぐに殴られて詠唱が中断されてしまう。すでに一人当たり一匹以上に襲われているような状態で、仲間に助けを請えるような事態でもない。
結局、生きて逃げ帰ったのは、偶然遊びでレビテーションの魔法をかけてあった僕だけだった。レビテーションの魔法で、一気にピラミッドの外周を飛び出し、下まで駆け下りることが出来たのだ。その後、生き残った僕が、ピラミッドとゾーン入口の間を5往復し、仲間の死体を全てゾーン際まで運搬して死体回収をした。それが終わった頃、ちょうど時間が遅くなってきたのでグループは解散となったのであった。
結局、生きて逃げ帰ったのは、偶然遊びでレビテーションの魔法をかけてあった僕だけだった。レビテーションの魔法で、一気にピラミッドの外へ。 最後の最後で悲劇だったなぁ。
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8日2時間9分 |
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注釈
(注1)ヒーラータイプのモンスター:
その名の通り、回復魔法で回復してくるモンスター。カジック・シュールのピラミッドにいるヒーラータイプは、page、herald、justicar、judicator、等々。
(注2)目玉召喚魔法: ウィザードのレベル8で覚える魔法、Eye of Zommのこと。この魔法を使うことで、自由に動かすことの出来る巨大な目玉を一定時間召喚し、その目玉の視点で物を見ることが出来るようになる。現在のバージョンだと、この目玉は敵に襲われることがないため、使い方次第では非常に便利な魔法。
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