月の儀式8

 ルドは悟られてしまったことで冷や汗が流れるのを感じた。そうその穴だけでも普通の倍は感じるのに、その中でもまだより一層敏感な部分をギガに見つかってしまったのだ。
 ギガは指を二本に増やした。そしてルドは琴線を弾かれた。
「ああああっ」
 びっくりするほどにルドは跳ねる。そして精を吐き出す。
 容赦なくまた弾かれた。
「そっ‥そこ‥はっ、止め‥て」
 ルドはそのたびに喘ぎなのか悲鳴なのか分からない声をあげ、液体を垂れ流した。

「止めてと言われて止める奴はいないだろう」
 いくらルドが逃げても、一度覚えてしまった指は執拗に張り付き、またそこに刺激を送る。ルドは中で指の形までをはっきりと感じ、入っているだけで熱くなってくるのを実感させられる。どれほど無駄な、ギガを悦ばすだけの追い駆けっこをしただろう。それは、ルドの声と水分が枯れるまで弾(はじ)かれ、擦られ、つま弾かれ続けた。

「これぐらいにしとかないとまた気を失われては困るな」
 失神する一歩手前で地獄なのか天国なのか分からない状態から解放された。
 ギガは家来からつぼを受け取ると、ぐったりしているルドの後ろに指を入れ、こじ開けると今取ったばかりのルドの精を流し込んだ。

「さあ、月の者の、それも特上の気だ。聖光を出せ」
 腕も持ち上がらないようなルドは無理に剣を持たされる。
「出さぬか。ハイトがどうなってもいいのか」
 ハイトという言葉でルドの目にだけは生気が戻った。
「ギガ‥。あんたは‥そんなことは‥しない」
「ほう、なぜそんなことが分かる」
「都の人達の、命を‥守ろうとしているあんたが、‥意味もなく、人を殺すとは‥思えない」
「ふん、随分と優しい人に見られたわけだな。しかし私は一人を切ることで、多数が救われるなら、ためらいなくやれる男だぞ」
「そうだ、切って救われるなら、だ。今は切っても‥救われないだろう」
 ギガはルドにまで自分のことを見抜かれていることに多少の衝撃を受けたようだ。

「出るのか、出ないのか。お前は言われた通りやればいいんだ。俺に逆らうな。殺しはしない。しかし心を操る魔術を使うことは出来るんだぞ」
 見透かされたことを隠すようにまた怒鳴る。
「ギっギガ様。あれは禁断の魔術になっております」
 家来が驚いて口を挟んだ。
「なんだ」
 例の威圧する眼光で睨み付けた。家来は慌てて元の位置に戻る。
「どうして‥そういう態度なんだ。何も素直に頼めばいいことじゃ‥ないか」
 ルドはギガに命令されたからでなく、自分の意志で聖剣に力を込めた。ルドも知りたかったのだ。ハイトが選ばれし者の宿命の相手なのか。

 聖光はいくら握り直しても出なかった。残された力を振り絞って気を込めたが、ほのかにすら光らなかった。
 やはりハイトでないと聖光の元にはならないのだ。
 ルドは風のように軽く微笑むとそのまま落ちた。とても幸せに、ギガなど眼中にないかのように。


 またしても捕らえられているのはルドの方だというのに、敗北を味わわされる。こうなるとギガは作戦を立てなければならない。きっと頼まなくてもルドは魔王と戦ってくれるだろう。ハイトも協力してくれるだろう。そういう奴らだと言うことが良く分かった。
 しかし放してしまえば緑の大地に帰ってしまう。それだけは何としても避けたかった。どうしてもルドが欲しかったのだ。ハイトについた嘘は、半分本当だった。自分がルドに惚れている、と言う半分が。

 ハイトの所に戻ると今したことを伝え、砂漠の魔王を倒すために協力して欲しいと、先ほどの態度を一転させて頼んだ。
 ハイトはルドのそばを離れるわけにはいかないので取り敢えず了解した。それよりも面会を再度求めたが皮膚病の話は本当だと、しかも月の者の方がひどく出るらしいので会わせられないと丁寧に断られた。
 ここで強固に出るとまたやり合わなくてはならない。もちろん病気なんて嘘だろう。ルドが人質に捕らえられている限り、滅多なことは出来ない。裏があることを考えずには居られなかったが、ハイトは少し様子を窺うことにした。了解の意に足枷もそのままで甘んじた。そしてハイトもルドの相手が自分だけであることが分かって存在価値を得た。

 出方を待っていたギガもハイトが引いてくれて一息ついた。これからは根比べだ。砂漠の魔王が出るまでに血の儀式を行い、誓いを立てさせなくてはならないのだ。



「ハイト様、こちらですわ」
「大丈夫ですか。ギガ様や他の人に見つかったらあなたに‥」
「ええ、この時間は見回りに出ていますから。それにこの廊下は王族の部屋にしか繋がっていません。誰にも見つかりませんわ。安心なさって」

 ハイトは先ほどの女性の手招きで、ある部屋の入り口まで来ていた。見つからないようにそっと覗くとルドの姿が見えた。安堵したのは一瞬だけで、あまりの姿に目を覆い天を仰いだ。ギガの臣下らしき者も二人いて、ルドに何かをしようとしている。

「いっ、一体、何を」
 焦ったハイトは飛び出そうとして、腕を掴まれた。女性とは思えない力強さだ。
「ハイト様、落ち着いて。彼らはルド様の気を採取しているのです。魔除けになるそうですね。魔王に対抗するためなのです。お許し下さい。その代わり終われば一人がマーサのところへその物を持っていきます。後の一人は私が必ずなんとかいたしましょう」
 ハイトはルドの掠れる喘ぎを聞きながら、その姿をじっとこらえて見つめた。

 ルドはあられもない格好を強いられていた。両足は大きく広げられ前に倒され縫い止められていた。腰を高く掲げ秘部が丸見えになっており、そこに傷らしきものが見えた。
 一人が指を這わせている。よく見ると指は二本がその傷の中に埋まっていた。場所が場所だけに痛みを想像して顔を背けたが、声を聞くとそうではなさそうだ。
 ハイトが知ってる甘い喘ぎ声とは違っていたが、確かにルドは感じているようだった。それも相当に。聞いている方が耐えられないほど切なげに泣き続ける。ハイトは黙って見ているしかない悔しさで、きつく歯を噛みしめた。程なくそれは女性に優しく止められた。知らずに歯ぎしりの音が出ていたらしい。
 傷の中に入っている指とその声は同調していた。指が抜かれ、また入り込んでいく。その度にルドは、ハイトが良く知っている痙攣を起こしていた。挿入が繰り返され、違う手が硬くなっているモノをも扱く。
 もう一人はルドの精を受けるためつぼを持ち、空いた手で胸の突起を弄んでいた。
 嬲れるところを全て嬲られて、不自由な姿勢のまま身を捩り、ルドは泣き続けていたのだ。そのうちルドの震えが止まらなくなり、そしてもう一度大きく震えたかと思ったら、全身から力が抜けてしまったようだ。
 家来は顔を見合わせ夢中になりすぎたと言葉を交わす。確かに二人ともルドに酔っていた。陶酔してしまうのが仕方ないとさえ思えるほどルドは妖しく燃えていた。

 そのうち一人はつぼを持って出ていった。残った方が足を縛っていた布をとり、ルドの汗ばんだ体を清めはじめた。
 自分が犯されている方がどれだけ気が楽であっただろう。屈辱でハイトの握りしめた拳からは血の気が失せ、噛みしめた唇は切れ、顎から一滴、二滴としずくが落ちる。それは唇からの血と頬を伝ってきた涙とが混じり合った物だった。

「ハイト様、良く耐えられました。おかげで追い出す手だてができましたわ。ここからは私に任せてください」
 女性がその場に出ていくと家来は慌てておじぎをした。

「王女様」
 ハイトが抱いていた女性は日の一族の王女だったのだ。
「お前たち、いま見たことをお兄さまに話しますわよ」
「ギっ、ギガ様に?」
 どう見てもギガより年上の王女は、内緒にする代わりにルドを貸してくるよう交換条件を出す。
「どうします? お前たちの行為はただ気を採るだけだとは思えませんでしたが。しかも失神するまで。惨いことを‥」
 ルドを哀れみの表情で見つめる。王女にそう言われては断れるわけはない。それよりギガにそのことが知れる方が怖いのかもしれない。彼らはギガに信頼されていたのだ。家来は忍ぶように部屋を出ていった。

「ハイト様、もうよろしくてよ。私はこちらの入り口で見張っております」
 そう言うと王女も出ていった。そうは言っても戸もない大部屋だ。背を向けただけと言った方が正しいだろう。
 ハイトは王女に感謝の言葉を述べた。

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