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「愛しい主のしつけ方」 (9)




広げた掌で胸を撫でられ、わずかに硬くなっている小さな突起を擦られてびくりと震える。少し手触りの違うその場所を感触で見つけたらしく、指先が確かめるような動きで撫でてきた。

「あ―――」

くすぐったいのと気持のいいのが半分半分。声に出して反応を返すと、二本の指で摘まれ、軽く潰すように擦りあわされる。そこから感じる、痛痒いような独特の快感が、身体の中心へと伝わっていくような気がする。背にすがった指に力を入れると、さらに押しつぶすようにされて、鼻にかかった声を上げる。

脇から下衣の中に差し込まれてきた手が、肌を直に擦りながら、動きにくそうに前へと回されてくる。脚の付け根の窪みを辿るように下りてきて、そこを包むように押し付けられた。人肌の温かさが伝わってきて、それがじれったい快感へと変わっていく。

「あ、ン―――」

緩められていない衣服の中を、無理やりに手が探り、撫で、掴んでくる。掌を強く押しつけられるから、自分がすでに固く立ち上がってきているのがわかる。ヘクトルの首に回していた手を解き、膝でバランスを取ってズボンの留め具を外す。ヘクトルの手がいったん離れて両脇から差し込まれ、ズボンを脱がしてくるのを、肩に両手を乗せ、体重を浮かして手伝い、蹴るようにして床に脱ぎ落とす。

「じゃあ、若さまも」

ヘクトルの上着を腹から捲り上げ、頭から引き抜く。上げられていた前髪がばさばさと落ちてきて、大人びた印象がかなり少年めいたものに変わるから、ふ、と口元に笑いが浮かんだ。

「ん、何だよ」

マシューの上着を脱がせながらヘクトルが不思議そうな顔をする。問いかけには答えずに、手を差し伸ばして乱れ落ちた髪をかき上げ、その額に口付ける。
ヘクトルがズボンを脱ぐのを、邪魔しないように膝で立って待つ。手が腰に回ってきて座るように即されるから体重を膝の上に戻すと、内腿に直に人肌が触れてぞくりとする。ヘクトルの手が、あらわになった背中から腰を撫でてくる。

「これも―――外してください」

首と手にまつわる銀をしゃらりと鳴らす。

「もったいねえな、似合ってるのによ」

「引っ掛かりますから」

若さまの身体に、引っかき傷などつけるわけにはいかない。
広い肩に頭を乗せると、身体を抱きこむように腕がまわされ、耳の後ろでしばらくしゃらしゃらとした音が鳴り、金具を解いた鎖が外されていった。
身体を離して腕を差し出すと、大きな手に手首を取られ、もう一方の手が鎖をつまみ上げる。ヘクトルの目がうつむきがちに金具を探している。真剣な顔をしているのがなんだ可愛いような気がした。鎖が外れてベッドの上に落ちる。

「俺も触っていいですか」

紺青の目と目を合わせる。

「おまえ―――こういう時はいつも、いちいちそういうこと聞いたりすんのか」

「いや、聞きませんけど。さすがに若さま相手じゃ勝手が違うもんで」

「んじゃ、聞くな」

「わかりました。じゃあ、好きにしますよ」

顔をヘクトルの首筋に寄せながらそう返すと、ヘクトルは、ちょっとばかりうろたえたような顔をした。その首の付け根、窪んだあたりへと唇を落とす。

「うわ―――」

ヘクトルがくすぐったそうに身体を捩った。舌で舐めながら胸から腹を覆う締まった筋を辿っていく。ヘクトルの手に背中を撫でられる緩い刺激に焦れて、唇でたどる胸のあたりにちょっと噛み付いてみたくなる。そんなことはもちろん、本当にはしないけれど。
ヘクトルの膝から下りて、その間へ入り込みながら手を伸ばして、片手で脇腹を撫で、緩く立ち上がっているものにもう片方の手を沿える。確かな熱さと硬さが掌に伝わってきた。

―――驚いた。
立ってるよ―――なあ、この人。本当に俺相手に。
嬉しいのかと言えば嬉しいような悲しいような―――面白いような。
いや、嬉しいけど、幸せだけど―――

「マシュー、てめ―――俺を玩具にでもする気かよ」

ヘクトルの押し殺したような声が聞こえ、ヘクトル自身を中途半端に掴んだまま動きを止めていた自分に気がつく。
謝るかわりに両手で掴んで擦り、思い切り口を開いて先端を咥えてやる。ヘクトルが大きく息を吐き出す音が聞こえた。快感を与えるために手と口を使う。身体の造りは同じだから、どうしたらいいのかは良く分かっている。先端を含んだまま、舌で舐め、手で擦っていると、熱さと硬さを増していく。時々、ヘクトルが短く声を上げるのを聞くのが楽しかった。口内に納めるのはきつい大きさに育ったものを、横から咥えてしゃぶり、その下、柔らかい部分に手を回してあやしてやる。与える行為に夢中になっていると、髪を掴んで止められた。

「なんで…あ…っ」

二の腕を掴まれて力まかせに寝台の上へと引き上げられ、再び膝の上へと座り込む。

「良く…なかったですか」

息を切らしながら問いかける。口元から唾液が伝ったのを、顔を寄せられて舐め取られた。

「すげえ、いい。けどその―――抱かせて欲しいんだよ、おまえを」

「それはその、俺はそれでもいいんですけど、慣らしてもらわないと無理だと思うんで、若さまを待たせるのは悪いかと―――」

「おまえのその、時々よく分からねえとこで遠慮するのはなんなんだよ。ずうずうしくしててくれないと調子が狂うだろうが。ああしろこうしろって、指図してくれていいからよ」

そう言う顔はしごく真面目である。

あああ、もう―――分かりました。遠慮した俺が悪かったです。こうなりゃ、恥ずかしいだの何だのは、一切合切無しにします。街の娼婦だって言わねえってくらいに分っかりやすくねだって、しつけて差しあげますから覚悟してください。

「どこ使うかわかってますか」

耳元で囁く。

「たぶん」

ヘクトルの両手を取って、指先を舐める。それでは足りそうになかったので、口の奥まで咥え込み、唾液が溢れるのを待ってびちゃびちゃに濡らしてやる。指の付け根まで唾液が流れ落ちていったので、唇を離し、濡れた手を自分の後ろへと導く。

「このままじゃ入らないから、慣らしてください」

濡れた指に、自分から腰を押し付ける。入り口にぬるりとした感触があって、顔をしかめる。

「撫でて、濡らして、柔らかくなったら指入れてください」

「わかった」

ヘクトルの指がそこを探るように触りはじめるから、息を吐いて首にすがりつく。
俺―――誰にでもこんなことしてやるわけじゃないんですからね。これでも、あんたにこんなことされるのは、顔から火ィ吹きそうに恥ずかしいんですよ。分かってます?

「は―――」

ぬるぬるとした感触が、入り口をさすって行き来する。

「や、いい」

指がそこに止って回すように撫でられた。少しだけ周囲の皮膚を押し込むように揉みこまれる。刺激に反応して反射的に力が入って入り口が窄まる。

「痛いか」

「ン―――気持ち良い、です」

緩い刺激が長く続いて、耐え切れない感じに熱が溜まっていく。意識して出そうと思わなくても、浮ついた声が絶えず口から漏れ出していく。

「あ、あう、や、そこ…ん、いい」

自分の喘ぎ声を聞きながら、こりゃあ、ホントに街のたちんぼうと変わらねえよ、と心の中で苦笑する。
この人、どう思ってんのかな。こんなことで態度を変えるような人じゃないけど、でも―――

「入れてください、指、入れて。平気だから」

誘う声に応えて、指があてられ、力を込められる。ぬるりとした感触と圧迫感があって、奇妙に切ない感触に、ずるりと奥まで貫かれる。

「あっ―――ん」

広い背にしがみつく。自分の中に入り込んでくる異物を受け入れるため、力を抜こうと試みる。はっ、はっ、と短く途切れる呼吸が自分の耳に入った。



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