SISTERS 〜夏の最後の日〜プレイ記

SISTERS 〜夏の最後の日〜 プレイ記
Key

 延期大魔王Jellyfishが、10回にも及ぶ過去に類を見ないような延期に次ぐ延期を繰り返してようやくLOVERSを発売したのは、もう8年も前のことになります。次回作SISTERSの制作が発表されたのが5年前の2006年。そして発売が2010年11月26日と予告されたとき、誰もがそれを信じなかったのは当然のことです。案の定、発売は2011年2月25日に延期され、さらに2月25日から4月22日に延期されました。2度目の延期発表があったのが2月10日で、この時点で発売を信じた人はおそらくほとんどいなかったと思います。しかし、信じられないことにJellyfishはやってくれました。4月22日にこそ発売出来ませんでしたが、この時点でマスターアップを完了し、1週間後の4月28日、即ち本日発売に漕ぎ着けたのです。Rewriteとどちらが先に出るのか、延期レースを楽しもうと皮肉っていた矢先の嬉しい大誤算。新年度一発目、超久々に胸躍るゲームをゴールデンウィーク(……と言っても土曜は出社なので飛び石なんですが)に家から一歩も出ずにプレイ出来る幸運をかみ締めながら、プレイ記を付けようと思います。


 仕事中、ポケットに入れてあった携帯電話がメロディーを奏でた。
「Hologram」――Ever17に登場する茜ヶ崎空のテーマだ。
 まさか真面目で礼儀正しい企業戦士YAMAがギャルゲーの曲を着信音に設定しているとは誰も思うまい。
 しかし、そんな俺の思惑を裏切るかのごとく、電話をかけてきた佐●急便のドライバーはどことなく嘲るかのように笑い混じりで告げた。

佐●「YAMAさんですか? へへっ……ソフマップさんから荷物が届いているんですが、どうしましょうか」

 こいつ……。月末にソフマップから届く品名のない荷物が何か知っているんじゃないか?
 だが、その程度で怯む俺ではない。こちとら幾千もの修羅場をゲームの中で潜り抜けてきたのだ。
 俺は冷静を装い、不在であった際の手順を伝えた。

佐●「へへっ……かしこまりました。ではそのように手配させていただきやす。へへっ……」

 こいつ……。やはり中に入っているのが何か知っていやがる。
 俺はその予感に少しばかり焦りを覚えながらも電話を切り、仕事へ戻った。


 拙者、戦国より続く武士の血を引く者でござる。
 時は21世紀。最早、世に武士も案山子もないことぐらい分かっているつもりでござる。
 然れども、武器を捨てても誇りは捨てないのが当家の家訓でござる。
 だから拙者、ひとつだけ誓いを立てたのでござる。

「抱き枕、買うべからず」

 この誓いを破った時、拙者は人として歩むことを止め、悪魔に魂を売らねばなりもうさん。
 そして拙者の代で、平成の世まで受け継がれてきた武士としての血脈は絶えるのでござる。

 どれどれ、それはさておき、折角新作を買ったのでござる。
 早速ソフマップから届いたダンボールを開けもうさん。

 ガサゴソ……ガサゴソ……

 おお、これが待ちに待ちもうしたSISTERでござるな!

 

 なかなか別嬪な娘でござる。
 黒髪も良いが金髪も良いでござる。
 金髪も良いが黒髪も良いでござる。
 どちらから攻略するか悩むでござる。

 ガサゴソ……ガサゴソ……

 なんと! 設定資料集の他にもおまけが付くのでござるな!
 これがディスクを含めた全容でござる。

 









 ……?









 









 ??









 









 ???









 





























 俺は人間をやめるぞ! ジョジョ――ッ!!


第一回

 試しに30分プレイしましたが、掴みは完璧です。
 我々が本作に何を求めているのか、よ〜く分かってらっしゃる。
「何」が何を指すのかといえば、無論、ナニのことです。ナニ。
 この時点で認めるのも何ですが、まあ良いでしょう。買って正解でした。

 では、いつものチェックに移ります。
 必要空き容量は10GBで、ファイル量は5.75GB。途轍もないボリュームです。ディスクレス起動は可。

 OPムービーはなし。スタートすると、いきなりアニメなので、これがムービーみたいなものかもしれません。
 始めてすぐに気付きますが、地の文がまったくありません。
 すべて会話のみで、それ以外の動作はアニメーションで補っています。
 そのせいか、移動時もいちいち歩いて目的地まで行くアニメが入るので時間がかかります。
 開始早々ですが、この点にはかなりイラつくことになりそうです。

 シナリオは謎めいた始まり方をしていまして、単純な話だと思っていたので意外でした。
 主人公が記憶を喪失しているらしく、プレイヤーも置かれている状況が分からないのです。
 分かるのは、この名前すら分からない青年が、早漏絶倫であること。
 終わったと思ったらまだまだ元気だったりするので、プレイヤーは油断出来ません。

 舞台は1990年のどこかの田舎です。
 この時代設定は、単にインターネットや携帯電話を登場させたくなかったからでしょうか。
 それとも、今後その理由が明らかになっていくのでしょうか。記憶しておく必要がありそうです。

 とりあえずはここまで。
 突っ込みどころ満載の秋子さんに関しては次回のインプレで記入します。


第二回

 本名プレイをしようかと思ったけれど、ディフォルトにすると名前を教えたときの姉妹の反応が違うので、それで決定。
 それでは、ヒロインファーストインプレッション!


◆神村秋子……突っ込みどころ満載の巨乳奥様
 美術の顧問をやっているらしいですが、正体は不明。姉妹の母親。
 いやー、とにかく揺れる揺れる。
 というかそのボッチは、そのボッチは!!


◆神村春香……清楚な正統派お姉さん
 千夏の姉。主人公より年上なのか年下なのかよく分かりません。
 料理上手で縫い物も出来て欠点がなさそうですが、これといった特徴がないのが特徴。
 黒髪で可愛いんですけどね。これからに期待。


◆神村千夏……金髪元気っ子妹
 主人公にちょこちょこ付いて回る可愛い娘です。
 個人的には白服バージョンが好み。
 というかそのボッチは、そのボッチは!!


 インプレッション終わり。
 まだ3日目ですが、話が謎めいていて面白いです。
 偶には主人公の正体が不明ってのも、悪くありません。
 ただ、予想通り、一々移動アニメが入るのがかなりウザイです。
 なんかサターンのゲームやってるみたいな感じがします。
 例えば、ルームメイトとか(ほら、あれも部屋を移動するじゃないですか)。
 ……また古い話を持ち出してしまいました。
 古いといえば、この頃って消費税が3%だったんですよね。
 1990年なんてちょっと前のようで、もう21年も前の話なんですよね。
 うーん、少しばかり考えさせられるものがあります。


第三回

 うーむ……謎。
 自分が記憶喪失だと思ったら、春香が記憶障害っぽくて(そのくせ長期記憶がある)。
 春香の彼氏が自分だと思ったら、どうやら既に死亡していたようで。
 主語がないから誰が生きていて誰が病気で誰が死んだのかよく分からないのです。
 それに「死んだ」といわれても、それは比喩表現かもしれません。
 あくまで春香の頭の中で死んだだけで、本当は生きているのかもしません。
 うーむ……。状況説明がないので、事実が掴みにくいことこの上ありません。
 おそらくそれがシナリオの味噌でもあるのでしょうが。

 7日目までいきましたが、千夏視点で語られる回想がやたらと多いので、千夏ルートに入ったのかも。
 普通に可愛いので、1周目は千夏攻略で進めようと思います。


第四回

「私は今、歴史を目撃しているのかもしれない……」 by エロゲ山エロゲ男

 エロゲーの教科書を捲った時、LOVERSの河合理恵との初Hシーンが載っていなかったなら、それは犯罪的な虚偽書物と言えましょう。
 はっきり言って、あれを超えるHシーンを、私はこれまで見たことがありません。
 しかし今、あれに勝るとも劣らないハイクオリティーアニメーションが目の前で展開されているのです……!
 さあ、叫びましょう……



Excellent!!

 Excellent!!



 滴り落ち崩れる、一筋の銀の橋。
 まだ未発達の小さき山に隆起する桃色の輝き!
 なんという奇跡。なんという神々しい美しさ! ただただ、御覧下さい……。

 LOVERSは初シーンの後、一気にクオリティーが下がりましたが、本作はどうでしょうか。
 もしこの後もこの品質が保たれたとするなら、まさに歴史を塗り替えるゲームとなるかも。


最終回











 ………………



















 ………………



















 ………………はっ!?
 すみません。思考回路がフリーズしてました。



 えーと……ゲームクリアー。
 おまけを見たら、すべてのシーンが埋まってました。
 ……ってことはオールクリアー?
 え、えぇええええっ!?
 千夏ルートかと思ったら途中で春香も混ざってきたのでもしやと思ったんですが、分岐なしですか!?
 あんまりにも短すぎじゃありませんか? ここまで5時間くらいしか経ってないんですが……。
 まあ、それでもクリアーはクリアー。叫んだってシナリオが増えるわけじゃなし。
 とりあえず総評に移りましょう。<なぜか今回はさっぱりした顔であっさり引き下がる


◆総評

 短いですが、話はしっかり完結しています。
 クラッシュしたら粉々になるぐらい肉抜きだらけですが、それでも完結しています。
 誰も長い文章なんて望んじゃいないことを踏まえての結果なのですから、これはこれで評価して良いでしょう。
 むしろ、ダラダラ書くより簡潔に書く方が技術が必要であることを考えれば、十分ライターは能力を発揮しているのです。
 文章量以外でも、主語を書かずにミスリードを誘うテキストや、要所で重要な回想を挟むシナリオ展開など、よく考えられています。

 笑いどころとしては、挿入歌を初音ミクが歌っていた点が挙げられます。
 作中で流れるテレビCMに数十人もの声優を起用しておきながら、歌はボーカロイドとは……。
 エネルギーの使い方を間違えすぎています。
 というか、ボーカロイドに歌わせているゲームなんて始めてプレイしましたわ。客をなめすぎ。

 そんな感じで諸々ありましたが、実のところ、その辺はどうでも良いことです。
 このゲームで重要なのはエロアニメだけであり、それ以外はビックワンガムのガムみたいなものです。
 で、エロアニメ……どうよ?と。
 結論から申し上げましょう。アニメの質は、LOVERSを超えています。
 河合理恵との初Hシーンに対してはイーブン判定としておきますが、それ以外は超えています。
 初シーン以後の出来を気にしていましたが、1シーン辺りの時間は長く質も高かったです。
 ただし、ひとつだけ大きな大きな問題があります。全部で8シーンしかないのです。
 幾ら質が高いとは言え、ちょっとこれは少なくはないでしょうか。倍あったら文句ないんですが……。

 ワンルートしかも4、5時間で終わるが、質の高いゲームをどう評価したものか。
 極めて迷ったのですが、私的にはアリと結論付けておきます。
 全体的に見てLOVERSより良いかと訊かれれば、首肯出来ませんが、さりとて否定も出来ません。
 では、どういう位置づけにするか。私はこの言葉をもって表わそうと思います。即ち……

「質のSISTERS、量のLOVERS」

 ……と。

 エロアニメ目的なら、買って損はありません。
 なお、本作の登場により、当サイトのエロいゲームベスト3は以下の通りに変更になります。

 LOVERS 〜恋におちたら…〜 【Jellyfish】
 SISTERS 〜夏の最後の日〜 【Jellyfish】
 幼なじみな彼女 【イージーオー】


 今後ともお世話になります。


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