成長日記 冒険記
ゼン爺の成長日記
  後日談「美人(?)令嬢誘拐事件」
その日の夜、突然このようなメッセージが流れた。
 
グレート・ディバイドで誘拐事件が発生!
サーガディンでは救出隊有志を求めている。

 

GDへ向かう
ほほほう。誘拐事件とは凶悪な。ゼン爺の正義の魂に火がついたぞ。
 
ってなわけで、正義の魔法使い探偵ゼンは、速やかに事件現場であるグレート・ディバイドへと向かったのであった。

 

GDで待つ
到着してみると、グレート・ディバイドの「本(注1)」の周辺には十数〜数十人の冒険者達が集結していた。大半の冒険者達はやはり、僕同様に誘拐事件の解決に乗り出した有志達のようだ。かなりの人数が集まってはいるが、今のところは動きようがないようだ。というのも、今のところまだ情報が集まっておらず、事件捜査本部、すなわちGMからの情報待ちといったところなのだ。
 
そんなわけなので僕も彼らにならって、きたるべき誘拐犯との対決に備えて即席グループを組みつつ、「本」の周辺でぼけっとしていることにする。

 
やがて捜査本部から第一の証言者、Sethudin氏が登場し、「/shout」で声高らかに惨状を訴えはじめた。
 
<娘>が!
友人の娘の<娘>が私を訪ねて帰る途中、
Kromrifどもに攫われてしまった!
ああ何と言う事だ!

 
友人の娘の娘? 友人の孫か? うむうむ、表現のテンパり具合に事態の緊急性がうかがえるな。ひょっとしたら会心の演技であると言えなくもない。
 
さらに彼の証言は進み、捜査本部のGMの要約も合わせて、以下のことがわかる。
  • 娘の名前はSelloaという
  • SelloaはKromrifの基地に監禁されていると推定される
  • Kromrifの基地にドラゴンが向かっている
  • ドラゴンにKromrifもろともSelloaまで殺されかねない
  • ゆえに、迅速な救出作業が要求される
  • なお、捜査本部は現在、監禁場所の特定を急いでいる
ということのようだ。
 

WIZ Spireに移動して待つ
捜査本部のGMが、Selloaのいるゾーンを特定すべく奔走している間、我々冒険者には「グレート・ディバイドにて待機せよ」との通達があっただけだ。腕にも頭脳にも覚えのある、自称エージェントである僕としては、本部になど任せていられないぜ! 灰色の脳細胞を見せてやる! って気分ではあったが、結局おとなしく待機することにした。
 
しかし、ただ待っているのも芸がない。グレード・ディバイド周辺ゾーンで、Kromrifの基地があるゾーンといえば、隣の東の荒野ではないだろうか? そう当たりをつけた僕ら一行は、「本」の前からやや東の荒野寄りにある「WIZ Spire」まで移動し、そこで次の指示を待つことにした。ここなら、いざ行動開始の指示が出たとき、予想通りならより早く東の荒野へ向かえるというものだ。

 
そして、ついに時は満ちた。Sethudinがゾーン中に通達する。
 
娘の囚われている場所が報告された!
「東の荒野」の基地に囚われているらしい!

 
ビンゴ! やはり東の荒野か! しかしSethudin・・・あんた、てっきり哀れな被害者かと思ったら、堂々と捜査本部の総指揮権を掌握しておるな。あなどれんやつめ。
 
そして同時に、捜査本部をSethudinに掌握されたGMから以下の報告もあがる。
 
「Furious wurm」がグレート・ディバイドに現れた!

 
でたなドラゴン・・・もといワーム! こいつが東の荒野のKromrifの基地に到着するのに先んじて、我々はKromrifを殲滅し、娘、こと、Selloaを救出するのだ。
 

一瞬にして砦、沈黙
東の荒野へ向けて、全速力で駆ける一行。周りの他グループの面々も、連なるようにして東進している。
 
やがて東の荒野へ入り、Kromrifの砦らしき建造物に到着した。冒険者達が続々と、流水のように止めどなく内部へ進入していく。その勢いたるや、茫漠たる大河にも等しい。
 
ほどなくして流入する冒険者達で砦の内部はすっかり埋め尽くされ、ほとんど一瞬にしてKromrifは全滅、あっけなく娘の救出が達成されてしまった。
 
そんな中、僕の活躍はというとほとんど皆無に等しく、それどころか、生きたKromrifを目にすることさえなく、気がつけば連中の死体が横たわる、さみしい砦の様子を目撃するだけで終わったのだった。名探偵ゼンどころか、スコットランドヤードのその他大勢、といったレベルで終わってしまった。恐るべし数の暴力。

 

取り囲まれるSelloa
さて、問題のSelloa嬢は、砦の中の建物にたたずんでいた。救出前は、サーガディンの娘ということで、「Selloaはドワーフ娘説」がまことしやかにささやかれていたが、実際のSelloaはヒューマンの娘だったようだ。彼女がドワーフでなかったことで、多少は助けた甲斐があると安堵したのも、一人や二人ではあるまい。うむうむ。
 
しかしこの娘も、せっかく救出されたというのに、あっと言う間に物見高い冒険者達にもみくちゃにされ、人垣の中に姿を消してしまったのであった。あらあら、といったところか。
 
聞いた話によれば、Selloaはそこでもみくちゃにされながらも、懸命にお礼のダイヤをばらまいていたらしいんだけど、僕は結局それを手にすることは出来なかった。というのも、Selloaの救出成功に冒険者達が驚喜していたところへ、捜査本部から緊急の報告が入ったからなのだ。

 
獲物を捕られたドラゴンが、グレード・ディバイドの前線基地に向かっている。

 
東の荒野のKromrifの基地へ向かっていたドラゴンが、そこが全滅したと見るや、グレート・ディバイドのKromrifの基地に矛先を変えたらしいのだ。とは言っても、実はドラゴンにそこを襲われても、Kromrifとドラゴンが食い合うだけで、Selloaを救出した今、この争いに介入する積極的理由はなかったりする。が、今僕の心を占めているのは「Kromrifがあっけなすぎて活躍できなかった!」という、不完全燃焼感なのだ。
 
この持って行き場のないモヤモヤをドラゴンにぶつけてくれるわ!
 
そんなどす黒い欲望を抱えた僕は、いまだSelloaの周囲でダイヤの拾い合いをする庶民達を尻目に、一人、グレート・ディバイドへGateの魔法で飛ぶ。待ってろよ、ドラゴン野郎!
 

ワーム vs 巨人
グレート・ディバイドに到着して、すぐ近くにあったKromrifの基地へと急行してみると、砦内ではドラゴン、こと、Furious wurmとKromrifとの、壮絶な死闘が繰り広げられていた。Kromrif数体を相手にして、一匹で互角以上に渡り合うFurious wurm。「/con」をしてみると、Lv58の僕から見ても真っ赤だ。先んじて到着したはいいけど、これでは怖くて手を出せないではないか。
 
生命の危機を感じ、熱意を急速冷却させられた僕は、遠巻きにしながらFurious wurmとKromrifの戦いをしばらく見物することにする。早くみんな来ないかなー。
 
遅れること数分、やがて東の荒野から続々とSelloa救出部隊が戻ってきた。そして、一斉にFurious wurmに攻撃を開始する。すでにKromrifはFurious wurmによって壊滅させられているため、Selloa救出部隊の攻撃がFurious wurm一匹に集中する。

 

ワーム vs 数の暴力
さすがにKromrifの砦を一瞬で壊滅させた数の暴力はすごい。Furious wurmの体力が見る見る減っていく。そして、これまたあっけなく、Furious wurmも地に伏したのであった。
 
そして、捜査本部から高らかな勝利宣言が発せられる。

 
Frost Giantの基地は救出隊によって制圧された!
<娘>は無事救出された!
Shardwurmは救出隊によって倒された!

 
・・・こうして、いささかあっけないながらも、グレード・ディバイドを騒がせた今回の騒動は終結し、いつも通りの平和(?)なグレート・ディバイドが戻ってきたのだった。
 
しかし! いつも通りの平和の影に、こうした名も知らぬ冒険者達の活躍があることを・・・忘れてもいいか。
 
ゼン爺の合計プレイ時間 31日8時間25分

注釈
(注1)本:
プレイン・オブ・ナリッジと世界各地を結ぶ、ワープをするための本。
 

 
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