あれも恋 2

 次の日。

 海市が来て欲しいと言うので昼過ぎから海市の部屋へ向かった。久しぶりに土日が休みなのでゆっくりしたい、とは思ったんだが、海市の精神状態を考えるとそうも言ってられなくて。
 寂しそうな素振りはもちろんだが、追い詰められているふうでもない。けれどまだ会ってから二週間の俺にここまで甘えると言うことが海市の危うい状態を示している気がした。
 この広い部屋に一人。この部屋には生活臭がしない。高校生になってから家を出た、と言っていたがまだまともに生活していないのだろう。
 卒業、そして同時に別れ、それから新しい生活。海市がどれだけ傷つき、混乱しているかを考えるだけで、俺が出来ることなら何でもしてやりたいと思ったのだ。

 部屋へ入るなり、海市は前回と同じ事を言った。
「しないの?」
 サッサと服を脱いで俺を見る。前回と違うことと言えば、なにだか分からないペンダントを首からぶら下げていたことと、そばにはちゃんとマムシドリンクが置いてあったことだ。
 俺は勢いを付けるため、それを乱暴に手に取ると一気に飲み干した。
「あ‥、全部飲んで大丈夫‥かな」
 その言葉の本当の意味が分かったのはかなり経ってからだった。
「これくらいは平気だろ? 今日は海市がやりたいだけ付き合ってやる」
 俺はてっきり回数こなすのも、とにかくセックスしたがるのも、全部愛情確認の一端だと思っていたのだ。
 海市はそこまで子供じゃなかった‥。


 性急に俺の服を脱がすと、座り込む形になった膝の上に跨った。
「端午。俺として気持ちいい?」
「ああ、海市の身体は気持ちいいよ。最高だ」
 表情を崩さない顔に少し安堵が浮かぶ。やはり俺が本気で付き合っているのか不安だったのだな。
「じゃあ俺の身体が忘れられないようにしてあげる」
 俺は海市に一番重要なことを伝えるのを忘れていた。その時は若い海市と一緒になってただセックスの熱に浮かされていたのだ。

 海市は俺の目を見つめたままで顔を寄せる。そのままキスをする。抱き付いてきた身体にはかなり慣れた。細さや頼りなさが慣れなかったのだが、今ではその儚さに溺れていた。
 決して女に近いからではない。俺は初めて抱く少年に溺れていたのだ。
 女も抱こうと思えば抱けないこともないと思うが、俺は男にしかそう言う気持ちを抱かない。しっかり抱き付いて唇を貪る海市は間違いなく男で、そうだから可愛くて愛おしくて守ってやりたくて‥、そして惚れているのだ。

 俺の腹に擦り付けるモノが硬さを増してくる。半剥けの可愛らしいモノだが、立派に男の証明だ。
 片手で海市を抱きながら、片手を身体の間に割り込ませその可愛いモノを掴んだ。
 海市は俺の口の中に吐息を漏らす。
 その掠れた少し高い声が、俺の脳と腰に響く。俺のモノもググッと嵩を増す。
 俺は腰を揺らし息子を擦り付けながら、海市自身も扱いてやった。

 キスに一生懸命だった海市は口の動きがおろそかになる。
「ぁ‥は‥‥、ん‥」
 小さく喘ぎながら自分に与えられる刺激に集中する。海市の顔が俺から離れ、肩口にもたれ掛かる。
「ぁん‥端‥午。た‥ぁ‥んご」
 俺の名前を呼びながら、自らも腰を振り俺の手との摩擦を大きくする。

「は‥、ぁんっ‥ダメ‥。俺‥先に‥イっちゃ‥う」
 ダメと言いながら、海市の腰は揺れが大きくなる。もう少しでイく所なのだろう。
 俺も強めに握ると摩擦を大きくしてやった。
「んんっ‥んん‥、ぁんんっ」
 俺の手の中に海市は一人で吐き出した。
 しがみついたままで何度か吐き出す。そしてグッタリとして体重を預けてきた。
 片腕はしっかりと抱き締め、濡れた手はティッシュを掴む。手首より先だけを海市の身体から離すと、それを処理する。

「もう、端午。俺だけイったらダメじゃない」
 終了すると体を離し俺の顔を見て怒る。その顔も可愛いので鼻の頭にチュッと唇を当てた。
「海市がイく回数全部は付き合えないから。おじさんをそう虐めんでくれよ」
「だって端午が気持ち良くないと‥」
 まだ何やら文句がありそうな口は口で塞ぐ。そして尻を割るように抱くと、真ん中にゼリーを付けた指を滑らせた。
「んんっ‥」
「俺は海市が気持ち良さそうにしてるのを見るのが一番いい気持ちだから」
「端午‥、余裕‥ある…ね」
 そう、これでも二十九歳。海市より倍近く歳喰ってるわけで。少しくらいは余裕がないとおかしいだろう、なんて思っていたのに何故だかその直後。俺には全く余裕が無くなったのだ。

 うわっ、なんだこれ。腰からペニスに走る衝撃が電気ショックのように感じられた。今まで味わったことがないほどきつく張り詰めていた。
 もう一度海市だけイかせようと思っていたのだが、全然そんな余裕は無くなった。
 まだ充分にほぐれていない海市に、耐えられなくなって突っ込んだ。
 ああ、海市の中は堪らなく気持ち良かった。二度三度と動いただけで、早漏の少年のように達してしまったのだ。
 なのに、俺のモノはまだまだ硬度を失わず、再度の挑戦を可能にしていた。
「ふふ‥、端午もノってきたね」
 海市は意味深な笑いを浮かべる。その時は単純に回数をこなせることが嬉しいのかと思っていたのだが、実は違っていた。

 俺が早すぎて海市はイけなかったので凄く中途半端だと思うんだが、俺のゴムを取るとまた例の大技を実行しようとする。
「かっ海市‥。それは勘弁してくれ。すぐにイっちゃいそうだ‥」
「いいよ、何度でもイって。俺とやるのは最高って身体で覚えて」
 海市‥お前ほんとに商売してなかったのか? そんな娼婦のような台詞を気負いもなく吐けるなんて‥。
 そんなことを考えられた脳味噌は一瞬で何処かへ行ってしまった。今の俺の頭は一点の快感を追うだけで一杯になってしまった。

「これ、クール系だから」
 と言った通り、メンソールのようなスースー感がある。けれど海市の口の中で暖められたローションは冷えて萎えるようなことはない。おまけに前回の物よりも粘度が高いのか、まとわりつく感触が堪らなかった。スーッとするのに熱い、その裏腹な感覚がやっぱり初体験で、海市の舌が先端の割れ目をほじったときには我慢出来なかった。
 海市の髪を梳くように指を入れ頭を固定すると、そこへ突き入れる。
 ああ‥、堪らなく気持ちがいい‥。

 またしても海市が苦しくなる前にあっさりと吐き出してしまう。
 ダメだ‥。俺はおかしくなっているのだ。2回も達したのに、まだ俺のモノは勃ち上がっていたのだ。
 無理してるわけではなく、それどころかまだ腰から電気が沸き上がってくる。痺れるようにペニスは熟していた。
「海市‥俺は君に酔っているようだ」
 こんなことは今まで生きてきて初めてだった。どれだけやってもまだやれる気がした。無くなるまで吐き出さないと気が狂いそうだった。俺は発情期の犬のように荒い息で興奮していた。

 海市を四つん這いにさせると、後ろから突いた。喘ぎとも苦しげともとれる息づかいで海市は俺を受け入れる。
 海市のことを気遣っている余裕は全くなかった。セックスを覚えたてのガキのように、盛って突いた。ただ衝撃に耐えていた海市には快感などなかったかもしれない。
 だけど一人で達してしまった俺に、海市は満足そうな顔を見せた。

 俺は三回射精してもまだイきたかった。
 さすがにこれはおかしいんじゃないだろうか。海市に酔っているだけなら、何故二度目に会った時もこうならなかったのだろうか。
 四回目も出来そうな勢いなのだが、身体は少し参っていた。
「くっ苦しー‥。収まっていかないけどちょっと休憩」
 これでもかと張り詰めたソコは脈を打って痛いほどだった。けれどソコに身体が付いていかないのも事実だった。
 ゴロンと寝転がった俺の上に海市は跨った。

「いいよ、端午は寝てて」
 俺のモノを片手で握り、もう一つの手で自分の穴を広げる。そして自分で自分の中へ俺の分身を納める。海市は俺の上で座り込む形になった。
 海市は自ら腰を振り、自分の中の感じる所へ擦り付ける。だが下から海市の顔を観察していると気持ちいいと言うよりは、一生懸命気持ちのいい所を探してる感じだった。そうでなくても海市は感情の起伏が乏しい。それを表情に乗せるのも下手だ。
 もしかしたら喘いでいると思ったのは勘違いだったのだろうか。ただ苦しいだけだったのだろうか。

「海市‥、君はやたらとセックスをやりたがるけど、気持ちいいのかい? もしかしたらやらないといけないと思って無理してないか?」
 その途端、海市の仮面が割れた。
「ちっ違う‥。違う‥よ。俺‥気持ちいい‥から。だから‥端午にも、楽しんで欲しい‥って」
 狼狽え怯える海市。抱き締めようと上半身を起こせば、海市は首からぶら下げていた銀のペンダントを銜えた。それは細長い筒状になっており、煙草のように吸う。
 身体から力が抜けた海市を抱き締めた。

「何だ、どうしたんだ。海市っ。一体何を飲んだ?」
「大丈夫、これで俺もすっごい気持ちいいから」
 身体を離して海市と視線を合わせると、トロンとした目で見られた。自分で腰を振ってペニスを俺の腹に擦り付ける。もちろん中には俺のモノが入ったままだ。
 刺激を採取した海市は、それまでとは全然違う反応を示した。ビクビクと身体は震え、悲鳴のような喚声をあげる。
「ああああっ‥」
 異常なほど感じているのはわかる。だが俺はそれ見て恐ろしくなった。

「海市、俺は帰る」
 俺の上に乗った可愛い恋人を腕の力で降ろす。
「やだっ、どうして。端午のだって収まってないじゃん」
 叫ぶ海市を無視して風呂場へ向かった。
 心が痛くて死にそうだった。

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