301 名前:風と木の名無しさん:2006/12/17(日) 19:20:06 ID:6Ctcl9mu0
>最後の鏡さん
本スレ潰して隔離スレ一本にしたがってる馬鹿どもの
たわ言なんて気にせず投下続けてくれ

302 名前:風と木の名無しさん:2006/12/17(日) 21:35:59 ID:rsODjmQi0
文句ばっか言って自分は何もしない奴ってきらぁい。

303 名前:風と木の名無しさん:2006/12/18(月) 15:20:29 ID:Yy0F5n6K0
鏡タン良くも悪くも火サスっぽくて好きだw

304 名前:風と木の名無しさん:2006/12/18(月) 17:39:48 ID:j8IgE5ccO
もしくは昼ドラなww

305 名前:柿手:2006/12/19(火) 02:12:01 ID:UHeofn160
>>121
清一郎の行方は杳として知れなかった。
清一郎が連れ去られた翌日、平太は駐在所へ駆け込んだが、
犯人が身なりの良い白人の男だと告げるや、
皆一様に及び腰になり、話もろくに聞いてもらえず邪険に追い払われてしまった。
最初に男と出会った寺へも何度も足を運んだが、手がかりはつかめなかった。
男の目撃者どころか、彼が乗っていた車すら見たものは誰もいなかった。
平太の焦りをよそに、ひと月、ふた月と、時間だけが無為に過ぎ、
いつしか近所で噂が流れ始めた。
病気の清一郎を邪魔になった平太が、清一郎を殺して埋めたのではないかと。
それを誤魔化すために、外人に連れ去られたなどとの出任せを言い立てているのだと。
平太が躍起になって否定すればするほど、噂の勢いは増していった。
誰もが平太を疑惑の眼差しで見つめる。
人殺しとすれ違いざまに罵られ、家には石や汚物が投げ込まれた。
『違う、俺じゃない、清一郎は見知らぬ外人に連れ去られたんだ』
必死でそう反駁する平太に、周囲の人間は、ならばと意地悪く問いかけた。
男の名前は? 姿形は? 出会った場所から家までどうやって来た?
何故連れ攫われた直後に人を呼ばなかった? 何故家には争った後がないのか?
何故だ、何故だ、何故だ?
そうした質問に平太は何一つ満足な答えを返せない。
口ごもる平太に、そらみたことかと人々は囃し立てた。
だが、そんな心無い中傷よりも、平太の心をえぐったのは、
篤実な人柄で知られる近所に住む老人の言葉だった。
『清一郎君は病死したんじゃないのかね。それをおまえさんの心が認められなくて、
 ありもしない話を作り上げて自分自身を騙してしまっとるんじゃないのかね』
清一郎のいない家で独り、平太は泣いた。
自分でも、何が本当で何が嘘かわからなくなりかけていた。
――そんな時だった。
再びあの車が、平太の前に現れたのは。
「病状が回復されたセイイチロウさまが、貴方にお会いしたいと呼んでおられます」
運転席から降りてきた陰気な男の言葉に、平太は一も二も無く頷いた。

306 名前:柿手:2006/12/19(火) 02:13:01 ID:UHeofn160
どこをどうやって走ったのか。
車に乗り込んだのはまだ日の高いうちであったのに、
目的地に車が着いた時には、既に西の空を夕焼けが染めていた。
「ここ……なんですか?」
車を降りた平太は、鬱蒼とした森の中に建つ瀟洒な洋館に呆然とした。
ある程度の屋敷だろうとの予感はあったが、
まさかこれほどに立派な建物に連れてこられるとは考えていなかった。
おそらく戦前は上流階級の別荘か何かとして使われていたのだろう。
戦火による被害をも免れた蔦が彩るそこは、
平太たちが住むバラックが立ち並ぶ界隈とは、まるで別世界だった。
「本当に、ここに清一郎が?」
道中一言も口をきかなかった運転手の男が、庭に向かって顎をしゃくった。
促されるままに男が示した方を見やった平太は、目を見開いた。
イチョウの木の下に洋装の青年が一人佇んでいた。
遠目であっても、後ろ姿であっても、平太が見間違うはずもなかった。
「清一郎!」
ここ数ヶ月、捜し続けた姿に平太は歓喜の叫び声をあげた。
平太は、開け放たれた門を潜り抜け、清一郎の名を呼びながら夢中で駆けた。
弾かれたように、清一郎が振り返った。
だが、懐かしい彼の顔を彩っていたのは、平太が思い描いていた笑顔ではなかった。
驚愕と動揺が露な強張った表情で、清一郎は平太を見つめていた。
「平太」
掠れた声での清一郎の呟きに、再会に舞い上がっていた平太の気持ちが急速に萎んでいく。
会いたかった。
その気持ちは清一郎も同じだと思っていたのに……。
清一郎の態度のどこにも、平太と再び会えたことへの喜びはなかった。
「何故……」
平太がそう呟くより先に、清一郎の口からも同じ言葉が漏れた。
「何故、ここに、平太……どうして……」
「どうしてって、俺はおまえが会いたがっているって聞いたから」
その言葉を平太が疑う理由はなかった。
そう、今の清一郎の表情を見るまでは――。

307 名前:柿手:2006/12/19(火) 02:13:48 ID:UHeofn160
「日が、日が沈む前に早く屋敷から出るんだ」
こわばった顔で、清一郎が平太の腕を掴んだ。
「今ならまだ間に合う。屋敷の外に、早く」
「…………無駄です」
低く抑揚の無い声が背後から響いた。
振り向いた先にいたのは、先ほどの運転手の男だった。
「この者は己の意思で、自らの足で屋敷へ足を踏み入れました。
 もう手遅れです。マスターの許可がなければ外へは出られません」
「カワホリ、おまえ……」
険しい顔つきで、清一郎が目の前の男を睨みつける。
「中へご案内します。マスターも直に目覚められるでしょう」
カワホリと呼ばれた男が、恭しく二人に頭を下げる。
だが、清一郎は、庇うように平太の腕を掴んだまま表情を緩めない。
そんな清一郎に向かって、カワホリはわざとらしく溜息をついた。
「セイイチロウさま、マスターからのご伝言をお預かりしています」
清一郎が無言で先を促す。
カワホリは下卑た笑いを浮かべた。
「喉が渇いて我慢ができなければ、先にお一人で召し上がられてもいいと――」
「黙れ!」
静寂を破る清一郎の突然の大喝に、平太は驚愕した。
温厚で思慮深い清一郎が、こんなふうに人を怒鳴る姿など、
平太はこれまで一度だって見たことがなかったのだ。
激昂する清一郎とは対照的に、カワホリは慌てるでもなく軽く肩をすくめただけだった。
「今宵は最後の望月。やせ我慢もほどほどにしておくことですね」
からかいとも忠告ともとれる声音で呟くと、
カワホリは一人屋敷の裏手へと消えていった。
口を挟むこともできず二人のやりとりをただ呆然と見守っていた平太は、
カワホリの姿が見えなくなったのを見計らって、おずおずと口を開いた。
「清一郎、おまえ、食事をとってないのか?」
今の会話からの当て推量で、何気なく訊いただけだったのだが、
清一郎は酷くうろたえ、平太と視線を合わせないまま、
「そんなことないよ」と掠れた声で呟き、目を伏せた。

308 名前:柿手:2006/12/19(火) 02:18:11 ID:UHeofn160
結局、平太はそれ以上の問いかけをできなかった。
なんとなく気がかりなまま、清一郎の案内で平太は屋敷に入った。
「危険だから、絶対に僕から離れないで」
平太の手を強く握ったまま、清一郎はいつになくかたい声で告げた。
外観と比べ、中はいたって質素だった。
いや、質素というには語弊があるかもしれない。
広大な屋敷にも関わらず、照明が薄暗いせいで、全体が陰鬱な印象を与えるのだ。
通された客間も、腰掛けたソファもそれは豪華なものだったが、
ほの暗い室内は、なんとなく平太を居心地悪くさせた。
暗闇に引きずられように沈みそうになる気持ちを引き上げるように、
平太は場違いなほど明るい声で、隣に座った清一郎に問いかけた。
「それにしても清一郎。こんな短期間で見違えるほど回復したな」
別れた頃は、床から出ることすらままならぬ体だったというのに。
今の清一郎は、健康そのものだ。
「いったいどんな奇跡が起こったんだ? 神様でも化現したか」
冗談めかしてそう告げると、清一郎は彼に似つかわしくない暗い笑いを浮かべた。
「神も仏も、今の僕には……僕の体は……」
まるで忌むべきものを見るかのように、厭わしげに己の体を睨みつける清一郎の態度に、
平太は胸騒ぎを感じた。さぐるように清一郎を見やると、その視線に気づいたのだろう。
清一郎は、平太の不安を拭いとるように、快活に笑ってみせた。
「西洋医学ってすごくてね。おかげで、あっという間に元気になったんだ」
「へえ、もしかして、清一郎を連れて行ったあの外人って医者だったのか?」
「うん、そう…………そうなんだ、彼は医者なんだ、とびきりの名医でね」
清一郎は飲んだ薬や治療の様子などを、殊更詳細に並べ立てた。
普段の平太ならば、そんな清一郎の様子を些か奇異に感じたかもしれない。
だが、この時の平太には清一郎の回復がただ嬉しく、些細な違和感を見過ごしてしまった。
「よかったなあ、ほんと、よかった、俺、うれしいよ」
平太は、昂ぶる気持ちを抑えきれず、清一郎の両肩を抱いた。
「こんな嬉しいことってない、ほんとうによかったよ」
平太は興奮そのままに肩を叩き、ソファに体を埋める清一郎をがくがくと揺さぶった。
「…………痛っ」
清一郎の唇から、小さな悲鳴が漏れた。

309 名前:柿手:2006/12/19(火) 02:18:49 ID:UHeofn160
「清一郎?」
慌てて平太は手を離した。
「ごめん、つい力が入りすぎて。肩、痛かったか?」
「ああ、うん、肩は別に」
清一郎は、顔をしかめたままわずかに身じろいだ。
腰を微かに浮かし、臀部を庇うように前かがみになる。
その動作と姿勢には、見覚えがあった。
「清一郎、まさか、おまえ、それって」
平太の呟きに、清一郎は顔を真っ赤に染めて、必死に被りをふった。
「違う、そんなんじゃない」
叫んだ拍子に、ソファに深く座り込む形になり、清一郎は低く呻いた。
その様子に、平太は確信を深めた。
「清一郎、隠さなくていい。おまえ、あれだろ」
平太の脳裏をよぎったのは、平太たちを育ててくれた神主の老人の持病だった。
平太は、祝詞の最中に痛みを堪えるように腰を浮かせる老人の姿を何度も見てきた。
清一郎の今の仕草はまさしくそれだ。間違いないと、平太は思った。
「痔は別に恥ずかしいことじゃない、我慢していたらますます酷くなるぞ」
声を潜めて続けた平太の言葉に、清一郎はぽかんと口をあけた。
「ジ?」
「ああ、おまえ、尻の穴が痛むんだろ。それは痔の症状だ。な、そうだろ?」
平太がそう断言すると、清一郎は決まり悪げに、
だが、どこかほっとした様子で、小さく頷いた。
「うん、そうだね……そうなんだ。恥ずかしくて誰にも言い出せなくて」
「マスターさんだっけ、あの人にも言ってないのか?」
「ああ、うん、まあ」
「相談した方がいいんじゃないか。あの人、とびきりの名医なんだろ?」
「それは……」
清一郎は口ごもった。自分で告げるのは恥ずかしいのだろうと平太は察した。
「わかった。なら俺からマスターさんに言ってやるよ」
清一郎を励ますように告げた時だった。
「我に何を告げると?」
突然に響いた声に、平太は慌てて声のした方を振り返った。<続>

310 名前:風と木の名無しさん:2006/12/19(火) 03:32:50 ID:jcwvyPU8O
柿手さん、好きだ!惚れ惚れする…。


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