sisters 〜夏の最後の日〜
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●オートメッセージ ●スキップ(既読判定あり) ●バックログ ●バックログ中の音声 ●シーン回想(クリアー後) |
●BGM:曲数不明 ●挿入歌 飛んでいく ●ED歌 またあした | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
システムは最低限。キーボード操作にもあまり対応しておらず、使い勝手は良くありません。また、音楽鑑賞ぐらい付けて欲しかったですね。 | 主人公や姉が楽器を扱う割には、極一部にしか音楽が流れません。ギターをベースにした曲が多いのですが、曲名・曲数は不明。Hシーンの音楽はダークな感じ。Loversのようにムーディーな曲調の方が良かったです。また、ボーカル曲はなんとボーカロイドが歌っています。ゲーム内のTVCMに大量の声優を起用しておいて、何故主題歌がこんなことになってしまったのか不明です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
至高のエロアニメ再び 延期四天王Jellyfishが、10回にも及ぶ過去に類を見ないような延期に次ぐ延期を繰り返してようやくLOVERSを発売したのは、もう8年も前のことになります。次回作SISTERSの制作が発表されたのが2006年。そして発売が2010年11月26日と予告されたとき、誰もがそれを信じなかったのは当然のことです。案の定、発売は2011年2月25日に延期され、さらに2月25日から4月22日に延期されました。2度目の延期発表があったのが2月10日で、この時点で発売を信じた人はおそらくほとんどいなかったと思います。しかし、信じられないことにJellyfishはやってくれました。4月22日にこそ発売出来ませんでしたが、この時点でマスターアップを完了し、1週間後の4月28日、発売に漕ぎ着けたのです。その出来ですが、発表されていた「短いが楽しんでもらえる内容」という言質のスタッフコメント通りの一本でした。 初回限定版として、フルカラー作画メイキングBOOKが、予約特典としてドラマCDが付属します。この他、私はソフマップの特典として抱き枕カバーが付いてきました。 質のsisters、量のLovers ■シナリオ 序盤は主人公の正体や、登場人物の正体が一切伏せられており、プレイヤーは混乱させられますが、主人公とプレイヤーの持っている情報量は同じなので(つまり主人公も混乱しているわけです)、プレイヤーが疎外感を受けることはありません。進めるにつれて千夏視点で度々回想が挟まれていき、さらにサブキャラの発言を通して、全貌が明らかになっていきます。回想のタイミングと情報開示のバランスが絶妙で、良い具合に謎を引っ張りながら、最後にすべてが明らかになります。個人的には中々良い手法だと思います。ただし、ゲーム中では断片的に情報が公開されるだけなので、それをまとめるのはプレイヤーの仕事となります。1から10まで説明されないと気が済まないという方には向きません。 ■キャラクター 顔の輪郭は共通していながらも、目の位置や大きさを変えることで、印象をまったく異にしている登場人物達。まず姉妹がいて、春香と千夏を足して2で割ると秋子の顔になる感じですね。クセは強くない方だと思います。 設定は、家族構成や家庭環境などプライベートなことについて、短い時間の中で意外にも多く明かされる一方、それ以外の外部との関係についてはあまり語られません。特に姉の春香については、家庭内で確固たる人物像を築いているのに対し、社会的評価が見えてきません。春香についてもう少し分かれば、嘗ての主人公のステータスについても推察出来て親近感が沸いたことでしょう。 常に姉が妹を庇護し、妹がそれを受け入れているという状況は、見ていて微笑ましい一方、もっと姉の弱さを出した方がパワーバランスが取れると感じました。全体的に千夏がメインで春香がサブ的なイメージが拭えないのは、この辺りにも原因がありそうです。 ■テキスト 会話のみで地の文がないのが最大の特徴です。情景描写は皆無で、心理描写もほぼありません。ですから、動画を見て状況を察する必要があります。必要最小限のことしか語らず、主語がないので、誰がいつ何をどうしたのか分かりにくい場面があります(特に病院シーン)。ただ、これは意図的に書かれているようで、ミスリードを誘っているとも読めます。そうだとすれば良く出来ていますが、そうでなければ書いたライターは失格物ですね。 ■演出 3Dと2Dが混ざっていますが、アニメーションゲームです。立ち絵のあるシーンでは目パチ・口パクしますし、それ以外はアニメになっています。動きは滑らかで、昔のゲームのようにジャギーがあったりせず綺麗です。入射光の使い方が上手く、夕方のシーンでは、太陽をバックにした幻想的な動画を見ることが出来ます。Hシーンについては、別項に記述します。 室内の移動においては、実際に主人公が3Dで描かれた室内を歩行します。例えば、キッチンに行く場合、廊下から歩行してキッチンへ行きます。起点が常に同じため、起点から遠い地点へ移動する場合にはそれだけの時間をとられます。これはまったく必要のない演出で、時間の無駄です。 動画以外の点では、舞台が90年とあって、屋内で流れるテレビCMやニュースに、同年代の話題(例えば湾岸戦争)を入れるなどして臨場感を出そうとしています。このCMのために声優を多数起用しています。 ■ゲーム性 皆無です。一応選択肢は存在して、選択によって直後の行動は異なってくるのですが、シナリオ展開に影響を与えることはありません。完全な一本道ゲームです。 ■Hシーン 全8シーン。少ないように感じますが、1回当たりの時間が長く、クオリティーも高いので実用性抜群です。その内訳は、千夏×4、春香×1、千夏&春香×2、秋子×1。フェラ、騎乗位、バック、69と普通のシチュエーションは押さえていますが、特殊な展開はありません。プレイ記でも書きましたが、単体のクオリティーでは、LOVERSと比較しても理恵初Hシーンを除いて上回っています。シーン数が少ないことは悔やまれますが、それでも購入の価値はあります。 シナリオ上の必要性は薄く、夢落ちという最悪のパターンもありますが、エロアニメをセールスポイントにしているゲームといっても過言ではないので、必要性を論じること自体にあまり意味を見出せないのも事実です。 ■グラフィック 室内は固定の背景が10枚程用意されています。3Dグラフィックスであり、光の加減やガラスへの映りこみなどもしっかり描かれた上出来の絵です。それ以外のシーンは動画です。 立ち絵では表情が3、4パターン程に変わります。アニメーションの方が多いですが、丁寧に描かれています。静止画のイベントCGはありません。
本作のストーリーには常に「罪悪感」が垣間見えます。妹の千夏は姉の春香に対して罪悪感を持っており、姉妹の母である秋子もまた主人公の母である千鶴に罪悪感を持っています。後者は前者程分かりやすく表わされてはいませんが、自宅で千鶴の写真があり、秋子がそれを眺めていること、そして電話口で一度だけ語ることから察することが出来ます。両者とも相手の好きな人を奪ったという点で共通していますが、これは後に、相手によって罪悪感を抱く必要はないと結論付けられます。三角関係は、結局誰かが身を引かなければならないのですが、相手の承諾によって、本作では3人のまま関係が進んでいくこととなります。一般的な倫理感と照らし合わせれば、これは欺瞞的ですが、登場人物達は、3人の関係を認めることを「素直」な心の持ち主である証とし、幸せの象徴と考えるのです。 これは、罪悪を罪悪で覆い隠しているように思えます。1人から1人を奪うことを止め、1人を2人で愛することを許容してしまうのは、一般的な形とはいえないでしょう。 そして不自然な関係――罪――には、罰が下されます。一瞬得ることが出来た幸せは、早々に失われ、二度と戻ってくることはありません。 この世の中では、素直でありすぎることは、罪なのです。世間では、正義であると同時に必要悪である規範を守りながら生きていかねばならないのです。それが一般的な幸せを得るために必要な手段です。 しかし、最後に見た姉妹の笑顔が、そんな偽りの正義の中では見出せない程、魅力的なものだったことも確かです。あれがすべての罪悪から解き放たれた人間の素顔だとすれば、罰を受けるだけの価値はある――最後の笑顔には、本作のそんな一般的倫理観への挑戦的なメッセージが込められているのです。 |