EVE The Fatal Attraction
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●スキップ(既読判定なし) ●マルチサイトシステム ●タッチャブルビューシステム ●チャプター ●音楽鑑賞(クリアー後) ●CG鑑賞(クリアー後) ●ムービー鑑賞(クリアー後) | ●BGM28曲 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
●スキップ(既読判定なし) ●マルチサイトシステム ●タッチャブルビューシステム ●チャプター ●音楽鑑賞(クリアー後) ●CG鑑賞(クリアー後) ●ムービー鑑賞(クリアー後) | キーボード、ベース、ドラムで大人し目にまとめたシックな曲が多いです。緊迫したシーンでも、必要以上にやかましくありません。かなりダウナーなシナリオなので、雰囲気は合っていると思います。全体的に好きなんですが、明るかったりハイテンションな曲がひとつもないのは、ある意味凄い……。
●MEMORY ●I GET TRUE ●THEME OF STORY ●STREAM MINDS | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ズタボロの総決算 1999年にWindows版として発売された「ADAM THE DOUBLE FACTOR」の完全版です。ADAMはEVEではないので、別作品という見方も出来ます。その場合は、完全版でも何でもなくなります。PSで発売された後にWindowsへ移植されています。この辺りは紛らわしいですね。初回限定版は化粧箱入り。あまぎ探偵事務所手帳、ドラマCD、ファンブックが付属します。 EVEシリーズは「ZERO→burst error→Lost One→TFA」と続きますので、本作は現時点ではこの流れでいえば最終作になります。「この流れ」というのは、後に「EVE newgeneration」が発売されていますが、これは時間軸が異なるパラレルワールドだからです。 一般的な評判は「中盤までは良いけれどクライマックス以降がダメ」というものが多いです。私もそう思います。ストーリーは世界的な陰謀が渦巻いていて大変面白いのですが……。一体何が問題なのかは以下で検証していきます。 また、シナリオライターがZEROと同じためか、ZEROをプレイしていないと分かり難い単語・人物・シーン描写が多々あります。箱やケースには「EVEシリーズを初めてプレイした方でも十分にお楽しみ頂けます」と書かれていますが、これは嘘です。最低限ZEROはやっておきましょう。私は当時、ZERO未プレイでTFAしたので、訳が分からない箇所がありました。 最後の手抜きがなければ…… 相変わらずの惜しさ ■シナリオ プロローグとエンディングが同時間軸で、本編は回想という形をとっています。 4作目ともなるとマルチサイトの利用も手馴れたもので、無駄なくチェンジポイントを設け、効果的に2人を合流させています。まあ、最初に合流するまで結構時間がかかるんですけどね。 これまでのEVEは探偵物ということで、対象についての調査が中心であり、ZEROの小次郎の過去を除き、語られるのは基本的に調査対象についてでした。しかし、今回は主人公自身について語られることが多く、悩んだり自問自答したりするシーンが多くみられます。ただのサスペンスではなく、成長物語でもあるわけです。ですから、シリーズで最も小次郎とまりなについての内面が見られる作品ともいえるのです。キャラゲーとしての側面も強いEVEですから、その点は評価出来るでしょう。 問題となるのはクライマックス以降です。終盤にサイトチェンジがなくなるのはいつものことですが、今回はあまりに省略しすぎています。クライマックスに差し掛かると、「ドン」という太鼓の音と共に場面が一瞬にして切り替わるようになり、移動や会話などが一切省略されて、本題のみのテキストが矢継ぎ早に表示されます。意味は辛うじて通じますが、突然このような展開にする必然性がありません。これは完全な「手抜き」ですね。これさえなければ本当に良い作品になれたと思うのですが……。EVEシリーズはいつも必ずどこかに穴があって勿体無いことになってしまいますね。 ■キャラクター 今回も原画家は変わっていますが、シリーズのイメージからかけ離れた絵ではありません。キャラによっては両目が離れている気がしますが、許容範囲でしょう。ゲーム中は映らないのですが、説明書を見るとやけに全員靴が大きくてバランスを欠いています。他に気になるといえば、ダサイ服装が多いことでしょうか。特に弥生の虎柄は何とかならなかったのでしょうか。 キャラの設定は、ZEROほど複雑ではありません。重要人物で何重にもカバーを使っているのはまりなくらい(いつものこと)なので、人間関係は分かりやすいです。プリシアや杏子など、これまでのシリーズのメインキャラも登場し、まさに総決算という形になっています。……と思ったら、茜が出てませんでした。シリーズ上の矛盾点として一点気になるのは、杏子と小次郎が初顔合わせとなってしまっていること(Lost Oneで会っている)。これぐらいは直して欲しかったですね。 また、まりなの性格がかなり変わっていて超冷静な一流諜報員になっています。ギャグは飛ばすんですが、内面がかなり冷めているんです。この辺は従来作品と差が激しいので、好き嫌いがでそうなところ。私としては問題なし。 ■テキスト 主人公が両方ともダウナーな感じで、ギャグは押さえ気味です。他方、状況や設定の説明は、これまでのEVEシリーズで一番文字が多いと思われます。特にまりなサイトの中盤〜後半は、ゴルゴ13を読んでいるかの如く、世界情勢〜スパイ事情の解説が堅苦しく繰り広げられます。これはこれで好きなのですけどね。 問題点は、ZEROの設定がほとんど説明もなくポンポン登場することでしょうか。例えば「XTORT」という単語が中盤で登場します。これはZEROで登場するキーアイテムですが、TFAではさっぱり説明されません。トア・ノバルティスという人物名も出ます。これもZEROの登場人物ですが、TFAでは重要なシーンにもかかわらず唐突に出るため、ZEROをプレイしていなかった私にとっては折角の解説シーンも不可解な状況で終わってしまいました。その後ZEROをプレイしたから良いものの、もう少しプレイヤーを混乱させない書き方があったと思うんですけどね。 ■演出 アニメーションは健在。ただしOPアニメーションは、シナリオ内容と関係ない場面が入るため減点です。制作中に設定変更が生じたためのようですが、これはお粗末ですね。カット割や帯の挿入など、その辺のエロゲーとは比べ物にならないほど格好良いだけに勿体無い。 ストーリー中挿入されるムービーは13点。ジャギーもなく動きもスムーズで綺麗です。これは流石ですね。自殺シーン、殺害シーン問わずバシバシアニメにしてます。 またエンディングの演出も格好良いです。 効果音は銃声、扉の開け閉め、時計の針の音など、物理的な音中心です。 ■ゲーム性 マルチサイトシステム(burst error参照)にタッチャブルビューシステムが加わりました。何かというと何のことはない昔ながらの虫眼鏡システムです。画面にカーソルが出て、気になるところをチェックするというものです。今回は選択肢によるコマンド総当りではなく、画面チェックによる総当りになっているのです。映っているものに気が付かないといつまでも進めないので、難易度は上がっています。また、立ち絵が一切なくなり、代わりに「フェイスウィンドウ」という胸像が最大4つ出ます。人物と会話するときはこれをカーソルで選択するわけです。選択肢より時間がかかりますので、効率が悪いです。 また本編をクリアーすると、MURDER編が選べるようになります。 ■シチュエーション 小次郎と弥生は相変わらずの修羅場続きですが、今回は氷室にも注目。いつにない優柔不断さを見せる小次郎、そんな小次郎に献身的な氷室、それとは正反対に業を煮やす弥生……。弥生と氷室の選択こそないものの、氷室の小次郎への思いやりにはグッとくるものがあります。 他方、まりなは完全にプロになってしまって男との絡みはありません。超仕事人間モード。別に良いんですが、ダンディーおじさんへの愛がほとんどなくなっているのは少し寂しいところ。 ■グラフィック 背景は40枚以上あります。探偵事務所や内調本部などシリーズ共通の舞台はそのままに、洋館やビルのテナントなど、室内を中心にハイレベルな仕上がりとなっています。駅のホームなどは実物取材もしっかり行っているようです。 立ち絵は前述の通り、胸像で出ますが、パターンは3〜5種類程度用意されており、表情や服装も変化します。 イベントCGはパターン抜きで205枚。かなりの枚数で、どうでも良いようなシーンもCGになっています。状況説明的な引き気味なものからドアップまで構図も様々。かなり力が入っています。
残留思念や記憶を見ることが出来る「EVE」。自分や世界について知らない彼らにとって、EVEについての記憶を持っている――あるいは持ってしまった――小次郎やまりなは、EVEという自分の秘密を知るために、追い求めるに相応しい人物です。作中でEVEはその誕生の経緯から、常に悲劇的な存在として語られます。つまり、EVEに関わることは悲劇を味わうことを意味します。小次郎やまりなにとってみれば、真弥子を思い出すことになるので、尚更でしょう。しかし2人は、EVEと生涯に亘って関わり続けることを選択しました。それは彼らにとっての決意表明であり「覚悟」です。関わらないことを決めたとしても、それが「逃げ」とは思いません。しかし、敢えて関わり続けることを決めるあたりが小次郎とまりならしいところであり、プレイヤーにとって魅力的だと思わせるところなのでしょう。 かくしてEVEシリーズは、小次郎とまりな無くして語ることが難しいゲームとなりました。何故なら「EVE」が小次郎とまりなを追い求め続けるからです。 ここから少々メタな話。 小次郎とまりなは、ファンによって途轍もないイメージが作られてしまいました。シーズウェアは最早この妄想のすべてを表現することは出来る能力を持っていません。それにもかかわらず、2人が登場しない「EVE」という形を、シーズウェアが自らの手で捨ててしまったところに、本作の滑稽さが表れています。小次郎・まりなとEVEの関係は、burst errorと、いつまでもburst errorの記憶を追い求めるプレイヤー及びメーカーの関係にも似ているような気もします。それを含めて私は好きですけどね。 |