- 241 名前:風と木の名無しさん:2006/11/08(水) 20:16:53 ID:xIAxWHhS0
- 犬とご主人様、乙ですた。とても好きです。
せつない…。犬派の自分はワンコにじーんときた。
- 242 名前:風と木の名無しさん:2006/11/08(水) 20:31:46 ID:ZfCIEgU7O
- リレーいつまでやんの?
投下しにくい雰囲気作るのやめてよ。
- 243 名前:風と木の名無しさん:2006/11/08(水) 20:35:33 ID:8xvlvbJY0
- 投下も出来ない奴がわめくわめくw
- 244 名前:風と木の名無しさん:2006/11/08(水) 20:38:27 ID:ZfCIEgU7O
- リレー終わったら投下しようと思ってんだけど、ぜんぜん終わる気配ないから
- 245 名前:風と木の名無しさん:2006/11/08(水) 20:44:19 ID:PsLlBF+s0
- >244
それは気にしないでガンガン投下してくれよ。
わんこタソだってそうだったジャマイカ。気にスンナ。
- 246 名前:風と木の名無しさん:2006/11/08(水) 20:45:48 ID:7J8HvBz40
- >244
投下したければすれば?
リレーでなくても連載の長い作品は間にいくつも他の作品が挟まってるよ
- 247 名前:初仕事1:2006/11/08(水) 20:54:11 ID:a1A2NXpv0
- 244さんじゃないけど、投下します。
もう1週間は超えただろう。10日かそこら。たぶん2週間にはなっていないはずだ。
なにがって?僕らがここに閉じ込められてからの話。
っていうのは少し違うか。僕らは募集に応じて集まった。でもそれは自分の意志に
よるもので、まったくのアルバイトとしてだ。
最低5日間、おとなしくこの部屋――なんの飾りも凹凸もない、白い壁の中ですごせれば、
バイト代が出る。さらにそれ以上の日数すごすことが可能なら、日当を上乗せするって話。
あちこちに隠されたカメラで、僕らは監視されている。監視というより観察、かな。
なんかの心理実験だっていう話で、最初に説明は受けてるけど、どういうプロセスをたどって
どんな結果が出ればOKなのか、いつ終了なのか、それはまったくわからない。
集められたのは僕を含めて5人。高校生くらいから、たぶんフリーターなんだろう、
20代後半とおぼしきやつらまで。つまり男ばっかり。
みんな支給された同じ白いつなぎを着てる。これがまた変な形の服で…。
顔と背丈、あと一人髪の色が違うヤツがいるけど、それ以外はみんな同じに見えてしまう。
腕時計や携帯は全部預けることになってしまって、時間すら今の僕らにはわからない。
心理実験らしいけど、ただこの部屋の中ですごすだけでいいなんて、何しろラクなのが
バイトとしては理想的だ…と思っていた。けれど1日2日で既に僕は後悔し始めていた。
いや、メンバー全員がそうじゃないかな。
だって、5人のうち1人は、最低期限の5日でさっさとリタイヤしてしまったんだから。
今やめても、バイト代はもらえる。けど、熱くもなく寒くもなく、時間の感覚もなく、食べ物は
運んでもらえる、このぬるーい状況に慣れてしまうと、あと2,3日はいけるかな、くらいに
思えて、結局ずるずる居ついてしまってる、って感じだ。
- 248 名前:初仕事2:2006/11/08(水) 20:54:54 ID:a1A2NXpv0
- ビニールっぽい樹脂が、貼ってあるのか塗ってあるのか、ぬらーんとした色合いの
白っぽい部屋。手慰みに、パズルとかマンガとか、それっぽい物がおいてある。
それも棚なんかにに収納されてるんじゃなく、地べたに転々と放置されてる感じ。
部屋の隅に、全員が使うトイレがある。これがちゃんと個室として隔離されていなくて、
ついたてみたいに板一枚の壁が立ててあるだけ。ちょうど公衆トイレの入り口に
目隠しみたいに壁があって、両側から出入りできる、あんな感じ。
僕らはみんなその薄い壁一枚の向こうで用をたしている。まあ男どうし、慣れれば
なんとかやっていける。
必ずしなくちゃいけないのは、血圧を測ること。入り口のドアの脇に、血圧計が置いて
あって、一日一回必ず計測する。そして、排出された記録紙を壁際にある機械の口に
にゅるーっと読み込ませるんだ。僕らに決められた仕事はそれだけ。あとはただ、
おりの中のパンダさながら、のんべんだらりと過ごせばいいわけだ。
- 249 名前:初仕事3:2006/11/08(水) 20:55:28 ID:a1A2NXpv0
- ああ、食事受け取ってる。これはさっき血圧を提出した“ヒッツレ”のだ。
FAX送るみたいに記録紙を読み込ませると、しばらくして壁の向こうでゴガン!と
音がする。古い郵便受けみたいな箱の取っ手をガン!と引くと、中にそいつ宛の
エサがはいってるってワケ。
ヒッツレっていうのは、僕が勝手につけた名前だ。本人にそう呼びかけることはない。
こいつは唇にひきつれた手術痕がある。若く見えるけど高校生くらいだろうか。
いっつも無表情で、ときどき腹筋や腕立てをしてる。無意識なんだろう、その姿勢で
マンガを眺めてたり…いや、マンガを見ながら腕立てか。どっちでもいいけど。
ああ、今日のヤツの食事はブロックだ。チーズ味かな。僕、あれのチョコ味がけっこう
好きなんだ。いいなあ。
今度は“ツメカミ”が、ガン!と音を立てて箱を引く。中身を取って手を離すと、また
ガン!という音とともに箱はひとりでに壁の向こう側へ倒れて閉まる。
不満そうだ、ツメカミ。ここ3日くらい、ゼリー飲料が続いてるからな。イライラすると、
ほらまただ、爪を噛み始めるんだよな。
いっつもつまんなそーな顔してる“ガチャメ”は、あとに置いとこう。先に僕が血圧を測り、
あの音を待つ。ああ残念。キャンディだ。カロリーは補給できるけど、これってやっぱ、
食事したって気分にならなくて味気ない。数たくさん入ってるし、始終舐めてられるから、
口さびしくなくていいけど。
ガチャメの視力が実際のところ左右で違ってるのかどうかは知らない。けど
何かを見るとき、片目だけをくっと細める顔つきを見てつけた名前だ。冷たそうなヤツ。
たぶんみんなの中では一番年上だと思う。金髪に近い茶色の髪、それでも
髪が伸びたせいで、根元に元の色が見え始めてる。
- 250 名前:初仕事4:2006/11/08(水) 20:56:09 ID:a1A2NXpv0
- ただダラダラと過ごせばいい、だけ。確かにそうだ。けど、それが健康な人間、
ことに若い男にとってどれだけ苦痛か。
このバイトの採用担当者は最初に言った。これは厳密な調査だと。行動学の
調査で、こうした環境におかれた人間がいかなる行動を起こしていくか、というのを
カメラでずっと隠し撮りしている、という話なんだそうだ。
それが頭にあるから、最初のうちはみんな部屋にも食べ物にも不満はもらさなかった。
いわば、借りてきた猫状態ってヤツ。それが今では不満たらたら、気に入らない
食事がもたらされると壁を蹴るヤツもいる。まあ、ツメカミのことだけど。
この部屋にみんなが集められた日。僕が、手始めに自己紹介でもしようか、と
もちかけた。ところがこのツメカミが、鼻息一つで却下したんだ。
「この部屋カメラで監視されてるの、知ってんだろ」
「うん、聞いてるよ。でも、これから何日も一緒に暮らすんだし、名前くらい…」
「呼びもしねえ名前聞いて、なんの意味があるよ」
フン、と横を向いたツメカミに、他の連中も無言で従った。
「大体お前、個人情報ってやつだよ、わかってねえなあ」
バカにしたようにツメカミは言った。
「撮ったビデオ、誰かは完全にわかんねーようにしてやる、って言ってもさあ、
どこまでのことかわかんねえし。ましてや能天気に自己紹介なんて、撮ったビデオ
どこに配られるかどこで見られるかわかんねえのに、そんなこと出来るかよ!」
そう、男同士こんなふうに閉じ込められて、いつケンカになるかわからない。
もしかして、パニックを起こしてわめき散らしてしまうかもしれないし。
自分の行動すら予測できなかった。ツメカミの言うとおり、そんな行動を起こして
しまったものを記録されて、どこで晒されるかもわからないのに、最初に素性を
明かしてしまうのはバカだと思った。
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