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第64話「Lord Nagafen」 |
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前回のLady Voxレイドに引き続き、今回はLord Nagafenを退治するというレイドに参加してきた。
前回も今回も、ギルドなどの枠にとらわれずに広く参加者を募った、いわゆるオープンレイド。色々と面倒の多いであろうオープンレイドの企画・実行をしてくれる、レイド・リーダーの諸氏には頭の下がる思いである。
炎の赤竜Lord Nagafenは、前回のLady Voxの回に触れた「異なる色のドラゴンと結ばれることを望んだドラゴン」のもう一体である。つまり、Lord NagafenとLady Voxはデキているというわけだ。しかしながら哀れLord Nagafenは、Lady Voxが結氷のパーマフロスト大洞窟に封印されているのと同じように、灼熱のナガフェンの寝室に封印されてしまっているのである。
と言うことで今回も、こんな悲恋で可哀想なドラゴンを、主に私利私欲のために征伐しに行くことにしよう。うけけ。
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| 集合 |
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集合時間が近づくにつれ、ナガフェンの寝室の入口があるラヴァストーム山脈に、続々と参加予定者が集まってきた。
ラヴァストーム山脈までは、ドルイドのCircleの魔法で一発で飛んで来ることができるので、集まるのに手間がかからない。そのため大幅な遅刻者が出ることもなく、スムーズに集合から出発へと移行することができた。
ナガフェンの寝室の内部は、パーマフロスト大洞窟と同じような構成になっている。コボルドや虫などの雑魚がいるエリア。Lord Nagafenを守るジャイアント達がいるエリア。そして最奥部にLord Nagafenその人（竜）の部屋。という構成だ。
今回のレイドは、二段階に分けて行われることになっていた。第一段階はLord Nagafen戦の前哨戦として、先発隊がジャイアントを倒しておくという段階。第二段階は、掃除された通路を後発隊が一気に駆け抜け、先発隊と合流して、総勢でLord Nagafenに挑むという段階だ。
僕は時間の関係上、第一段階のスタートには間に合わなかったので、第二段階のLord Nagafen討伐戦にだけ、後発隊として参加させてもらうことにした。おいしいところだけを頂くという役どころかも知れない。うくく。
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| 後発隊が行く |
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そんなわけなので、僕と同じ時刻にラヴァストーム山脈に集まった人は、せいぜいLord Nagafenに挑む総勢の半分といったところだった。
残りの半分は、先発隊としてすでにジャイアントを駆逐し終え、Lord Nagafenの部屋の前で我々後発隊の到着を待っているのである。
合流地点に着くまでの仮のグループを組んだ後発隊は、参加者がそろい次第ナガフェンの寝室に乗り込み、一気呵成に突き進むことにした。
すでにジャイアントが駆逐されているため、Lord Nagafenの部屋までの道は、なんの問題もなく進んでいくことができた。コボルドのエリアを数の暴力で突き抜け、コウモリと虫のエリアもやはり多勢に無勢で押し切る。
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| 溶岩をプカプカ |
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そうやって進んでいくとやがて、虫のエリアの一角の、溶岩の川が流れている場所に着いた。
ここで全員にLevitateの魔法をかけ、溶岩の上を浮遊して進むらしい。こうすると普通に洞窟の道を進むよりも、少しだけ行程をショートカットできるらしいのだ。
一同、プカプカと浮かびながら、溶岩の上を進んでいく。僕も同じように進む。溶岩の上を浮かんで進むのは、なかなか愉快だ。
・・・ここで下に向かって進むとどうなるのだろう。好奇心がもたげる。
下を向く。進む。沈む。
うぉぁっ！うぉぁっ！うぉぁっ！うぉぁっ！
煮えた。
などというボケをかましつつ、溶岩を越えてたどり着いた場所は、ジャイアントのエリアだった。計画通り、すでにジャイアントのエリアは制圧され尽くしていたので、ジャイアントのサイズに合わせて作られている部屋は、すっかり閑散としていた。
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| 玉座制圧 |
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無人のジャイアントのエリアを進むと、ジャイアントの王様、King Tranixのいるはずの部屋につく。
ここもやはり制圧済みで無人だ。
しかし部屋には王様の存在を示す玉座が、でーんと居座っている。こういうものを見ると、乗ってみたくなるのが人情だ。特に申し合わせるでもなく、わらわらと玉座に集まる数名の冒険者達。
考えることは皆一緒だ。
とはいえ、すでにこの先では先発隊のみなさんが、我々の到着を今や遅しと待ちかまえている。あまり玉座で遊んでいるわけにも行かず、レイド・リーダーの指示に従って、先を急ぐことにする。
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| 決戦の準備中 |
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さらに進むと、ついにLord Nagafenの部屋の前についた。部屋には先発隊のみなさんが、集結していた。
これにて、先発隊と後発隊の合流が成ったわけである。
決戦の時は近い。Lord Nagafenの部屋へとつながるドラゴンの顎をかたどった入口が、近寄る者を恫喝するような印象を与える。
緊張が高まってきた。
この部屋で一旦グループを解散して、、一同は作戦に合わせたグループに組み直し、そのグループごとにBuffをかけていくことにした。
作戦は、大ざっぱに言うと
- 殴るグループが、Lord Nagafenの部屋の入口で殴る
- 魔法を撃つチームが、Lord Nagafenのヒットポイントが半分になったころ魔法を連打する
以上である。うむうむ。おおざっぱすぎ？ まあいいでしょう。
戦闘位置はLord Nagafenの部屋の入口と定めておいたので、今回も前回のLady Voxにひきつづき、ドラゴンの全貌をみることはできない戦闘になりそうだ。うむ、絵にならな・・・ごほごほ。
ということで、Buff中に目玉召喚魔法を使って、せめて在りし日のLord Nagafenの姿を目に焼き付けておくことにする。溶岩の色にも似た赤い鱗が雄々しい。
今回のレイドは総勢60人で10グループ。レイドグループを組める最大数になってしまったので、Buffをかけ終えるにも時間がかかる。かなりの時間をかけて、万全とも言えるBuffをかけ終えると、いよいよLord Nagafenに挑戦だ。
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| 首だけのNagafenと戦闘 |
殴るグループの人たちが、部屋の入口から首を突き出すLord Nagafenに向かって突撃を開始する。僕は魔法を撃つグループなので、Lord Nagafenのヒットポイントを観察しつつ、ただひたすら時を待つ。
大軍団で挑んだということもあり、作戦は計画通りに有効に機能し、危なげなく、そして着実にLord Nagafenのヒットポイントが減っていく。
そして、ついにLord Nagafenのヒットポイントが50%を割った。いよいよ出番だ。階段をかけのぼり、Lord Nagafenの足下で魔法を発射する。Lord NagafenもLady Voxと同じように、殴るのと同じ間合いまで接近しないと魔法が通用しないらしいので、危険を冒して接近しないといけないのだ。
とはいえ、今回は有効に殴るグループが殴り続けることができただけあって、僕が魔法を撃っても、Lord Nagafenが標的を僕に定めてくることは、ついになかった。加えて、氷竜Lady Voxとは対照的に、Lord Nagafenは炎のドラゴンだ。僕の使うことのできる最強魔法、Ice Cometを思う存分使うことができる。
ウィザードの面目躍如たる瞬間的破壊力を、存分に発揮することができて、実に気分がいい。
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| Nagafen死亡 |
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魔法グループが参戦することで、一気に激化した我々の攻撃の前に、さしものLord Nagafenも膝を折るほかなかった。ヒットポイントを50%に減らすまでに費やした時間の、半分以下の時間で残りの50%を失ったLord Nagafenは、その巨体を崩れるように倒しこみ、地に伏したのであった。
準備時間 三時間。戦闘時間 五分。犠牲者 わずかに数名。
戦闘時間に比して、入念に入念を重ねて行われた準備時間は、最大限の成果を我々に残したのであった。
その後、犠牲者を蘇らせ、お決まりの戦利品の分配を行う。識者によれば「今回の戦利品はあまり運が良くなかった」だそうだけど、僕にはよくわからない。もともとあまり戦利品には期待していなかったので、Lord Nagafenを倒した、というキャリアを得られただけで十分だ。
これでレベル52までに倒すべきドラゴン（注1）はLady Vox、Lord Nagafenともに倒すことができた。安心してレベルを53以上にできるというものである。
満足感たっぷりの僕は、Lord Nagafenの亡骸とともに記念写真を撮ってから、帰路についたのであった。
さて、足かけ半年にわたって連載してきた「ゼン爺の成長日記」は次回で第一部完。定期連載をしばらくお休みさせていただきます。ひとまずの最終話をお楽しみに！
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22日15時間2分 |
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注釈
（注1）レベル52までに倒すべきドラゴン：
Lady Vox、Lord Nagafenの二体のドラゴンだけは、倒すことのできるレベル制限がある。具体的にはLv52までのキャラクターでしか戦闘行為を行うことができず、Lv53以上のキャラクターが戦闘行為を行うと、ナガフェンの寝室の入口まで強制的に飛ばされてしまう。なお、戦闘行為に該当する行為は、「ドラゴンに嫌われる行動」と思っておけば間違いはない。直接攻撃することはもちろん、戦闘をしている他のキャラクターを回復したりしても、直ちに飛ばされてしまう。
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