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 28 Aug 2010 (7)

 やっと気付いたか、この天然ぼけめ。
 月は内心で毒づいたが、慌てふためくニアを見て少し気が晴れた。
 カメラが本体に内蔵しているものに切り替わった。ニアの顔が大きく映る。
 説明をしながら、ニアの顔を盗み見た。熱があるのは本当のようで、額に滲む汗が髪を張り付かせていて、眼も少し充血している。月はスクリーンを最小サイズにした。
 これ以上見ているとおかしな気分になる−−
 顔を見せろと言ったことに若干の後悔を感じていると、ごとりという音ともに、小さなスクリーンのなかからニアが消えた。激しく揺れ動き、落ち着いたときにはニアの顔が横になっていた。
「どうした?」
『……いえ、少し気分が悪くなって…』
 抱えていたノートパソコンを横に投げ出したのだろう。仰向けていた顔を、気怠そうに眉をひそめながらカメラのほうへ向いた。
 頬に髪が張り付くほどの汗を滲ませているが、顔色は蒼白で、連日の猛暑は、ニアの体力を容赦なく奪っていた。
 体勢を変えたことであらわになった首筋から汗が一筋流れ落ちていく。
『続けてください、夜神』
 それなのに、辛そうな表情とは裏腹に口調は平然としているのは、単にニアの性格のためか。
 本当にこれ以上−−
「……いや、いい」
『は?』
「お前が持っている案件、すべて僕にまわせ。お前は体調が戻るまで休んでいろ」
 眼を大きく見開いたところは、冬に会ったニアを思い出す。驚いてきょとんとした顔に、月は表情を変えないように堪えるのが難しかった。ニアの言う通り、カメラなしの回線を早急に開く必要を感じた。
『…それではそちらに…』
 まだ驚いた顔をしている。自分たちの関係は脅迫する者とされる者でしかなく、ニアは月の命令を拒めば自分の命のみならず、模木の命さえ道連れにすることになってしまうから、従わざるを得ない。だから、この状況を強要している月本人から、掛けられる言葉ではなかったのだ。
 この腕でもう一度、その存在を確かめたい−
 ふいに込み上げた感情を沈めるには、しばらくニアとの通信を控えるしかない。手に届くところにいるのならこんな面倒な思いをしなくても済むものを。
『夜神…?』
 沈黙した月にニアは呼びかけたが、小さな声だった。消えてしまうようだ。
「…お前の体調がいつまでも戻らなければ今に支障をきたすからな」
『なんの支障ですか。あなたの勝手な…』
 ニアの言葉を、月が遮った。
「Happy Birthday, Near」
『………』
 絶句したニアの反応を待たず、月は通信を切った。

08.09.15

06 >08

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