成長日記 冒険記
ゼン爺の成長日記
  第65話「エピローグ」
空気のない砂漠
呼吸可能な大気のない、ただ砂と岩だけが広がる灰色の砂漠には、死のにおいが広がっていた。
 
何一つ動くもののないこの静かな砂漠の上を、岩でできた人形と、蛇の下半身と人の上半身を持つ奇妙な生き物、それだけが音もなく動いている。砂丘を越えた先には、うっすらと尖った建造物が見え隠れしていた。
 
その砂丘のふもとでは一組の冒険者たちが、蛇人間数体に襲われながら必死に応戦している。
この空気のない、普通の人間では数分と生きてはいられない砂漠で、平然と呼吸をしている以上、それなりの実力を持った冒険者たちだと思っていい。しかしその彼らも、次々にやってくる蛇人間の波状攻撃の前に、徐々に後退を余儀なくされているようだった。

 
「もう無理ね。マナがないわ」
 
冒険者の中の司祭風のエルフの女が、状況とは裏腹に落ち着いた声で宣言する。
 
「くそっ! 爺! 一旦撤退だ!」
 
バーバリアンの戦士が、蛇人間の一撃を左手の斧で受け流しながら、背中越しに言う。それと同時に、戦士の背後にいたノームの魔法使いが、青いローブをはためかせ、奇妙な身振りで杖を上下させながら魔法の詠唱を開始した。
 
魔法使いの詠唱に危険を感じたのか、蛇人間の一体が詠唱を阻止しようと魔法使いに向かって突進する。しかし蛇人間の爪が魔法使いに届く寸前、茶色のローブを着たもう一人の魔法使いが唱えた魔法が、蛇人間の周囲に青白い光を輝かせる。光に覆われた蛇人間は振り上げた爪をだらんとおろし、惚けたようにその場に立ちつくした。
 
数秒後、ノームの魔法使いの魔法が完成すると、一瞬にして冒険者たちはかき消え、砂丘のふもとには唖然としている蛇人間だけが取り残されたのだった。
 
ネクサス
魔法が完成した次の瞬間、冒険者たちは全く別の場所にいた。
 
冒険者の立つ場所の周囲には、四本の白亜の尖塔がそそり立ち、その尖塔を中心に発せられる魔法の力が、空気までも濃密な魔力で覆っているように感じられる。
 
ここはネクサスと呼ばれる、移動魔法の技術の粋を極めた人口施設。魔法使いの魔法によって、冒険者たちはネクサスまで瞬間移動をしたのだ。

「もう少しであの建物まで行けたんだがなぁ」
「うん、惜しかったなー」
「そもそもあなたの透明魔法が切れたのが悪いのよ」
「そ、それは俺のせいじゃないだろ。・・・じゃないよな?」
 
危機を脱してほっとしたのか、冒険者たちはあと少しのところで、怪しい建物にたどり着けなかった悔しさをネタにして、しばしのあいだ盛り上がる。
 
やがて冒険者たちは、この日の冒険をここで諦め、次の冒険まで一時の休息を得るために、ネクサスに併設された仮設住宅街シャドウ・ヘイブンの、それぞれが利用している宿へと散っていった。
 
別れ際に、青いローブを着たノームの魔法使いは、まだ悔しげにぶつくさ言っている仲間たちにむかって言った。
 
「まぁこれで終わったわけではないしの。次もある。
 
 ・・・それじゃ、またのう」
エバークエスト日本語版冒険記「ゼン爺の成長日記」は今回を持ちまして定期更新を一旦終了と言うことになります。
 
定期更新最終回?の今回は、「今までを思い返した総集編のようなものをお願いします」とのことなので、好き放題やらせてもらおうとおもいます。ふふふ。

 
連載開始当初は、「エバークエスト、およびMMORPGを全く知らない人」が読んでもわかるようにしようと、結構苦労したような思い出があります。
 
エバークエストやMMORPGを元々知っている人に対してなら、「Koboldが5INCしてENCのMEZが入りきらず、何人か死んだあとEVACで撤退。そのあとCRできなくて、結局SCした」といっても通じます。でもこれが、知らない人にとっては完璧に暗号文なんですよね。だから用語は小出しにして、少しずつ増やしていったりしました。
 
同時に英名であるモンスターについても多少気を使いました。これも主に「ゲームをやっていない人」向けの判断ですね。ゲームをやっている人なら、「shin ghoul knight」と書けばどんなモンスターかわかるのですが、やってない人、やっているけどそこまで到達していない人には、辞書を引いても「shinグール(死霊?)の騎士。なんだそりゃ?」という情報しか入らない。実は「アンデッドのカエル人間」だなんてことは、言われないと絶対にわからないわけです。
 
だからできるだけ「死にガエル」「虫の部屋」「ジャイアントのエリア」みたいに、日本語で書いていって、文字の情報で画像イメージを喚起できるように工夫しました。この辺、表記が回によって統一されてなかったり、逆に内容がぼやけてしまったりして、一長一短だった気もしますけどね。
 
あまり構成上の思い出を語ってもしょうがないので、プレイの上での思い出の話に移っていきましょう。

 
CCB
序盤の冒険ではやはりクラン・クラッシュボーン(CCB)が思い出深いですね。
スチームフォント山脈を出て、CCBをメインの狩り場にした頃から、一気にフレンドリストの知り合いが増えて、ログインするのが楽しくなっていった記憶があります。逆に、仲間を増やすことが大事だと思ってもいたので、結構必死に「入れてくれー、入れてくれー」と仲間探しをしていたという思い出も強い頃です。成長日記の第8話から第11話の頃ですね。
 
今ではあの頃の仲間は、遙かに上のレベルになってしまったり、またある人は色々な事情で引退してしまったりと様々で、今では組まなくなってしまった人も大勢います。しかし同時に、今よく組む人たちの中にもまた、CCBやアンレストで出会った人たちが多くいます。そういう事を思うと、あのころ人脈作って良かったな、なんて思います。
その後、アントニカ大陸に移動してから、レベル20を越えると本当に色々なところに行きました。ハイキープにこもる、というのが当時一番お手軽なレベルアップ手段だったのですが、それだとレベル20から30までがハイキープの話の一話で終わってしまう。連載の都合上そうはいかなかった(半ば冗談ですけど)、というのもあって、今日はガック、明日はナジェナ、明後日はラニーアイ、といった風に、あちこちを周遊していました。
 
遠出の日々だったのでグループメンバー集めには苦労しましたが、多くの名所、モンスター、アイテム、戦術等に出会えることになって、結果的には大いにプラスになった感じがします。これが第21話から続く、日替わりダンジョン特集の頃ですね。

 
黒ローブ
レベル30以降になるとグループゲートを覚え、行動範囲もアントニカにとどまらず、クナーク、ベリオスを、まさしく股にかけるようにして移動して、ますます狩りのバリエーションも増えていきました。
 
クナークのカエソラ、ベリオスのクリスタルの洞窟には、このころのレベリングにおいて非常にお世話になったものです。初心者アーマーではないローブも、だんだんと増えてきて、着替える喜び、の様なものもこのあたりから急に増加したような気がします。
 
第34話でせっかく頂いた念願の黒ローブが、第38話のクリスタルの洞窟初挑戦であっさり用なしになってしまったのは、今でも苦笑と共に思い返されます。日記ではあいだに三話ほど挟んでますが、実はこの間わずか一日。申し訳ないやら、嬉しいやら。
 
そして、ザ・レガシー・オブ・イキーシャ(LoY)、ザ・シャドウ・オブ・ラクリン(SoL)の導入を経て、今に至ります。

LoYイベント
LoYの導入前に行われたグロッブ襲撃イベントでは、グロッブ防衛隊をはじめ、多くの方々がいい感じに場を盛り上げてくれて、OOCやShoutでの「口げんか」が思い出深いところです。
 
実はあのとき、私もフロッグロックにつくか、トロルにつくか迷っていたのですが、会話の流れで気が付けばフロッグロックの味方になってしまっていました。ああいう会話の流れで方向性が決まるというのは、本来のRPGのありように近いもので、成り行きを楽しむ感が快感でした。

レベル50を越えた今では、めっきりレベルアップのペースも落ちてしまって、ある種達観したようにのんびりとレベルを上げる日々です。でもおかげで(?)、私よりもあとに始めた人たちが、私のレベルに追いついてきて、時折、街中で「ゼン爺にレベル追いついてきましたよー」とか、「ゼン爺とやっと組めるので、今度組みましょう」とか言われるようになりました。そうすると、「これを計算してわざとゆっくりやってるんですよ」とか言っちゃって、嘘八百を並べる私がそこにいたりします。 この例に限らず、この日記を見てくださった多くの人たちが、
 
  「更新楽しみにしてますよー」  (ありがとう)
  「更新おそいぞー」  (すいません)
  「初めてみましたー」  (希少動物です)
  「□○△の部分は、○□△じゃないんですかー?」  (げげげ!修正します)
  「ハゲー」  (うっさいわ!)
 
・・・等々のリアクションを返してくださると、いつも私はモニターの前でニヤニヤと喜びに顔を歪めたものでした。これらの声が更新の推進力になっていたことは、疑いようもありません。本当にありがとうございました。

 
さて、これを持ちまして「ゼン爺成長日記」の定期更新は一旦終了ということになりますが、ゼン爺の冒険はまだ終わりません。今現在この原稿を書いている時点で、ゼン爺はレベル54。レベル65まで、まだまだ先は長いです。
 
今後は、月に1回くらいのペースで更新しようと思います。もしかしたら、すぐにでもゼン爺がこのコーナーにひょっこり顔を出すかもしれませんが。
 
だからゼン爺は、こう言いながら去るのです。

 

「それじゃ、またのう」

 
ゼン爺の合計プレイ時間 27日1時間24分


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