少佐(教頭)派

コンコンと教頭室をノックするものがいる。
「入りたまえ」
少佐はソファにふんぞり返りながら、声をかけた。
「教頭先生、今月の生徒会会報持ってきましたー」
この学校の生徒会長、シュレはにこやかな顔で会報を差し出す。
童顔で人当たりのいい彼は、誰からも好かれる明るい生徒だった。
しかしその裏の顔を知るものは少ない。

「しかし、インテグラの態度はまったくもって目に余りますな」
ソファの後ろに控えた少佐の腰巾着、理科教師のドクはわざとらしく言ってみせた。
「えー、インテグラ先生、また何かやったんですかー?」
シュレはにっこり笑いながら明るい顔で聞く。
「いやなにも。ただ私は「美しい女性には危険も多いもの」と忠告しただけだよ」
少佐は手を広げて笑ってみせる。
「そりゃそうですよねー。じゃあどうしましょ?」
シュレは笑顔のまま問いかけた。
「そうだねえ、リップ君を使うのもいいし、ゾーリン君でもいい、トバルカイン君という手もある。
 しかし彼女はなかなかの女性だ。いきなり我が校の生徒をぶつけるというのもね」
「じゃあ、そこら辺で適当に拾ってきましょうかー」
軽い調子でシュレは言った。
「そうしてくれたまえ。まずは小金をつかませた不良あたりでいい」
「了解(ヤー)」
シュレはおどけた態度で敬礼して見せる。そして猫のように足音を立てず教員室を後にした。


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